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【コレ注目!】ユニークなオリジナルブックカバーが人気の町の本屋さん

文具のとびら編集部

物心ついたときから今日まで、筆者にとって本屋は常に自分の生活圏内にある身近な存在だ。食料品店がからだをつくるために必要な存在であるのに対し、本屋はいわばこころをつくるために必要不可欠なものだと思っている。本屋のない日常はありえないし、考えたくもない。

しかし実際には、書店数は次第に少なくなってきているのが正直なところだ。寂しい話ではあるのだが、その一方でお店に足を運んでもらうよう様々な努力を行っている本屋さんの話を耳にすることも多くなってきた。

大阪市鶴見区で、1970年の創業以来50年以上にわたって町の本屋として親しまれてきた「正和堂書店 鶴見店」は、オリジナルのブックカバーを制作し、それが話題となって新たなファンを獲得しているという。実は先日、同書店のブックカバーに関する記事を文とびに掲載したところ、予想以上の反響があった。そこで今回、実際に同書店に伺い、オリジナルブックカバーについて取材してきた。

ブックカバーで新たなファンを獲得

正和堂書店は、大阪メトロ長堀鶴見緑地線今福鶴見駅から徒歩2分の場所にある。店内は思った以上に広くて驚いた。売場面積は250坪だそうで、これだけ広い本屋が近所にあったら入り浸っているだろうなと思う。

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三菱鉛筆の商品を中心に文房具も扱っている。文具コーナーは最近展開を始めたところだそうだ。

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今回、お話を伺ったのは小西康裕さん。「まだ社長ではないのですが…」と言うが、同書店の3代目になるのだという。これから紹介するブックカバーは、全て小西さんがデザインして作っているというのでちょっとびっくりしたが、美大出身で卒業後は大手印刷会社で働いていたという経歴を聞いて納得した。

一人でも多くの人に店に来てもらおうと、まず小西さんが取り組んだのが、おすすめの本をSNSで発信すること。2017年から始めて、今も日々発信し続けているのだが、「最初はなかなか集客に結びつきませんでした」と振り返る。そんな時にふと頭に浮かんだのが、ブックカバーのことだったという。実は、2013年に「100人のブックカバー展」という企画が大阪で行われ、小西さんがデザインしたブックカバーもその100人の中に選ばれたのだという。展覧会会場でブックカバーを販売したところ、小西さんのブックカバーだけ売り切れになるなど大きな反響があったそうだ。

「そんな原体験があったので、それを書店でもやってみようと思いました」。SNSを始めてからほどなく、同じ2017年に初めてオリジナルのブックカバーを制作。当初は季節ごとに作り、SNSを見てくれた人にプレゼントしていたが、回を重ねるごとに話題となっていたという。読売新聞で取り上げられた時は、Web記事が多くの人に読まれて大きな話題となったそうだ。

ブックカバーが話題になるにつれ、来店客層にも変化があった。ブックカバーを目当てに来店する人が増えたのだ。「3分の1は生活圏外から来店されています」と小西さん。また、女性客が増えたそうで、「昔は雑誌を買うお客さんが多かったので、8割が男性のお客さんでしたが、今は逆に8割が女性のお客さんになっています」とのこと。

当初はあくまでも本を購入した場合のみブックカバーを提供していたわけだが、コロナ禍になり来店が難しくなると、「オンラインでブックカバーを販売してほしい」という要望が寄せられるようになったという。「商品ではないので抵抗があった」というが、オンラインショップで販売したところ、実によく売れたそうだ(ブックカバーとしおり各1枚をセットにして税込220円で販売)。そして、「店舗でも販売してほしい」という要望に応え、店舗でも販売を行うようになった。最初は、季節ごとに新作を制作していたが、今は「毎月新しいモチーフを出すようにしています」という。新作を目当てに毎月来店する人も増え、その効果もあって文庫本の売り上げは以前の5倍になっているそうだ。

6.jpg店内のオリジナルブックカバーコーナー。多種多彩なブックカバーがずらりと並んでいる。ブックカバーだけでなく、トートバッグやクリア素材のブックポーチなど、オリジナルアイテムは拡がってきている。

多種多彩なオリジナルブックカバーの世界

これまで何種類のブックカバーをデザインしたのか小西さんに聞いてみると「100種類は超えています」とのこと。店舗では、50種類くらいのブックカバーを用意しているという。

8.jpgレジ前にパネルを用意しており、この中から好きなブックカバーを選べる


7.jpg売り場に並んでいたブックカバーの見本


どのブックカバーが人気なのかというと、一番人気はクリームソーダ。「クリームソーダ柄のブックカバーはいくつかありますが、この『星屑のクリームソーダ』が一番人気があります」。カバーの上から見えているアイスクリームはしおり。このブックカバーに限らず、しおりと組み合わせることでデザインが完成するようになっている。猫にちなんだブックカバーも人気。この『猫と本棚』は、本棚がデザインされたブックカバーに猫のしおりをはさむと、本棚の上に猫がちょこんと乗っかっているように見える。『ワッフル』のブックカバーは、スプーンとフォークのしおり付き。

4.jpg(左から)星屑のクリームソーダ、猫と本棚、ワッフル



企業とのコラボデザインのブックカバーも多数展開している。「当店のブックカバーを、他の書店でも展開するというプロジェクトで、カリタから声がかかり作ったのが最初です」。写真のブックカバーは、牛乳石けんとのコラボのものだが、これで7回目のコラボだという。また、2026年8月5日(水)~18日(火)に阪神梅田本店で開催中の「正和堂書店 POPUP STORE」では、パインアメのブックカバーを販売(関連記事)。「このイベントでは、スポニチのブックカバーも作りました」と小西さん。また、郵便局とのコラボも行っている(関連記事)。

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出版社とのコラボも行うようになってきた。こちらは、PHP文庫とのコラボで、小西さんがデザインしたカバーを文庫に付けて販売。「他の書店でも販売しています」という。ただし、自販機風のディスプレーは同店だけのものだとか。

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「SNSの影響なのか、最近は読書の仕方が変わってきていて、読書時間を楽しむ人が増えています。当店のブックカバーは、そこにリンクしているのではと思います」と小西さんは話す。「この本にはこのブックカバーが似合う」というように、本とブックカバーのコーディネートを楽しみながら、それをSNSで発信したりする人も少なくないようだ。そうやって本に親しんでもらいながら、「本に対するハードルを下げられたら」という。

「本の価値を変えることはできませんが、本への距離は変えられると思っています」と話す小西さんは、本を愛する人を少しでも増やすために、これからもブックカバーを作り続ける。

10.jpg本とブックカバー、コーヒーのドリップバッグをセットにした「おうち喫茶」も販売している。本はお店でセレクトしたものをシークレットの状態で販売しており、何が入っているかは開けてからのお楽しみとなっている。

■所在地:大阪市鶴見区鶴見3-6-12
■営業時間:10:00~21:00
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