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【連載】月刊ブング・ジャム Vol.71 ブング・ジャムの2023年初文具はコレだ!(その2)

文具のとびら編集部

本サイト編集長の文具王・高畑正幸さん、イロモノ文具コレクター・きだてたくさん、ブンボーグA・他故壁氏さんの3人による文具トークライブユニット「ブング・ジャム」が、気になる最新文房具を独自の視点から切り込んでいく「月刊ブング・ジャム」。今回は、ブング・ジャムのみなさんが2023年に初めて購入した文房具を紹介してもらいました。

第2回目は高畑編集長が購入した「Noir×noir(ノワールノワール)」クリップファイルです。

写真左から他故さん、高畑編集長、きだてさん*2022年11月9日撮影
*鼎談は2023年1月23日にリモートで行われました。

オールブラックでカッコいい! リサイクル文具

リヒト1.jpgNoir×noir(ノワールノワール」クリップファイル A5・A4(LIHIT LAB.)

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――じゃあ、次は高畑編集長お願いします。

【高畑】LIHIT LAB.の「Noir×noir(ノワールノワール)」シリーズのクリップファイルですけれども。A4とA5を買いました。これ実は、「CUBE FIZZ(キューブフィズ)」っていうシリーズの同じ型のやつを持ってたんだけども。今回のは、製品を作った時の端材なんだよね。それで、再生した時にいろんな色が混ざってるから汚い色になっちゃうよねって。「どうせ汚いんだったら混ぜて全部黒にしちゃえ」みたいな真っ黒なシリーズで、これは一応リサイクル材で作られているものです。このシリーズがもう全部真っ黒なんですけど、これが案外に良かったですというところで。

【他故】ほう。

【高畑】前に持ってたやつが黒になっただけなんだけど。「CUBE FIZZ」の明るい水色で、しかもテクスチャーが入っていてキラキラしてるんだよ。

【他故】何か入ってるよね。

【高畑】気をきかせてこういう風になってるんだけど、真っ黒でよかった。

【他故】ははは(笑)。

【きだて】その飾り気のなさがありがたいよね。

【高畑】いや、そうなんですよね。これは、いわゆる落書き帳なんですよ。コピー用紙を使って落書きをするというためのものなんで、普段から、この中にコピー用紙を入れてで、どこででも書けるボードとして、パソコンとかと一緒にカバンに入れてあるんだけどね。それが真っ黒になっただけなんだけど、真っ黒になっただけで結構シュッとした感じで、ちゃんとツールを使ってる感が出る。

【きだて】ああ。

【高畑】みんなが使いやすいというのがあるんだけど、この水色がなんかクリエイターぽくないところがあったんだよ。それこそ、PPシートのやつあるじゃない。

【他故】ああ、ブワブワするやつね。

【高畑】あれが「かっこいい」って言って使う人がいるんだけど、こっちの方がよほどよくできてるわけですよ。非常によくできている道具なんですけど、割と最近流行りのデザインツールみたいな感じのノリのものではないし、「デザイナーが作りました」的なものでも全然ないんだけども、案外使ってみるとこれはすごくよくできていて、前からこれは僕大好きなやつなんだけど。硬くてフラットだし、ここの留め具とかもすごい良くできてるし、フタが干渉しないようになってて、しかも書き終わった紙を入れるところまで付いていて。まあ、何よりも平らで硬いので、ネタ出しというか、話ししながらポンチ絵描いたりとかするのにはすごい便利なんですよね。

【きだて】軽いし、本当にそれいいよね。

【高畑】多分、クリップボード系で、いわゆるコピー用紙に書いたやつをいっぱい入れておいて、それをめくりたいんだったら、コクヨのやつがいいです。コクヨの2箇所留めるやつが付いてるのが結構便利なんだけど、そうじゃなくって、とにかくドローイングパッドとして使いたいんだったら、圧倒的にこのリヒトのがいいんだよ。それが、水色じゃなくて黒になったっていうのがいいんだよ。あの余計な色がないっていうのも、それこそが考え事をするときにジャマにならないし。だからこれ割とね、ネタ出し用のツールとして。コピー用紙を、ちょっと落書き帳として使う人にとってはすごく良い。

【他故】うん。

【高畑】リサイクル材だし、環境にもいいんでしょ。リサイクル材で無駄にもならないし。ただ黒くなっただけなんだけど、すごく持ち運びやすくなったし、かっこいいので。僕は持ってるから、別に買わなくてもいいんだけどね。機能的には買わなくてもいいんだけど、色が変わることでちゃんと価値が変わるよねっていうのがすごいはっきりしてる。いつも、かわいいペンとか出た時に、「まあ色替えには興味ないしな」みたいなことを言ってる私なんですけど、今回は思わず手に取ってしまったよということで。

