【連載】月刊ブング・ジャム Vol.19前編
本サイト編集長の文具王・高畑正幸さん、イロモノ文具コレクター・きだてたくさん、ブンボーグA・他故壁氏さんの3人による文具トークライブユニット「ブング・ジャム」が、気になる最新文房具を独自の視点から切り込んでいく「月刊ブング・ジャム」。Vol.19前編では、新タイプが相次いで登場しているスティック型はさみについてブング・ジャムのみなさんが熱く語っています。
プレミアムな切れ味を堪能!
――本日のテーマははさみですね。
【きだて】スティック型はさみ?
――そういうことです。立て続けに新製品が出てきましたからね。
【きだて】ブームが終わったのかと思いきや、今年パタパタと出たね。
【他故】ねえ、まだ来る感じだね。
【きだて】スティック型はさみって、道具としてほぼほぼ確立した感もあるじゃない。結構、筆箱に常備している人も増えてきて。
【他故】そうだよね。
【高畑】ある程度売れて、落ち着いてきたところで、そろそろリニューアルしないとという時期ではある。
【きだて】ラインナップ的にもそういうのが必要なタイミングなのかな。
【高畑】後から出てきたものの方が、きれいだったりスリムだったりするので、「ペンカット」とか「スティッキールはさみ」なんかは、その時期だったんじゃないかな。
【きだて】このジャンルの元祖「ペンカット」は何年に発売だっけ?
――2009年ですね。その翌年に「スティッキールはさみ」が出てますよ。
【高畑】今こうして比べてみると、初代の「ペンカット」なんかは、「やっぱりちょっと古いな」っていう感じになるよね。
【他故】なるね。
【高畑】「スティッキールはさみ」も、前のと比べると「大分シュッとしたな」と思うしね。スティッキールって800万本も売っているんだよね。800万本ってかなりの数だから、そこは金型も変えて新しく行きたいなと。ここはすでに定番テリトリーだから、細いはさみというジャンルの中で、ちゃんとした地位をとっておかないと、じょじょに下がっていって消えると痛い領域にはなっている。
【きだて】そこまでのパイには育っているというわけだね。
【高畑】各社はちゃんと自分のところのはさみを、そこの売り場の中で維持していくのが大事なアイテムになっている感じはするよな。
――とりあえず、「ペンカットプレミアム」から話をしましょう。
【高畑】前の「ペンカット」がなくなるわけじゃなくて、上位バージョンとしてプレミアムを出したんだよね。それで、普通の刃とフッ素加工のとチタンのと3種類あって、値段もちょっとずつ違うんだよね。
【他故】200円ずつぐらい違うんでしたっけ?
――確かそんな感じですよ。どれを選ぶか悩ましいですよね。
【他故】意外とそんなに差がなかったりするので(笑)。
【高畑】面白いのは、各種1つずつしか色がないんだよね。青いのが欲しかったら、フッ素加工を選ぶしかないんだよ。
【他故】俺がそうだったんだよ。「青軸きれいだな」と思ってフッ素加工のを買ったのよ。
――色的には青がよかったけど、「やっぱりチタンがいいかな」と思って、そっちを買いましたよ。
【きだて】そっちの方が見た目の高級感もあるしね。
【高畑】チタンの耐久性が要るのかといったら、そこまでの必要性がないのかもしれないけど(笑)、200円差ぐらいだったら、どうせ買うんだったら一番良いのでいいんじゃないっていう。
【他故】それは分かる。
――一生モノで使えるし。
【きだて】このくらいのサイズで、普通に紙を切るぐらいだったら、全然一生モノになり得るしね。
【高畑】でも、これ大分シュッとしましたよ。前のモデルに比べたら。
【きだて】初代は、いま見ると事務用品くさい野暮ったさもあるね。
【他故】ハンドルもよくなった。
【高畑】ただし、変更になったところとしては、初代のハンドルは右利きにも左利きにも対応するようになっていたんだけど…。
【きだて】両利き対応だったんだよね。
【高畑】それをやめて、右利き用のはさみのかたちになった。その代わり初代のは刃付けをしていなくても、エッジの部分で切れるから、右でも左でも使えたんだけど、それよりはちゃんと刃を付けた方がよく切れるから、今回のペンカットの方が全然切れます。
【きだて】切れ味はいいね。
【他故】むちゃくちゃ切れ味いいよ。
【高畑】それで、取り外しするパーツがなくなったので、それが紛失することはなくなったから。
【きだて】スティックはさみの中でも、最近少なくなってきたハンドル付きっていうことでさ。
【高畑】でも、最初からかなり異色だよね。
【きだて】これ以外だと、カミオジャパンが今年のISOTで展示してた新製品ぐらいしかないのかな。
――カミオジャパンのはさみは、もう発売されているんでしたっけ?
