【連載】月刊ブング・ジャム Vol.07前編

本サイト編集長の文具王・高畑正幸さん、イロモノ文具コレクター・きだてたくさん、ブンボーグA・他故壁氏さんの3人による文具トークライブユニット「ブング・ジャム」が、気になる最新文房具を独自の視点から切り込んでいく「月刊ブング・ジャム」。Vol.07前編では、“自立式”“大容量”など多彩な機能的なペンケースの新アイテムに注目しました。
ドリンクボトル風のスタンドペンケース

――今回のお題はペンケースです。“立つペンケース”もまだまだいっぱい出てきてますね。まずは「ボトルペンケース」から。
【高畑】これ、どうですか?
【他故】僕は使ってますよ。家でペン立てに使ってる。実際、この上に消しゴムが入るというのがいいんですけどね。
【高畑】こういうドリンクボトルにお茶をいれて、会社で飲むみたいなのが流行ったけど、その透明なボトルに物を入れるみたいなこともちょっと流行ったりして。
【きだて】ペットボトル改造して筆箱にするの、ちょっと前に女子高生に流行ったね。
【高畑】そうやって改造したりとか、元々は水筒だったやつにペンを入れてラベルを貼ったりとか、そういう流れでの企画ではあるんだよ。100円ショップなんかでも、ロゴ入りのこういうケースなんかがあったりするんだけど。
【他故】ある、ある、あるね。
【高畑】そういうのと一緒のものが出てきてもしょうがないから、これの特長はペンを取りやすいように、高さを抑えている。
【他故】そうね。ちょっと高いと指を入れないと取れないからね。
【高畑】ボトルをそのまま使うと、ペンをザーッと出さないと取り出せないよねというのがそもそもなんだよ。
――他故さんは、家でペンスタンドとして立てて使っているんですか?
【他故】ええ、基本立てて使えるものが好きなので。ぎっしり入れてますよ。
――フタを付けた状態で、デスクの上に置いているんですね。
【他故】そうです。一番使うのは消しゴムなんですよ。
――ああ、なるほど。
【他故】入れてるペンはセカンドなので(笑)。
【高畑】ちょうどいい高さに消しゴムを置く台みたいな。
【きだて】これ、水筒じゃなくて、多段式のお弁当ジャーなんだよね。
【他故】イメージ的にはね。
――「あばれはっちゃく」の父ちゃんが持ってたやつですね。
【きだて】そう、それ(笑)。上段が浅くなっているところなんかがそれっぽい。
【高畑】機能的にはそっちだよね。
【きだて】一番上に味噌汁を入れるとか。
(一同爆笑)
【高畑】いいね。ここに野菜スティックを入れて、上にごまダレなんかを入れておけば。
【他故】おしゃれ過ぎだろ(笑)。
【きだて】ただ、個人的なことをいえば、透明なペンケースって、汚れがすごい目立っちゃうところがすごい嫌なんだよ。
(一同)あー。
【きだて】ペンケースって、基本的に中が汚れるんだよ。
【高畑】どうしても、底にたまっちゃうよね
【きだて】鉛筆を入れると、縁のところに線をピッと引いちゃったりね。
【他故】あー、それは分かるけど。
【きだて】使ってるうちに加速度的に汚れてくるから、苦手なんだよ。
――そういう人のために、不透明タイプがありますよ。
【他故】それだと、ホコリが気にならない。
――これは、鉛筆じゃなくてカラーペンを入れるんじゃないですか。
【他故】色鉛筆ぎっしり詰めて持ち歩きたいという気になりませんか?
――色鉛筆もそうですし、「プレイカラー」みたいなカラーペンとかどうです?
【きだて】色ペンを詰めてパック感を出すということか。
【高畑】でも、何個もペンケースを持つならあれだけど、学生だったらこれだけで完結したくない? 僕ら大人だったら、色ペンとかを独立したかたちで持つのはアリだけど。どうなんだろうね?
【きだて】どうなんだろうね。中高生でも、カバンの中ギチギチに詰め込んでいる派と、スカスカの奴と両方いるじゃん。
【高畑】これ一つで、シャープペンと消しゴムと定規ぐらいなら普通に入るじゃん。
【きだて】入るよ。これで完結する奴もいるだろうし、もちろん色ペンだけ入れて、それプラス小さい筆箱を持つということもあるだろうし。
――24色ペンとか入りそうですし。
【きだて】24色入るかな?
【高畑】ペンの太さによるけどね。結構入りそうだよ。
【きだて】「プレイカラー」ぐらいだったら入るかな。
【他故】入るんじゃないかな。
【高畑】ちなみに、俺は最近つけペンを使っているんですけど、先がとんがっていて危ないからこれに入れている。
【他故】あー、はいはい。なるほどね。
【高畑】布ペンケースだと突き破っちゃうからさ。
【きだて】そうか、そういう需要には安心だね。フタができるペン立てとして考えるという。
【他故】先がとがっているものは確かにそうだね。
【高畑】とがっているものがはみ出したりはしないので、安全性はあるんだよ。
【きだて】そして、この上にインク入れているの?
【高畑】いやいや、こぼれるでしょ(笑)。
【他故】ここでつけるんだ、…いけるか!
【高畑】密閉性に問題があるから。
【きだて】ここのフタにパッキン付けたバージョンを出せよ(笑)。
【他故】本当に汁物になってきたな(笑)。
【高畑】いやいや(笑)。でも、硬いので、中味がつぶれたりしないし、逆に中身が外に出てきたりもしないので。そういう意味では、極細ペンを入れておいても突き破ったりはしないので。
【きだて】そうだね。
【高畑】0.2mmのペンとか、時々ペン先突き破って出てくるから、それはないね。まあ、安心感はあるっちゃある。
【他故】これって、色のバリエーションは、かわいらしいやつだけなんだっけ?