【きだて】それ、紙を挟むポケットの方も、ちょっと黒いスモークなんだよね。
リヒト2.jpg

【他故】ああ、そうだね。わずかにスモーク。

【きだて】そういうのが「わあ、おしゃれ」ってなるんだよ。

【高畑】そういうのは上手いんですよ。

【きだて】やっぱね、リヒトはそういうのが上手いんだわ。

【高畑】元の設計が抜群によくできてる。

【他故】そうそう。

【高畑】それが「真っ黒にしたらこんなかっこいいツールになるんだ」って思ったし。

【きだて】うん。

【高畑】こういうところにステッカーを貼ってもいいかもしれないし。使いでの幅広いツールになったので。このシリーズはこれ以外にもいろいろあるんだけど、コングレケースなんてさ、例えば書類というか新品のコピー用紙とか、プリンター用紙を種類ごとにこういうのに入れて揃えてあるんだけど。これが、緑とか黄色とか赤とかなんだけど、黒が出てるんですよ。全部買い替えたい気分になってるんだけど。

「Noir×noir」シリーズ

【他故】ははは(笑)。

【高畑】一応、透けてるから中はちゃんと見えるんだけど、こっち側が黒なんだよね。もうね、それだけで全部買い替えたい気分になってるんだけど、案外値段もするので、どうしようかと思ってるけど。

【他故】まあね。

【高畑】だから色を替えるというので、やっぱり全然違って見えるなっていうのが、身をもってすごく思ったよ。きだてさんとかそんなのないですか?

【きだて】俺は、黒も好きなんだけど、明るい色好むので。リヒトのラインアップに関しては、あんまり普段から文句もない人なんだよ。あと、明るい色の方がカバンの中で見つけやすいじゃない。

【他故】中はね。それは分かる。

【きだて】逆に、黒から「いろんな明るい色が出ました」っていうときに買い換えることはあるかな。「むしろ、ちょっとピンクを待ってました」とか、そんな感じの傾向がある。

【高畑】そういうのもあるね。

【きだて】普段はね、色替え興味ないというのは文具王と一緒なんだけど、たまに琴線に触れるのはあるよね。

【高畑】僕の場合は、今回たまたま黒が「うわこれか」となったけど、色が替わることでまた欲しくなっちゃうとか、こっちの方を使いたいというのは、確かにあるね。

【他故】うん、あるね。

【きだて】そのクリップファイルさ、数年前に右肩の骨を折ったときに取材用としてよく使ってたんだよ(こちらの記事を参照)。軽くて安定して、とても使い良かった。

【他故】あ~はいはい。

【きだて】そのときに黒が出てたら、黒のボードと三角巾の白の組み合わせになるでしょ。怪我してるときにそれはちょっと陰惨なイメージかなと思うし。

【高畑】なるほど。だからそういう気分の問題もあるわけだね。これ、SDGsがなかったら作ってないと思うんだよね。

【他故】あーそうか。

――リサイクル材を使ってるわけですからね。

【高畑】あとね、リサイクル材を使ってカッコよくなったのがいいなって思うよね。リサイクルして「ダサいの我慢してください」じゃないところがちょっといいね。リサイクル材で作ってくすんだ色になって、なんかツブツブが混じって見えて、「でもこれはリサイクルだから環境にはいいんだから、こういうのをみんな使おうね」っていうところでもなくて、黒がカッコいい。ジャマにならなくて、何とでも合わせられるからいいよ、みたいな。それも良いところかな。

【他故】うん。

【高畑】ラインアップとしての色なので、まあ元々持ってたので買わなくてもよかったんだけど。ちょっと買ってみたら良かった。

【他故】これいいよね。僕も大学に入ったぐらいときに黒が大好きで。黒って、あまりパキッとしたのはなかったような気がしたんだけどね。今、それを見てすごく思い出したんだけど、一番好きなのはこのポートフォリオっていうやつね。これが、完全に黒だったのよ。これのカッコよさを改めて思い出して、なんかすごくそれが今欲しくなってる。当時のやつだから、映画やってた頃の「ガンヘッド」なんかのシールが貼ってあるけど(笑)。懐かしいなと思って見てたのよ。この中に、死ぬほどスクリーントーンが入ってるんですけど。