【きだて】まだこれから。11月か12月といってたかな?
【他故】これだけだよね、軟質樹脂でハンドルを作っているのは。
【きだて】やっぱりバネで開閉するタイプのはさみより、ハンドル式の方が着る時に力をいれやすいじゃない。切れ味が良くなったことで、コピー用紙1枚2枚レベルじゃない使い方もできるようになったし、ハンドルの価値がわりと出てきたな、と。
【高畑】まあ、そうなんだよね。こっちに関しては、ガチ切るはさみになってきたよ、ということなんだよね。
【他故】そうそう。
【きだて】また、初代から引き続き、ハンドルの部分まで刃が貫通しているし。
【高畑】そう、本体の後ろまで刃が入っているから丈夫だよっていう。
【きだて】それによって力も入れやすいし。大人が持ち歩くのには、これで全然満足できるんじゃないかな。
【他故】これ1本あれば、とりあえず一通りのことができるからね。
【きだて】俺はいま、携帯用はさみのメインをこれに切り替えるかどうか考え中。
【高畑】レイメイさんの、中心がずれているはさみがあるじゃん。
【きだて】ああ、「スウィングカット」ね。
【高畑】「スウィングカット」のカーブ刃を若干取り入れているんだよ。
【きだて】若干ふっくらしてるのね。
【高畑】あと、バネで開くはさみって、開くのをコントロールできないので、どうしても手の中で転がるような感じになるじゃない。
【他故】あるある。
【高畑】ってなるとコロンといっちゃうので、硬いものを切るのはそんなに得意じゃないのね。そうなると、ハンドルに指が入るタイプは、工作派のきだてさんなんかにはいいよね。
【きだて】現状で、ダンボールが切れるスティックはさみってこれぐらいだよね。
【高畑】スティックはさみでダンボールを切るというのが、あれなんだけどね(笑)。ただ、これ一丁持っていればあれこれ使えるぜ、というのはあるよね。道具としての部分は、この中で一番強いかな。
【きだて】もちろん、バネ式は軽快に切れるというメリットがあるので、普段使いであればそっちをおすすめできるんだけど。そう考えると、ペンカットはやや特殊ジャンルのスティックはさみなのかもしれない。
【高畑】だって、それでチタンコートまでしてるわけでしょ。
【きだて】まあね。
【高畑】携帯はさみとしては、かなりオーバースペック気味というか。
【きだて】そうだね。
【高畑】逆に、「これでできないものはあきらめろ」ぐらいの。「ちゃんと大きいはさみを使え」ってなるよね。
【他故】そうだね(笑)。
【きだて】携帯用でありつつ、普通に500円レベルのはさみと比較してまったく負けてないわけでさ。これ以上の性能を求めるなら、1000円以上のはさみを買えよってなっちゃう。
【他故】実際は、これも超えちゃってるんだけどね。
【きだて】まあね。チタンはそうだけどね。
【高畑】いわゆる、普通の事務用のはさみの代用であれば、コンパクトだけど同程度切れるので、そこは問題ないよというところだね。
――他故さんはペンカットよく使ってるんですか?
【他故】何だかんだで使いますよ。こう真っ直ぐな棒のものって、持ち運びしやすいじゃないですか。ペンケースに入れることもありますけど、カバンにペンを挿すループがあるじゃないですか。あそこに入れるというパターンが多いです。
――あ~、なるほど。
【他故】ここに入れているって憶えていれば、何かのときにそこから抜いてサッと使うわけです。まあ、一番多いのは糸のほつれとかそんなぐらいですが(笑)。でも、安心感はありますよ。これだけ大きくて取り回しがいいものが1本入っているのは。
【高畑】他のに比べると、これの重量感は結構あるよ。後ろまで刃が貫通しているし、またこの刃が厚いからさ。
【他故】そんなに分厚いものを切ることはないんだけどさ。
【きだて】ダンボール切るだろ?
