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【特別企画】"文具王×文房具王になり損ねた女" 有隣堂・岡﨑弘子さんに高畑編集長がインタビュー

文具のとびら編集部

有隣堂のYouTubeチャンネル「有隣堂しか知らない世界」に出演し、毎回文房具の深い知識を披露している同社バイヤーの岡﨑弘子さん。横浜・桜木町の「STORY STORY YOKOHAMA」(コレットマーレ5F)店内には、岡﨑さんがプロデュースした「岡﨑百貨店」もオープンしており、岡﨑ファンの聖地となっている。

そんな岡﨑さんは、かつてテレビ東京系 TV チャンピオンの「文房具選手権」に出場し、本サイト高畑正幸編集長と決勝戦で対決した。その時は、惜しくも準優勝に終わり、文具王が連覇を果たしたのだが、今回約20年ぶりに二人の共演が実現。TVチャンピオン出演時の思い出話から、岡﨑さんが出演する「有隣堂しか知らない世界」、さらには岡﨑さんが最近購入した文房具や注目する文具トレンドまで、高畑編集長が様々な角度から岡﨑さんにインタビューした。

*このインタビューの模様は高畑編集長が動画でも配信しています。動画はこちら

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文具王の動画解説#611「文房具王になり損ねた女」岡﨑弘子さんにインタビュー!
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あの時を思い出してドキドキしちゃいます(笑)

【高畑】今日は有隣堂の撮影スタジオの方にお邪魔しております。「有隣堂しか知らない世界」で大人気の、“文房具王になり損ねた女”こと岡﨑弘子さんに、懐かしい話から今の話まで色々と聞いていきたいなと思っています。ということでご無沙汰しております。

【岡﨑】こちらこそ。お誕生日おめでとうございます。

【高畑】そうなんですよ。たまたまそのタイミングで取材にきているんですが(笑)。同じ業界にいるので、展示会だったりとかでたまにはお会いしてお話はしてますけれども、ただまあこうやって改まってですね、このスタジオに来るというのもなかなかないですが。しかしすごいですね、ここで収録してるんですね。

【岡﨑】そうなんですよ。

【高畑】視聴者の方から見えてるところは本棚になっていて、まるで書店のど真ん中で撮ってるみたいに見えるけど、映ってないところはこんな感じなんだ。すごいよ、機材がいっぱい並んでいて。
ということで、大分ブレイクしましたね。

【岡﨑】ありがとうございます。ご視聴いただいている皆様のおかげで。

【高畑】僕もYouTubeをやってるものの端くれとして色々と頑張ってるわけですけれども、何か気がついたらいつの間にやら大人気で。まあ、「TVチャンピオン」以来、一緒に何か出ることがまずなかったですからね。なので、久方ぶりで私の方が緊張してます(笑)。

【岡﨑】私も緊張してます。高畑さんの隣にいると、あの時を思い出してドキドキしちゃいます(笑)。

【高畑】あれは過酷でしたね。あれはいつだっけかな?  2回目の放送の時ですよね。だから、2001年だと思うんですけど、なのでもう20年以上も前の話ですね。

【岡﨑】そんなに前ですか、すごいですね。

【高畑】90分の番組で丸1週間ぐらい撮影してるんですものね。大変でしたね。

【岡﨑】大変でしたよ。私はあの後体調を崩してしまったので、精神的にもちょっと過酷でしたね。

【高畑】割とガチで戦ってたので、なかなか大変だったわけですけれども。でも、「TVチャンピオン」が終わった後は、出てた人たち同士はまあまあ仲良くやってましたね。たまにお会いして、話ができたのよかったなと思うんですけど。有隣堂さんにも、おかげさまで僕が作った同人誌を販売してもらったり、実演をさせていただいたりして、非常にありがたくやらせていただいています。

【岡﨑】こちらこそ、ありがとうございます。

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【高畑】今は事業開発部商品開発・店舗・プロモーション課ということで、いつもバイヤーという肩書きで番組に出てますけど、具体的にはどんな仕事されてるんですか?

【岡﨑】やっていることは、商品を探してきたり、開発したりしています。

【高畑】開発っていうのは、オリジナル商品も開発してるんですか?

【岡﨑】そうですね。チームの中でオリジナル商品も開発しています。

【高畑】「TVチャンピオン」に出てた当時と、今やってることって違うんですか?

【岡﨑】その時は店舗にいました。お店の販売員ですね。

【高畑】その後にいろんなことがあって、マーケティングとかバイヤーをやられるようになったんですね。

【岡﨑】ただ、店舗も長いですよ。販売員として20年以上は店舗にいたんじゃないかと思います。

【高畑】「TVチャンピオン」に出る大分前から、お店に出ていたわけですね。

【岡﨑】伊勢佐木町本店で16年間働きましたから、一番長いです。あとは、横浜駅西口店に行ったり、戸塚モディ店に行って、その後また西口店に戻って。だから、西口店も長かったですね。9年間ぐらいいたので。

【高畑】じゃあ、現場がすごく長かったんですね。

【岡﨑】そうですね。

【高畑】ずっと文具ですか?  有隣堂さんというと本もいっぱいありますからね。

【岡﨑】そうですね。担当は文具です。

【高畑】そもそも、「TVチャンピオン」に何で出たんですか?  何きっかけですか?

【岡﨑】その当時の本店の店長に「勝ったら賞金もらえるのがあるんだけど、どう?」っていう感じで言われて(笑)。「応募してみない?」ってその当時の広報の人にも言われたんです。

【高畑】他にも店員さんいっぱいいるのに、何で岡﨑さんが声をかけられたんですかね。みんなに言ってたんですか?

