1. 連載企画
  2. 【連載】月刊ブング・ジャム Vol.52 家庭で便利に使えるイチオシ文具!(その1)

【連載】月刊ブング・ジャム Vol.52 家庭で便利に使えるイチオシ文具!(その1)

本サイト編集長の文具王・高畑正幸さん、イロモノ文具コレクター・きだてたくさん、ブンボーグA・他故壁氏さんの3人による文具トークライブユニット「ブング・ジャム」が、気になる最新文房具を独自の視点から切り込んでいく「月刊ブング・ジャム」。

今回は、家庭で便利に使える文房具をブング・ジャムのみなさんに紹介してもらいました。

第1回目は、高畑編集長おすすめの「木のホワイトボード」です。

写真左からきだてさん、他故さん、高畑編集長*2021年6月30日撮影
*鼎談は2021年6月22日にリモートで行われました。

木の素材感で自宅のインテリアにもなじむホワイトボード


――今回は、家庭で便利に使える文房具をみなさんにご紹介いただきます。まずは、高畑編集長からお願いします。

【高畑】ミドリの「木のホワイトボード」というものなんですが、まず「ホワイトじゃないじゃん」問題というのがあるんですけど。

【他故】ははは(笑)。

【きだて】でも、ウッドボードって言うと別のものになっちゃうしね。

【高畑】そうなんだよ。だから、あえてホワイトボードと言っているところはあるんだけど、まあ白木なんで、白いっちゃ白いということで。これは、ベニヤ板みたいな木の積層材になっていて、それの表面に特殊な加工がしてあって、ホワイトボードと同じように書いて消せるよというものなんですよね。

【他故】うん。

【高畑】まあ、ホワイトボードが材質的に木になっただけなんだけど、「家庭で便利」で考えたときに、会社や学校で使っている事務用品で、家に持ってくると便利なものってあるじゃないですか。

【きだて】うん、そうね。

【高畑】例えば、家で領収書なんかを整理するのに、「会社で使っているファイルとかファイルボックスとかを使うといいよね」という感じで、事務用品を家に持ってくると便利になるよねというのは、割と色々あるし、ちょいちょいそうされているんだけど。

【きだて】最近は、事務用器機メーカーがBtoC向けに色々と工夫して、ご家庭に入れ込もうと頑張っている傾向はあるでしょ。

【他故】ああ、あるね。

【きだて】代表的なところでは「テプラ」とかは、まさにそんな感じじゃん。

【高畑】そうそう、「テプラ」のラベリングなんかも家でやるといいよね、ということだよね。だから、事務用の整理整頓術、特に書類関係はそうなんだけど、そういうのを家に持ち込む。最近だと、テレワーク関係で、PCとかいろんなものを入れる「モバコ」みたいなバッグとかがすごくよかったりするんだけど。僕が、家庭にあるといいなと思っているのがホワイトボードで、これよりも全然前から、壁全面に3Mのホワイトボードシートを貼ってるんですよ。僕は物を書くから、そういうのの構想を練ったりとか、打ち合わせとかに使うんだけど、家に記録をしておける場所があるといいぞというのが、あるんですよ。

【他故】うん、分かる、分かる。

【高畑】とりあえず書いておける場所があって、それが見えるところにあるのが結構重要だなと思っているんですね。

【他故】うん。

【高畑】家族のコミュニケーションも、時差が発生したりするわけじゃないですか。お母さんが書いて家を出て、その後に子どもが帰ってきたりするし、今はリモートワークで、家の中のコミュニケーションで、「何時からリモートで会議やるよ」と書いておくとか。

【他故】まさしく、それウチだね。ウチのホワイトボードには、「今日、ZOOM会議」って書いてある(笑)。

【高畑】そうそう。「その時間は、音が出ることはしないでね」と書いておくのもそうだし、あとは「これが切れそうだから帰りに買ってきて」というのが、お父さんが家を出なくなったから、「これを見た人が買ってきて」になるとか、そういうコミュニケーションもあるし。リモートで家にいて、出入りするバランスが変わったりしているときに、多分ホワイトボードは重要だなと思っていて。以前に、落合陽一が話している動画をたまたま見ていたら、「家族の問題は、ホワイトボードで大分解決できる」と言っていて。要は、意見のすり合わせだったりとかを、ちゃんと書いて議論するのが大事だと言っていて。とにかく、「家にホワイトボードがあるといいよ」という話なんだけど、じゃあ俺がやっているように、「壁面全面にホワイトボードシートを貼りましょう」とここで言っても、誰も貼らないと思うんだよ。