【高畑】基本的にかわいらしいやつばかりで、色数も結構あるよ。
【他故】自分は不透明なやつを買ったから。
【高畑】ぱっと見男性向けはなかったと思うよ。
【きだて】これって、缶ペンケース以来の久々のハードペンケースだと思うんだよ。
【高畑】最近、ハードなペンケースがあまりないよね。
【きだて】ないんだよ。
【高畑】でも、プラペンケースはそこそこずっと需要がある。四角くてパカッとフタが開くやつ。
【他故】あるね。割と小っちゃくて薄っぺらいやつだよね。
【高畑】真四角でパカッとフタが開くプラペンケースは結構売れていると思うよ。
【きだて】ああそう? じゃあ、ハード系はそれなりに需要があるんだ。俺は「アーム筆入」とか、その辺のイメージだった。
【高畑】いや、そうじゃなくて普通にパカッと開くやつだけど、どこの店へ行ってもそこそこのフェース数は取ってるよ。
【きだて】本当?
【高畑】300円から800円くらいのプラペンケースは意外とあるんだよ。
【他故】薄くて、僕らも知っているんだけど、最近使っていないタイプの筆箱だよ。
【きだて】はいはい。
【高畑】本当にシンプルなケースは意外と無視できないほど出ているんだよね。デコる人も多いみたい。
【きだて】そうか。
【他故】それだと量が入らないから、ぎっしり持つという感じじゃなくて、セレクトっぽい感じになるのかな。
【高畑】そうだね。あんまり無理ができないので。なので、これはこれで一定数あるんだけど、円筒状のものも他にないわけじゃないんだけど…。
【きだて】これとそっくりなやつがあるよね。
【高畑】ボトルが売れているっていうのがあるから、同じときに出てきたりはするので。
【きだて】メイソンジャーが流行ったときに、これを筆箱にするところが出てこないかなと思ったんだけど、さすがにそれは出なかったね。
【高畑】メイソンジャーってちょっと太かったじゃん。で、ボトルが流行ったときに「これはいける」となったんだよ。
【他故】そうだね。
【高畑】メイソンジャーは鉛筆けずりになったじゃん。
【きだて】あったねー。
【高畑】まあ、久々のハード系だし、好きな人はこれで。
【他故】純粋に、立てておくのはいいなと僕は思うので。逆に言うと、寝かせるとかは一切考えないので。
【きだて】寝かせたら好き放題転がるじゃん(笑)。
【他故】これが四角かったらいいのかと言われると、それはそれで微妙なんだよね。
【きだて】やはり、丸いかたちがデザインとしていいと思うよ。
――四角いものが立っていると不安な気持ちになりますかね。
【他故】何だろう。柱はいらないというか、ちょっと違うんですよね。
【高畑】しかしあれだね、消しゴムが入るポケットを付けたのがね。ハードタイプで奥に落ちると、布以上に取りにくいから。
【他故】どうにもならないからね。
【高畑】ドリンクボトルの転用でいいんだったら、ボトル買っちゃうじゃんというところを、文具に仕立て上げるところまではやるという。
【きだて】文房具として発売する以上は、文房具ならではの機能が必要だもの。で、ボトルのパカッと開く感じを生かしつつ、この汁物入れが付いているという(笑)。
【他故】汁物じゃないよ(笑)。
【高畑】メーカーは消しゴムとかふせんとか言ってますけど。
【きだて】ふせん入るか?
【高畑】小さいやつなら入るよ。
【他故】ミニふせんね。消しゴムも100円クラスの大きさじゃ入らないかもな。
【きだて】ああ、そうだね。60円クラスかな。
【高畑】まあ、立つペンケースの一種だね。
【きだて】そうだね。“立つ”ペンケースというか、“立つしかない”ペンケースだけど(笑)。
【他故】まあね(笑)。でも、割と好きですよ。持ち歩くかといったら、またそれはそれで僕の場合は違うんだけど(笑)。家で使う分にはいいですよ。
【きだて】カバンの中でそこそこの容量は必要なんだよ。ハード系で変形しないから。
――女の子はこれを持ち歩くんですか?
【きだて】たぶん、そう。メーカーとしては、女子高生はこれをカバンに入れて持ち歩く前提でしょ。
――布バッグだったら、全然入るでしょ。
【高畑】僕が中学生の頃は、革製の薄いカバンだったけど、今はナップサックみたいなのか、リュックはOKみたいな感じになっているよね。
【他故】ボストンバッグ的なね。学校のマークが入っているのって、大抵ボストンバッグじゃないですか。マジソンスクエアガーデンみたいなやつ(笑)。
【高畑】リュックとかボストンバッグだったら、容量的には多いよね。
――体操着とかごちゃごちゃ入ってても、硬いからすぐに見つかって取り出しやすいですよね。
【他故】ポンと入れちゃうスペースさえあればいいということですよね。
――とりあえず放り込んでおけばいいよということですね。
【他故】そうそう。
【きだて】高さはもうちょい低い方がいいのかな。結構ペンがヒタヒタにならないかな?
【他故】物によるんじゃない。
【きだて】キチキチに入れればいいのか。
【高畑】これも色々やってみての高さなんだろうね。
【きだて】そうだろうね。
【高畑】これ、使い勝手的にはあと1cm低くてもいいんだろうけど、全体的な比率とかが微妙だったりするのかもね。
――15cm定規を入れるとなると、このくらいの高さがないとですかね。
【きだて】う~ん、あんまり飛び出しすぎても嫌だなという感じになるしね。まあメーカーとしては、その辺のバランスなんだろうね。
――そうでしょうね。色々入れると考えたときに、このぐらいの高さがないとダメだと考えたんでしょうね。
【他故】これより長いと持ち歩きにくいし。
【高畑】逆に、そこまで下げた感じがしないけどね。
スマホが置けて便利

――次は「スマスタ」です。何でこのネーミングなんでしょう?
