
【連載】月刊ブング・ジャム Vol.34 新春スペシャル ブング・ジャムの2020年文具大予測!? その3
本サイト編集長の文具王・高畑正幸さん、イロモノ文具コレクター・きだてたくさん、ブンボーグA・他故壁氏さんの3人による文具トークライブユニット「ブング・ジャム」が、気になる最新文房具を独自の視点から切り込んでいく「月刊ブング・ジャム」。今回は「新春スペシャル」として3日連続で、ブング・ジャムのみなさんに「2020年の文具はこうなる!」という予測を語ってもらいました。
第3回目はきだてさんです。
(写真右から他故さん、高畑編集長、きだてさん)
*その1はこちら
*その2はこちら
今年こそYouTuberになります(本当)

――最後はきだてさんです。
【きだて】まずは謝罪からです。
【他故】わはは(笑)。
【きだて】あの…ね、去年のあたまに、「ユーチューバーになる」と言いまして、それから長らく動画をやらずにきたんですけど、本当にすみませんでした。
(一同爆笑)
【きだて】いや、俺がユーチューバーになるという話をしたから、文具王が「俺もやらないとやばいかな」と思って。それであの文具王動画が始まったわけでしょ。
【高畑】そう、それは本当にそうなの。
【きだて】今、何個ぐらいアップしているの?
【高畑】150くらいアップしてる。
【きだて】対して俺はゼロ。ふざけんなって話だよね(笑)。ツイッターなんかでも、昨年初の記事を見て「きだてさんの動画楽しみ」と言ってくれていた人がいたわけですよ。
【高畑】いたいた。
【きだて】本当にごめんなさい。
【他故】うふふ(笑)。
【きだて】いや、言い訳すると、もうね日銭を稼ぐのに精一杯だったわけですよ。文具王はね、おれよりも割のいい仕事をしていたりするけども。
【高畑】いや、それは違うぞ。
【きだて】文具王は10分くらいしゃべるとだいたい100万円もらえるじゃないですか。
【高畑】そんなわけないじゃん。何で、俺が悪いみたいな話になってるんだ(苦笑)。
【きだて】俺なんか、この1文字で「10円、20円」と思いながら書いているわけですよ。
【高畑】そこは一緒、一緒だよ。
【きだて】そういうことにかまけて、動画を後回しにしてきたことは確かにありました。ごめんなさい。これは素直に謝罪です。
【高畑・他故】はい。
【きだて】ただ、謝ってばかりじゃアレなので、ついに昨年末に何とか動画を間に合わせました。
(一同)お~!
【きだて】拍手おきてやんの、ちくしょう!
【高畑】いやそれはね、謝罪とか言っているけど、こうやってちゃんと出してるじゃん。
【他故】そうそう、正直嬉しいよ。
――年内に間に合ったからいいじゃないですか。
【高畑】これは、検索で「きだてたく」って入れればいいの?
【きだて】YouTubeで「イロブン」で出ると思います。
【高畑】出てきたよ、イロブン。ちょっと見ていい?
【きだて】まずは見て下さい。お願いします。
――ああ、これは前に「月刊ブング・ジャム」で紹介していたものですね。
【きだて】みんなに、この場でこうやって見られているのは結構つらいね(苦笑)。
【他故】このネタだったら、2千回でも3千回でもできるだろ。
【高畑】何やかやで、きだてさんを待たせてだまって見ているこの4分は結構長いね。
【他故】まさか、文具王に「4分は長い」と言われるとは(笑)。
【きだて】そうだよ、何言ってんだこいつ(笑)。
【他故】この10倍とか20倍も長い動画撮ってるのに(笑)。
――こんな感じで動画が公開されたわけですが。
【きだて】俺の中でのこじれた自意識が、最初の「はい、どうも」みたいなのを許さなかったりとかさ、いろいろと葛藤があるわけですよ(笑)。
【高畑】その気持ちはちょっと分かる。
【きだて】なんだけど、はじめしゃちょーが「最初はとにかくテンションを上げて、そこから一旦落とすみたいなメリハリが大事」みたいなことを言っているのを聞いて、「ああ、なるほどな」と思って。
【高畑】そう「なるほどな」なんだよ。上手いユーチューバーの人がやっていることが良いというのも分かるんだよね。やってみるとね。でもさ、オープニングの「イロブン」って出てくるところとかちゃんと作ってたりさ。俺はやってないから(苦笑)。
【他故】文具王はその辺まるっきりないからね(笑)。
【高畑】あと、途中でちゃんと文字が出てきたり、しゃべっているときに手元がシームレスでつながっているから。あれ別撮りしているのに、つながってるじゃない。俺だとそれがないので。
【他故】文具王はしゃべってる途中でどっかへ行っちゃうしな(笑)。
【きだて】だから、それによって年間150本とかいけたわけじゃない。