【他故】いや、ダンボールは切らないだろ(笑)。
【きだて】何故?
【他故】何故じゃない(笑)。ダンボールを切るときは、自分の机の横にもうちょっと大きいはさみがあるので、これを出すことはないから。
【きだて】あ、そう。
【高畑】外出中にふいにね。
【他故】ふいに、「ダンボールを切らねばならぬ」と。辻斬りか(笑)。
――きだてさんは、カフェでダンボール切ったりするんですか?
【きだて】しますね。
(一同爆笑)
【きだて】下手すると、カッターマット広げたりしますから。
【他故】カフェで工作している人はなかなかいないよ。
【高畑】それはいかがなものかというのがちょとあるけど (笑)。
【きだて】この間も仕事で、カフェでノベルティの試作品サンプルを作っていたから。チョキチョキと。
【高畑】この辺のはさみのラインアップの中では、今の現状ではほぼこれだけだし、しっかり切れるので、この中では一番ガチで戦う気満々という感じではあるな。
【きだて】最初は、この軟質樹脂のハンドルで大丈夫かなと思ったんだけど、使っていると慣れるし、これで全然問題ないんだよね。
【他故】まあね。
【高畑】指を入れたときにひねるから、S字にフィットするんだよね、このハンドルが。
【きだて】そうそう。だから、普通に硬いハンドルより指が痛くならなかったりするんだよ。小さくて硬いハンドルのを使っていると、指が動かないからね。それよりは割に自由に切れるので。
【他故】むしろ、この方がいいっていうこともあるだろうしね。
【きだて】本当に硬いものを切るときは恐いけど、それだと刃が負けちゃったりするので。
【他故】そりゃもう、本当にいいはさみを使わないと。
【高畑】まあ、はさみは用途に合わせようというのはあるんだけど。その中でも、ヘビーなものをちゃんと切れるはさみだよ。どれ買ってもいいし。一番安いタイプのでも充分切れるし。
【きだて】全然いいんだけどね。
【高畑】あとは、見た目の好みもあるし。
【きだて】色的には、フッ素がすごく好きなんだけど。
【他故】黒とダークブルーの組み合わせで。
【高畑】きだてさんは一番パワーのあるやつを持っていたほうがいいよ。
【きだて】そうなんだよ。
――ダンボールを切るんだったら、チタンの方がいいんじゃないですか。
【きだて】あんまり変わらないと思うけどね。
【高畑】そんなには変わらないよ。気持ち程度のものだと思う。
【きだて】とにかく、外で不意にダンボールを切りたくなる人は、これを使おう。
【高畑】これ、ツボを押すのにちょうどいいよ。
【きだて】いいね、これ、良さそうね。(ツボを押しながら)あ~、この丸いキャップいいね。適度に重みもあり。
【高畑】これ、握りやすいんだよ。
【他故】確かにちょうどいい。
――新しい使い方だ(笑)。コンパクトとロング、あなたはどっち派?
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――次は「スティッキールはさみ」ですね。このロングと「ペンカットプレミアム」は、キャップが透明で見た目がちょっと似てますけどね(笑)。
【きだて】ちょっとややこしいね。
【高畑】もっと細くしたいよねというのがあったんだよ。ライバルにもっと細いのが出てきたから。それに、女子中高生にアンケートをとったときに、「プリントを切るときに多用してますよ」という回答が多かったので、長いはさみも作りましたよということで。
【きだて】バネ式でも、これだけハンドル長いと、手の中で安定するね。
【高畑】長い分持ちやすいのは確かだよ。それで、長いはさみはハンドルが開かないロックが付いてますよということだね。
【他故】それで、短い方はそのままぴょんと出てくるんだ。
【高畑】短い方はロックが付いていないんだけど、前のに比べると開く角度を制限しているので、大きく開かないんだよ。
【他故】ああ、そうか、そうか。
【高畑】実際に切るときに、そこまで広がる必要はないので。大きく開きすぎて、手からこぼれ落ちそうになるのを防止するために、ちょっと開きを制限している。
【他故】俺もそれ苦手なんだよ。大体3回に1回は落としちゃう。
【きだて】それは分かる。結構バネが利いているからね。
