1. 連載企画
  2. 【連載】月刊ブング・ジャム Vol.67 ブング・ジャムが愛用する手帳&手帳グッズ(その3)

【連載】月刊ブング・ジャム Vol.67 ブング・ジャムが愛用する手帳&手帳グッズ(その3)

文具のとびら編集部

本サイト編集長の文具王・高畑正幸さん、イロモノ文具コレクター・きだてたくさん、ブンボーグA・他故壁氏さんの3人による文具トークライブユニット「ブング・ジャム」が、気になる最新文房具を独自の視点から切り込んでいく「月刊ブング・ジャム」。今回は、ブング・ジャムのみなさんが愛用する手帳や手帳グッズを紹介してもらいました。

第3回目は他故さんが愛用するビバリーのスタンプ「インクのあいぼう」です。

(写真右からきだてさん、他故さん、高畑編集長)*2021年11月9日撮影
*鼎談は2022年9月26日にリモートで行われました。

ポンと一押しで手帳を楽しく彩る

インクのあいぼう1-1.jpgインクのあいぼう(ビバリー)

『インクのあいぼう』を楽天でチェック

『インクのあいぼう』をAmazonでチェック


――最後は他故さんです。

【他故】みなさんがいろんな手帳を使っているという話を聞いてて、やっぱり手帳はあれば使うもんだなと思ったわけですが。僕の場合は新しい手帳を使う気がなくて、完全に野帳と「ジブン手帳」とちょっとシステム手帳ぐらいという感じで、新しい手帳を試すという気が全然なくなってきてしまった。どっちかというと、書いて楽しくなる方法はないかなというのが主眼になっている感じがあるんですよ。去年、会社の中で職場が変わって、やることがまるっと変わったときに、覚えなきゃいけないことを付ける手帳を作ったんですね。

【きだて】うん。

【他故】それがサクサク進んで楽しかったんだけど、マニュアルみたいなものを作ったら、その手帳を見なくなっちゃって、もったいないことをしたなと。自分の気持ちとかそういうものも入れて、後で見返すと面白いものにすればよかったのに、単純に人から聞いたものを書くだけで、清書してマニュアル化したら読まなくなっちゃったので、ちょともったいなかったなと思っていて。

――はい。

【他故】どうせなら楽しく使いたいなと思って、手帳グッズを使ってみようと。そんなにたくさん見ているわけじゃないけど、シール貼ったり、はんこを押したりと色々ある中で、僕の好みとしては筆記具が好きで、書くのが好きで、とやってるので、いわゆるインク瓶のモチーフとか、そういうスタンプがあればたまに買ってたのね。今回、ビバリーから出た「インクのあいぼう」というスタンプが面白いなと思ったのが、1個が基本的にでかいのね。思ったよりでかいのよ。でかいと普通は高いじゃん。だから、小さいやつの方が多いんだよ。

【きだて】ははは、はいはい(笑)。

【他故】でかいやつはカッコいいのも多いんだけど、インク瓶のスタンプで大きいのってあんまり見たことなくて。元々これがカッコいいと思って売り場を見に行ったんだけど、まあかわいいやつもたくさんあるじゃないですか。動物が一緒に描いてあるやつとか。

【きだて】このシリーズかわいいよね。

【他故】「ますてのあいぼう」の方は、ごめんなさい、全然そそられなくて何も使ってないんだけど。ノートにマスキングテープを貼ってコレクションするというやり方自体がそそられないので。マスキングテープをコレクションじゃなくて実用的に貼るために持ってるから。

――コレクターじゃないとなかなか。

【他故】なので、あっちはちょっとピンとこなかったんだけど、インク瓶のスタンプだったら、周りを塗れば今持っているインクと一緒に手帳に書けるので。手帳にもちろんいいんですけど、インク瓶のはんこを押してインクを塗ると、これがまあ楽しいんですわ。すごい手軽に、人に見せられるような感じになるんだよね。

【高畑】うん。

【他故】インク瓶のはんこをポンと押して、万年筆のかたちのはんこもポンと押して、あとはちょっと塗るだけで自分だけのインク帳ができる。

インクのあいぼう2-2.jpg【きだて】ああ、なるほどね。これで平塗りと線がそれぞれ書けるわけだね。

【他故】そうそう。アイデアだなと思ったのが、ペンのかたちだけのやつも売ってるのね。万年筆のかたちのやつと、ガラスペンのかたちのやつがあるのと、今回僕は買わなかったんだけど、動物が持っているやつがあるのね。動物がペンを抱えているやつ。それも一緒に買っておくと、インク瓶とペンとか、インク瓶に色を塗っておいてペンにインクの線を描くというのが、すごく簡単にできる。あと、さっきも言ったけど、1個がでかいので、手帳があっという間に埋まる。

【きだて】ははは、大事、大事(笑)。

【他故】めちゃくちゃ大事(笑)。1ページ1個って決めているわけじゃないけど、野帳の1ページがきれいに埋まるのよ。

【高畑】それベースになってるの野帳?

