- 連載企画
- 【連載】月刊ブング・ジャム Vol.81 ブング・ジャムの2023年ベストバイ文具 その1
【連載】月刊ブング・ジャム Vol.81 ブング・ジャムの2023年ベストバイ文具 その1
本サイト編集長の文具王・高畑正幸さん、イロモノ文具コレクター・きだてたくさん、ブンボーグA・他故壁氏さんの3人による文具トークライブユニット「ブング・ジャム」が、気になる最新文房具を独自の視点から切り込んでいく「月刊ブング・ジャム」。今回は、年末恒例企画として、ブング・ジャムのみなさんに2023年のベストバイ文具を紹介してもらいます。
第1回目は、他故さんのベストバイ文具、トンボ鉛筆「モノグラフファイン」です。
(写真左から他故さん、きだてさん、高畑編集長)*2023年11月11日撮影
*鼎談は2023年11月27日にリモートで行われました。
手帳用シャープとして愛用中!
――今回は、年末恒例企画ということで、みなさんの2023年のベストバイ文具をご紹介いただきます。
【他故】今日は私から行きます。「モノグラフファイン」です。上半期のベストバイでは、このちっちゃいノート(EDiT 手帳用紙を使った小さな方眼ノート・B7)の話をしたぐらい(こちらの記事を参照)、今年はとにかくちっちゃい手帳・ノートを持ち歩いてて。これに書くために、どんな筆記具がいいだろうっていうのを、結果的にずっと試してた1年間になっちゃったんですよ。
【きだて】他故さん、なんだかんだテーマ決めて試しててすごいなぁ。
【他故】やっぱり手帳なので、細く、細かく書きたいのと、僕はよく字を間違えるので、やっぱりちゃんと消せるやつがいいなっていうのがあって、シャーペンシルをメインで使ってたのが、だんだんと「 0.5㎜じゃやっぱり太いな」と思い始めて、0.3 をちょっとずつ買うようになってきて。それで、いろんなメーカーのやつをずっと使っていたんですよ。なんだけど、まあやっぱり手帳に一緒にくっつけて使うんだとすると、「消しゴムも入っていた方が便利だよね」っていう風に思い始めて。そうすると今メインで使っているやつで消しゴムが生えてくる0.3㎜って、「モノグラフ」シリーズくらいしかなかったので。
【高畑】消しゴムが生えてくるんだ。
【他故】そう、生えてくる。
【きだて】ちなみに 0.3 で芯の濃さは何を使ってるの?
【他故】メーカーには純正の芯を入れてるのね。だから、パイロットだったら「ネオックス・グラファイト0.3 」の2Bを入れたりするんだけど、トンボって 0.3に2B がないのよ。
【きだて】そうだっけ?
【他故】そう、ないの。MONO芯の0.3ってBまでしかないの。だから、トンボのシャープペンを使ってるときはBを入れている。
【きだて】なるほどね。
【他故】それ以外のシャープペンを使うときは、どのメーカーも2Bがあるので、ぺんてるだろうが三菱鉛筆だろうが、パイロットだろうが2Bを入れている。やっぱり、濃くないと見えないです。HBは絶対に見えないので。
【きだて】まあ、そらそうだね。
【他故】トンボのやつをいくつか使っている中で、これが10月末に出たので手に入れて、今はこれがメインになってるわけですよ。実に、僕の今の手帳の使い方にぴったりなので。さっきも言った通り、 0.3㎜ の芯があって、それでよく間違えるので消しゴムが付いていた方がいい。細い消しゴムで、ちょっと消すので十分なので、これがまた非常に良い消しゴムが入っていて、これがいいですよっていう話。だから、この 2 つがまず絶対必要な条件で、それプラスこの手帳にはさむとなった時に、グリップがめっちゃ引っかかるラバーだったり、めっちゃギザギザなローレットだったりすると、やっぱり出し入れがあまりよろしくないんですよ。引っかかってしまったり。
【高畑】それはあるね。
【他故】快適さの問題があるんだけども、今回のソフトフィール塗装だっけ? これについては、そういうひっかかりはほぼなくて、僕にとってはこれで十分に指が留まるので。これ、みんな合うかどうか分かんないんだけど、グリップのちょうど指が当たるところが凹んでるじゃないですか。ここが本当に自分のポジションにジャストなんですよ。
【きだて】ああ。