【高畑】それで、バネが利かないと、硬いものを切ったときに、今度は戻ってこなくなっちゃうからね。難しいよね。
【他故】そうだよね。
【高畑】それで、ロングの方はロックを付けました。
――確かに、刃渡りが長いから、ビョンと出てきたら恐い(笑)。
【他故】そりゃ、長い刃のやつがビョンと飛んじゃうとね。
【高畑】そういうところが分かりやすいところだよね。若干、先端を開いて刃をカーブさせてるんだよ。
【他故】うん。
【高畑】面白いと思うのは、スティック型のはさみはいろんなのが出ているけど、同じシリーズの中で、長い・短いのが選べるのはこれしかないよね。
【きだて】あ~、そういえばそうだ。他はサイズのバリエーションがないんだ。
【高畑】そう。だから、同じシリーズなのに、サイズ展開をしてきているのが面白いよなと思うんだけどね。それで、パッケージも「あなたはどっち派」って書いてあって。これはマーケティングでよく言われるところの、1個だけだと「買うか・買わないか」の選択を迫られるけど、2個あると「どっちを選ぶか」で買う前提になるじゃん。
【他故】そうか、什器はVの字みたいに2つに分かれてるんだよね。
【高畑】そう、右と左に分けて入れてる。
【他故】それだと確かに「俺はどっちが必要なんだろう」って見るよね。
【きだて】見るかな~?
【他故】見るよ。「長いのと短いのがあるんだ。俺が必要なのはどっちだろう」って考えるけどな。
【高畑】まあでも、選択肢が増えてきたというのもあるし、どっちも無難なかたちなんだよね。
――それこそ、糸のほつれとか、タグを切るぐらいなら短いのでもいいし。
【他故】短くて困った経験があれば、長いのを選べばいいし。
【高畑】重ねた紙を切る場合は、短い方が切りやすいです。で、長いはさみはダンボール切るのには向かないです(笑)。
【きだて】そりゃそうだよ。
【高畑】先端部分は力が入りにくいので。
【きだて】刃が逃げちゃうんだよね。
【高畑】あとね、スティッキールシリーズだけちょっと違うのは、カシメてあるところが外に出ているところなんだよね。他のスティックはさみは、本体の中にカシメが隠れているんだ。
【きだて】ああそうね、カシメがハンドルの中に入り込んでるんだ。
【高畑】要は、切っていったときに、交差部分があまりジャマにならないのが、これのいいところではあるんだよね。プラスチックの肉厚な部品で囲ってあると、奥まで切り進んだときにひっかかるので。だから、プリント切ったりするのにはいいよね。
【きだて】あと、刃の交点が見えている分、コントロールもしやすいんだわ。
【他故】お~、なるほど。
【きだて】そういうことで、確かに使いやすくはある。
【高畑】それで、できたかたちはストレートで素っ気ないんだけど、いずれはここにキャラクターをプリントしたりするんだろうね。ペンカットはしっかりしたつくりだけど、片側がふくれてるじゃん。スティッキールはほぼ真っ直ぐなので、ペンケースに入れたりするのにはいいかな。
【他故】うん。
【高畑】立つペンケースに入れるんだったら、ロングのこの長さだったら、ボールペンとほぼ同じ長さなので、逆に短くしない方が取り出しやすくていい。
【きだて】ペンケースの中に沈まないよね。
【他故】そうだよね。短いと沈んじゃって取れないから。
【高畑】学生さんで、授業でプリントを切りますだったら長いのでいいと思うけど、俺らみたいに大人で、ペンケースに雑多なものが入っているんだったら短いのでもいいかなという感じはする。
【他故】うむ。
【高畑】まあでも、選択できる時代がきたというのはいいことだよ。
【他故】そうだね。
【高畑】シンプルでいいよね。白と黒のほかにピンクと紫があるんだけど、一番売れているのは紫だそうです。
【他故】へぇ~。
――紫は、どんなものでも必ずといっていいほど売れ筋に入りますよね。
【高畑】でも、ひと昔前だったら、紫が売れるなんて思いもしなかったよね。
【きだて】イメージにない色だよね。
――新入学の筆箱でも紫は人気ですよ。
【他故】あっ、そうなんですか。
【きだて】ランドセルも紫が売れるっていうよ。
【他故】それは、男女拘わらないってこと?
――多分、女子だと思いますけど。高貴な色だからかな?