【他故】測量野帳を入れてるんだけど、この大きさが、1個押すだけで手帳の1ページがズバッと決まるぐらいちょうどいい。動物の入ってるやつはちょっと小さいので、二つ並べることもできるんだけど、これもかわいらしくて。これなら、苦もなく手帳をどんどん使っていけば楽しめるというのもあるし、うちにあるインクも出番がなくなったやつが増えてきて、とてもかわいそうな感じもあるので、もう一回こうやって描いてあげて、色を確かめて、今後「こういう色なら万年筆に入れてあげなきゃな」と思い直すこともあるかなと思って、ちょっとやり始めたところです。

(一堂)ふーん!

【他故】これがカッコよすぎて、こんなに簡単にできるんだみたいな。

【高畑】そのノートはそれ用なの? それとも別のやつの合間に書いてるの?

【他故】僕は、野帳を分けるということをやめてしまったので、文具王の「EDiT」と同じ事で、その代わり日付は入ってないけど、毎日自分で日付を入れて、「何があった」を書いている手帳なのね。何でも書いちゃう手帳で。だから、単純にはんこが押してあるだけの日もあったり、思い付いたものを貼ってみたりとか。そういうのをずっとやってる中で、一つ一つそれを作るんじゃなくて、混在させて一緒にやる。

【高畑】はいはい。

【他故】インク帳を単独で作る気はないんですよ。そういうマニアじゃないんで(笑)。何て言えばいいんだろうな、手帳を楽しく使えればいいので、何用の手帳、というのをあまり作りたくないですね。

【きだて】ふむ。

【他故】最初は楽しいんだけど、ちょっと重たくなってきちゃって、持ち歩きもしないし、家でやらなきゃとなってくると、専用の手帳を維持できなくなっちゃうんですよ。僕の場合は。なので、今は野帳1本になっちゃって、ここに何でも載せてる。それこの日々の記録から、どこかへ行ったときのスタンプとか、それこそぐちとか、今年のボーナスは何カ月分だとか、そういうのを一緒にぶち込んであるので、人にほぼ見せられない。

【きだて】完全に小学生の自由帳だよね。

【他故】これはそうだね。元々野帳の3㎜方眼が好きだと言ってるのは、字を書くのにもいいんだけど、絵を描くときもジャマにならない方眼だというのがあったから、絵を描いたりもするわけですよ。ここにもだから、落書き的な絵を描いてますよ。「野帳は手帳か?」と言われるとよく分からないところもあるけど、僕にとってはこれは手帳で、その中で文房具が一つ増えたというそんな感じかな。今のところは。とても楽しく使っております。

【高畑】とか言ってるけど、僕らの中では一番マメだよね。

【他故】でも、毎日書いたりはしないよ。思い付いたときに書くだけだし、「日付を入れてます」というのも、書いた時の日付を入れているだけであって、飛んでいる日も全然あるしね。

【高畑】いや、書いた日をちゃんと付けておくというのが、案外できないんだよね。

【きだて】ははは(笑)。

【他故】これは、体に染みついてしまっているので、まず右肩に日付を入れるところから始めるから。これがないとむしろ気持ち悪い。日付は絶対入れる。

【きだて】それは他故さんが後から読み返すタイプだからだろうな。

【他故】そうだね。積極的に読み返すかは別にして、自分の書いたものは読んでしまうので。だから、何時書いたのかはちゃんとしておきたい。

【きだて】それは大事だものね。

【他故】高校、大学のときに描いた落書きが、まだ山根式ファイルの中にたくさん入ってるんだけど、その当時からラフでも何でも、書いたものに日付を入れてるのね。

【きだて】偉いなあ。

【高畑】後になって「書いときゃよかった」って思うんだよね。「何だっけ、これ?」「何時だったけ?」ってすごい思うんだよ。

【他故】そうそう。ワープロで打ち出した書類も、わざわざ日付を入れてるんだよね。

【高畑】あとね、「何月何日」と書いてあっても、40歳を超えるとそれが何年のだったか分からなくなるんだよね。

【他故】そうそう。それはそう。なので、必ず4ケタ西暦・月・日は入れてるね。

【高畑】それは大事だね。

【きだて】それを昔から継続でできてるのが偉いよ。

【高畑】すごい、すごい。

【他故】正直に言えば、何でこんな習慣がついたのか、全く思い出せないけどね。何かのマネだったのかもしれないけどね。いずれにしても、僕は書くのが好きなので、適当なことを書いているわけで。きっと、それが面白いから続いているんだろうね。