【高畑】そうそう。僕はそういう編集とかをしないという方針で、ダラダラ長くしゃべっている。きだてさんは4分だけど、俺は40分だからさ。「長い」ってよく言われるけど。
【きだて】だから、文具王の動画を見て、40分は「長い」と。イロモノ文具でその長さはできないから。
【高畑】それは確かにね。
【きだて】これを収録する前にさ、HIKAKINの動画を片っ端から見たりとかさ。
――研究をしたんですね。
【きだて】そう、色々と研究するだけして、結局のところ自分の自意識がこじれて、「この真似はできない」みたいな(笑)。
【高畑】研究するとダメなんだよ。
【他故】まあ、真似から入って、それが楽しければいいけどね。でも、きだて氏の場合は、真似しなくても元々のスタイルがあったわけじゃん。まあでも、1回やってみてよかったよね。
【きだて】あとは、日々の生活の中で、どれだけ収録と編集の時間がとれるんだろうというその恐怖。
【高畑】本当にそう。きだてさんはあんな風に言っているけど、僕だって無い時間を捻出してやってるんですよ。
【きだて】いやいやいや。
――でも、40分、50分も撮ってるから。
【高畑】だから、40分も撮ってそれを編集していたら、何日でも時間かかっちゃうから。
――見ていると、長いのにこっちも慣れて来ちゃうので(笑)。
【きだて】我々の方が「文具王動画だから、ちょっと見る時間作んなきゃ」とか調教されているという状況だよね。まあそれは、動画を出してる方が強いわけじゃん。
【他故】それはそうだよね。
【高畑】ないよりはね。出ていれば文句も言えるけど、出てないとそれもないから。
【きだて】去年も言ったけど、動画を始める理由として、子どもにウケたいと。
【高畑】ああ、次世代のね。次の畑を耕したいという。
【きだて】そう。もうね、40代、50代の人間に文房具を売りたくない。
【高畑】売りたくない(笑)。
【きだて】そんな、あと20年もしたら仕事の一線から離れる人たちに文房具を紹介したってね。あの人たち将来性がゼロじゃないですか(笑)。
【高畑】でも、文具王の動画の視聴者のデータ見るじゃない。やっぱり40代がピークなんだよね。これはね、ゆっくり動画を見られる人がピークなの。でもね、シャープペンをあげると10代がガッとくるんだよね。あれはね、ジャンルもあると思うし。
【他故】そうだね。
【高畑】そういう意味では、きだてさんの動画はそっちに向けているかもしれない。
【他故】向いているよね。「面白い」というのが最初から根底にあるから、小中学生の間で回れば面白くなってくるんじゃない。
【きだて】ぶっちゃけ子どもだましジャンルなわけじゃない。イロブンって。
【他故】子どもだましジャンル(笑)。
【きだて】ならば、大人向けじゃなくて、ちゃんと子どもをだます方に頑張ろうと。
【他故】ちゃんとだます(笑)。
【きだて】俺も始めちゃったからには、「チャンネル登録ちゃんとしてね」とガンガンいこうかと。イロブンチャンネル、登録してね。
【他故】それでいいんだよ。
【高畑】これはさっききだてさんが言っていたみたいに、種をまく作業だから、ここで幾ら儲かるという話ではないんだよ。そうじゃなくて、みんなが知っているきだてさんにならないといけない。
【きだて】去年の記事を読み返してもらうのも何だから、改めて言うと、今は文房具のライターとして文具王に仕事量が勝ててない。でも、あいつは20年後まで同じ仕事はあるかなと。
【高畑】元々大人向けに仕事しているからな。
【きだて】今、文具王の動画を見ているのが40代だとしたら、20年後には60代。文具王も60代。どんどんどんどんパイが先細っていくわけじゃないですか。
【高畑】それは否めない。
【きだて】それならば、僕は今多少無理をしててでも、子どもに媚びようと。若い方にグーッと広げていくことで、長くやっていけるんじゃないだろうかと。
【他故】うん。
【きだて】というわけで、子ども向けにYouTubeをやろうというのが、去年の決意だったわけじゃないですか。
【他故】そうだね。
【きだて】それがね、日銭を稼ぐ仕事のために、押しに押し。あの崇高な決意はどこへ入ったと。
【高畑・他故】いやいや(笑)。
【きだて】という話なんだけども、とりあえず頑張る。
【高畑】でもそれ大事だよね。新しいジャンルをちゃんとやるのは大事かな。だって、雑誌の仕事だって、雑誌自体がしんどい世の中じゃないですか。いつまでそういう依頼が来るのか分からないから。
【きだて】そうね。だからここ数年は子どもとか中高生向けの仕事だったら何でもやります!って言ってて、ありがたいことに、それで実際にお仕事させてもらってるしね。
【高畑】きだてさんの毒電波が出ている。
【きだて】毒電波言うなよ!