【高畑】そんなこと考えずに、直感で選んでいると思うけど。
【きだて】でもね、小さい男の子の中でも、紫色ってグレードの高い色ってとらえがちなんだよね。
【他故】そんなのがあるんだ。
【きだて】何かね、強いアイテムの色っぽい。
【高畑】それは、カードゲームとか何かかな。
【きだて】そういうイメージがあるんじゃないかな。
――スティッキールは、ロングが透明キャップだけど、コンパクトは不透明で。
【高畑】見た目で差を付けているんだね。あと、透明キャップで「はさみだ」というのを見せたかったみたいだけど。つながる「BLOX」にスティック型はさみが登場!
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【高畑】そして、「アートラインBLOX」のスティック型はさみ。きたよ~。
【きだて】はい、イロモノ。
【他故】イロモノなのか(笑)。
【きだて】イロモノでしょうよ。そもそもBLOXのシリーズ自体がイロモノじゃないですか。
【高畑】BLOXのシリーズって、最初に出たときに「カラーペンがまとめられますよ」っていうとこだったじゃん。これ、気がついたらすごい増えてない?
【きだて】マーカーが相当あって、ボールペンがあって、シャープペンがあって、消しゴムも出てるし、暗記ペンもある。
【他故】結構あるわ。
【きだて】それで、今回のはさみでしょう。スティックのりはなかったかな(笑)。
【他故】次は絶対ハンコを入れてくるでしょ。
【きだて】あ~、ついに満を持してね。
【高畑】でも、出てくる可能性はあるよね。
【他故】ねえ。
【高畑】BLOXシリーズがここまで広がると思ってなかったから。
【きだて】ちょっとね。
【高畑】はさみまで作ってきたら、相当本気じゃん。これって、文具セットを作ろうとしているわけでしょ。
【きだて】明らかに、ひとまとめの筆箱を作ろうという気でしょ。
【他故】「ペンケース要らず」って言っているやつが、本当に文具も含めてペンケース要らずになってきた。
【高畑】だからこれはもう、きだてさん案件だよね。
――きだてさん案件(笑)。
【きだて】印鑑出る、スティックのり出る。あと何だろうな、定規が欲しいかな。
【他故】油性マーカーはあるんだっけ?
【高畑】一応、名前ペンがあるよ。
【きだて】ホワイトボードマーカーだって出せるよ。シヤチハタの商品あるから。
【高畑】これ、6本から増やせないから、今度は6本同士を連結させる何かがあってさ。
【きだて】これ、縦に繋げられればさ。
【他故】え~、長くするのかよ。
――それ、縦に繋げられません? そのキャップとお尻のところを。
【きだて】あれ、はめられたっけ? (スティック型はさみを縦にはめながら)ああ、いけた。そうだわ。
【他故】そこにはさみをはめたら、それは完全に武器だ(笑)。
【高畑】また新たな武術みたいな感じで。
【きだて】言っちゃ悪いけど、BLOXってそんなにメジャーなアイテムじゃないじゃない? でも、ノベルティとしてどうですかって企業に紹介すると、反応いいんだわ。
【他故】ほ~。どこに名入れするの? ああ、キャップのところか。
【高畑】この面白さって、「チームデミ」が出たときに物珍しさで売れたのと割と近いよね。
【きだて】これって、キーワードとして「絆」とか「つながる」とか、そういうのにマッチするんだ。
【他故】団結とかね。
――そっちか~。
【きだて】そういう勧め方をすると、物珍しさもあってノベルティに採用されるんだよ。
【高畑】はぁ~、そういう言い方をするのね。なるほど。
【他故】確かに、この中に1本はさみがあったらいいよね。
【きだて】筆箱感が高まるというか。
【他故】そうそう。
【きだて】筆記具だけだと、ペンをまとめただけになるけど、筆記具以外のものが入ることによって、格段に筆箱感が高まる。
【他故】カッターかはさみのどちらかが欲しいと思う瞬間があるから。
【きだて】カッターよりもはさみの方が、一般的に使い勝手がいいわけじゃん。それを考えると、なかなかいいラインナップになったなと。
【他故】そうだね。
【高畑】何種類になったんだろう。色違いも含めたら、すごい数なんじゃないかな。
【きだて】30以上はあるでしょう。サインペンだけで十何色もあるでしょ。
――水性サインペンは18色ですって。
【きだて】18色!!