【高畑】スマホが入るスタンドペンケースだからですよ。
――そうか、そっちですね。
【他故】ペンケースの機能じゃなくて。
――前のポケットに入るんですよね。大きめのスマホでも大丈夫かな。
【他故】割と大きめでも入りますよ。
【きだて】駅ナカのカフェみたいな狭い机で仕事しなくちゃいけないときでも、スマホはやっぱり置きたいのよ。メール来るかもしれないし、時間も見たいし。でも、スマホ置いて、筆箱も展開しちゃうと、もうノート広げる場所もないわけ。
【他故】この程度でもデッドスペースだよね。
【きだて】そう。それで、ペンケースとスマホをまとめて立てられるというのは、意外とうれしい人は多いと思うんだ。
【他故】それは分かる。
【きだて】実際、立つペンケースってノマドワーカーみたいな人たちにある程度の需要はあったわけじゃない。そういう人たちにとっては、スマホの場所まで減らしてくれるのはすごくありがたい。
【他故】これはソニックだけど、学童文具じゃないんだよね。
【きだて】ソニックが「今回初めて大人向けに作りました」と言っているからね。
【他故】「中高生の」とは言ってないんだ。
【きだて】さすがに中高生は、授業中に堂々とスマホを置けないから。だから、大人向けだよね。
――そうか、さすがに中高生だとそんな大胆なことはしないか(笑)。
【高畑】これ、タテ置きなんだよね。動画とかガッツリ見る用だったら、ヨコ置きにしたいところだけど、これはちょっと置いておきたいという位置付けだよね。着信あったらすぐに分かるように。SNSの着信はこれで見られるけど、ガッツリ動画を見るモードではないんだよね。
【きだて】だから、スマホスタンドじゃないんだよ、“スマホ置き”なんだよ。一時置き。
【他故】そうだろうね。
【きだて】あとは、入れてみると意外と容量があるんだよ。しかも、このポケットのマチが深いので、消しゴムだけじゃなくてテープのりなんかも普通に入っちゃう。
【他故】確かにね。
【高畑】ひっくり返って入っている状態になるんだよね。
【きだて】そう。だからポケットの口にマジックテープが付いてる。そうじゃないと中の物がポトポト落ちちゃう。ただ、マジックテープが硬すぎて、小さい物を入れるとマジックテープの縁に引っかかって、ちょっと取りづらい。消しゴムは、60円サイズだと取り出しにくくなります。
【高畑】それで、マグネットで留まるというのがこれの特徴だね。
【きだて】スチールデスクに寝かせて置いておくと、取るときに天板にくっついて「うっ、重い!」てなる。
【高畑】あるある(笑)。
【きだて】本体の半分がマグネットだから、くっつくと強いのよ。
――なかなか強力な磁力ですよ。
【高畑】ここら辺は、変形前と変形後のかたちをどうつなぐかだね。
【きだて】この変形後のかたちをどう表現していいのかが意外と難しくて。竹槍の先端みたいなかたちとか。
【他故】かぐや姫的なものかな。
【きだて】そうそう。俺が紹介記事を書いたときは、「かぐや姫が入っている竹みたいなイメージ」って書いたんだけど。
――何か、開けると観音様が立っているような感じがします(笑)。
【きだて】あ~、後ろに後光が印刷されているという(笑)。
【高畑】それで、クルマに轢かれそうになって何故か助かったんだけど、開けてみるといなくなってるんでしょ。
【きだて】身代わりスマスタ(笑)。
【他故】身代わりなのか(笑)。
【きだて】う~ん、このカマボコ型のかたちがね。
【高畑】珍しいの作ったよね。
【きだて】今までにないペンケースのかたち。
【他故】ないね。
【きだて】それで、変形させても今までにないかたちで、大分目新しいよね。
【他故】面白いよね~。
【きだて】かたちの面白さがまずグッときちゃうというのがあって。
【他故】それプラス、筆箱としてもちゃんと機能があって。
【きだて】これもね、そうは見えないけど、薄型幅広ペンケースの一種なのよ。
【他故】あ~、そうだよね。円筒じゃないから、薄いイメージはありますよ。
【きだて】ただ、カバンにするっと入るイメージではないけどね。カマボコ型ってそれなりにデッドスペースがあるので。
【他故】そうだね。
【きだて】でも、折りたたむと、断面が半円と半円で丸になるという面白さもあるので。俺としては、狭いところでのスマホ置き場を作ってくれたという1点だけで十分に感謝したいペンケースなんだけどね。
――スマホを置いておきたい人は多いからいいですよね。
【きだて】誰もがね、ルノアールのそこそこ広い机で仕事できると思うなという話なんですよ。
【高畑】「誰もがコワーキングスペース持ってると思うな」とか、「レンタルオフィスで仕事できると思うな」とかじゃなくて、「ルノアールで」って(笑)。ルノアールはいいぞ、長いこといたらお茶出してくれるし。
【きだて】俺もほんとルノアール愛好者なんだけど、でもルノアールがないところだってあるわけですよ。
【他故】そりゃそうだ。
【きだて】そういうときに、駅前のドトールはありがたいんだよ。ただ、喫煙席だけなぜか机が狭いとか、あるんだよ。
【高畑】そういう喫煙者は、電子タバコとか入れておけばいいんじゃないかな。
【きだて】そうか。
【高畑】そういうのを入れておくのにちょうどよさそうだよ。
【きだて】いいじゃないですか。充電アダプタも入るよね。
【高畑】ペンケースでスマホ立てられるのもいいんだけど、ペンじゃなくてもいいんだよ。
【きだて】ここにスマホが入るんだったら、タバコの箱も入るからね。
【他故】そこにモバイルバッテリーを入れて、充電しながら使ってもいいしね。
【きだて】全然いけるね。
【高畑】だからあれだね、全然子どもっぽくないね。
【きだて】このかたちを生かして、自分はどう便利に使うか?を考えるワクワク感もあるのよ。まさに、今の電子タバコをどうしようという話みたいに。色々とアイデアが広がる形状というのはいいよね。
【他故】安定感もあるしね。
【きだて】個人的には好き。ただ、スチールデスク使っている人には、あんまりおすすめしない(笑)。
【高畑】そうそう。くっついてるとビックリするよね。
シュッと引っぱって、パッと立つ

shuppa-シュッパペンケース(カミオジャパン) スリムなサイズ感でありながら、手軽に自立して使えるペンケース。ひもをシュッと引っ張るだけでパッと立つ抜群の安定設計。小物も分けて仕舞えるポケットタイプで、立てて使うときにもアイテムが整然と並ぶ。税抜1,500円。
――次は「シュッパ」です。
【高畑】これも「スマスタ」と同じで、立てるというところをどんなギミックでやるかということだよね。
【きだて】他メーカーとどう違うことをしようか、という思考の産物。
【他故】さらに言えば、薄型を保持するという発想がいいなと思っているので、これが出たら必ず入手したいと思っているんだけど。
【高畑】ど真ん中で折れるから、結構頭が出るんだよね。
【他故】取り出しやすいのは間違いないし。
――こっちにもポケットありますね。
【他故】これ、消しゴムポケットですね。
【きだて】消しゴムみたいにケース底に沈むやつをどうするかというのは絶対に課題としてあるよね。
【他故】どうやってそれを入れるかで、みんな頭を使っているからね。
【きだて】これが普通の状態にしたときに、こぼれないように横向きポケットになっているとか、芸は細かいよね。
【他故】今、流行りのシャープペンシルの高さが大体揃っているから、そんなに干渉しないというところまで持ってきているし。
【きだて】「オ・レーヌプラス」を入れるとちょっと長い。
【他故】他のより1cmほど長いから(笑)。
【きだて】この玉でいちいち締めるの面倒くさいな。ヒモ引くだけで何とかならないかな。
【他故】それだと留まらないからな。
――フリーストップ?