――毒電波なんですか?
【きだて】いやいや、ちゃんと若い読者の皆さんに向けて、誠意ある原稿を書いとるわ!
【高畑】学習教材の中に、じわりじわりときだて菌が(笑)。
【きだて】きだて菌に感染することで、若い人たちの意識に「文房具といえば、きだてさんだな」と刷り込まれて。で、彼らが10年20年後に社会に出て、文房具に関するプロジェクトに携わったときに「じゃあきだてさんを呼ぼうか」と、そう思ってもらいたいんですよ。
【高畑】はいはい(笑)。
【きだて】そういうのを地味に積み重ねていくことで、じわじわと現在の「文房具=文具王」という図式が薄れていくという(笑)。
【高畑】まじか~(苦笑)。
【きだて】20年後くらいには、「文具王っていたよね、今何してるのかね?」ぐらいの状況にしてやる。
【他故】そうか~(笑)。
【きだて】パイは一定じゃないですか。奪い合いなわけですよ。で、20年後に我々3人が仲良くブング・ジャムをやっている保証はないわけだよ。
【他故】まあまあまあ(笑)。
【高畑】そのパイが小さくなれば、誰を落とすかという話になるな。
【きだて】まぁ、せめて俺が落とされないように、今からちゃんと自分の種をまいておこうと。面白がってわざとギスギスした話っぽくしちゃったけど、単にそういう話でした。
【高畑】いずれ僕ときだてさんが闘わなくてはいけないかどうかはともかく、それは置いといて、種をまくのは大事。
【他故】そう、すごい大事。
――とりあえず、動画はどの程度のペースでアップしていくんですか?
【きだて】そこで言質をとられたくないので言わない!
(一同爆笑)
【高畑】でも、「きだてさんやってるな」と分かるくらいには出してほしいな。
【他故】そうだよ。
【きだて】今後、11カ月待たせるとか、そういうことはないと思います。
【高畑】でも、静止摩擦係数なり、第1宇宙速度なりを超えるのが大事なわけじゃないですか。
【きだて】とりあえず、大気圏を出る速度までは上げなきゃと思って。
【高畑】それで1回大気圏外に出ると、抵抗が大分減るからさ、それ大事だよ。
【他故】打ち上げ実験は成功したわけだからさ。次はやっぱり、衛星軌道に乗らないと。
【きだて】とりあえず、ホリエモンよりは宇宙に近づいたという感じで。
【他故】わはは(笑)。
――とりあえず、来年も同じ話にならないように(笑)。
【きだて】来年は反省会しません!
プロフィール
きだて たく
小学生の時に「学校に持っていっても怒られないおもちゃ」を求めて、遊べる文房具・珍妙なギミックの付いた文房具に行き当たる。以降、とにかく馬鹿馬鹿しいモノばかり探し続けているうちに集まった文房具を「色物文具=イロブン」と称してサイトで公開。世界一のイロブンコレクターとして文房具のダメさ加減をも愛する楽しみ方を布教している。著書に『イロブン 色物文具マニアックス』(ロコモーションパブリッシング)、『愛しの駄文具』(飛鳥新社)など。
色物文具専門サイト【イロブン】http://www.irobun.com/
他故 壁氏(たこ かべうじ)
文房具トークユニット〈ブング・ジャム〉のツッコミ担当。文房具マニアではあるが蒐集家ではないので、博物館を作るほどの文房具は持ち合わせていない。好きなジャンルは筆記具全般、5×3カードとA5サイズノート。二児の父親。使わない文房具を子供たちに譲るのが得意。
たこぶろぐhttp://powertac.blog.shinobi.jp/
*このほか、ブング・ジャム名義による著書として『筆箱採集帳 増補・新装版』(廣済堂出版)と、古川耕さんとの共著『この10年でいちばん重要な文房具はこれだ決定会議』(スモール出版)がある。
弊社よりKindle版電子書籍『ブング・ジャムの文具放談』シリーズを好評発売中。最新刊の『ブング・ジャムの文具放談6』も発売。
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