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【連載】月刊ブング・ジャム Vol.73 祝・新入学&新社会人・・・フレッシュな人たちにおすすめの文房具(その2)

文具のとびら編集部

本サイト編集長の文具王・高畑正幸さん、イロモノ文具コレクター・きだてたくさん、ブンボーグA・他故壁氏さんの3人による文具トークライブユニット「ブング・ジャム」が、気になる最新文房具を独自の視点から切り込んでいく「月刊ブング・ジャム」。今回は、この春に入学・就職したフレッシュな人たちに使ってほしい文房具を、ブング・ジャムのみなさんに紹介してもらいました。

第2回目は、きだてさんが紹介する、オキナの「プロジェクトガジェットメモ」です。

写真左から他故さん、高畑編集長、きだてさん*2022年11月9日撮影
*鼎談は2023年4月2日にリモートで行われました。

メモを取りましょう、残しましょう

オキナ1.jpgプロジェクトガジェットメモ」(オキナ、数量限定品)

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――次はきだてさんですね。

【きだて】新入学とかじゃなくて、新入社員の人向けの話なんですけども。まあ、会社に入ると「まずはちゃんとメモを取りなさい」みたいな話を未だに言われるわけですよ。でこの間ふと思ったんだけども、取材するときに紙のメモは使いつつ、録音もしつつ、ちょいちょい写真も撮るということやってるんで、手が3つ4ついるわけですよ。

【他故】そうなるよね。

【きだて】最低限、右手は筆記具を持つじゃない。となると、左手にメモとカメラと録音機器を持たなきゃいけないというのはすでに詰みなわけじゃないですか。なので、せめて録音機器とカメラはもうスマホでという。

【他故】まずそこを1つ合体なんだ。

【きだて】録音と撮影はスマホに任せて、でも手書きのメモは取りたいので、ひとまずスマホとメモ帳を片手で保持したい。だけどスマホとメモ帳って、意外と同時持ちが難しいというか。それぞれサイズが似てるようで違うでしょ。そのサイズ差がわりと問題で。

【他故】ああ。

【きだて】スマホに対してメモの方が小さすぎると、持つときにメモがすっぽ抜けるんだよね。で、逆にメモの方が大きいと、スマホがすっぽ抜けてさらに危ない。だから、スマホとメモのサイズは揃えた方がいいんだなと。そうなると、もう最初からスマホにサイズを揃えている、オキナの「プロジェクトガジェットメモ」ってさ、実はすごくいいんじゃないかということに改めて気がついたわけですよ。

【高畑】名前がそもそも、「ガジェットメモ」だしね。

【きだて】そう、ガジェットと合わせて持つ用のメモなので、サイズ表記もB5とかA7とかじゃなくて、6.1インチっていう。だから、基本的にPro Maxじゃない普通の iPhone と完全同サイズ。俺はPro Maxだけど、妥協できるぐらいのサイズ差。

【他故】そんなに差はないんだね。

【きだて】そうそう。なので、これで全然いいじゃんと思って使ってみると、非常に使いやすい。持つときに無駄な力が手に入らないので。

【高畑】落とさない注意をしてるんだ。

【きだて】そうそう。束ねて普通に鷲掴みにすればしっくりハマるというか、持つのが楽だった。新社会人の人たちも、たぶんメモ帳を持ちつつスマホも一緒に、みたいな状況になりやすいと思うんで、だったらこれが便利だよ、と。

【高畑】そもそも「スマホがあるからメモ取らなくていいや」ってやってると、「いやいや、そうじゃねえよ」って話になるからね。

【きだて】スマホを例えば、フリック入力でメモを取るとしても、会社の中を案内してもらいながらメモ取るときって、物を見ながらメモを取らなきゃいけないじゃない。スマホって基本的に画面見ないと無理じゃん。

【他故】まあね。

【きだて】なんだけど、手書きならまあなんとかなるところはあるでしょ。だから、会社入ってしばらくの間はメモは手書き一択だろうなと。

【高畑】やっぱり、手書きの方がいいことってあるよね。

【きだて】そもそも、上司とか先輩社員に対して、話聞きながらスマホの画面見てるのって、なんとなく感じ悪いだろうなと。

【他故】今でも間違いなくそうだね。

【きだて】なので、その辺も含めて手書きにしとけという感じだよね。それで、すごいいいのがさ、金属リングのところが画面に当たって傷がつかないように、ちゃんと表紙と裏表紙の紙でカバーされてるんだよ。この辺の気の利き方もすごくいいし。紙自体は、そもそも「プロジェクトペーパー」のあの上質紙だからすごくいいわけじゃない。