【岡﨑】みんなに言ってたかどうかは覚えてないんですが、私だけだったんじゃないかな。何で私に言ったのかはちょっと分からないですけど。

【高畑】その時から他のところにも色々出てたわけではなくて?

【岡﨑】全くないです。それで、面白そうだなと思って「いいですよ」と気軽に返事してしまったんですよ。「予選通過すればいいよ」みたいな感じで。

【高畑】いきなり本選じゃなかったでしたっけ?

【岡﨑】そこがダマされた感があって(笑)。

【高畑】最初から5人ぐらいでしたよね。その絞られてた中の1人だったので。

【岡﨑】しかも私、女性で一人だったんです。残念ながら、女性で応募した人が他にいなかったみたいですね。それで、急に不安になっちゃったんですよ。家族にも「何でそんなのに出なくてはいけないの?」みたいに言われて。本店に長くいて、文具のことを詳しいと思われていたから出ることになったと思うんですけど、そんなに詳しいかといったらどうかと思うので(苦笑)。だから、私にとって高畑さんは別格なわけですよ。

【高畑】いえいえ。

【岡﨑】とにかく、出ることになって驚きました。

【高畑】でもね、割と文具業界の中から出てきてた人がいらっしゃったんですけど、その中ではどっちかっていうと自信満々に見えましたからね。

【岡﨑】いえ、自信満々では全くなくて、勢いでやるしかなかったので、何を訊かれても躊躇ないみたいな(笑)。

【高畑】そうそう。押すときに躊躇がない。文具をある場所に取りに行って回答するみたいな時に、文具を取りに行く時のスピード感が半端なくて。動きが一番早かった気がします(笑)。

【岡﨑】怖いもの知らずというか。

【高畑】最初の1問目なんか、「どうしたらいいんだろう?」みたいになってて、問題を言われても、みんな動きが一瞬遅れるんですよ。そんな時に一番に動いてたのが岡﨑さんだというイメージがあったので、「うわ強ぇ」って思ったのはありました。

【岡﨑】そんなことはないですけど(苦笑)。

【高畑】でも、「TVチャンピオン」に出て何か変わりました?

【岡﨑】変わりました。

【高畑】今よりもずっと、テレビってすごいもんでしたよね。

【岡﨑】すごいもんでしたよ。売り場に来て、「『TVチャンピオン』残念でしたね」と言ってくれたり、「見ました」と声かけてくれる人もいたりとか。特に、小さい子から言われたんですよ。それがめちゃくちゃ嬉しくて、やってよかったなと。

【高畑】仕事は変わりました?

【岡﨑】それに出たことで「文具を知ってるのかな」みたいに思われたりするようになりました。仕事は文具の担当だったので、生かされていると思います。

【高畑】僕は、あの時になんとか負けずに、それからずっとこの王冠をかぶってやってるので(笑)。そこから僕は全然変わってないです。ずっとそれをやっているだけなんで。

「有隣堂しか知らない世界」出演で大きな反響

【高畑】そして、そこから有隣堂しか知らない世界っていうのをYouTubeで有隣堂さんが立ち上げて。それが大きく変わり始めたところがあるじゃないですか。最初は割と本の説明みたいな地味な感じだったんですが、突然なんか変わってきた。あの時に、誰に出てもらうかっていうのは当然あるわけですよね。有隣堂で文房具とか雑貨とかを紹介している方は何人かいますけど、この中で岡﨑さんは、もう「岡﨑さん」っていうキャラクターがちゃんとできてるじゃないですか。それは最初からなんですか?

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「有隣堂しか知らない世界」に出演して文房具を紹介する岡﨑さん


【岡﨑】どうですかね? ちょっと浮いているというか、社会に適合しないというか(笑)。うちの会社は、文具に詳しい者がたくさんいるんですよ。だけど最初は、多分なんですけど、面白さというか、ちょっといつもと違うかたちなので、上司から「自分の好きな文具をちょっと持ってきて」と。

【高畑】「TVチャンピオン」の時と全く同じゃないですか。

【岡﨑】そうなんですよ。

【高畑】他ならぬ岡﨑さんに声をかけたというのは、やっぱり何かしらの才能というか、何かしらの特徴というかを感じるんでしょうね。いろんなコンテンツありますけども、中でもやっぱり文具は人気じゃないですか。なので、岡﨑さんに負うところが大きいと思うんですけど、少なくとも2回も「ちょっとちょっと」って言った人がいるわけじゃないですか。

【岡﨑】その人のおかげだと思ってます。

【高畑】同じ人ですか?

【岡﨑】違う人です。

【高畑】その辺は、普段の仕事ぶりを見てて、「この人が出たらいいんじゃないのか」って思ったんでしょうね。
それでどうですか? 「有隣堂しか知らない世界」の岡﨑さんになってから、またちょっと変わった部分ってありませんか。

【岡﨑】地方とかいろんなところからイベントに来ていただいて、「YouTube応援してます」とか「握手してください」「一緒に写真撮ってください」と言ってくださる方がいて、それがちょっと今までにないことでびっくりしてます。

【高畑】「TVチャンピオン」の時とはまた全然違う感じですかね?

