1. 新製品&ニュース
  2. 【ニュース】鎌倉の印章店が「はんこ作り体験」をスタート はんこ屋3代目から教わる「はんこ」の良さ

【ニュース】鎌倉の印章店が「はんこ作り体験」をスタート はんこ屋3代目から教わる「はんこ」の良さ

鎌倉駅の南側に位置する商店街「御成通り」。通り中ほどの道を曲がると、白塗りの壁に藍色の扉が映える印章店「鎌倉はんこ」が見えてくる。
同店で扱っているのは、手作りの彫刻印鑑のみ。店内には印鑑の材料が50種類、印鑑ケース200種類がずらりと並んでいる。

同店ではこの冬、「はんこ作り体験」ができるサービスを開始した。「はんこを自分で彫れる」というめずらしいサービスについて、編集部員が話を伺った。

「脱はんこ」が進むからこそ伝えたい「はんこの意味」

今回、話をしてくれたのは「鎌倉はんこ」代表の月野允裕さん。印章店の3代目として、妻の千恵子さんと2人で店に立っている。

はんこ作り体験のサービスを始めた主な理由は「脱はんこ」の動きにある、と月野さん。
「"押印"の意味って幅広いんです。けれどひとまとめに『脱はんこ』と唱えられてしまいます」。行政が進めている押印の見直しについて、そう話し始める。


月野さん.jpg

「鎌倉はんこ」代表の月野允裕さん

日頃考える機会の少ない"押印"の意味。思いを巡らせてみると、さまざまな意味を含んでいることに気が付く。
荷物の受け取りなどで行う「確認」の行為として、また結婚や離婚など人生の節目に「意思の担保」として、さらには銀行などで必要な「本人確認」の役割もある。
これに加え、「意思の担保」として使われる時には、その「意思決定の重要度」も場合によって異なるんですよ、と"押印"という行為の意味について、月野さんは解説する


店内・印材.jpg店内には、あらゆる種類の印鑑材料が並ぶ

しかしさまざまな場面で、押印の見直しとデジタル化が進められている昨今。
「私自身もデジタル化の恩恵は十分に受けていますし、デジタル化によって社会が良くなるなら大いに賛成です」。独立前、IT企業に長く勤めていたという月野さんは、明るい口調でそう話す。


その一方で「でも、すべてのはんこを無くしていいのかというと、そうでもないと思うんです。デジタル印鑑にも、はんこにも、はたまたサイン文化にも、それぞれのメリット、デメリットがありますし」。

「ただ、今はいろんなものにはんこを押すようになって、”押印”というものが形骸化してしまっているように思います。なので”押印”をすることの意味やメリット、本質の部分をきちんと考えて伝えていくのが、自分たち印章店の役目だと思ったんです」と月野さん。「脱はんこ」の動きが強まる中、それを自ら伝えていく場として「はんこ作り体験」を始めようと決めた。

作ったその日に持ち帰れる!手軽な「はんこ作り体験」

体験の内容は落款の彫刻、認印や実印の作成、また子ども向けにはスタンプ作りなど、老若男女に向けてさまざまな内容を用意している。

作るはんこの種類によって値段は変わるが、価格は3,000円程度から、所要時間は1時間前後。

たとえば石のはんこをつくる「落款彫刻の体験」なら1文字の印面を彫る内容で、道具レンタル代1,480円、材料費1,500円ほど。

体験工房.jpg木の温もりを感じる体験工房の内部

手順は、まず彫る文字やデザインを決め、石の印鑑にトレースし、印刀を使って彫刻する。その後仮の押印をして、修正などの補刀を施し、最終押印をして完成、といった流れになる。国家技能士資格を持つ月野さんと妻の千恵子さんが教えてくれるので、初心者でも安心して参加できる。

体験した人からは、「はんこは身近にあるのに自分だけで作るのは難しいもの。こうして作れると愛着がわきます」と前向きな声があったそう!

体験カット.jpg体験の様子

さらには彫刻の体験だけでなく、はんこの種類や意味についても学べるなど、充実した内容となっている。
「はんこは、日本に暮らす人のほとんどが持っているもので、日本人のアイデンティティのひとつだと思います。海外のサイン文化との違いなども伝えられたら」と月野さん。

手ぶらで参加できて、はんこの種類によっては当日の持ち帰りも可能。気軽に外出できるようになったら、鎌倉観光にはんこを作り体験をするのも楽しそう!
なお体験は完全予約制で受け付けている。申し込み、ほか詳細については同店HPまたは体験専用サイトから。

【文具のとびら】が気に入ったらいいね!しよう