【他故】サインペンだけでそんなにあるんですか。
――今回のはさみも含めて52種類ですね(*詳細はこちら)。
【高畑】そうなると、6本を決めるのも大変だよね。きだてさん、これ全部揃えないとダメじゃないですか。
【きだて】追い切れないよ~。
【高畑】機能は全部あった方がいいんじゃない。
【他故】そうだよ。色は別としてね。
【きだて】とりあえず、6の倍数になるように買うか。
【高畑】6の倍数になったときに、さっきみたいに縦につなげられるけど、6&6を横連結したくなるよね。
――全面をブロックにして(笑)。
【高畑】あ~、そうなると「BLOX」のロゴは入れられなくなるけどね。
――その辺りは連結優先で。
【高畑】でも、刀の柄みたいな感じで握りやすいよね。
【他故】よくできているよ。
【きだて】ライトセーバーの柄みたいで。
【他故】握りたくなる太さという感じで。
【きだて】しかし、1本ずつにバラして見るとタコの足っぽいな(笑)。
【他故】吸盤だね。
【高畑】みんな言うよね。
――これがね、手のツボを刺激するんですよ。
【きだて】さっきからそんな話ばっかりだな(笑)。
(一同爆笑)
【高畑】本当に、みんなツボ押しばっかりだ。
【他故】絶対に必要な機能になってきましたね。
【高畑】正直、BLOXの最初の商品が出たときに、こんなに広がるとは思ってなかったので。
【きだて】予想外でしたね。
【他故】全然考えてなかったね。
【高畑】予想外に広がってきたので、そこはすごいなと。
【きだて】よくぞ継続してくれているという感じがするんだけど。
【他故】これって、日本の中のものなの? それとも元々海外にあったものなの?
【高畑】日本企画でしょ。
【きだて】日本国内だろ。
【他故】日本国内の企画なの?
【きだて】さっきからBLOXの話をしていて、BLOXはさみの話を全然していないんだけど(笑)。
【高畑】でも、このはさみに関しては、BLOXシリーズのアイテムであることが最大のウリだよね。
【他故】まあ、そうだね。
――切れ味的にどうなんですかね?
【高畑】普通にいいよ。
【きだて】「普通」というのは、充分に切れますという話だからね。今どき切れないはさみなんてないよ。
【他故】「ダメだ」っていうのはないね。
【高畑】まあ、真っ直ぐ切り進もうとする場合は、「スティッキールはさみ」の方がやりやすいけど、これはどちらかというと、ちょい切り。ヒモ切ったりとか、袋を開けたりとか、そういうちょっと切るのには向いているけど、パッと出してサッと使う感じだね。
――これでダンボールを切ったりはしないですよね(笑)。
【きだて】それはさすがにしない。
【他故】切れないと思います。
【きだて】バネ式はさみの特長である、使い始めと使い終わりの軽快さっていうのがちょっとなくて。これ、ロックするのに両手が要るんだよね。
【他故】ああ、そうか。
【きだて】片手ではロックできないんだよ。
【高畑】はめづらいね。
【他故】相当うまくやらないと。
【きだて】例えば「スティッキールはさみ」のロングはキャップをはめるだけでロックがかかるとか工夫があるんだけど。その辺はBLOXというシステムの面白さと相殺なのかな。
【高畑】このデザインが、BLOXに収めるために、いろんな部分を調整しているじゃない。そこはやはり、BLOXとして持てるというのが最大のウリなんだろうな。
【きだて】そうだね。
【高畑】でも、指掛けは結構広くて。面になっているからさ。
【きだて】安定はするね。
【高畑】そう!
【きだて】滑り止めもいっぱいあるし(笑)。
【高畑】そうそう、本当に滑らないよね。方式的には「ツィッギー」に近いけど、ボディの持ちやすさというところでいくと、しっかり持てるっちゃ持てるよね。
【きだて】安定度からいえば、これまでのバネ式の中では一番だよ。
【他故】それだと、手の中で踊って「ひゃー」ってならないよ。
――ツルンとしないですよね。
【高畑】この三角というかたちが、持ったときに曲がっている部分がちょうど指にはまってさ。親指以外の指でホールドする部分がめちゃくちゃ持ちやすいよ。
【きだて】進行方向に親指を向けて持つんだけどさ、そうやって持ったときの安定感は本当にピカイチだな(笑)。
【高畑】そうだね。
【きだて】このボタンの部分が、指を乗せやすくなっているし。
【高畑】人差し指から小指までの指で、ちょうど指が曲がったところに、この三角の角のところがきているし。
【きだて】手の中で転がる感じは一切ないし。
【他故】これは、子どもが使うことを考えて、このデザインにしているのかな。
【きだて】どうなのかね?