【きだて】あれは、だいぶおかしな人がやることなので。

【他故】ははは(笑)。

【高畑】だから、それをやれとは言わないんだけど、今だとホームセンターや100円ショップでも、小さいホワイトボードって売ってるじゃない。ああいうのを家に置きましょうぐらいだったらできるので、「やるといいよ」ということなんだけど。ただそれだと、いきなりそこだけ事務用品っぽくなっちゃう。

【他故】ああ、そうね。それは分かる。

【高畑】お店で売っているホワイトボードって、白いボードに銀色か水色のフレームで安っぽいやつで、ヒモかマグネットで付けるやつが多いじゃん。それだと、そこだけ浮くなと思って。

【他故】うん。

【高畑】それでいくと、これはなじみがいいなと思って。

木のホワイトボード_3400_冷蔵庫.jpg【きだて】家で使うものに対して、明らかにオフィスじゃない雰囲気って、やっぱり大事で。そもそも、あんまりそういうものを持ち込みたくないという人も多いんだよね。

【他故】そうだよね。仕事っぽい部屋にしたくないという人はいるよね。

【きだて】そうなんだよね。ホワイトボードは便利だと分かってるけど、気分的に家に入れたくないという人はそれなりにいると思う。

【高畑】置いてステキなホワイトボードって、あんまりないんだよ。

【他故】ああ、そうだよね。

【きだて】それで、「ステキ」っていう方向になると黒板にいっちゃうんだよね。

【他故】あ~。チョークボードの方がおしゃれだよね。

【高畑】でも、あれは粉が散るんだよね。

【きだて】そうなのよ。家で使うには、粉問題が大きいしね。

【高畑】あと、ブラックボードに書けて、濡れぞうきんで消せますよというのがあるけど、ちょい面倒くさいじゃないですか。

【きだて】やっぱり手間は増やしたくない。

【高畑】あれにカフェのメニューを書いたり、かわいい絵を描いたりするのはいいけど、「牛乳買ってくる」と書いて、後で濡れたぞうきんで消さないといけないのは面倒くさいよね。

【きだて】使い勝手的には、ホワイトボードが一番楽なんだけどね。だけど、家庭で使えるおしゃれホワイトボードが今までなかった。

【他故】うん、なかったね。

【きだて】フレームを変えるんじゃなくて、一足飛びにボードの素材から変えちゃってこれにしたというのは、相当面白いと思うよ。

【高畑】ついでに、思い切ってかたちも四角じゃなくして。もうこれは、会社の会議室のイメージが悪すぎるっていう問題だと思うんですよ。

【他故】ははは(笑)。

【きだて】ホワイトボード見ると、えずいちゃう人もいるんじゃないかな(笑)。

【高畑】会社のホワイトボードって、面白いことや、ステキな何かが起こる気イメージが全くないし。

【他故】あ~ないね。

【高畑】あくまでも僕の私見だけどね。それでかつ書けないマーカーのイメージしかなくて(苦笑)。

【きだて】はいはい。「白いホワイトボード=カスカスのマーカー」みたいな。

【高畑】そうそう。もう拭いても消えない、真っ黒になったイレーサーとか。あんまり良いイメージがないんだよ。こういうときはイメージを変えてね。全然いいじゃないですか。

【他故】うん。

【高畑】これはマグネットでペタッとくっ付くんだけど、滑り止めが付いているので、机上にも置けるよという感じで。

【きだて】そうそう。B5くらいの小さめのホワイトボードも、冷蔵庫とかに貼ってしまうと、なんとなく使いにくい。書くときは平置きした方が圧倒的に楽なのに、いちいち書くたびに外すという発想がなくなっちゃう。