【高畑】「プロジェクトペーパー」というのが、まあ知らない人がいるかもしれないけれども、方眼レポートパッドとしてはもう本当に老舗のね、ずっとやっている定番品だからね。

【きだて】特抄きの上質紙がものすごく良いし、本当に時代を経て選ばれてる紙みたいな印象じゃない。

【他故】書きやすいんだよね。

――前にも「プロジェクトペーパー」を取り上げましたよね。

【きだて】40周年のやつですよね。

【他故】うん、やりましたね。

【きだて】一応これも40 周年記念のアイテムなんだよね。

【他故】そうそう。第3弾だったかな。

【きだて】これはね、定番商品として絶対残してもらわないと困るぞぐらいに思ってます。――大量に買い占めたんですか?

【きだて】いや、まだ大量に買ってないので、いざとなったら買う所存です。

【他故】ははは(笑)。

【高畑】40周年すごい種類が出たからねえ。

【他故】あと、それってさ、表紙が滑らないのがめちゃめちゃいいと思うんだよね。

【きだて】入社してしばらくしたら配置も決まって席ももらうでしょ。そしたら次はこれがデスクメモとしても使えるわけだ。そのときに、このベロア調のケバケバした手触りの表紙が…。

【高畑】ちょっとね、ヌメッとしたというか、何か不思議な質感だよね。

【きだて】そうそう。机の上に置くと滑らなくなる。片手でメモを書かなきゃいけないときに、デスクメモが滑らないって大事じゃん。そういう置きメモとしても後々ちゃんと効果を発揮するというのが非常にいいんですけども。ただね、弱点というか、このケバケバしたこの表紙の部分が、机のホコリとか汚れを全部拾うんですよ。なので、汚れた机の上で使うと、てきめんに裏が汚いという。そこだけは注意ですけどね。

【高畑】きだてさんみたいな商品のレポートする人にとっては、写真を撮る前に汚れちゃうっていう。

【きだて】そう。その辺は勘弁してほしいんだけど。でも、使う前から機能的な写真撮るというのもなんじゃない。

【高畑】それで、使ってみると「うわー」って。

【きだて】まさにそういうことがあったんですけども。

【高畑】写真撮ってから大きな画面で引き伸ばしてみたら、ちょっと「えっ」てなるっていうね。

【きだて】「表紙の裏に猫毛がついてる」とかね。

【他故】あ~(笑)。

【きだて】あとさ、表紙の色は確か4色あるんだけども、中の罫線の色が表紙の色を薄くした色っていうのは、なんかおしゃれだね。
オキナ3.jpg

【他故】ああ、そこを合わせてあるのってすごくおしゃれ。

【きだて】罫線の色も好みがあるじゃない。グレーがいいとか薄ブルーがいいとか。その辺の色が、表紙を見てちゃんと判断できるっていうのもいいよね。

【他故】ああ、あんまりそういう製品がないね。

【高畑】それって、ミシン目入ってたよね?

【きだて】マイクロミシン入ってる。

【高畑】メモとして切り取って誰かに渡すとか、そういうのにも使えるっちゃ使えるんですよ。

【きだて】そうそう、伝言メモみたいな感じで、ちょっと人に渡すという使い方もできるし。本当に使いでの良いメモという感じ。

【高畑】俺はプロジェクトペーパー嫌いじゃなかったんだけれども、大人になってみると、あの水色が割と明るくてはっきりとした水色なので、やっぱりちょっと可愛らしい感じになっちゃうんだけど。今回限定で出た色がすごいシックな感じで、使い勝手が良くなったというか、人に見られても割とかっこいい感じになったので。罫線の色はよくなったよね。限定で作った色を残してほしいよね。

【他故】うん、分かる。

【高畑】水色だけじゃなくって、今回出た色で良い色がいくつかあるものね。

【きだて】その辺はね、きちんと考えて残してほしいよね。あとさ、このアスペクト比が実はすごく良い。本当に知らないことを書き留めていくときって、大体箇条書きになるじゃない。この横が短くて縦が長い形式って、箇条書きをいっぱい書きやすいんだよ。知らない世界のファーストメモとして、ものすごくいい。実は今のiPhoneの9 : 19.5ってアスペクト比は手書きにも良かったという。

【高畑】聞きながらとかだと、確かに横にすごく長いものを書くことってあんまりなくて、縦に改行していった方が読みやすい。ステノパッドとかもそうだけど、速記の人なんかも横幅全部使わないから半分ずつで 2 回使うとか。

【きだて】そうそう。

【高畑】「短いのでいいよね」っていうのは確かにあるかも。だから、縦に長くて横幅が狭いので十分いけるような。

【きだて】A4・1/3 ノートが出たときにそれを思ったんだよ。

【高畑】確かに、そんなこと言ってたよね。それもいいかもしれない。

――他の方もこれ使ってるんですか?