【きだて】う~ん、何だろう。ジッパー開けて折り曲げるだけとか、そういう簡便さがちょいないなというのがね、気にはなるんだけど。
【高畑】前に、ナカバヤシがプラスチックでこういうのをやっていたよね。
【きだて】あったね。
――「ディスプレイペンケース」ですね。
【高畑】あれの布版かな。開き方がそういう感じだから。あっちがハードタイプで、こちがソフトタイプ。
――まあ、でもよく考えて作られていると思いますよ。
【きだて】実際に、使い勝手は悪くはないしね。
――あとは、ストッパーをどうするかということで。
【きだて】そこだけ。
――そんなに言うほど面倒くさくないような気もしますし。
【きだて】そうかな。慣れれば全然いいのか。慣れてないから面倒だと思っただけかもね。
【高畑】結構ヒモを引っ張ると、鋭角に立つのね。
――きだてさんみたいにザラッと出して、ザラッとしまいたい人には、ワンアクション余計になるから面倒くさいかも。
【きだて】俺ほど面倒くさがりには、向いていないかもしれない。
――そういう人には、「マグネットでくっついちゃえ」みたいな方がいいのかもしれない。
【高畑】だけど、マグネットだと、ちょうどいい角度で立たせることができないから。
【他故】そうすると、ワンアクションで立つという角度が決まった商品になっちゃうものね。パシって立つのはいいけど。
【高畑】立たせなきゃ立たせないで、普通の二つ折りのペンケースなんだよね。
――まあ、そうですよね。スリムなペンケースということで。
【他故】「全部開けなくても、ペンの出し入れができます」というのは、半分開けておけばいいということ?
【きだて】ああ、そういうことか。
【他故】これはちょっと分かりにくいな(笑)。
【きだて】それは、どうでもええわと思うな。
【高畑】これはあれだよね、立たせなくても普通の平たいペンケースだよね。
――立たせなくてもいいわけですよ。
【高畑】このヒモが、クラッチバッグみたいで。
【きだて】こう手でつかむ感じで。
【他故】それはしないよ(笑)。
――何か、集金して回っている人みたい。
【高畑】集金って(笑)、70年代か。
【きだて】あと、全てのものをポケットに収納しないと、立たせたときにザラザラってこぼれちゃうので、容量が生かされている感じがしないなぁ。
――そんなにたっぷり入る感じではないですね。
【他故】たっぷりは入らないですよ。
――必要最低限のものを入れて立たせるという。
【高畑】そこは人を選ぶね~。
――たっぷり入れたい人向けではないですね。
【高畑】基本は平たいペンケースだよね。それを立たせるという。
――でも、カタログの写真を見ると、ペンが6本入ってます。
【他故】化粧品も入ると言ってますね。
――入るんでしょうね。
【きだて】マチを活かせばもうちょっときちっと入るのかな。(スマホを入れてみて)入らないね(笑)。
【高畑】それ、大きいやつだから。小さいのだと入るんじゃない。
【きだて】iPhone7なら入るね。
――スマホ入れでもいいのかな。
【他故】いやいや(笑)。
【きだて】ペンはどこ(笑)。
【高畑】ここにスマホ入れちゃったら、ペンは入らないんだね。
【他故】ペンも入らないし、画面も半分見られないじゃないですか(笑)。
――着信は分かるけど。
【他故】これ、最初に展示されているのを見たときは、「面白いから引いてみて下さいよ」と言われたので、面白系かと思ってたんだけど、そういうような雰囲気でもないような気がしてきて(笑)。
【きだて】それは、実用を考えてやっているさね。
【他故】「面白いでしょ」と言われたので、人を驚かすやつかと思ってた。
――カミオジャパンってファンシー文具系のメーカーですからね。
【高畑】その割にはこの製品は地味だよね。
――色味的にね。
【他故】小中学生が喜ぶ製品かなと思ったけど、そうでもないのね(笑)。
【高畑】あんまり子どもっぽくないよね。
【きだて】そうだよね。
――大人が使う感じですよ。色合い的に。
【他故】女性に持ってもらいたい気が満々ですよね。
――ああ、そうですよね。化粧品が入ると言っていますしね。
【他故】ハンドバッグには厚いものが入らないから、薄い方がいいよね。でも、流行だから立った方がいいよねという。
【きだて】でも、その割にはラインナップが暗色とカモフラ柄ってどういうことだ?