【他故】なので、使っているときにもうこれで全然十分だし、めちゃめちゃ引っかかるわけでもなく、めちゃめちゃ滑るわけでもなく、とても快適に使えているし。あと、地味にいいなぁと思っているのは、これ口金が開かないんですよね。グリップと一体型になっているから。なんか知らんけど、シャープペンの口金って、緩んでいることがすごく多いんですよ。
【高畑】緩むね。
【きだて】あるある。ボールペンでもなんでも緩むよね。
【他故】めっちゃ緩んでいることがあって。手帳とかに入っていると、カバンの中で揺れるのかなんか知らないけど、たまに口金が落ちてるときがある。
【高畑】バラバラになるよね。
【きだて】あれ何だろうね。ベルトループとかで擦れるたびに、ちょっとずつ回ってるんだか何だかよく分からないんだけどさ。
【他故】自分の使い方が悪いのかってすごく思うぐらい、めっちゃ緩むんだよ。
【高畑】普通に、ペンケースの中の振動とかで緩むよね。気がついたらバラバラになっていたりとか。万年筆でキャップ外れていたりすることあるよ。
【他故】そこまではないけど(苦笑)。
【きだて】それは大惨事だな。
【高畑】いや、なるよ。
【きだて】バイクや自転車じゃないけど、使う前の増し締めは大事だよね。
【他故】これについては、口金とグリップが一体で、グリップの上がネジになっているって事もあるんだろうけど、ここが緩んでいる例って、1 か月ずつ使ってて今のところまだないので、非常に快適なんですよ。その安定感が素晴らしい。自分が持っていて、こういうところが良いんだなっていうのを、改めて気づかせてくれるような。今まであんまり気にしたかったんだけども、クリップが短いのも指が当たらなくていいとかね。
【きだて】そうそう。
【他故】どうしてもシャープペンを回すので、意外とこういうところがね。
【きだて】これ面白いよね。回して使うの前提でクリップ短くなってるの、普通にありがたいもん。
【他故】製図用シャープって、比較的短くなったりするんだけど。でも、これは製図用とは言ってないよね。
【高畑】言ってないんじゃなかったな。
【きだて】いちおうトンボの人も「製図用がベース」とは言っていたと思うけど。
【他故】こういうところも、自分の中で「あっ」て気がつかされる。やっぱり短いクリップいいよな。それと、デザイン上の問題とはいえ、僕これ大好きなんですけど、この頭のところのこのMONOのストライプ。非常に慎ましやかに付いているMONOのストライプが、塗装じゃなくて三層の樹脂が積層で作ってあるから、塗装がはがれないっていうのがすごく良くて。
【高畑】このこだわりはちょっとね。基本的にはあってもなくてもいいところにこだわるというところがなんかね。
【他故】ここ大好きなんですよ。
【きだて】すり合わせもあっただろうし、本当に大変だなと思ってさ。
【高畑】ここってさ、機能的には全く意味がないし、ブランドの意識だけなんだよね。
【他故】そうだね。
【高畑】イメージ的には、多分ロットリングなんだよね。ヨーロッパのメーカーとかの感じに。トンボは「ZOOM」あたりから、素材使うところの本物志向みたいなところには、なんかこだわりがちょっとあるような気がするよね。
【他故】すごくキレイ。
【きだて】このデザインは新しい「ZOOM」やった人の仕事だもんね(こちらの記事を参照)。
――そうそう、「ZOOM」の人なんですよね。
【高畑】ここは割と「デザイナーのこだわりを通しました」的なところだよね。
【他故】そんな気がするね。このデザインだったら、さすがに全身MONOストライプっていうのは、検討しなかったんだろうなっていう気がするけど。普段なら、ラインアップにあるじゃん。
【きだて】まあまあまあ(笑)。
――そこは思いましたけどね。さすがに、上位モデルなのでためらったんじゃないですか。
【他故】ためらったかな。
【きだて】ダサいけど、一番売れるやつじゃん。
【他故】一番売り場でキャッチーなやつだからね(笑)。
【高畑】これ逆に、軸は樹脂色じゃないんだよね。だから、普通に透明色に黒とか銀をプリントしてるんだよね。
【きだて】そうそう。
【高畑】多分、そのうちはがれてくるとすれば、はがれてくるやつだから。いろんな柄を出そうと思えば出せるところを、あえて出さない。