【岡﨑】全然違いますね。テレビの方が影響力あるのかなと思ってたんですけど、YouTubeはジワジワくる感じで。

【高畑】なるほど。イベントっていうと、文具女子博とかそういう系のイベントで、有隣堂のコーナーで「岡﨑さんが来るよ」っていうのが時々ありますけど。

【岡﨑】YouTube始めた頃は、イベントで一生懸命「YouTubeやってます」と言ってたんですけど、それから半年ぐらい経ってから見てくださる人が飛躍的に増えて、告知しなくてもイベントでブースに来ていただくようになったので、びっくりしてました。

【高畑】やっぱり影響力は大きいですね。チャンネル登録者数はもう今は何万人ですか? 20万人は軽く超えてますよね。

(有隣堂広報)24万人ぐらいです。

【高畑】すごいじゃないですか。僕はね、もうちょっとで3万人なんですよ(笑)。それで、文具王でエゴサしてると、「文具王になり損ねた女」っていうのが出てくるんですよ(笑)。それで「文具王と一緒になんかやったらいいのに」とか言われますけどね。気がつくとね、人生何が起こるか分からないなっていう。僕もYouTubeやるとは思ってなかったですけど、やり始めてみたところに、思わぬところから岡﨑さんが出てきたので、僕的には正直悔しいです(笑)。

【岡﨑】そんなことはないですよ(笑)。

【高畑】いやいや。でも、こうやってまた再会できるというのは、本当にありがたいなと思います。

【岡﨑】本当にありがたいです。

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「岡﨑百貨店」に行ってきました!

【高畑】「岡さん」っていうのが、有隣堂ファンの方からもかなり認知されてるじゃないですか。それで、今日ちょっと見てきましたよ、岡百貨店を。

1.jpg岡﨑百貨店」の店内(2022年8月撮影)

【岡﨑】この暑い中、ありがとうございます。

【高畑】横浜の桜木町駅からすぐのコレットマーレというビルの5階にSTORY STORY YOKOHAMAというお店があって、その中の一画に岡﨑百貨店があるわけですね。

【岡﨑】「範囲が分からない」って、いつもお客様に言われるんですよ。「どこからどこまでが岡﨑百貨店なんですか?」って言われるんですが、特に線を引いているわけではないので(笑)。

【高畑】「岡﨑百貨店」っていう看板が立ってるのかと思ってたんですけども、割となんかこう「この辺ですよ」っていう感じで。

【岡﨑】フワッとした感じで(笑)。

【高畑】そこの部分だけ、個性的な商品が多いというか。他にも一般的な書籍とか雑貨のコーナーもあるんだけれども、その一画だけは岡﨑さんが商品セレクトをしているんですね。

【岡﨑】そこは「自分が好きなものを置いていいよ」って許されたところなんです。なので、私は嬉しくて、ブランドイメージを上げるために、もっとお客さんが楽しんでもらえるものを置きたいと思っています。

【高畑】行ってみたんですけど、やっぱりそこのところだけは一般的な品揃えとは全然違った感じで、まあ自分の置きたいものを置いているわけですね。いつもは普通にお店の担当をやってるわけじゃないですか。お店の商品選びと、岡﨑百貨店ってなんか違いとかあるんですか? 例えば、お店のバイヤーとして、他の一般的な有隣堂の他の文房具売り場に入れる、入れないって考えるのと、岡﨑百貨店に入れるっていうのは違うんですか?

【岡﨑】そうですね。岡﨑百貨店は「そこだけ置かしてください」っていうところから始めるので、店主のようなものじゃないですかね。作家さんのものが多いので、作家さんに連絡するときに、ちょっとYouTubeを使わせてもらって「こういうところに出ているんだけど、どうか作っていただけないでしょうか」とか「ここに置かせていただけないか」とか、YouTubeを徹底的に宣伝に使って、それで作家さんに見ていただいて、「面白いですね。そこだったら置いてみようかな」ということになりがちです。そういうところで差別化があるかなと思います。

【高畑】なるほど。個別にお願いしてるわけですね。それこそ、最近人気の木軸シャープの工房楔さんとかが入ってたりとかしてるし。それで、今日色々と買ってきたんですけど。

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【高畑】「岡﨑さんが選んだものが置いてあります」というので見てたら、靴の中に入れるとツボを刺激されてすごく楽になるっていうソールが売ってたんですけど。この商品のPOPのところに、「岡﨑さんも仕事でこれを入れて履いている」と絶賛してるので、僕も立ち仕事多いですから、その時に履こうと思って買ってきたんですよ。そうしたら、さっき僕の誕生日プレゼントで1個いただいて、今2セット手元にきたので、これはもうバリバリ使いますよ。僕も、展示会とか、あと店頭でとか、1日中立ってることが多いので。結構疲れますよね。

【岡﨑】疲れるんですよ。展示会回ったりしたときに足がつったりしてたんですが、これを使ってからそういうことがなくなって。腰が痛いのも大分楽になって、すごくいいんですよ。

【高畑】「リゲッタ ルーペインソール」という商品ですけど、試し履き用のやつが置いてあって、靴に入れてみたらなんかよさそうだったんですね。

【岡﨑】ツボが押されるというか、歩きやすさがあって。どの靴にも合いますので。

【高畑】「文具じゃないじゃん」という話なんですが(笑)、文具店じゃなくて百貨店なのでいいんですね。

【岡﨑】そうですね、何でもありです。

【高畑】さっき言われていた作家さんのもので、紙の作家さんの商品ぽいものがあったので、「レタープレスボックス」っていうメモとカードなんですけども、買ってきました。 これはどういうものなんですか?