(一同)いや~。
――ああ、でも大人の女性だからじゃないですか。
【きだて】ええ~。
――だって、女性向けの文具を作っているメーカーですもの。
【きだて】カーキはないだろう。
【高畑】ちょっと男っぽいところもあるかな。
――男性も狙っているんですかね。
【他故】カーキやカモフラは男を狙っている気がしますよ。
【高畑】これはね、多分最初にこの立つ機構を思い付いちゃったんだよ。で、多分企画ありきだよね。これ、プロダクトアウト系だよ。
【きだて】試作で作って、「うわっ、おもしろいのできたー!」ってなっちゃった企画の人が目に浮かぶもの。
【高畑】「スマスタ」もこれも、「こうやったら立つ」っていうアイデアを思い付いた力が、バーンってかたちになった気がするよね。
【きだて】そういう意味では、プロダクトアウトのものって、喜びがあっていいんだよね。
【高畑】作った人のニヤけた顔がちょっと見えるじゃない(笑)。
【きだて】「やったー」っていうのがね。嫌いじゃないんだよね、そういう隠れたドヤ顔は。
――他故さんは、これが出たら買うんですね?
【他故】これは買いますよ。薄型になっているという状態が好きなので。立つやつって、それなりに厚くなったり、丸くなったりするやつが多かったので、やっぱり持っているときは薄くなっていてほしいんですよね。
【高畑】他故さんは、薄くて立つやつがいいんだ(笑)。
【他故】その両方を一遍やろうと思った野心的な商品だと考えれば、とりあえず買って使ってみないといけないなと思って。
――コクヨの「ネオクリッツ」に薄型の「ネオクリッツフラット」があったじゃないですか。
【他故】「ネオクリッツ」の割には、物が入らないというのがあって。
【きだて】メーカーとしてはノーマル版と容量は変わらないと言っているけどね。
【他故】でも、今ひとつかな。
【きだて】でも、これは「ネオクリッツフラット」よりは、容量的に落ちそうな気がするけどね。
【他故】「ネオクリッツフラット」の方が入るだろうね。
――ポケットがいっぱいあるから、小分けにできるということですかね。
【高畑】割ときっちりだね。
【他故】そうだ、きっちり系だね。セレクトしてきっちりだ。
【きだて】俺は使わない。何故なら、毎回ポケットに挿すのが嫌だから。
――あ~、そうですよね。ザラッと入れて、ザラッと出したい人ですからね。
【高畑】この間、「どや文ペンケース」の話でさんざんそれを聞いたからね。そりゃ人を選ぶよね。
【きだて】割と几帳面な人だったら、立てたときに全部がきっちり取り出しやすい状態になっているのは、絶対に好感を覚えるだろうね。
――他故さんはきちんと入れるタイプですからね。
【他故】ここのゴムもあるし、ピタッと留まるし、キレイに入っていないと気が済まないですよね。
――ここにどういうものを入れようと思っているんです。
【他故】普通にペンと定規と、あとハサミは入れないと思うんですけど。
【きだて】この辺はマーカーとか太めのものでもよさそうだね。
【他故】そうね。入れるものは、あんまり高級ラインじゃないですね。日常でバリバリ使うものを入れる感じです。
強力スプリングでパカッと開く

――次は「パット」です。
【きだて】スプリングで開くやつですね。
――これは立つんですかね?
【きだて】一応、立つようにはなってる。
【他故】(実際に立ててみて)おっ、立ってる。
【きだて】これで物を入れると安定するのかな?
【高畑】「スマスタ」がかぐや姫だとすると、こっちは桃太郎だね。
【他故】パカッとね。
――なるほど~。
【きだて】ちくしょう、上手いこと言いやがって(笑)。
【高畑】いやいや(笑)。
【きだて】これもかなり容量があるよね。
【他故】あるね~、それ。
【きだて】ひょっとして、これ「どや文ペンケース」以上じゃないか。
【高畑】あるんじゃない。
【他故】元々大きいじゃん、これ。
【きだて】でかい、でかい。
【高畑】何か、上履きみたい(笑)。
――本当だ(笑)。
【他故】上履き2枚重ねだもの。
【きだて】お~、入るね。
【高畑】いや、それは確かに入るよ(笑)。
【きだて】これこそまさにOLの弁当箱じゃん(笑)。
【他故】まんまだね。
【高畑】2段になってて、下がご飯で、上がおかずみたいな…。いや、入るね!
【きだて】これは大容量だよ。
【高畑】中味が入ると、さっきよりも安定感が出てくるね。
【他故】これは、たっぷり物を入れたい人用だな。
【きだて】ただね、立てた状態で使いやすいのは、真ん中のポケットだけなんだよ。マチに隠れて、この左右のポケットには目が行かない。
【他故】じゃあ、真ん中がメインで、こっちは普段あまり使わないものを入れておく感じだね。
【きだて】使い分けがいるかもしれない。
【高畑】「デルデ」や「ネオクリッツ」は、開いたとしてもそのままのカタチだけど、これは上が大きく開くから、広がっている良さというか、それは悪くないよ。
【きだて】ただ、立つペンケースでこれだけ上に広がっていると、ジャマっていう感じがするんだよ。
【高畑】元々の、場所はとらない系だったというのとはまた違う感じで。
【きだて】底面の設置面積は少ないんだけどね。ただ、上にガッと開いているんで、せまいところだとやっぱジャマ。
【高畑】これは細く立つんじゃなくて、ペンスタンドになる機能はあるけど、小ちゃくはない。
――これは、ノマドワーカーじゃなくて学生ですよね。
【きだて】ただ、底面を安定させる仕組みがあんまりないんだよな。ちょっと、不安は不安だな。
【高畑】パチッといく感じではないね。でも、意外と転ばないという。
【きだて】物が少ないとふらつくと思うよ。まあ、でもこんだけ大容量だから、実際はいっぱい入れるよね。
【他故】それでスカスカだったら、持ってる理由がないものね。
――そりゃそうですよね。
【高畑】入ってなくても倒れないわけではないのね。
【きだて】ただね、これは他の立つペンケースにあった、沈むと困る物対策がされてないね。
【他故】特になさそうだよね、ポケットは。
――消しゴムとか入れておくところですよね。あってもよさそうですがね。
【きだて】まあ、中面にポケット付けられても取り出しにくいしな。何か対策されてる?