【きだて】樹脂と金属でよくここまで色を合わせたなと思うしね。
【他故】ねえ。これは本当に自然ですごくいいなと思う。全身金属だって言っても本当にね、おかしくないぐらいキレイだし。あとさ、よくネットで言われるのが、「中でカチャカチャいうのがうるさい」っていう人いるじゃない。ひっくり返した時に消しゴムが固定されるための機構として、重りが入ってて、めっちゃカチャカチャいうっていう人がいるんだけど、僕はこれ気にならないんですよ。そもそも、書いているときにはカチャカチャいわないじゃない。
【きだて】そうなのよ。うるさいっていう話は聞くんだけど、どういうタイミングでうるさく感じてるのか聞きたいんだよね。
【他故】人によっては、このカチャカチャいうのが「振っても芯が出ないじゃん」って言うぐらい、このカチャカチャいうのが気になってカチャカチャさせるっていうんだけど。「いやそれは振ってるからだろう」っていう(笑)。
【きだて】うーん、それはちょっと難癖が過ぎないかね。俺が言うのもアレですけど。
――多分、手遊びというか、手の中で弄ぶみたいなことをしたときにカチャカチャってなるから。
【他故】筆記以外の行動ですよね。
【高畑】一応さ、紙にカツカツ当てたときに、ちょっと音がするはするんだよ。完全にしないやつじゃなくて、中のメカが動いている音はするんで。気になる人っていうのは、ここもそうだし、ノック式のあの隙間のところでのカチカチ音とかも、「カチカチうるさい」っていう人がいるんだよね。
【他故】そうなのか。
【高畑】ノック式の遊びあるじゃん。ボールペンのリフィルと口金の間の遊びが。あの音も「カチカチうるさい」っていう人は結構いるので。そのシビアな人にとっての「うるさい」っていうのは、何やってもうるさいんだけど。まあ、繊細さなのでしょうがないんだけど。まあ、中のパーツが動くというのは、他故さんが言うように、書いているときに動くかといったら動いてないよね。「フレフレ」にしたって、書いているときにフレフレが動いているわけじゃないじゃん。
【他故】まあそうだね。書いているときにフレフレが動いたら、オートマチックシャープだよ。
【高畑】まあ、そうなんだけどさ。書いているときに動いているわけじゃないから。それを言ったら、「モノグラフ」のシリーズなんてさ、芯を振って出すやつが多いじゃない。
【きだて】自分から積極的に音を鳴らしにいっといて「うるさい」っていうのは、それは単なる輩だし、そういうのはユーザーの母数に入れなくてもいいんじゃないかね。 しかもそういうやつは、ボールペンを延々とノックしてカチカチ言わせて周りに迷惑かけるタイプも兼ねてるはず。
【他故】ははは、うるさいやつ(笑)。
【きだて】そう。
【他故】本当に、今自分の中では特に弱点もなく、愛用ができるものとして前線に出てきているので、多分しばらく飽きずに使うんだろうなっていう気はしている。
【きだて】俺もわりとお気に入りですよ。書いてると、先端視界の良さがすごい気持ちいいんだよね。
【高畑】それはすごくあるね。
【きだて】ボールペンの「モノグラフライト」のときも、やっぱり先端視界が良いなっていうので気に入ってたんだけども。最近のトンボのそういう発想はちょっと好きだな。字を丁寧に書こうとすると、どうしても先端の方に意識が集中するからさ。視界を塞がれると「う~ん」ってなるんだよ。
【他故】分かるよ。
【きだて】ここまで削り込んででもちょっと良くしようという試みは面白いなというのは感じたね。
【高畑】ただ、この4段いるの?っていう気がするんだけどね。真っ直ぐでも別にいいよって思うんだけどね。これ、どこかの寺院の屋根に見えるんだよね。東南アジアのさ。
【他故】何となく分かるよ。
【高畑】先端部分に平行部があるっていうのは、製図用のシャープならば、製図用のツールにひっつけるために必要だったりするんだけど。でも、別にそうでもないじゃん。これは、全部えぐれているじゃん。えぐれて真っ直ぐになって、またえぐれて真っ直ぐになってみたいなことをやっているんだけど。ここはなんか、えぐれているから見やすいということはなくはないけど、ここでもう1回4段にする必要があったのかなっていうのはある。他の部分が「モノグラフ」は基本的にはストレートな形をしているんだけど、今回なんか段差多いんだよね。グリップのところもちょっとへこんでいるし。
