1. 連載企画
  2. 【連載】月刊ブング・ジャム Vol.79 ブング・ジャムがおすすめする引っ越し便利文具 その1

【連載】月刊ブング・ジャム Vol.79 ブング・ジャムがおすすめする引っ越し便利文具 その1

文具のとびら編集部

本サイト編集長の文具王・高畑正幸さん、イロモノ文具コレクター・きだてたくさん、ブンボーグA・他故壁氏さんの3人による文具トークライブユニット「ブング・ジャム」が、気になる最新文房具を独自の視点から切り込んでいく「月刊ブング・ジャム」。今回は、引っ越しの際に便利な文房具をブング・ジャムのみなさんに紹介してもらいました。

第1回目は、きだてさんおすすめの「カイコーンPRO」です。

写真左から高畑編集長、他故さん、きだてさん*2023年6月3日撮影
*鼎談は2023年10月3日にリモートで行われました。

引っ越しはPROにおまかせ

カイコーン.jpgカイコーンPRO(オルファ)

■文具のとびら関連記事■
開梱用カッター「カイコーン」にプロ仕様の替刃式が新登場!
https://www.buntobi.com/articles/entry/news/013879/

『カイコーンPRO』を楽天でチェック

『カイコーンPRO』をAmazonでチェック

――先日、きだてさんが引っ越しをされたということで、今回は引っ越しに役立つ文房具を紹介していただきます。まずは、何と言ってもきだてさんにご紹介いただきましょうか。

【きだて】とりあえず、今は段ボールを開け続ける毎日なんですけども。なんかもう、賽の河原で石を積むがごとく段ボールを開け続けるという。

【他故】ふふっ(笑)。

【きだて】段ボールを開けては、折りたたんでダンボールを詰め込んでいくっていう。これを鬼が崩してったらどうしよう、ぐらいの感じなんですけど。

【他故】ははは、何鬼なんだよ(笑)。

【きだて】とは言うても、文房具ライター的にはある意味チャンスじゃないですか。段ボールを開ける文房具をがっつりと試せる、またとない機会なわけで。

【高畑】そうだね。

【きだて】正直な話、今まで俺の中でのベスト段ボール開梱ツールはミドリの「ダンボールカッター」だったのね。

【高畑】あの丸いやつね。

【きだて】なんだけど……それはあくまでも平時というか、日常の話だった。引っ越しの時に使うとなくなるね、あれ。

【他故】なくなる!? 作業中に?

【きだて】小さ過ぎて。

【高畑】うん、分かる分かる(笑)。

【きだて】だってさ、引っ越し中ってもう周りがぐちゃぐちゃなわけじゃない。箱を開けて、ダンボールカッターを脇に置いたら、もう次の瞬間から視認できなくなるんだよ。「あれ、どこに置いたっけ?」って(笑)。今度の家は間取り的には5Kなんだけど、現時点で、おそらく全ての部屋に1個ずつ「ダンボールカッター」の紛失したものが紛れ込んでる。

【高畑】紐付けりゃいいじゃん。紐付け用の穴が付いてるんだからさ。

【きだて】そうするべきだったと思って。

【高畑】でも、もうなくなっちゃったんだ。

【きだて】気づく前になくなったね(苦笑)。マグネットが付いてるもんだから、何かの金属の部分にピタッとくっついて、そのままなんか…。

【高畑】うっかり無意識に付けちゃうんだね。

【きだて】そうそう。もしくは、箱の中になんか鉄物とかが入ってたら、そこにくっついて思いもよらない位置にいっちゃったりするんだよ。

【高畑】はぁー。

【きだて】ていうのがあったので、結局のところ全てにおいて万能だったのはやっぱりこれなわけですよ。

【他故】ああ、「カイコーンPRO」ですか。

【きだて】「カイコーンPRO」はやっぱりすごかった。まずね、色が派手だからなくならない。

【高畑】それは、オルファが昔から言っていることではあるよね。

【きだて】やっぱりこの黄色は目立つよ。引っ越し空間でもちゃんと視認できて、とても偉い。あとね、ガツガツ開けていくのに、これ以上に向いてるものはないなと。今回は引っ越し屋さんに荷造りをお任せしたのね。で、引っ越し屋さんが箱を閉じるのに使ってるクラフトテープがやたらと粘着が強くて、段ボールノコタイプの開梱ツールだと、あっという間に刃が粘着で詰まっちゃう。

【他故】うん。

【きだて】ところが「カイコーンPRO」だと替刃があるじゃない。粘着がついてベトベトになったら、速攻で刃を交換しちゃう。そういうやり方ができるので安心感がものすごく強い。

【高畑】それで気をつけなきゃいけないのは、替刃が入ってる段ボールがどれか分かんなくなっちゃうっていう問題があるものね。

【きだて】今回ね、開梱ツールに関しては段ボールに入れず、リュックに入れて持参しました。

【他故】偉い(笑)。

【高畑】そこ大事ね。

【きだて】他のものもハンドキャリーにすればよかった。特に工具類はハンドキャリーすべきだった。今まだ工具入れを詰めた段ボールが見つからないので、浄水器とか食洗機が取り付けられなくて、色々と不便なんですけど(苦笑)。

【他故】ああ~。

【きだて】まあそれは余談として、今回ね「ダンちゃん」「カイちゃん」「ダンボールカッター」、それとナカバヤシの「メジャーが付いたギザノコ刃カッター」、ノーマルの「カイコーン」と「カイコーンPRO」の6つを持ってきたんだけども、やっぱり一番は「カイコーンPRO」。

【高畑】「開梱のプロ」だと言ってるだけのことはあるんじゃないですか。

【他故】ははは(笑)。

【きだて】しかも、箱開けるだけじゃなくて、例えば緩衝材としてプチプチを巻いてたりとか、シュリンクラップでぐるぐる巻きにして動かないようにしたりとか、そういうの結構あるんだけども。それもね、「カイコーンPRO」の刃で無理やり裂いちゃうっていうのがね、結構手早い。さすが流通の現場で使われるだけあって、かなりオールマイティ。本当に楽でした。

カイコーン2.jpg【高畑】なるほど。

【きだて】次に役立ったのが、意外と「メジャーが付いたギザノコ刃カッター」だった。

【他故】そうなんだ。

【きだて】引っ越しするときに欲しいものが揃ってた。

【他故】ああ、1個でね。

【高畑】何が入ってるんだっけ?