【他故】私も使ってますね。私はどっちかっていうと、持ち歩くよりは横長のノートとしてキーボードの前に置いて使うパターンですね。

【高畑】そうそう、それそれ。そういう使い方ができるよね。

【きだて】横長のノートとして使うんだったら、リングが手に当たんない?

【他故】いや。結局右ページしか使わないから。めくったこっち側は使わない。元々そういう使い方なんで。右だけ使って何かを補記するときに左を使うという、割と贅沢な使い方とどんなノートでもしてるので。

【きだて】その使い方だとLIHIT LAB.の「ソフィーチェノート」がすごく良かったね。

【高畑】ああ、「ソフィーチェノート」ね。

【きだて】あれって、ソフトな樹脂リングが筆記時に手に当たらないですよ、って製品でしょ。なので、ハンドメモの天リングが樹脂リングって意味ないやん?とも思ったんだけどね。実は横使いにするとめちゃくちゃ生きてくる。

【他故】ああ、なるほどね。

【きだて】なので、その使い方はおすすめする。表紙が滑るけどね。

【高畑】PC手前の横長っていうのはいろんな選択肢ができてきたからね。僕は、1冊終わるたびに種類変えるみたいな感じで、いろんなのを使ってるんだけど。その滑らない表紙は、それはそれでいいよね。

【他故】すごくいい。

【高畑】僕は意外とこのリングはあんまり気にならないんだよ。だから割と書けちゃうので、これで十分という感じ。手前に置くときは横に置くし、あと手に持ったら縦に書くしみたいな感じで。読むときは、縦横が混在してると確かに面倒なんだけど、まあ向きは変えるんだけど、でも確認でもう1回見るときはそれでもいいので、書くときにちょうど置きやすいところにあれば。PC手前に置いてあるところに、例えば手で持って書いたやつって、「前に何書いたっけ?」といってペラペラとめくっていったら90°横向いてるんだけど、読めないかといったら読めなくないんだよ。

【きだて】まあ、それはそうだね。

【高畑】「えーと」って言ったらわざわざ縦にしなくても、首横に向ければ読めるので、ちょっと目線横にすればいいんだよ。それはあまり困ってなくて。でも横型ってかは結構重要なんだけど。なので僕は、 PC前に置くときは横置きするけど、手に持ってメモするときは縦置きするのは別に平気っていう。

【きだて】それでナチュラルだし、全然問題はないと思うけどね。

【高畑】だから、横置きもできる横長メモで全然いいなと思う。でも、レポートパッドはレポートパッドで使うんだけど、普段使うのは小さめのノートの方が使うことは多くなったかなという気がする。

【他故】分かる。

【高畑】ちなみに、その1 個上のサイズのやつも悪くないよ。

【他故】iPad miniの大きさのやつな。

【きだて】ただね、これはさすがに持ち歩く用でもないし、どう使おうかなっていうので、今のとこまだ使いあぐねてる感じ。

――8.3インチのやつですか?

【きだて】そう。

オキナ2.jpg8.3インチと6.1インチの2サイズ

【高畑】今俺が使ってるのは「ロルバーン」の横型。A5横ぐらいのサイズなんだけど、これはこれでありかなみたいな感じで机の上に置いて使ってるので。だから、そのサイズでも全然ありかな。まあ最近、いろんなノートの判型が楽しめるようになったというか、選べるようになったのはいいなと思って。「もっとやれ」っていう感じではあるね。

【他故】でも、次にまた iPhone のサイズが変わったら、少し大きくするような作業はするのかね?

【きだて】どうだろうね。

【他故】そこまでやるのかっていうのは分かんないけど。

【きだて】う~ん。次の iPhoneってまた大きくなるの?

【他故】それは分からないけど。

【高畑】まあ、何種類かで収まるんじゃないの。今だってiPhoneのスタンダードのサイズに合わせてるけど、きだてさんはPro Maxを使ってるわけだけど困ってないからね。

【きだて】でもやっぱりね、Pro Maxサイズも欲しいなとは思うよ。

【他故】まあ、そうなってくるとね。

【きだて】なのでオキナさんには6.7インチもぜひ頼みます、と(笑)。

【高畑】どんだけ種類増やすねんっていう。そのうち、1インチ刻みですごい種類があるようになって、自分の好きなサイズが選べるという。

【きだて】それが選べると最高なんだけどね。

【他故】スマホケース並みだね。

――6.1インチのサイズで大丈夫なんですか?