4.jpgLETTER PRESS BOX(レタープレスボックス)メモとメッセージカード(各税込1,100円)
*価格はすべて岡﨑百貨店での販売価格です

【岡﨑】私も後で紹介しようと思ってたんですが、裁断して余った紙を使っていて、全部違う紙なんですよ。

【高畑】これは印刷屋さんのですか? 本来ならば捨ててしまうような紙を活版で印刷して。こっちは、角がちょっと取れているカードで、こっちがメモ帳。要は、これはリサイクル商品というか。

【岡﨑】そうですね。お買い得なんですよ。

【高畑】こんなにいっぱい入っていてお買い得なんですけど、いろんな種類の紙が入っていて、1,100円で売ってたんですよ。

【岡﨑】これはすごくおすすめです。

【高畑】メモを取るときって、割と情報カードとかも使うんですけど。

【岡﨑】いいですよね。

【高畑】しかも、この箱がめっちゃ素敵なんですよね。活版でちゃんと凸凹になっていて、すごいいい感じの紙箱で。これは山添という会社が作ってますが、大手メーカーじゃないものが多いんですね。
あとはですね。せっかくなので、有隣堂オリジナルのものをと思ってですね、インクを買ってきました。これは横浜をテーマにしたやつで、4つあるのかな?

【岡﨑】そうです。海と風と空と港です。

【高畑】「横浜で有隣堂といえば港でしょ」ということで、とりあえず今回は名前買いしましたけど、「港」のインクです。ブルーブラックというか、深いブルーですけど、買ってきました。

5.jpg有隣堂オリジナル 「ヨコハマインク 港/ベイブルー」(税込2,200円)

【岡﨑】その色を選んでくれたのが嬉しいですね。岡崎百貨店に4色並べてるんですけど、YouTubeで紹介された時にブッコローが「良い」と言った「海」が結構売れています。「港」は、ビジネスユースでこれがあると便利なので、一番最初にお買い上げいただくのに「こういうのがあると便利ですよ」というかたちで販売しています。

【高畑】そうですね、ちょっと藍色っぽい深い青なので、全然普段使いできるかなと思います。

【岡﨑】ちょっと明るい色だと、ビジネスユースではないので。

【高畑】人に渡すのに、全然問題ないような色なので。このインクの色なんかも選んだりしたんですか?

【岡﨑】それは関わらせていただきました。みんなで選んだんですけど。

【高畑】このインク作り会議にも参加してるんですね。
それで気になったのが、「これ好きなんだ」と思ったのが鉛筆なんですよ。鉛筆のコーナーがちょっとおかしいんですよ。

6.jpg(上)「コスってコスって占い鉛筆」(1本税込55円)、(下左)「ヌンチャク型鉛筆」(同77円)、(下右)「ノースモーキング鉛筆」と「ダイナマイト鉛筆」(各同55円)

【岡﨑】鉛筆はめっちゃ好きです(笑)。

【高畑】今日の運勢が載っている鉛筆があるんですけど、何カ所か運勢を見るところがあって、そのどれかを指でこすると、中から大吉とか中吉とかが出てくるっていう、液晶タイプの鉛筆で。

【岡﨑】めちゃくちゃ好きなんですよ。

【高畑】こんな鉛筆があるの知らなかったんですけど。あとこれが、短い鉛筆3部作ですね。タバコのかたちの鉛筆、同じ短く半分に切った鉛筆でダイナマイトっていう。これはひどいですね(笑)。

【岡﨑】これはもう大好きなんですけど、ちょっとヒモが出ているだけでダイナマイトで(笑)。

【高畑】ここにダイナマイトって書いてあって、紙紐みたいなのが出てて。あと、短い鉛筆を2本つなぎ合わせてヌンチャクっていう(笑)。横に「クンフー」て書いてあるんですけど、「ヌンチャク鉛筆」ということですね。作家ものっぽいものを売ってるお店と、こういう鉛筆を売ってるお店って、普通は違うじゃないですか。それが混在してるところが、多分岡﨑セレクトになるんですよね。

【岡﨑】そうですね。

【高畑】本も買いましたよ。『老舗書店有隣堂が作る企業YouTubeの世界』。表紙になってるこのお姉さんは、間違いなく岡崎さんだというのが分かるようになってます。この本は、チャンネル登録者数20万人に至るまでの紆余曲折について書かれたものですね。

老舗書店有隣堂が作る企業YouTubeの世界 ~「チャンネル登録」すら知らなかった社員が登録者数20万人に育てるまで~』(四六版・232ページ、税込1,650円)


【岡﨑】ビジネス書ですね。

【高畑】これを読んだからといって僕のYouTubeが20万人になるかどうかは分からないですけども(笑)、色んな人のストーリーが語られているのでいいなと思います。後で岡﨑さんにサインをもらおうと思って買ってきました(笑)。

【岡﨑】ふふふ(笑)。

【高畑】お店でずっと働いていて、多分自分に任された売り場もあったと思うんですよ。でも、自分の名前で任されるのはちょっと違いますか?