――すごいですね。

【他故】そういう中で、今まで自分の趣味にはなかったスタンプというのが出てきて。

【高畑】最近はスタンプが増えたよね。スタンプも豊富じゃん。

【他故】そうそう。シールはちょと違うんですよ。シールは自分の手を動かすうちに入らないので、あんまりそそられないのね(笑)。

【きだて】おおっ!?

【他故】まず、貼ってきれいにするセンスがないというのが一つあるんだけど、書くのが好きなので、書く余地がないものに興味がわかないらしいのよ。

【高畑】そこはきだてさんとちょっと違うね。貼ったら埋まるというのが、過程のところで。

【他故】貼れば埋まるというのは、ちょっと違うんだよ。

【きだて】面倒くさいな(笑)。

【高畑】スタンプだと、スタンプパッドでインクを付けたあと押して、ペンで塗ってみたいなことをやるから。

【きだて】「インクのあいぼう」は、書き込んで完成させるから、なおのことなんだろうな。他故さんにとっては。

【他故】そうだろうね。例えば、旅に行ってスタンプを押すのは、すごく楽しいことなんですよ。何かチケットを貼るということもやるんだけど、スタンプがあったら押しちゃうよねという人なので、元々好きなんだよね。そこに、自分で書き込める余地のあるスタンプがあるなんて、ここ数年で知ったことで。今まであったのかもしれないけど、そもそもそういう文化を知らなかったから。で、インクが死ぬほどあって、インクの色を入れるだけでインク帳みたいになるよと言われた日には、一回ぐらいは試してみたいじゃないですか。

【きだて】他故さんが00年代のギャルだったら、プリクラにみっちりと落書きをするタイプのギャルだったと思うよ。きっと、何らかの書き込みをしないと、気が済まない人なんだよ。

【他故】だろうね。ただそれも、写真を撮るという行為自体にそそられなくなって、最終的には自分の手でゼロから書きたくなるんだろうね。

【きだて】あーなるほどね。やっぱ、面倒くさいな(苦笑)。

【他故】ははは(笑)。そういう育ち方をしてしまってるからさ。

【高畑】なるほどね。

【他故】みなさんがいろんな手帳を使ってるのを、うらやましいと思いながら、手帳に目移りしない理由というのは、多分書いたものをこの野帳のかたちで揃えたいからだろうね。大きさ的に、これと5×3カードのままで揃えたいんだろうね。

【きだて】まあ、それはそうだろうね。フォーマット崩れるの気持ち悪いもの。

【高畑】データーベース志向があるかどうか、というのがあるじゃない。使い続けたら同じ手帳を使いたい人と、毎年変えて全然平気な人っているじゃん。そこはやっぱり分かれるよね。せっかくだから、毎年同じかたちのものを積み上げていきたいという、積み上げていく人はいるよね。

【他故】そういうのもあるし、それプラス中が自由だというのが、僕が野帳を好きなところなんだよね。何もジャマすることなく3㎜罫線があるだけという。スタンプを押しても、自分の中では映えるなと思ってるし。これは全く個人的な話で、みなさんにおすすめすることじゃないけど、僕は野帳のこっち側、右ページにしか書かない。インクが染みちゃうと言う可能性があるのもそうなんだけど、一生使い切れないぐらいのストックがあるので、なるべく冊数を使いたいというのもあって(笑)。

【高畑】そこか。きだてさんも右ページしか使わない人だけど。

【きだて】それはリングノートの話だからね。

――手がリングに当たっちゃうのが嫌なんですよね。

【きだて】そう。

【他故】なので、書くのは完全に右ページだけなんですよ。左は空いてるから貼りものをするという、それだけの話で。何も貼らない空いているページもたくさんある。

【高畑】なかなか贅沢だよね。

【他故】ははは(笑)。はんこの話が中心じゃなくなっちゃったけど、この「インクのあいぼう」は、万年筆インクが好きな人におすすめできると思うので、手帳とセットで使ってみるといいんじゃないかなと思います。