【他故】そうだね、なくなるね。

【きだて】どうしても、貼ったまま立ち書きしちゃうんだよ。あんなの書きにくいに決まってんじゃん。

【高畑】特に、これの小っちゃいやつは、これ自体がマグネット貼ってあるような大きさだから、これを外して置いて書くのが正解だと思うんですよ。だから、冷蔵庫なんかに貼ってあるのを外して、台の上なんかに置いてちょちょっと書いて、それでもう一回貼ればいいよねっていう感じなんですよね。それはすごくいい。

3.jpg【他故】そうだよね。よく考えたら、それは新しい感覚だよね。

【きだて】その辺はよく考えられてるなと思った。

【高畑】ホワイトボードが苦手な人で、垂直面に上手に書けないという人が結構いるんだよ。あれが苦手な人多いよね。

【他故】いるいる。

【高畑】だから、置いてちゃんと書いて、もう一回戻せばいいというのだったら、割と誰でもいけるんじゃないかな。消すときも、置いて上からゴシゴシと消すと全部消せる。

【きだて】ああそうね。

【高畑】もちろん、ペンにイレーサーが付いているんだけど、ティッシュとか濡れぞうきんで拭くと、サッと取れちゃうの。だから、置いてゴシゴシとやればリセットは簡単。1行だけ消したいときは、イレーサーでやればいいけど、全部消したいときやボードをきれいにしたいときは、布巾とかで拭いた方がきれいになるよ。

【きだて】最近は、除菌のウェットティッシュを置いているご家庭も多いので。

【他故】ああそうだね。

【高畑】ウェットティッシュもいいと思います。

【きだて】表面のコーティングが心配なので、ノンアルタイプがいいと思うけど。

【高畑】強い何かが含まれていると、表面に影響があるかもしれないね。水拭きだと平気だと思うので、そういうので拭いてあげるときれいになるし。

【他故】うん。

【高畑】あと、冷蔵庫だけじゃなくて玄関ドアもスチールのところ多いので、そういうところだと出かける前のメモに使えるのでSサイズでもいいかなと思うけど。

【他故】机の上に平たく置いておけるから、小さい子でも書けるよね。

【高畑】書けるね。

【他故】貼ってあるやつって、どっちにしてもすごい書きにくいと思うんだけど、こういうのだと書きやすいと思うから。

【きだて】大人の目線に合わせて貼るから、子どもは書けないよね。

【他故】だから、そういうのでお子さんと一緒に、書く楽しみを味わえるよね。

【高畑】あとこれ、フチがないのよ。フチがあると、一段高くなるじゃん。

【他故】ホワイトボードってそうだね。

【高畑】フチが一段高いから、書きずらかったり、汚れがたまったりとかするけど、そういうお子さんが書くにしても、フチがないから書きやすいんじゃないのかな。

【きだて】枠があるからこそ、はみ出さずに書けるという子どももいるんだけどね。

【高畑】あ~そうか、汚す可能性はあるかもしれないね。

【きだて】あとね、これは最初に書くのに度胸が要った(笑)。

【高畑】えっ、どういうこと?

【きだて】「木だろ、本当にいいの?」っていう。

【他故】ああ、そういう意味か(笑)。

【きだて】コーティングされているし、大丈夫だろうというのは分かるんだけど、それでもやっぱり、手に持つと木じゃん。本当にマーカーで書いて消えるのかというのがね、最初の一発目はドキドキした(笑)。

【他故】ははは(笑)。

【高畑】まるっきり木なんだよね。

――それって、マーカーが付いているんでしたっけ?

【高畑】付いてます。割と細めのペンが付いているので、メモを書くのにはいいと思います。小さい方のでも5行ぐらいは書ける感じなので実用的かなと思うけど、もちろんホワイトボードマーカーとして売られているペンだったら、他のものでもいけます。色違いで使いたかったら、他社のホワイトボードマーカーを買ってくれば使えます。もちろん、マーカーにもマグネットが付いているので、一緒に冷蔵庫とかに付けておくという感じですね。自宅で役立つというよりは、家庭で役立つというと考えたときに、ホワイトボードとか、書いて消せるボードを導入するというのは、狭いコミュニティの中でコミュニケーションをとるのには、ちょうどいいんじゃないかな。

【他故】うん、いいっすよ。

【きだて】お父さんが在宅ワーカーになったことで、意外と連絡手段に困るという話を聞いたのよ。

【他故】連絡手段?