【他故】ないんじゃないか。
【高畑】これ、外側のカバーに、バネの入ったインナーを差し込んでいるんだね。
【きだて】あ~、なあるほどね。そういうことか。
――取り外しができるんですね。
【他故】そうかそうか、ポケットでも何でもなくて、ここではさんでいたんだ。
【高畑】不思議な作りだな~。
――カバーだけでも使えそう(笑)。
【きだて】これだけでもいいよ。
【高畑】いやいやいや(笑)。
【きだて】フルオープンになるし(笑)。
【高畑】これ、何バネ入ってるの?
【きだて】何だろうね。あ~、コイルだね。
【高畑】コイルスプリングが入ってるんだ。
【他故】そういうところを楽しむ製品じゃないっちゅうの(笑)。
【高畑】いやでもさ、この復元力をプラスチックの弾性に頼んでいたら、開きが悪くなるじゃん。
【他故】ああ、なるね。
【高畑】これ、コイルスプリングだったら、5万回は平気とかいうやつだよね。
【きだて】うん、結構硬いスプリングが入っているね。
【高畑】しっかりしているな。このバネの本気度はすごいよね。
【きだて】かなりがっつりと。その辺は好感が持てるな。
――ここはファンシーメーカーですよね。
【きだて】そうですよね。
――やっぱり、ユーザーは女子中高生ですよね。
【きだて】そう考えると、このバカって開くギミックはとてもいいよね。
【他故】「ほうらっ」てみたいな(笑)。
【きだて】「耳が大きくなっちゃった」感が。
――マギー審司か(笑)。
【きだて】これ、左右で入れているもののバランスを変えると傾ぐかな。
【高畑】どうだろう、言うほど転ばない気もするけど。
【他故】何も入っていないときよりは安定するんじゃないか。
【高畑】何か、脚を付けたくなるね。角みたいな小さい脚を。でも、反発力はすごいね。
【他故】他にはない、すごい個性的な機能だね。面白いよ。
――カバとか動物が口を開けているみたい。
【高畑】そのうち、それに目を付けるんですよ。
【きだて】間違いないね。
――小物を入れるポケットがあればもっといいですね。
【他故】今後はそういう風になっていくんじゃないですか。そういう進化をしていておかしくないですよ。
【きだて】ポケット付ける前に、目を付けてくるんだよ(笑)。
【高畑】ありそう。
――しかも、目玉が動くやつ(笑)。
【きだて】そう、それ(笑)。たっぷり入って、ガバッと開く

――次は「シェルブロ」です。なんかモビルアーマーみたいな名前ですが(笑)。
【他故】水陸両用みたいな感じで。
【きだて】「シェルブロの雨傘」。
――そっちか(笑)。
【きだて】これはね、最初見たときピンとこなかったんだよな。
【高畑】えっ、これこそきだてさん的なザックリ派なんじゃないの?
【きだて】ザックリ派なんだけど、フルオープンにならないし。
【高畑】もうちょっとバカッと開いてほしかったの?
【きだて】一番大きく開いたところで止まる仕掛けがほしかったんだよ。
【高畑】ああ、戻ってこないようにね。
【きだて】これがジワジワ戻ってきちゃうのがね、ちょっと嫌なんだよ。
――多分、そこが貝みたいな感じなんですよ。じょじょに閉じていくという(笑)。
【高畑】塩水に漬けとけば開くよ(笑)。
【きだて】じゃあ、その場その場で焼きたいわ、網焼きにしてやるよ。
(一同爆笑)
【他故】でも、これ相当入るよね。
【きだて】入る。容量はすごいよ。
【高畑】もう、立つとか何も言わなければ、これが一番ザックリ何でも入るという。
【きだて】放り込み系としてはすごくいいんだけど、謳ってるほど中身の検索性は良くないというか。
【高畑】ここに何かつっぱり系があればいいのかな。
――これ、すごいシンプルですよね。
【きだて】本当に、ペンケースはこれぐらいでいいんだ。容量的には、「どや文ペンケース」よりちょい落ちるくらいで、まあ結構入る。(どや文ペンケースの中味をシェルブロに移しながら)飲み込むねー。あ~、でも全部は入らないね。
【高畑】そう考えると、「どや文ペンケース」は入るね~。
【きだて】本当にすごいよ。これでまだちょい余裕があるからね。
【他故】確か、500mlのビール缶が入るっていう話だったからね。
【きだて】あー、そうだね。そう言ってた。
【高畑】でも、あれだよね、コクヨはこの前にも「C2」とか作ってたじゃない。
【きだて】トレータイプのね。
【高畑】あと、「ウィズプラス」もそうじゃない。だから、一方は立てるやつで、もう一方はトレータイプでそれぞれ模索しているんだよね。ずっと。
【きだて】そうだよね。
【高畑】これも多分、一つの試みではあるんだよね。
【きだて】雑に放り込める系もまだ進化は続くはずだし、コクヨも「シェルブロ2」は考えてると思うんだよ。
【高畑】「シェルブロ2」?
【他故】いよいよモビルアーマーみたいになってきたな(笑)。
【きだて】例えばもうちょっとペントレー機能を強化してくるとかさ。中味の検索性ももっとよくなると思っているんだよね。期待してます。
【高畑】中味がもうちょっと入っていたら、もうちょっと開いていてくれるんじゃないの。
【きだて】…あれ、たっぷり入れておくとフルオープンが維持できるな。
【高畑】だからやっぱね、重さで向こうを押してくれるんじゃない。
【他故】重さで開くんだ。
【高畑】こうやってやると、開いてるっちゃ開いてるし。
【きだて】俺が試したときは、そんなに入れずに試したか。じゃあ、これでいいのかな。
【高畑】ある程度は開いていてくれるんじゃね?
