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【違いがわかる男の文具講座】ボールペン②高級系
全国の文具店で配布している、文具のフリーマガジン『Bun2(ブンツウ)』(写真は最新号・『Bun2』Vol.121 2025年8月号)。
その『Bun2』の人気連載「違いがわかる男の文具講座」を、文具のとびらにも出張掲載します。
文具のとびら・高畑正幸編集長による"文具講座"、どうぞお楽しみください!
今回は、『Bun2』Vol.120 2025年6月号掲載の「ボールペン2高級系」についてです。
「ボールペン 高級系」を解説
前回(関連記事はこちら)は、新世代の油性インクボールペンを中心に紹介したが、他にも個性的なボールペンはたくさんある。今回は前回紙面の都合で掲載できなかったボールペンの中から、ちょっと高級で個性的なボールペンをどんどん紹介していきたいと思う。
まずは水性から。前回紹介した「unilbalIZENTO」もそうだが、最近水性ボールペンが見直されているように感じる。特に私が主催しているOKB48というボールペンの人気投票では、実際に触れて投票する試し書き会場で水性ボールペンの人気がとても高い。これはやはり粘度の低いインクがだくだくとインクが出てくる水性ならではのちょっとラグジュアリーな書き心地によるものだと思う。
【CR01】オート
水性ボールペンといえば、やはりオートは外せない。オートは水性ボールペンを世界で初めて実用化したメーカーだけに、水性ボールペンの書き心地には定評がある。CR01はキャップ式で少し重めのボディに、潤沢なインクフローの水性インク。ペン先が紙面に付いた瞬間に、ボールが転がるのを待たずしてインクが出てくる。艶やかな筆跡は線幅全域がクッキリと黒く、全体的な印象はむしろ万年筆に近い。ボールペンにはこういう書き心地もあるということを知ってもらいたい逸品。
【KOKUYO WP ローラーボール】コクヨ
そして意外なところから登場したのがこのWPシリーズ。作ったのはコクヨで、替芯は水性ボールペンと水性サインペンが選べるという変わった仕様で、本体も、軸とキャップはアルミでグリップは透明樹脂。奇をてらった見た目だけかとおもいきや、グリップ部分の断面が三角先で、真鍮の先金で重量バランスを取っているので、案外と手に馴染む。しかもローラーボールの替芯はオート製で、むしろ本家以上に流れが良い。しかしブルーブラックのインクは、色の濃淡が出たりしてすごくエモい。ある意味水性のいちばん気持ちいいところを楽しめる絶品。
そして次はゲルインク系。
【ZOOML1】トンボ鉛筆
ZOOMシリーズといえば、1986年から続くデザイン筆記具ブランドとして古くからのファンも多いが、2023年に全面的にリブランディングを行った第一弾として登場した3種のうちのひとつ。形状的にはZOOM505を彷彿とさせるが、軽く、グッとカジュアルな印象に。メタリックパーツを内蔵したすりガラス調の透明軸は、見る角度によっては金属のようにも見える不思議な質感で、眺めているだけでも楽しい。書き心地はどちらかというとしっかりしているが、運筆の角度や速度で文字に躍動感が出るタイプ。トメハネハライが美しい日本語向きなペンでもある。
【TUZU ボールペン】セーラー万年筆
TUZUは、万年筆と同時に発売されたもので、書き癖に併せてペン先の角度をアジャストする機能がついた万年筆に目が行きがちだが、ボールペンの方もなかなかの完成度。基本、万年筆と同じ形状で、グリップ部分にはピッタリと指が沿うように面がとってあるので、自然と持ち方が整うようにできている。リフィルはクッキリ黒く読みやすい字が書けることで定評のあるエナージェルを採用。エナージェルの価値を最大化する究極の「就活ペン」と言えるかもしれない。
【GS02】オート
断面形状がグリップの六角形から後ろに下がるにつれて徐々に円筒形に変化する独特のフォルムで、細身なのにずっしりと重い真鍮製。ペン先はオートお得意のニードルポイントで、速乾インク。とにかく見た目も書き心地もクセが強いが、逆にこのクセが病みつきになる不思議な魅力を持っている。
そして油性ボールペンを2種。
【ZOOMC1】トンボ鉛筆
新ZOOMシリーズの中では高級ラインのC1は、軸から離れて宙に浮いたノックボタンを細めのクリップがボディにつなぎ止めている形で、ノックするとすき間が空いたままノックボタンが動く。ブランドコンセプト「1本の、美学。」を体現する代表製品だけあってかなり攻めたデザイン。インクは超低粘度油性だが安定感のあるチップと、ボディ全体に軽量高強度なジュラルミンを採用しているので、見た目の割に書き心地は軽快でコントロールしやすい。
【ZOOM L2】トンボ鉛筆
一方で同じシリーズの油性とはいえ、全く書き心地が違うのがZOOML2で、こちらは軸径も細く、かなりシャープな印象。高級ボールペンにしてはかなり細い印象のボディだが、表面にはしっとりとした質感の特殊な塗装が施されていて、しっかりグリップしてくれるので思い通りのポイントにペン先を運べる狙いやすさは抜群。引っかかりは全くない滑らかな油性だが、紙に千枚通しの針を立てるような鋭角的で精密な作業をしている気分になる。
今回はかなりしっかり目のボールペンを並べて、改めて試し書きしながらこの原稿を書いてみたが、しっかりした価格帯ならではの高品質な安定感と同時に主張の強い多様な個性を改めて感じる機会となった。単純にどれが正解とは言えないのが筆記具の奥深さであり、楽しくも悩ましいところだ。