【岡﨑】そうですね、お客様にそこを目的化してもらっているので。

【高畑】岡﨑さん目当てに、わざわざ来るお客がいるんですね。

【岡﨑】そういうプレッシャーもありますね。お店に来たら新しい発見があって、本当に薦めたいものが置いてあって、 お客様が「あっこれ!」となってくれたらちょっと嬉しいなと思っていて。私もそうですが、「この地方に行ったら、ここに行きたいな」というのがあるじゃないですか。

【高畑】そうですね。

【岡﨑】来てくださる方に、ちゃんとしたものを紹介したいなと思っています。

【高畑】有隣堂はほかにもお店があるんですけれども、このおは店ちょっと独特なので、立ち寄られる機会があればぜひ。すぐ隣にカフェがあって、びっくりしたんですけど、「紙工作カフェ」と書いてあって、何のこっちゃと思ってたら、カフェのテーブルの上にはさみと糊とテープとかが置いてある。工作キットを売ってて、そこで工作もできるんですね。

【岡﨑】誰でも紙工作ができると思うんですけど、STORY STORY YOKOHAMAの店長がやっています。

【高畑】そうなんですね。机の上にカップに入った文房具がいっぱい置いてあったので。それを楽しめるっていうのも、ちょっと面白いですね。それこそ時間潰しもできるし、いい感じだなと思うので、ぜひ行ってみてくださいという感じですね。

【岡﨑】ありがとうございます。

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「有隣堂しか知らない世界」の岡﨑弘子さんがプロデュースした「岡﨑百貨店」
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YouTubeチャンネル「有隣堂しか知らない世界」が初の書籍化
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最近コレを買いました!

【高畑】そんな岡さんですが、最近文房具で気になった話題とかありますか?

【岡﨑】気になるというか、私が最近実際に何を買ったのかをご紹介しようかと思って。

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【高畑】岡崎さんが自腹で買いたくなる文房具って何でしょうね。

【岡﨑】これは再生ガラスを使ったハイタイドのペーパーウエイトです。ガラスものが好きで、何に使うんだと思いながらもついつい買ってしまったんですけど、机の上にあったら素敵なんじゃないかなと思って。右がコーラで、左がラムネだったと思います。気泡が入ってたりして、すごくきれいで。

8.jpg「アタシェ 再生ガラス ペーパーウェイト」(ハイタイド)税込2,200円


【高畑】再生ガラスなんですね。

【岡﨑】はい。あとガラスもの多いんですけど、岡﨑百貨店にも入れてしまったったという猫のペンレストです。

9.jpg「しろねこ ペンレスト」(biscuit)税込3,520円

【高畑】箸置きとしても使えなくもないですね。首のところがちょっと下がってるところにペンを置く感じですね。

【岡﨑】ドイツのラウシャという地方でガラス細工を作っているところがあるんですが、そこで作られた猫ちゃんです。

【高畑】はいはい。

【岡﨑】まだまだガラスものが続きますが、まつぼっくりさんというガラスペン作家さんに、ワークショップを岡﨑百貨店でやっていただいたんですけど、その時に自分の好きな鉱石なんかを入れてガラスペンを作るというワークショップがありました。私は、岡﨑百貨店で光る石を売っていて。

【高畑】光る石ですか。

【岡﨑】ブラックライトを当てると光るんですけど、その石が好きで、それを入れてほしいとお願いして作ってもらったものです。

10.jpg「光る石入り ストームグラスガラスペン (オーダー仕様)」(まつぼっくり)税込13,200円


【岡﨑】ちょっと光らせてみますね。

【高畑】あ、本当だ! 紫とピンクの間みたいな色ですね。これは特注になるんですね?

【岡﨑】そうです。特別に作ってくれたんです。

【高畑】自分の思い入れのあるものを入れてくれるっていいですよね。

【岡﨑】そうなんですよ。ちょっと短くしてもらって。長いよりは短い方が、持ったときにしっくりくるかなと思って。これでサインを書きたいなと思って、軸をちょっと太くしてもらいました。

【高畑】サイン書く用ですか。

【岡﨑】ちょっとまだ使ってないんですけど、最近これも買いまして。

13.jpg「ボンド くつピタ(透明)」(コニシ)税込616円

【高畑】靴用接着剤ですか。

【岡﨑】これがすごい良いと言われていて、雨に強いんですよ。実は、靴がパカパカとなってきたので。

【高畑】自分の靴の修理に使うんですね。

【岡﨑】これを使ってみて、すごい良かったらお勧めしたいなと思って、これを買いました。

【高畑】靴まわりのものが多いですね。

【岡﨑】そうなんですよ(笑)。靴が大好きなので。
それと鉛筆キャップです。キャップがこんなことになってるんだって(笑)。

12.jpg「シュポッチ えんぴつキャップ」(ソニック)税込275円

【高畑】鉛筆キャップだけど、このボタンを押すとシュポッと鉛筆が出てくるんですよね。

【岡﨑】すごくないですか。私が小学生だったら感激するなと思って。今でも感激してるんですけどね(笑)。この発想はなかったので。

【高畑】さっきも鉛筆の話をしましたけど、鉛筆は普段から使われるんですか?