【きだて】そうだね。
【高畑】デザイン的にあれこれやろうとしたっていうのがちょっとね、真っ直ぐでもよかったかなっていうか、すっきりしてもよかったかなって気がする。「モノグラフ」のラバーグリップタイプあるじゃん。これもやっぱり、ここのところで真ん中で1回グリップが凹んでいて段付きになっているんだけど、トンボって何か段付きの数が多い気がするんだよね。そこら辺が何かかっこいいって思ってるんだろうな。
【他故】そういうところに個性があるんだね。
――確かにこのラバーグリップは段になっていますね。
【高畑】これより前の「モノグラフ」ってそれなかったんだよ。ストーンってまっすぐで、割とシンプルだったんだけど、最近そこら辺に段差をいっぱい付けるようになったなという気はちょっとしていて。僕は、前のでもよかったかなという感じがしなくもないな。
【きだて】これ、全体的に飾り気が薄い分、ちょっとこういう段差はアクセントで楽しいけどね。
【高畑】そこら辺は好みの問題なので。
【きだて】全然好みの問題だな。
【高畑】まあ、その中でもかなり細くはしてあるよね。大分えぐっているのも含めて、かなり細めの先端にはしてあるので、見やすいかな。
【きだて】わざわざ弓なりに削ったりとか、細かいことしてるよね。
【高畑】あと、後ろのカチャカチャいうっていうのはあるけど、消しゴムをあえてロック式にしたことによって、初めてぐらいかな? 「モノグラフ」シリーズでノック式になったのはが初めてぐらいなんじゃない?クリップノックとかサイドノックはあったけど、リアノックってこれだけじゃない?
【他故】いや、安い「モノグラフ」(モノグラフライトシャープ)がそうだよ。
【きだて】そうそう。
【他故】普通にノックするし、ここから消しゴム出るよ。
【高畑】普通に凹むんだっけ?
【他故】凹むよ。普通にノックできちゃう。
【高畑】これは普通に出るのか。それで、凹まないように消せっていうだけの話か。
【きだて】「柔らかく消してね」だったんだよ。
【高畑】そういうことか。じゃあ別になくてもいいのか。
【きだて】いやー、そこはやっぱりロックあった方が楽だよ。
【高畑】楽は楽なんだけど、僕はクリップノックじゃなくてもいいかなと思っているので、リアノックで全然いいんだけど。確かに、「モノグラフライトシャープ」は後ろノックだね。
【きだて】サイドノックでいいじゃん、と思うけどね(笑)。
【他故】サイドノック派が来たぞ(笑)。
――この間の話じゃないですか(こちらの記事を参照)。
【高畑】あと、これめっちゃ低重心じゃん。かなり低重心だよね。
【他故】そうそう。
【きだて】グリップのところ、机の上に落としたら「ゴトン」っていうぐらい重いじゃん。
【他故】重さは、グリップで半分じゃないかな。
【高畑】そうだね。もうだいぶ前だね。本当に、この辺の中では極端に前が重いタイプの筆記具ではあるよね。おかげで本体もちょっと重いんだけど。15g ぐらい、もうちょっと20g近くあるかな?
【他故】僕はこの重さが好きです。特に筆圧もかけずに、ただ単に置くだけでちゃんと字が書けるって意味合いでもすごく好き。
【高畑】21gあるんだ。20gオーバーだから結構な重さだよね。
――真鍮でしたっけ?
【きだて】そう、真鍮。
【高畑】逆にこれ、丁寧に使っている部分にはいいけど、店頭で見ると、テスターがだいたい先端の角のところがはげて、中の真鍮の金色が見えているんだよね。塗装で実現しているグリップなので、逆に汚れにくいし、他故さんが言ったみたいにペン挿しとかには挿しやすいんだけど、多分長いこと使っているとここら辺はげてくると思う。
【他故】そうだろうね。
【高畑】あと、ボディのところもプリントで、転写が巻いてあるので、削れたりする可能性があるので、そこは注意って感じかな。
【他故】使い込んでくるとね。
【高畑】黒だといいけど、シルバー軸だと中から金色が出てくるので、ちょっと違和感がある。でも、トータルとしたらバランスはすごくいいのかな。俺は、こういうやつのことをこう呼ぶことにしたんだよ。
【他故】何?