【他故】元もこのペンがどうなの? っていうのもあるじゃない、
【高畑】それはよく分からないけど、持ちやすさはピカイチだね。
【きだて】意外なメリット(笑)。
――学生が買うんじゃないですか。このシリーズのシャープペンがよく売れると聞きましたよ。
【きだて】え~、じゃあ学生向けか。学生が面白がって買うのか。
【他故】本当に必要なものだけで固めてね。
【高畑】6本で持っているのか、どうやって組み合わせて使っているのか聞いてみたいね。
【他故】結局、バラバラで持ってたりするのかな。
――バラで持っていると、あまり面白味がないですよね。
【高畑】最低2本以上買わないと、これを持つ意味がないよね。
【きだて】2本じゃなくて6本だよ。2本だとすぐバラけちゃう。6本で組み合わせないと安定しないの。
――やっぱり、6は必須なんですね。
【きだて】6の倍数は必須です。
【高畑】6本でちょうどいい感じになってたのに、そこにはさみが出てきて「欲しいな」と思ったときに、あと5本余分に買わないといけないんだね。
【他故】はさみが出ちゃったけど、どれかなくすのは困るという(笑)。
――別に、組み替えて使えばいいじゃない。
【他故】「このメインの6本が」っていう(笑)。
――ああそうか。ようやく決めたのに出てきちゃって(笑)。
【高畑】そういう意味では、1軍決めみたいなところで、戦力外とされたら嫌だよね。
【他故】しょうがないから、2軍のためにもう5本買うかみたいな(笑)。
【きだて】そうなると、邪魔なだけじゃん(笑)。
【高畑】あとは、これも手遊び系だよね。ずっと手でいじってるよね。
【他故】確かに、書かないときもずっと握って色々とやっていたいよね。でも、はさみを含めてラインナップを組みたくなるよね。
【高畑】はさみを入れたくなるよね。
【きだて】改めて買おう。
【高畑】きだてさん的6本みたいなのを。
【他故】ああそうだね、みんなの6本を見るのも面白そうだよね。
【きだて】そうだよね。
――いいんじゃないでしょうか。プロフィール
きだて たく
小学生の時に「学校に持っていっても怒られないおもちゃ」を求めて、遊べる文房具・珍妙なギミックの付いた文房具に行き当たる。以降、とにかく馬鹿馬鹿しいモノばかり探し続けているうちに集まった文房具を「色物文具=イロブン」と称してサイトで公開。世界一のイロブンコレクターとして文房具のダメさ加減をも愛する楽しみ方を布教している。著書に『イロブン 色物文具マニアックス』(ロコモーションパブリッシング)、『愛しの駄文具』(飛鳥新社)など。東京・京橋の文具店・モリイチの文具コラムサイト「森市文具概論」の編集長も務める。
色物文具専門サイト【イロブン】http://www.irobun.com/
【森市文具概論】http://shop.moriichi.net/blog/
他故 壁氏(たこ かべうじ)
文房具トークユニット〈ブング・ジャム〉のツッコミ担当。文房具マニアではあるが蒐集家ではないので、博物館を作るほどの文房具は持ち合わせていない。好きなジャンルは筆記具全般、5×3カードとA5サイズノート。二児の父親。使わない文房具を子供たちに譲るのが得意。「森市文具概論」で「ブンボーグ・メモリーズ’80s」を連載中。
たこぶろぐhttp://powertac.blog.shinobi.jp/
*このほか、ブング・ジャム名義による著書に『筆箱採集帳 増補・新装版』(廣済堂出版)があるほか、古川耕さんとの共著『この10年でいちばん重要な文房具はこれだ決定会議』(スモール出版)も2018年3月2日に発売。
弊社よりKindle版電子書籍『ブング・ジャムの文具放談』シリーズを好評発売中。最新刊の『ブング・ジャムの文具放談5』も発売された。
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