【高畑】ああ、分かる。

【他故】何か、そういう時代を少し思い出してしまいました。

【きだて】男子は、黒のものばっかり買っちゃう時期が、人生のどこかで必ずあるんだよ。

【他故】あると思う。

【高畑】最近のもので、色を替えてというころだと、「エナージェル」があるじゃん。「エナージェル」の普通のやつがあって、それが「インフリー」になったときに、「透明にするってかっこいい」みたいになって。その後、真っ黒のモデルが出て、「黒いいじゃん」みたいになって。そういうが色替わったことで、確かに価値観が変わるときがあるなと思うし。色替えたことで一番思うのは、タクシーって実は高級車というのがあるじゃん。クラウンとか、そういうクルマに黄色でペイントして、「何とかタクシー」って書いたら、高そうな車に見えないけど、実はあれすごい良いクルマじゃない。

【きだて】はいはい(笑)。

【高畑】あれが真っ黒に色を替えるだけで、あんだけイメージが変わるので。最近は、色を替えるだけで商品価値が変わることを度々目にしてるわけだけど、「くすみ系カラーになりました」みたいなやつは、まあまあスルーしてるんだけど。自分も色変えで買うんだなっていうことを発見しました。

【きだて】くすみ色をスルーって、最近の各メーカーの限定カラーいらないよ?みたいな話か(笑)。

【高畑】いやいやそうじゃなくて、くすみ色になったからといって買ってたらキリがないから「やべえ」って話で。最近だって、同じモデルなのに「色替えました」でどんどん出てくるじゃん。色が替わるのが何年かに1回しかないぐらいの頃だったら、「色が替わったやつ全部揃えてます」みたいなのもいいけど、今の時期だと、トンボも三菱も限定色を買ってたら、毎シーズン出るじゃん。

【きだて】キリがないね。

【高畑】だから、その中でも特に自分が気に入ったものを、全部買うのは無理だし、基本的にはもう些細な違いだなと思っているので。ただ、些細じゃないときもあるねっていう。最近になって、同じ金型なのに色替えただけで、めっちゃかっこいい製品に生まれ変わってるやつがちょいちょいある。印刷とかを全部取って、令和デザインっぽくしている場合があるじゃん。それこそ、さっきの無印良品もそうだけど。なんか同じモデルなのに無印で売ってるとか、セブンイレブンだと白だけとか。

【きだて】フィルムに製品情報を印刷しているから、それをはがすとキレイになるみたいなやつね。

【高畑】そうそう、そういうやつ。だからそういうのもので、表面の色とか表面に書いてあることでも全然違うから。これは、シールはがしたらロゴもないんだよ。「CUBE FIZZ」って書いてあって、テクスチャーでキラキラしたのがあって、水色でっていう情報が全部なくなっちゃってるんだけど、それがかえって良かったなみたいな感じで。僕としては、何かすっきりしていいなと思ってる。あと、元々このボードが好きなので。このボードは本当に最高にいいから。

【他故】めちゃめちゃいいです。

【高畑】ちょっとした打ち合わせのときに、絵を描いたりするのにすごくいいので。これも激おすすめですね。なので、何枚あっても困らないわけですよ。

【他故】ははは(笑)。

【高畑】というお話でした。

――そのシリーズで買ったのはクリップファイルなんですね?

【高畑】今回「ノワールノワール」で買ったのは、A5とA4のクリップファイルです。A5のはA4サイズの紙を半分に折って入れられるので、カバンが小っちゃいときでも全然入るし、どっちもいいなと思ってるけどね。メインはやっぱり、どうしてもA4なんですよ。楽なので。

【きだて】用紙を入れるからね。

【他故】そうそう、めっちゃいいよね。

【高畑】コピー用紙が普段使いできるから良いよ。

プロフィール

きだて たく
小学生の時に「学校に持っていっても怒られないおもちゃ」を求めて、遊べる文房具・珍妙なギミックの付いた文房具に行き当たる。以降、とにかく馬鹿馬鹿しいモノばかり探し続けているうちに集まった文房具を「色物文具=イロブン」と称してサイトで公開。世界一のイロブンコレクターとして文房具のダメさ加減をも愛する楽しみ方を布教している。著書に『イロブン 色物文具マニアックス』(ロコモーションパブリッシング)、『愛しの駄文具』(飛鳥新社)など。
色物文具専門サイト【イロブン】http://www.irobun.com/

他故 壁氏(たこ かべうじ)
文房具トークユニット〈ブング・ジャム〉のツッコミ担当。文房具マニアではあるが蒐集家ではないので、博物館を作るほどの文房具は持ち合わせていない。好きなジャンルは筆記具全般、5×3カードとA5サイズノート。二児の父親。使わない文房具を子供たちに譲るのが得意。ラジオ番組「他故となおみのブンボーグ大作戦!」が好評放送中。ラジオで共演しているふじいなおみさんとのユニット「たこなお文具堂」の著書『文房具屋さん大賞PRESENTS こども文房具 2022』が発売中。
たこぶろぐhttp://powertac.blog.shinobi.jp/


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