【高畑】ドラフティングレプリカみたいな言い方がいいんじゃないのかって僕は思っていて。レーシングレプリカみたいな。
【きだて】レーサーレプリカで言うところの、製図用の皮を被った、的な。
【高畑】そうではないけど、そういうやつみたいな。要は、街乗りのレーシングレプリカみたいな感じかなと俺は思っていて。
【他故】なるほどね。じゃあこれは町の製図用シャープだね。
【高畑】そう。町の製図用シャープ。という感じが俺的にはする。
【他故】とりあえず、言いたいことは全部言ったので。私はこれが大好きです。
【きだて】他故さんは、このソフトフィール塗装についてはどうなの?
【他故】僕はこれで十分。俺も滑らない。全然大丈夫。
【高畑】俺も十分。
【きだて】そうか。ちょっと物足りないなとかは思わない?
【他故】物足りなくない(苦笑)。
【きだて】もうひと息なんだけどな。
【他故】もうひと息つき過ぎると、ホコリが付いてたり、ペン挿しの輪っかに入りにくくなっちゃう。
【高畑】ラバーグリップの方はやっぱり汚れるから、そこへいくと汚れなさ加減はこっちの方が好き。
【他故】僕も全然、実用的にもこれで十分です。
【きだて】汚れても、ホコリぐらいならどうせ手汗で取れるじゃん。
【他故】いやいやいや(苦笑)。
【高畑】きだてさんの言い分も分かるんだけど。
【他故】これじゃまだダメかね?
【きだて】金属ツルツルのと比べると、格段にいいのは分かるんだよ。ちゃんと効いているというのは分かるんだけど、「これでグリップ万全ですよ!」と言い切るまでにはあと少し至らない。
――なかなか、きだてさんのお眼鏡にかなうのは難しいね。
【高畑】ポジティブに「良いですよ」とは言わないまでも、「別にこれで十分じゃん」と言うにも「ちょっと」って感じだね。
【きだて】いや、俺ほど手汗かかなければ十分っていうのは分かるんだよ。だから、理屈は分かる。だからレビューでは「これで十分でしょう」みたいな書き方をしたけども、個人としてはちょっともう一息。
【高畑】これ多分さ、ここを塗装にしたことによって、この超低重心が実現しているんだよね。要はゴム層がないからさ、全部メタルにできるから、かなり重いっていうのはあるんだよね。まあでもこれで、こうじゃないパターンでこの感じにしようと思ったら、やっぱローレットになるんだろうね。
【他故】そうだろうね。
【高畑】ローレットとこれだったら、どっちがいいの?
【きだて】ソフトフィールの方がいいよ。ローレットは本当にダメだから。
【高畑】ローレットは滑るからダメなの?
【きだて】そう、滑る。
【他故】ローレットは滑るんだ。
【きだて】滑らないほどの深い溝のローレットだと、今度は指が痛いし。うっすら刻んだだけだと、「もうそんなの何の抵抗にもなりゃしねーよ」っていう。
【高畑】凹んだところはともかく、山のところが割と尖っているタイプのローレットだと、しっかりグリッパーができるけど、それだとちょっと手が痛いよねっていう話じゃない。
【きだて】痛いよね。
――きだてさんは、「モノグラフライト」のあのグリップがいいんじゃないですか?
【きだて】「モノグラフライト」のあのグリップ最高じゃないですか。。
【きだて】最近だと、サクラクレパスの「ライトルシャープ」のグリップが最高だね(こちらの記事を参照)。
【高畑】ああ、あのタイヤみたいなパターンの。「モノグラフライト」だと、山々になっているから、すごい引っかかるし。
【きだて】オフロードタイヤのトレッドパターンみたいな。
【他故】これはこれで、すごく良いよね。
【きだて】「ライトル」は、ダブルノックをウリにしているけど、ダブルノックなんていくらでもあるんだから、グリップをウリにすべきだろうって思うんだけど。
【高畑】いやいや(苦笑)。
【きだて】あれはとてもいいですよ。
【高畑】最近のきだてさんの評価の高さがさ、この間の「ミュートン」も、「別に音が静かじゃなくてもいいよ」って言って、基本性能の高さをほめているわけだよ(こちらの記事を参照)。いやでも、それがやっぱり一番だと思うよ。別にさ、おまけ機能で釣らなくても、本体で十分性能がいいじゃん、みたいなのはいいと思う。
【きだて】そういう魅力があればいいんじゃないのかな、と思うんだけどね。ただ単に、枝葉末節にこだわっているだけのような気がせんでもないけど、それはそれで(苦笑)。
【高畑】でも、今回「モノグラフファイン」が黒とシルバーで出たのはいいよね。
【きだて】これにブルーメタルが出ると思っていたんだよね。
【高畑】あーそうか、3色ね。
【きだて】3色出してMONOカラーにするのかなと思っていたので。
【他故】そういうことね。
――そこは気が付かなかったな。
【高畑】それは確かに、あってもいいね。
【他故】限定で出してこないかな?