【高畑】スタンプ増えたから、ちょっと興味はあるんだよね。

――ビバリーは、「手帳のあいぼう」っていうはんこも出してますよね。

【他故】出してますね。でも、こういうスタンプじゃなかったような気がする。

【きだて】9マスフレームのミニはんこじゃなかったけ。

【他故】そうそう。

【きだて】それこそ、日玉のところに入れるぐらいのやつ。

【高畑】最近だと、デザインフィルがものすごい勢いでスタンプを作ったり、あとはサンビーもそうだし、いろんなメーカーがスタンプを作ってるからな。サンビーは、インクをからめたスタンプをいっぱい作ってるじゃん。

【他故】サンビーは、今すごいね。

【高畑】そういうのを使っても面白いよね。

【他故】そうそう。消しゴムはんこを作ってらっしゃるプロの方たちの印面が、そのままスタンプで使えるみたいな、スピンアウト的な商品も増えているから。「あこがれのあの人の絵を、はんこを彫らずにそのまま押せる」みたいな、そういう売り方もしているので。

【きだて】楽しやがって(笑)。

【高畑】そこは、自分で描きたくなることもあるんだけどね。

【他故】まあでも、世の中の人が全員器用だとは限らないので。

【高畑】それはあるから、簡単に使えるのがいいんだろうね。

【きだて】最近、ビバリーのスタンプで感心したのが、ほめるスタンプでめちゃめちゃでかいやつなかった?

【高畑】ああ、あれでしょ。「よくできました」スタンプのでかいやつ。

【きだて】そうそう。

【高畑】あれいいよね。

【きだて】あれだと、子どもはほめられた感が強くてすげー嬉しいだろうなと思って。

――ああ、うれしいですよね。

【きだて】そう、「大きなごほうびスタンプ」だ。「ごほうびスタンプ」をでかくするという、シンプルな発想がすごく良い。

【高畑】そうそう。俺も買っちゃったな。

【きだて】買っちゃったんだ。いいな、俺も買おうかな。

【高畑】あれは、自分の仕事が終わったところに押すのにいい。

【他故】ははは(笑)。

【高畑】「完了」とか「処理済」のスタンプを押すよりはいい。あれの方がやる気は出るよ。

【きだて】そうだね。ドバンと押せば、それは良いよね。

【他故】いいね、俺も「FAX済」というのをやめて、それを押そうかな(笑)。

【きだて】意味が変わってくるじゃないかよ(笑)。

【他故】ははは(笑)。まあ、スタンプも面白いですよ。

――手帳とスタンプは相性がいいですからね。

【他故】そうですね。色々と試してもらえばいいと思います。

プロフィール

きだて たく
小学生の時に「学校に持っていっても怒られないおもちゃ」を求めて、遊べる文房具・珍妙なギミックの付いた文房具に行き当たる。以降、とにかく馬鹿馬鹿しいモノばかり探し続けているうちに集まった文房具を「色物文具=イロブン」と称してサイトで公開。世界一のイロブンコレクターとして文房具のダメさ加減をも愛する楽しみ方を布教している。著書に『イロブン 色物文具マニアックス』(ロコモーションパブリッシング)、『愛しの駄文具』(飛鳥新社)など。
色物文具専門サイト【イロブン】http://www.irobun.com/

他故 壁氏(たこ かべうじ)
文房具トークユニット〈ブング・ジャム〉のツッコミ担当。文房具マニアではあるが蒐集家ではないので、博物館を作るほどの文房具は持ち合わせていない。好きなジャンルは筆記具全般、5×3カードとA5サイズノート。二児の父親。使わない文房具を子供たちに譲るのが得意。ラジオ番組「他故となおみのブンボーグ大作戦!」が好評放送中。ラジオで共演しているふじいなおみさんとのユニット「たこなお文具堂」の著書『文房具屋さん大賞PRESENTS こども文房具 2022』が発売中。
たこぶろぐhttp://powertac.blog.shinobi.jp/


「ブング・ジャムの文具放談 特別編・完全収録版~『ブング・ジャム的Bun2大賞』ベスト文具を決定!~」〈前編・後編〉と「ブング・ジャムの文具放談・完全収録版~2020年Bun2大賞を斬る!~」〈前編・後編〉をコンテンツプラットフォームnoteで公開中。

【文具のとびら】が気に入ったらいいね!しよう