【岡﨑】使ってますね。ただキャップは使ってなかったので。ペン立てにどんどん挿してて、あんまり持ち歩かないんですけど、これは使おうかなと思います。

【高畑】あ、これは三菱鉛筆のタッチペンですね。タッチペンだけど「ユニ」のかたちになってる。

14.jpg「uni(ユニ) タッチペン」(三菱鉛筆)税込660円

【岡﨑】そうですね。これは、もしかしたら便利だと思って買ったんですけど、まだ使いこなせてないです(苦笑)。

【高畑】こういうのが、「ユニ」のかたちで三菱鉛筆から出ているというのがいいですよね。

【岡﨑】これなんか、本当に「ユニ」にそっくりだから、見た目も鉛筆みたいでかわいいじゃないですか。それで買っちゃったんですけど。
紙も好きで、これは書き心地を92回楽しめるメモなんですよ。これすごいなと思って。

11.jpg「書き心地を92回楽しむメモ」(研恒社)税込1,540円

【高畑】全ページ紙が違うんですね。

【岡﨑】はい。もったいなくて書いてないんですけど。

【高畑】紙の怖いところは、書くスピードよりも、集まるスピードの方が速いですよね。ノートとか。

【岡﨑】そうなんですよ。何でですかね。何もしなくても、一々買ってしまうんですよ。

【高畑】僕も何だかんだ言って買ってますけどね。今日買ったこのメモだって、大分使えますよ。

【岡﨑】そうですよね。

【高畑】紙とかインクとかって、みんなこだわってるのが分かってきたから、いいものが増えたじゃないですか。

【岡﨑】そうですね。相当量ありますね。集めたらキリがないですね。

【高畑】このインク1個で何字かけるかっていうと、大分書けますからね。

【岡﨑】相当書けますね。

【高畑】あと、ちょっとついでに、そこに立っているやつをちょっと説明してください。

【岡﨑】これはアクリルスタンドですね。何か出てくるか分からないという販売にしようと思っているんです。

【高畑】これは6月30日から発売が開始されるんですか。「有隣堂しか知らない世界」のオリジナル商品ですね。もちろんブッコローもいるし、それ以外にもYouTubeに登場した社員さんのアクリルスタンドもあるということで、何種類あるんですかね?

(有隣堂広報)6種類です。

【高畑】ブッコローが2種類ですね。それ以外の「有隣堂しか知らない世界」の人気登場社員の方のアクリルスタンドですけど、書店の店員さんをアクリルスタンドにしたっていうのがすごいですよね。あんまり聞かないですよ。

15.jpg有隣堂しか知らない世界アクリルスタンド」2023年6月30日発売、全6種各税込440円

【岡﨑】他にないと思いますけどね。「パンフェス」というイベントに参加したときに、「有隣堂しか知らない世界」を見ているファンの方に、「どんなグッズが出たら嬉しいですか?」という投票をして、アクリルスタンドが圧倒的に1位だったんですね。それで、これを商品化したんですが、何故か私たちも入っているという(笑)。

【高畑】これ岡﨑さんですよね。岡﨑さんのアクリルスタンドってどうなんですか?

【岡﨑】どうなんですかね(笑)。

【高畑】しかもこれがシークレットで、中は分からない状態で入ってるから、6種類のどれが入ってるかは分かんないわけですよね。だから、開けてみたらブッコローかもしれないし、岡﨑さんかもしれないっていうところなんですけど。これ、岡﨑さんを狙うのもなかなか難しい。6種類もありますからね。岡﨑さんのは、ガラスペンを持ってるじゃないですか。

【岡﨑】そこが使われてますね。

【高畑】いや、ちょっと、このブレークのしっぷりというか、自分がちゃんとキャラクターグッズになるってすごくないですか?

【岡﨑】初めてなので、びっくりしました。嬉しいです。嬉しいですけど、自分でこれをゲットするためには、いっぱい買うんでしょうかね。

【高畑】自分家に飾りますか?

【岡﨑】飾らないです。それは恥ずかしいです(苦笑)。

【高畑】岡﨑さんからしてみたら、これは同僚のアクリルスタンドなんですものね。家にこれを立てて、しかも同じ人が4枚ぐらいダブったりとかして(笑)。まあ、それはそれで、ブッコローグッズも結構売れてるみたいじゃないですか。

【岡﨑】そうなんですよ。おかげさまで。

【高畑】僕の知り合いでも、「ブッコローグッズ買ったんですよ」と言っていて、よく見たら「ジェットストリーム4&1」の軸にブッコローの絵が入ってるのを持っている人を知ってますよ。

【岡﨑】本当ですか。「ジェットストリーム4&1」はすごくいいんですよ。

【高畑】あれは普通に普段使いできる便利なボールペンだし。軸が太いから、絵が結構でかく入っていいですね。

【岡﨑】「ジェットストリーム」は、書きやすいから大好きです。

【高畑】今後やりたいことはあるんですか? 

【岡﨑】岡﨑百貨店をブランド化して何店舗かにしたいと思ってます。

【高畑】1コーナーじゃなくて、「ここは全部よ」みたいな。

【岡﨑】もうちょっと大きくできれば。今は大分小さいですからね。そして他の店舗でもやってくれるところがあれば。

【高畑】気が付いたら、「岡﨑堂」っていう別のお店がどこかにできてたりとか。

【岡﨑】それは夢のような話ですね。

【高畑】今はじゃあ、あのお店のセレクトの部分をできたら広げたり、他の店でもやりたいと。

【岡﨑】はい。

【高畑】「岡﨑百貨店の商品が売れてるじゃん」ってなってくると、その可能性が大きくなると思いますね。

【岡﨑】頑張ります。

【高畑】なので、皆さんぜひ桜木町の岡﨑百貨店に行って、そこで買ってもらって。何かヌンチャク鉛筆がめっちゃ売れるみたいな(笑)。気がついたら鉛筆売場が広がってるみたいになるわけですね。

【岡﨑】アイボール鉛筆ショップとかになるかもしれませんね。

【高畑】アイボール鉛筆っていう鉛筆会社があるんですけど。

【岡﨑】大好きなんです。

【高畑】ちょっとね、面白鉛筆をいっぱい作ってる会社ですよね。今回、僕が買ってきた以外にも、ちょっと変わった鉛筆がいっぱい置いてありますね。

【岡﨑】はい、そうですね。

【高畑】夢を大きく、ぜひ岡﨑百貨店を全国に展開しようということで、皆さん岡﨑百貨店で色々と買い物をしてもらって。

【岡﨑】ありがとうございます。頑張ります。

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岡崎さんが注目するトレンドは?

