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【違いがわかる男の文具講座】ボールペン①

高畑正幸

全国の文具店で配布している、文具のフリーマガジン『Bun2(ブンツウ)』(写真は最新号・『Bun2』Vol.121 2025年8月号)。
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その『Bun2』の人気連載「違いがわかる男の文具講座」を、文具のとびらにも出張掲載します。
文具のとびら・高畑正幸編集長による"文具講座"、どうぞお楽しみください!

今回は、『Bun2』Vol.119 2025年4月号掲載の「ボールペン」についてです。

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「ボールペン」を解説

毎回テーマ選びに悩むこの連載だが、よく考えるとしばらくボールペンを取りあげていなかったことに気がついた。前回ボールペンを扱ったのは2021年。ユニボールワンFやボールサインiDプラスが登場し、普及品プラスアルファのちょっと高機能でちょっと質感の高いペンが出始めた頃だった。当時は300円前後の価格帯が新ジャンルとして新鮮だったのを記憶しているが、あれから4年。300円前後の価格帯と、新機能・新デザインは、エントリーボールペンの最低条件となりつつある。
ということで今回は、最近のボールペンを見ていきたい。

【JETSTREAM シングル(Lite touchink搭載)】三菱鉛筆
c.jpg昨年は低粘度油性ボールペンの新製品が3社から登場して話題となったが、そのスタートはやはりこのペンだ。王者ジェットストリームの派生形で、従来のジェットストリームらしさを持ちつつも、より軽いタッチにシフトした書き心地は、安心感のある遊び心を感じる。ボディデザインも、ユニボールワン以来のフラットでマットな今和マナーに則ったシンプルデザインに洗練されている。ジェットストリームから18年を経て新しいスタンダードを提案するリファインモデル。


【FLOATUNE (フローチューン)】ぺんてる
b.jpgジェットストリームが洗練なら、フローチューンはインスピレーション。名が示すとおりの浮遊感を伴う筆記感は、良くも悪くも他に例がない。力を抜いて大きなストロークで書いたときの浮き上がるような感覚と筆圧をかけた時のクイックなブレーキ感は慣れるとキビキビとしたペンさばきができ、書くことそのものにスポーツのような面白さがある。インクの色がしっかり黒いのも見ていて気持ちいい。浸透性の高いインクが裏抜けしやすいというのは弱点だが、その分を差し引いてもこの感覚は一度使ってみる価値がある。


【ブレンU】ゼブラ
a.jpgそしてブレンUは、真面目で頼れる仕事の相棒。「ブレン」といえば、ブレないという新しい価値と共に、その後のボールペンのデザインの方向性を決定づけてしまうほど強烈なデザインが印象的だったが、ブレンUは、ブレンシステムを採用しつつも、直線的なボディにラバーグリップと丈夫な金属製の可動クリップという外観で、むしろ純度の高い事務用ボールペンといった印象。新開発の低粘度系インクも、不安定な筆圧でも書き出しからしっかり書けるというのが特徴なので、現場に強い真面目なペンだ。


【unibalIZENTO (ユニボールゼント)】三菱鉛筆
e.jpg今年に入ってからの新製品としてはやはりこのペン。特徴はやはり水性のインクを使ったノック式対応のリフィルで、水性インクの伸びやかさを持ちつつも耐水性があって滲みにくい。しかも今回は、発売のタイミングで3種の異なるグレードのボディ(種類としては4種)がラインアップされていて、普及版のスタンダードモデルはユニボールワンに準じる令和デザインの標準形で、実用充分なラバーグリップ。フローモデルは前軸が金属製で、低重心と高級感を表現。そして高級ラインのシグニチャーモデルはあえてキャップ式というのも面白い。キャップを尻軸に装着した状態でも胴軸とキャップのラインがまっすぐつながる短めのボディと、マグネットでカチッととまる感覚が最高に気持ちいい。油性・ゲルときて、次は水性ボールペンも進化するのかと、わくわくさせてくれる。


【LAMY safari JETSTREAM INSIDE(ラミーサファリジェットストリームインサイド)】LAMY
名称未設定 1.jpgもう一つ。文具ファンの間で最近の大きな話題と言えば、三菱鉛筆がドイツのLAMY社を買収したこと。LAMYといえば日本でも人気の高級筆記具メーカーだが、特に同社の持つモダンで普遍的なデザインのファンは多い。そしてこのコラボによって生まれたのがLAMYデザインを代表する「サファリ」に、書き心地では圧倒的に評価の高い「ジェットストリーム」のリフィルを内蔵したのが「LAMY safari JETSTREAM INSIDE」。文具ファンの妄想最強ボールペンが実現してしまったような製品だが、手に取って書いてみると、互いの良さを引き立て合う素晴らしい仕上がりで、純度の高すぎる衝撃に笑いがこみ上げてくる。


ということで、昨年と今年の大型新商品だけで紙面が埋まってしまった。ここへきてまだまだ新しい切り口で新製品が登場してくることに感心するが、その争いは極めて高い次元に突入していて、もはやインク種別や基本性能だけでは差別化が難しくなってきているようにも思う。ここから先はいかに感性に訴えられるかがポイントにもなってくるだろう。次回はちょっと個性派のボールペンにも目を向けてみたい。

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