【他故】その代わり、全部は見えなくなっちゃうけどね。こんだけ入れると。
【きだて】まあ、ある程度底は浅いので、そんなに探さなくて済むというのはある。悪くない。
【高畑】立つのと違うのは、細かいものを入れても平気というのはあるよね。底が浅いからね。
【きだて】そうそう。
【他故】何でもとにかく突っ込めるというのはいいよね。
【高畑】大雑把に入れるんだったら、これで。あえてこの辺に細かくポケット付けていないのも、これでいいんだろうな。
【きだて】いや、これでいいの。ものぐさな人間が使うペンケースはこうでなくちゃいけない。細かい人間が使うんだったら、ふせん用のポケットと分ければいいんだけど。
【他故】いらないよ、そんなの。
【きだて】ポケットはバカでかく付いていればいいのよ。
――きだてさんのセカンドペンケースとしていいんじゃないですか。
【きだて】選択肢としてアリかもしれない。ただね、大容量の筆箱を持っていて、さらに大容量を持つのってどういうこと? 現に、俺は「パタリーノ」のLサイズがセカンドになっているので、大容量、大容量で、サードもさらに大容量って(笑)。
【他故】さらにドーンだよね。
【きだて】収集つかんよね。
【高畑】そうやってドンドン、ドンドンとね。
【きだて】これ、本体が柔らかいので、多少中味を減らせば、カバンのすき間に放り込みやすいけどね。
【他故】ああ、ギュッとね。
【きだて】この辺はソフトの強みでもあるし。
【高畑】これは、それこそ学生さんでカラーペン一式全部持っているみたいな感じだったら、ちょうどいいのかな。
【他故】ザラザラっといっぱい入ってね。
【きだて】いいと思うよ。
【他故】今日出てきたのって、みんな大体同じくらいの値段ですか?
【きだて】いくらだろう? 1,500円だね。
【高畑】そこら辺だよね。1,000円から1,500円くらいの価格帯がまあいいところだよね。それより高くなると、ちょっとしんどいものね。
【きだて】そうね。
【他故】1,500円のペンケースって、小学生には高いと思うんだけど、よく売れているんだよね。
【きだて】売れているよね。それこそ、昔の多段式筆箱のことを考えれば。
【他故】あれは親に買ってもらうものじゃん。これは自分で買うものじゃないか。
【高畑】ちょっと前に出た「デルデ」なんかも1,200円じゃん。それが1,500円ぐらいならアリかなになってきた。
【他故】昔って、機能が云々って言わなかった頃って、600円から800円が限界じゃなかった? ソフトペンケースなんて。
【高畑】そのぐらいだよね。
【他故】そう考えると、倍くらい高い値段で、これだけ売れるというのは面白いですよね。
【高畑】でも、あれだよね、コクヨなのでソツがないというか、あんまり大きくは主張していないけど、欠点も見当たらないみたいな造り方するじゃん。そこがやっぱりコクヨっぽいなっていう気がするな。中もそんなに派手な色ではないよな。
【きだて】ペンケースの中の色は、あっさり明るい色の方がモノを探しやすいからありがたいというのはあるよね。
【高畑】大抵はそうだよね。
――これは学生向けですか?
【きだて】これは学生が全然いいと思うよ。
【他故】学生ですよ。
【きだて】そう考えると、機能の割にはちょい高だよね。
【他故】機能に金を払っているかどうかだよね。コンセプトに金を払うという。
【高畑】縫製もしっかりしてるしね。
【他故】確かに質はいいなという感じはあるんだよね。
【きだて】ヒンジの縫い付けでこれだけ取ってあるから、多少とがったものを入れても大丈夫だね。突き抜けも少なそう。この貝ひもの部分が。
【高畑】まあ、イメージ的には中高生な感じがするね。「ネオクリッツ」なんかに比べると学生っぽい感じがする。
【きだて】社会人って感じではない。
――1,500円でも中高生が買うんですものね。
【きだて】それこそ、35本入るので、色ペンを大量にごそっと入れたりとか、そういう需要もあると思うので。
【他故】たっぷり入るし、大きいのも入るという。
【きだて】昔のMacBookを思い出すな。
【他故】あったね~、クラムシェルのやつ。
パタンと開いてフラットな薄型ペンケース

――では、最後は「パタリーノ」。他故さんが、Lサイズを愛用されているということで、Lサイズについて取り上げましょう。
【他故】これだけ薄くなって、しかもこれだけ直線に薄くなるのは他にないなぁと思って。
【きだて】完全にブックサイズで。
【他故】そう、美しいですよ。
【きだて】レイメイの人が、「店舗営業をする人は計算機を入れてます」って言ってたよ。
【高畑】じゃあ、「カシオS100」を入れても傷が付かないな。
(一同爆笑)
【きだて】「S100」入るかな~?
【高畑】これ、電卓入れたら、電卓でいっぱいになっちゃうじゃん。
【きだて】電卓プラス、ペン何本かは入るよ。
【高畑】あ~、そういうことか。
――「S100」入れるわけじゃないから(笑)。
【高畑】いやいや、電卓も色々じゃないですか。本格実務電卓とかでかいから。
【きだて】そんなの入れねえよ。
――小さいやつでしょ。
【きだて】ていうので、便利になっているというのは言ってたよ。
【高畑】何か、他故さんが持っていると、コレクションケースな感じがするね。
【他故】そうかな~。でも、実用バリバリだよ。
【きだて】これなんかは、立たせるのじゃなくて、トレーとして便利というのと、薄型で大容量というのがね。
【きだて】芸が細かいのは、ペン先の当たる部分に貫通防止の板が入っているという。
【他故】めっちゃ細かい。
【高畑】それで、全部開くんだよね。不安になるくらい開くね。
【他故】全部開く理由がよく分からないんだけど(笑)。
【高畑】そうだね。これ、何か物が取れなくなった時だけだよね。
【他故】そんな気がする。
――これ、万年筆コレクターが持っているケースですよね(笑)。
【高畑】そうそう。
【他故】中にペンを留めるゴム輪が付いていないだけで(笑)。
【きだて】フタ裏にポケットが付いていて、5×3カードホルダーになっているのってどう?