【高畑】お店を見ている立場の岡﨑さんからみて、最近どうですか? 文房具の売り場とか商品とか、今のトレンドを感じたりしますか?

【岡﨑】今は、「推し活グッズ」が流行ってますね。

【高畑】自分の好きなアイドルとかアニメとか、そういうののキャラクターだったり、人物とかを推すというのが「推し活」ですよね。

【岡﨑】はい。レイメイ藤井の「Kept」とかLIHIT LAB.の「myfa(ミファ)」、キングジムの「favluv(ファブラブ)」とかありますね。

【高畑】各社出すようになりましたよね。まさかね。文房具売り場にうちわを入れる専用のファイルを置いてる時代が来るとは思わないですよね。

【岡﨑】思わないですよね。全然違うジャンルのものが最近出てきたなと思って、すごいびっくりしてます。

【高畑】ご自身は誰か推してたりしてないんですか?

【岡﨑】してないです。推し活グッズの中に「ふわふわワッペン」というのがあって、そこの推している人の名前を書くんですけど、そういうのも文房具じゃないけど、文房具屋さんのシール売場に入れてしまってもいいかなと思えるものもあったりとか、色々と変わってきました。

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【高畑】うちわもそうだし、クリアファイルを入れるためのファイルとか。あとは透明になってて中に入れてるものが見えるよとか、色々あるじゃないですか。中には、缶バッチを収納するとか、アクリルスタンドを収納するとかがあるわけじゃないですか。だから、岡﨑さん推しの人は、あのポーチの中にこのアクリルスタンドをこれに入れるわけですよ。

【岡﨑】ブッコロー推しの人は、「透明のケースに入れて持ってきました」みたいな方がいました。

【高畑】ブッコローの何を入れてるんですか?

【岡﨑】ぬいぐるみです。汚くならないようにケースに入れるんです。

【高畑】僕も電車の中で、ブッコローのマスコットがついてるリュックの人とかをたまに見かけますよ。見かけて「悔しい」って思いますよ、「このミミズクめ」って (笑)。まあそうやって街で見かけるようになりましたから、すごいなと思いますけどね。

【岡﨑】あとは、どんなものが店舗で売れているかというと、機能に特化したものですね。例えばはさみなんですけど、「ハコアケ」とか「二刀派ハサミ」みたいに、ちょっとひと手間機能が付いたものが売れてます。

【高畑】今あげてもらったのって、どっちもダンボールを開けるやつですけど、そういうジャンルとは関係なく、他の方にも機能のあるものが売れてるんですか?

【岡﨑】それは店舗で聞いたんですけど、特にはさみだと言ってましたね。少し高くてもこっちの方がいいみたいな、ちょっと高級なもの。

【高畑】今は通販とか増えてるからダンボール開封用のものが売れてるんでしょうけど、みなさんは絶対に本は有隣堂に行って買ってくださいよ(笑)。それで、色々とダンボールも開けたりするけど、そのはさみは有隣堂で買うということで。

【岡﨑】色でいうと、パキッとした色ですね。

【高畑】「くすんだ色が」ってずっと言ってたじゃないですか。

【岡﨑】ずっとそうだったんですけど、パキッとした色にちょっとシフトしてきています。今までぼんやりしていましたが、ちょっと趣向を変えて、明るい色がきていますね。

【高畑】カラーのトレンドは、どんどん変わってきますからね。

【岡﨑】あとはアップサイクルですね。

【高畑】ああ、アップサイクル。SDGsってやっぱり言われます?  気にされてる方は多いですか?

【岡﨑】気にされているというか、企業がそっちへ向いてるんだぞっていうものを買う意識みたいなのは、前よりも整っているんじゃないかなと思いますね。

【高畑】プラスチック使わないパッケージとか増えましたよね。

【岡﨑】そうですね。替え芯は三菱鉛筆から始まってるじゃないですか(こちらの記事を参照)。

【高畑】色々とやってますね。

【岡﨑】そういう流れなんですかね。そういう商品もどんどん出てくる。ちょっと高いですよね。

【高畑】高いですね。

【岡﨑】ちょっと高いけど、そっちを選ぶという姿勢が。

【高畑】「海洋プラスチック使いました」とか色々とありますね。お店の人にとって、最近の紙箱に入っている文房具って、伝えづらくないですか? 透明なパッケージだと全部見えてるけど、紙箱の中に入っちゃうと、パッケージが開けないと分かんないじゃないですか。 ああいうのって、なかなか困ったりしないんですか?