【きだて】まあ、今のところは全然大丈夫です。それよりは、アスペクト比が揃ってて、スマホと重ねて持ったときにはみ出しが一切ないっていうのがとにかく快適。それで持ちやすい。これは本当に良いアイデアだったと思う。

――是非使って欲しいですよね。

【きだて】社会人になると、多分スマホとメモ帳を重ねて持つことが増えるから、「これ買っときな」っていう。

【高畑】それで、何よりも「ちゃんとメモを取れ」っていうね。

――そこが大事ですね。

【きだて】本当にね、入った当初に取ったメモって、当分使うんだよね。その時メモった内容って。俺も最初に入った印刷屋で書いたメモって、20年経ってもまだたまに見返すものね。

【他故】ああそう!

【きだて】印刷の基礎的な部分とか、印刷機器とか版のこととかその辺のことをメモったやつを見返すと「あそうだった、そうだったな」っていうので使えるんだよ。

――まあ、今も全く関係ない仕事じゃないですからね。

【きだて】なので、なんだかんだ役立つことが多いから、大事にしようねっていうことですね。

【高畑】まあ、役に立つのもあるし、時々初心に帰るときとか、あと「頑張ったな」と思うときに、紙のメモを見てですね、考えにふけるときが来るんだよ。

【きだて】うん、あるね。

【高畑】昔の手帳が久しぶりに出てきてね、「何か、こんなことやってたな」って思うときはあるよ。

【きだて】だから、こういうときのメモって、手帳じゃダメなんだよね。手帳は1年で替えるじゃん。

【他故】ああ、スケジュールがついてるやつってこと?

【きだて】そう。残す前提でメモをちゃんと取った方がいいよ。

【他故】なるほどね。

【きだて】ノートなりメモなり、残しとく前提で書いた方がいいよね、ということでした。

――メモを取りましょう、残しましょうということで、ありがとうございました。

*次回は他故さんがM5システム手帳を紹介します。

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プロフィール

高畑 正幸(たかばたけ まさゆき)
文具のとびら編集長。学生時代に「究極の文房具カタログ」を自費出版。「TVチャンピオン」(テレビ東京系列)の「文房具通選手権」では、3連覇を達成した。サンスター文具に入社し商品企画を担当。現在は同社とプロ契約を結び、個人活動も開始。弊社が運営する文房具のWebマガジン「文具のとびら」の編集長も務めている。著書は『究極の文房具カタログ―マストアイテム編―』(ロコモーションパブリッシング)、『究極の文房具ハック』(河出書房新社)、『そこまでやるか! 文具王高畑正幸の最強アイテム完全批評』(日経BP社)、『文具王 高畑正幸セレクション 一度は訪れたい文具店&イチ押し文具』(監修/玄光社)、『究極の文房具カタログ』(河出書房新社)、『文房具語辞典』(誠文堂新光社)と、翻訳を手がけた絵本『えんぴつとケシゴム』(KADOKAWA)。
https://bungu-o.com/


きだて たく

小学生の時に「学校に持っていっても怒られないおもちゃ」を求めて、遊べる文房具・珍妙なギミックの付いた文房具に行き当たる。以降、とにかく馬鹿馬鹿しいモノばかり探し続けているうちに集まった文房具を「色物文具=イロブン」と称してサイトで公開。世界一のイロブンコレクターとして文房具のダメさ加減をも愛する楽しみ方を布教している。著書に『イロブン 色物文具マニアックス』(ロコモーションパブリッシング)、『愛しの駄文具』(飛鳥新社)など。
色物文具専門サイト【イロブン】http://www.irobun.com/

他故 壁氏(たこ かべうじ)
文房具トークユニット〈ブング・ジャム〉のツッコミ担当。文房具マニアではあるが蒐集家ではないので、博物館を作るほどの文房具は持ち合わせていない。好きなジャンルは筆記具全般、5×3カードとA5サイズノート。二児の父親。使わない文房具を子供たちに譲るのが得意。ラジオ番組「他故となおみのブンボーグ大作戦!」が好評放送中。ラジオで共演しているふじいなおみさんとのユニット「たこなお文具堂」の著書『文房具屋さん大賞PRESENTS こども文房具 2022』が発売中。
たこぶろぐhttp://powertac.blog.shinobi.jp/

「ブング・ジャムの文具放談・完全収録版~2022年Bun2大賞を斬る!~」〈前編・後編〉をコンテンツプラットフォームnoteで公開中。

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