【高畑】そうだね。
【きだて】出すとカッコいいよね。
【他故】意外と、トンボ鉛筆も気が付いてないかもしれない(笑)。
【きだて】それはどうだろう(笑)。
――このきだてさんの話を読んで、ひらめくかもしれませんね。
【他故】これが出たらね。
【きだて】出してください(笑)。
【高畑】いいと思います。今のは何か、ちょっと目からウロコでした。
【他故】今のはいい話だった。
――他故さんはシルバーなんですか?
【他故】両方持っています。一応色合わせで、手帳には黒を入れて、革のペンケースにはシルバーを入れています。
――どっちも0.3ですか?
【他故】どっちも0.3です。手帳用は 0.3って決めてやっているんで。パッと手に取れるシャープペンシルが基本 0.3 っていう風に今はしているんですよ。
【高畑】僕は基本どれでも 0.3なので。0.5も一応買ったんだけど、やっぱり0.3が好きだね。僕は、前の方が全部金属でできているのが割と好きなので。だから「S10」が好きなんだけど、割と近いテイストなんだよね。「S10」よりももっとピーキーに前が重い感じではある。これまで「S10」って言っていたけど、この「モノグラフファイン」の0.3は僕もアリかな。これはちょっとね、しばらく使ってみてもいいかな。
【他故】本当、これはいいですよ。
*次回はきだてさんおすすめの「文具エプロンバッグ ミニ」です。
関連記事
プロフィール
高畑 正幸(たかばたけ まさゆき)
文具のとびら編集長。学生時代に「究極の文房具カタログ」を自費出版。「TVチャンピオン」(テレビ東京系列)の「文房具通選手権」では、3連覇を達成した。サンスター文具に入社し商品企画を担当。現在は同社とプロ契約を結び、個人活動も開始。弊社が運営する文房具のWebマガジン「文具のとびら」の編集長も務めている。著書は『究極の文房具カタログ―マストアイテム編―』(ロコモーションパブリッシング)、『究極の文房具ハック』(河出書房新社)、『そこまでやるか! 文具王高畑正幸の最強アイテム完全批評』(日経BP社)、『文具王 高畑正幸セレクション 一度は訪れたい文具店&イチ押し文具』(監修/玄光社)、『究極の文房具カタログ』(河出書房新社)、『文房具語辞典』(誠文堂新光社)と、翻訳を手がけた絵本『えんぴつとケシゴム』(KADOKAWA)。新著は『人生が確実に幸せになる文房具100』(主婦と生活社)。
https://bungu-o.com/
きだて たく
小学生の時に「学校に持っていっても怒られないおもちゃ」を求めて、遊べる文房具・珍妙なギミックの付いた文房具に行き当たる。以降、とにかく馬鹿馬鹿しいモノばかり探し続けているうちに集まった文房具を「色物文具=イロブン」と称してサイトで公開。世界一のイロブンコレクターとして文房具のダメさ加減をも愛する楽しみ方を布教している。著書に『イロブン 色物文具マニアックス』(ロコモーションパブリッシング)、『愛しの駄文具』(飛鳥新社)など。
色物文具専門サイト【イロブン】http://www.irobun.com/
他故 壁氏(たこ かべうじ)
小学生のころから文房具が好きで、それが高じて文具メーカーに就職。ただし発言は勤務先とは無関係で、個人の見解・感想である。好きなジャンルは書くものと書かれるもの、立つ文房具と薄いペンケース。30分間文房具のことしか語らないトーク番組・775ライブリーFM「他故となおみのブンボーグ大作戦!」パーソナリティ。たこなお文具情報室所属。
「他故となおみのブンボーグ大作戦!」番組ホームページ https://daisakusen.net/
「ブング・ジャムの文具放談・完全収録版~2023年Bun2大賞を斬る!~」の電子書籍を文具のとびら商店で販売
https://buntobi.stores.jp/items/658902aa956c0c002c619427
【文具のとびら】が気に入ったらいいね!しよう