【岡﨑】一回開けるんでしょうね。

【高畑】開けて中を見せて、またしまって、ということが必要になるんでしょうね。

【岡﨑】筆記具でも紙箱に入ってるじゃないですか。高級なものでも。必ず開けて、全部確認してもらってから、お客様に販売するようにしています。

【高畑】お客さんに丁寧に売らないといけないんですね。やっぱり、お店に行って現物見てから買いたい感があるじゃないですか。特にしっかりした値段のものだと、1回触ってから買いたいっていうのがあったりするので。今後は、材料もそうですけど、パッケージもちょっと意識変わってきたかなという気がしますけど。

【岡﨑】そういう商品が今後増えていくし、自分でもちょっと惹かれるっていうか、アップサイクルの商品なんだけれども、デザインにこだわったものが出てくると思うんですよ。生活の中で取り入れているんだけど、自分ではこっちを選んでしまったというような感じになるんじゃないかなと思います。

【高畑】リサイクルとかアップサイクル商品がカッコよくなってきましたよね。

【岡﨑】そうですよね。

【高畑】昔からリサイクル品っていうと、「ちょっと茶色くなってます」みたいな商品が多かったじゃないですか。地味な方向に行きがちだったけど。今はアップサイクルって言われても、すごい素敵な色だし。アップサイクルだから買うというわけではないけど、選んでしまうという。

【岡﨑】そうですね。気になりますね。

【高畑】岡﨑さん的に、「次これが来る」というのはありますか?

【岡﨑】自分の中では紙ですね。

【高畑】紙の中でどんな感じですか?

【岡﨑】書きやすさはもちろんなんですけど、希少価値のある紙とか。私は結構紙が大好きで、何に使うわけでもないのにたまっていくんです。メモ帳とかノートとか、紙に目がないので買ってしまいます(笑)。希少価値の高い和紙も好きなので。

【高畑】岡﨑百貨店にも、WACCAの和紙を使った商品なんかが置いてありましたけど。

【岡﨑】大好きです。紙でできたものですね。

【高畑】ちょうど脱プラスチックでみたいなところもあるし、紙マニアの人も大分増えてきましたしね。

【岡﨑】紙は集めてるんですか?

【高畑】気になるものはやっぱりちょっと集まってきていますね。あと僕は、身近に受け取った紙を捨てられない癖があって、全部同じ形に切り抜いて取っておくというのをやってるんですけど。

【岡﨑】へぇ!

【高畑】写真の証明写真用のパンチって売ってるんですよ。手紙の封筒とかを捨てられないから、それを3×4㎝の四角にポチッと抜くんですよ。全部は取っとけないので、それを小っちゃい四角にして、それをコクヨの見開き1カ月の「キャンパスダイアリー」のスケジュール欄にちょうど貼れるようになっていて、「今日の紙」っていうのを貼るっていうのをちょっと日記みたいにやってるんですけど。

【岡﨑】すごい、さすがですね!

【高畑】日によってはお菓子の包装紙だったり、牛丼屋の小っちゃいチケットだったりとか、税務署から来た封筒の裏側の模様がちょっと気になった時とか。選挙の時だったら選挙の鳥みたいなキャラクターがいるじゃないですか、あの裏紙のところ切り抜いて貼るみたいなことをしてます。

【岡﨑】面白いですね。今度見てみたいですね。

【高畑】すごくいい紙として売られてるものも全然いいんですけど、僕はどっちかっていうと、自分のところに何かの理由で届いた紙をそのまま捨てるのが惜しいので、切り抜いて貼ってます。ずっとずっとそういうことをしてるので、切り抜いたものだけで結構箱がいっぱいになってますけど。

【岡﨑】切り抜けばいいんですね。私は、お菓子の包装紙とかも全部捨てられないタイプのなので、どんどん貯まるんです。どうしたらいいのか段々が分からなくなってたんですけど、切り抜けばいいんですね。

【高畑】おすすめがですね、ちょうどバイブルサイズになるアクリルの四角い板を用意しておいて、包装紙とかはそのバイブルサイズの大きさに切り取って、パンチで穴をあけて、システム手帳に挟むんですよ。

【岡﨑】なるほど。

【高畑】ページが増えても、大体そのファイルに収まるので。

【岡﨑】それは素敵ですね。

【高畑】僕は割とそういうのをチマチマやるの好きなんで、ずっとそれをやってます。

【岡﨑】すごいです。

【高畑】物が貯まりますから、収納とか困りますよね。

【岡﨑】収納は日々困ってますね。「何と何が必要だから」と言われるとすごい困って、「どこに入れたんだろう」っていろんなところを探して(笑)。

【高畑】ミニマリストとは対極の生き方なので。捨てられないっていう。「全部ときめいてるからうちにいっぱいあるんだ」っていう話ですよね(笑)。

【岡﨑】相当ときめいてますね。

【高畑】好きな人はそうなりますよね。でも、あのあれからもう20年にもなるんですね。相変わらずお互い素敵な文房具にちょっとやられて、色々と集めてしまったり。気がついたらどっちもYouTuberやってたりしますからね。

【岡﨑】そういえば、そうですね。

【高畑】まあ、もう戦いたくはないですけどね(笑)。もう戦いたくはないんですけれども、趣味としてずっと文房具に携わってきてよかったなと思いますね。

【岡﨑】こうやってちょっと文房具の話ができるのは楽しいですよ。持ってるだけだと自己満足になってしまうんですけど。

【高畑】そういうのが言える番組とお店の両方やれてるから、なかなかそれはいいですね。

【岡﨑】幸せなことですよ。

【高畑】これからもまだまだ岡﨑百貨店は続くし、何よりも「有隣堂しか知らない世界」でどんどんコンテンツが出てくるんでしょうから、その辺は楽しみにしていきたいと思いますので。

【岡﨑】ありがとうございます。

【高畑】何の話をしに来たのか全然分からないんですけども(笑)、本当にありがとうございます。またいずれどこかで一緒に、戦わずに何かイベントができたらいいですね。

【岡﨑】そうですね(笑)。

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