【他故】いいね~、隠しホルダーみたいに。
【高畑】5×3カード使っている人が、そんなに多くないから(笑)。まあ、でもレイメイだったらアリだよね。
【他故】そうだよ。ぜひ「ツァイトベクター」のシリーズで出してほしいですよ。
【高畑】だったら、ここに付ければいいじゃん。
【きだて】ここは消しゴム用。
【高畑】いや、この消しゴムの奥にね。
【他故】あ~、奥にね。直接には書けないけど、入れる場所があるんだ。
【高畑】そう、差し込む感じで。
【他故】ジョッター機能が欲しいな。
(一同爆笑)
【きだて】ペンケースに?
【高畑】別物だろう!
――他故さんスペシャルでレイメイに作ってもらえばいいのでは。
【高畑】そのうち、6穴のリングとか付いててさ(笑)。
【きだて】それはもう、手帳だよ(笑)。
――レイメイはシステム手帳を作っているから。
【他故】できなくはないですけど、何でも一緒にはしない(笑)。
【高畑】最終的には、昔のオーガナイザー系のね。
【他故】思い出した。その大きさに親近感があったのは、今から25年くらい前に、レイメイ藤井が「オーガナイザーシリーズ」といって、その中にシャープペンとかカッターとか、ああいうのを付けていたけど、それがちょうどこれと同じ大きさだったんだよ、
【高畑】文具セットとして、この中に入れるみたいな。
【他故】そう。会社の面接のときにそれを持っていったよ。
――そういう思い出があったので、これを選んだんですか?
【他故】そういうかたちというか、薄さが欲しかったので。
【高畑】これもきちっと並ぶ感じでしょ。きだてさんはちょっとあれな感じの…。
【他故】あれな感じって(笑)。
――でも、きだてさんはこれを使っているんですものね。
【きだて】これは薄いから、ザラッと放り込んだらペンが自動的に整列するんだよ。
【高畑】ああ、なるほど。
【きだて】ザラッと入れればそれで済むから全然いいんだよ。
【高畑】これはあれだね、コレクターの人としては、これを何個か持っていて、いつも使うやつとは別に、自慢のペンがここに並んでいるとかはありそうだよね。
【きだて】見せるときに「ババーン」と開いて。
――コレクター用のケースって、両側にホルダーが付いてませんでしたっけ? 20本くらい入るやつで。
【他故】ありますね。
【きだて】これは、容量はちょっと上品だけど、大人のお道具箱という感じでいいのかもしれない。
【高畑】ごちゃごちゃ入れるのには向いていないけどね。修正テープだ何だという話ではなくて、ペンだけだね。
【きだて】でも、はさみなんかも意外ときれいに入るんだよ。意外とね、ペンを入れると上が空くんだよ。
【高畑】なるほど、いっぱい入れなきゃね。
【他故】これは、一目惚れに近い状態で買ったので。
【高畑】しまった時の収まりが断トツにキチッとしているよね。しまった時の視覚感がすごい。
――これ、Sサイズはどうなんです?
【他故】あれは、筆箱のかたちに見えちゃって、逆にあまりそそられなかったです。
――Lサイズは、手帳と同じくらいの大きさですものね。
【他故】普段持ち歩いている物の中では、割といい感じ。
【高畑】平たいから、ビジネスバックなんかに入れるのにちょうどいいね。
――他故さんの持っている手帳なんかとほぼ一緒ですね。
【他故】割といい感じの大きさで(笑)。ちょうどいい感じで重なってくれるので、待ってた大きさがついに来たという感じがすごくある。
【きだて】手帳と重ねて持ち歩くのにちょうどいいんだよね。
【高畑】「ネオクリッツフラット」もフラットだけど、真ん中がちょっと丸くなるんだよね。これは完全にフラットだものね。
【他故】時代がこれを求めているかは分からないけど、自分が求めていたものなので。
【きだて】これは俺も好き。
【他故】あまりぎっしり入れると、重くなっちゃうのが難点かな。
【高畑】形がかっこいいよね、四角くて。
【きだて】フルオープンにすると、文具の入れ替えが楽なんでね。
【他故】これは、ポケットがどうのとか、持ち運びがどうのというのをある程度解消してくれているので、多分長く使うと思いますよ。
Vol.7後編はこちら
プロフィール
きだて たく
小学生の時に「学校に持っていっても怒られないおもちゃ」を求めて、遊べる文房具・珍妙なギミックの付いた文房具に行き当たる。以降、とにかく馬鹿馬鹿しいモノばかり探し続けているうちに集まった文房具を「色物文具=イロブン」と称してサイトで公開。世界一のイロブンコレクターとして文房具のダメさ加減をも愛する楽しみ方を布教している。著書に『イロブン 色物文具マニアックス』(ロコモーションパブリッシング)、『愛しの駄文具』(飛鳥新社)など。東京・京橋の文具店・モリイチの文具コラムサイト「森市文具概論」の編集長も務める。
色物文具専門サイト【イロブン】http://www.irobun.com/
【森市文具概論】http://shop.moriichi.net/blog/
他故 壁氏(たこ かべうじ)
文房具トークユニット〈ブング・ジャム〉のツッコミ担当。文房具マニアではあるが蒐集家ではないので、博物館を作るほどの文房具は持ち合わせていない。好きなジャンルは筆記具全般、5×3カードとA5サイズノート。二児の父親。使わない文房具を子供たちに譲るのが得意。「森市文具概論」で「ブンボーグ・メモリーズ’80s」を連載中。
たこぶろぐhttp://powertac.blog.shinobi.jp/
*このほか、ブング・ジャム名義による著書に『筆箱採集帳 増補・新装版』(廣済堂出版)があるほか、弊社よりKindle版電子書籍『ブング・ジャムの文具放談』シリーズを好評発売中。購入はこちらから。
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