【きだて】例えば、お父さんが普段会社に行っていたら、家族のやりとりはLINEでできたのよ。ところが、普段お父さんが日中家に居ると、「家にいるのにLINEはないよな」という感じになる。結果、伝達事項が文字として残せないということがあるみたいなのね。

【高畑】は~なるほど。言った・言わない問題になるわけだ。

【きだて】そうそう。それこそ「牛乳買っといて」というのも、LINEで送っておけば文字で残るじゃない。

【高畑】「言ったじゃん」ってなるよね。

【きだて】口頭だけだとそういう問題が起きちゃうので、そういう場合はホワイトボードを活用した方が便利というのはあるんだよ。

【高畑】なるほど。そういうことだと思うんだよ。ちゃんと文字にして、みんなが見えるところに置いておくと、共通認識となるので。

【きだて】そのためのホワイトボードかなというのは、アリな気がしてきたよ。

【高畑】ちょっと前に流行ったのだと、リモート会議で見せる用のホワイトボードってあったじゃない。

【きだて】ノート型のホワイトボードとか。

【高畑】そう。あれとはまた別だよね。あれはあれで、家にあったら便利なリモートワーク道具なんだけど、あれとは全然違う話なので。

【他故】そうね。

【高畑】別に必要と思ったときに、このまるっきり別物感の木で作ったというのがいいと思います。ただ難を言うなら、ちょっと高いかなという気がします。大きい方がめっちゃ高い。

――大きい方が税込2,640円ですね。

【他故】結構するね。

【高畑】まあ、これはインテリアだと思って、そこはそのぐらいいいやつを置いた方がいいよと思います。

――小さい方でも税込で1,430円もするんですね。

【高畑】そう、結構するんですよ。

【きだて】普通に100均でホワイトボード買えるからね。

【他故】まあまあ、そうだけどね(苦笑)。

【高畑】もちろん、それでも同じ機能は果たせると思うけど、やっぱり家庭ということを考えたときに、見た目も大事だと思うし、やる気も大事じゃないですか。ということで、「木のホワイトボード」はいいんじゃないのと思います。

*次回は「ディアキチ ワザアリテープ」です。

プロフィール

きだて たく
小学生の時に「学校に持っていっても怒られないおもちゃ」を求めて、遊べる文房具・珍妙なギミックの付いた文房具に行き当たる。以降、とにかく馬鹿馬鹿しいモノばかり探し続けているうちに集まった文房具を「色物文具=イロブン」と称してサイトで公開。世界一のイロブンコレクターとして文房具のダメさ加減をも愛する楽しみ方を布教している。著書に『イロブン 色物文具マニアックス』(ロコモーションパブリッシング)、『愛しの駄文具』(飛鳥新社)など。
色物文具専門サイト【イロブン】http://www.irobun.com/

他故 壁氏(たこ かべうじ)
文房具トークユニット〈ブング・ジャム〉のツッコミ担当。文房具マニアではあるが蒐集家ではないので、博物館を作るほどの文房具は持ち合わせていない。好きなジャンルは筆記具全般、5×3カードとA5サイズノート。二児の父親。使わない文房具を子供たちに譲るのが得意。ラジオ番組「他故となおみのブンボーグ大作戦!」が群馬県沼田市のコミュニティFM「FM OZE」で好評放送中。
たこぶろぐhttp://powertac.blog.shinobi.jp/


*このほか、ブング・ジャム名義による著書として『筆箱採集帳 増補・新装版』(廣済堂出版)と、古川耕さんとの共著『この10年でいちばん重要な文房具はこれだ決定会議』(スモール出版)がある。

「ブング・ジャムの文具放談・完全収録版~2020年Bun2大賞を斬る!~」をnoteで有料公開中!!

【文具のとびら】が気に入ったらいいね!しよう