【きだて】メジャーとカッター、それとマグネット。あとは定規か。メジャーは1mなので、そんなに大したことないと思ってたんだけど、意外とね隙間家具とかで「ここに入ったっけ? 何㎝だっけ?」というのに、でっかいコンベックス持ち歩くの面倒くさいじゃない。1mメジャーで事足りることもわりと多いし。あと、古い戸建でそこらじゅうがすでにネジと釘の穴だらけなのね。だからもうこっちも釘打っちゃえって話なんだけど、その釘をちょっとストックしておくのに、マグネットがあるとかなり楽という。

【高畑】へぇー。

【きだて】ノコは開梱にはほとんど使ってないけど、バラしたあとの段ボールを分解して廃棄する際には使うと楽そうだし、意外と活躍する機会がありました。明らかにイロモノだと思ってたんだけどね。

【高畑】ノギス機能とかはね。

【きだて】ノギス機能は活躍する場がなかったんだけどね。

【高畑】少なくとも、引っ越しでは要らないね。

【きだて】今のところ、1日に10箱、20箱を開けて行った結果が、「カイコーンPROプロは便利だな」っていう、当たり前の結論に行き着くっていうね。

【他故】文字通り、「さすがPRO」って感じだね(笑)。

【きだて】でもね、1日に替え刃2回ぐらい替えたりするので、最初に買っておいた10個の替え刃が速攻でなくなったので、追加で今頼んでるところです。

【高畑】最初めっちゃ切れるんだよね。ベタベタがつき始めると封筒とか引っかかって開かなくなっちゃうけど。

【きだて】替えたばっかりだと、本当にプチプチとかもサーッて引き切れるんだけど、ちょっとでも粘着ついちゃうとフィルム系はダメだね。

【他故】そうだね。

――PROじゃない普通の「カイコーン」も使ったんですか?

1.jpg

使い切りタイプの「カイコーン」(オルファ)


■文具のとびら関連記事■
開梱作業がカンタンに、より安全にできる「カイコーン」
https://www.buntobi.com/articles/entry/news/009295/


【きだて】使ったんですけど、本体が薄べったいじゃないですか。力強く握ってると、手の方が痛くなってくるんですよ。握りづらい。あとやっぱりね、替え刃がない分寿命がすぐにくる。

【高畑】確かにね。全部交換になっちゃうからね。

【きだて】あとは先っぽを突き刺して切り開いてとかね、あの辺の持ち替えが面倒くさい。

【高畑】あれはプラだから、先っぽの部分が。PROはメタルだから、そこはいいよね。

【きだて】あのプラの先っぽが、布テープには入らない。布テープとPPテープにはすごく弱い。あれで裂けるのはクラフトと養生テープだけ。やっぱ金属じゃないとダメ。

カイコーン3.jpg【他故】なるほど。

【きだて】自分が「カイコーンPRO」のレビューで書いたことが、まんまスケール大きく体感できたっていう。

【高畑】じゃあ、間違いではなかったという。

【きだて】俺のレビューは何も間違っていなかった。

【他故】素晴らしい(笑)。

――じゃあ、まだまだ「カイコーンPRO」が活躍する余地があるわけですね。

【きだて】今後も要るね。

【高畑】全部でダンボールは何個あるんだっけ? 開けた数が300個近くあるって言ってたもんね。

【きだて】実際の数は数えられてないんだけど、多分少なくとも250は超えてると思うけど。

――それだけの数があるんなら「カイコーンPRO」使った方がいいですよね。

【他故】250も開ける人はプロですよ。

――そうですね、開梱のプロですね(笑)。

【きだて】3日かけた引っ越しはダテじゃないですよ。

【他故】ははは(笑)。

【高畑】3日かけたっていうはすごいね。それは3回移動したってこと?

【きだて】そう。午前中におばちゃんたちが梱包して、午後からお兄ちゃんたちが運び出すっていうスケジュールを3日間繰り返した。

【高畑】その3日間っていうのは、ぴったりぐらいだったの?

【きだて】2日プラス予備日1日だったんだけど、がっつり3日間かかりました。

【高畑】3日とっておいてよかったんだ。

【きだて】最初は3トン車トータル5台という話だったんだけど、幸いにも途中でちょい下方修正されて、3トン車2台と2トンロング3台で済みました。

【高畑】いやいや、ちょっと待って。

【他故】大して変わってない気がするんだけど(苦笑)。

【きだて】いやいや、3トン車と2トンロング車は違うぞ。

【他故】それは、そうかもしれないけど、台数が変わってないじゃない。

【高畑】すごいね。なんかちょっとなんか見てみたい気がするな。

【他故】それは、段ボール250個になるわな。

【高畑】さすがにトラック5台で、しかも3日間っていう引っ越しが想像できないな。俺は東京に出てくる時は、言っても2トンと2トンロング1台ずつで来たからね。まあ、当時からはもちろん今の方がモノが増えてるけどさ。

【きだて】でも、冷静に考えてみ。1人暮らしで2トン車2台は異常だぞ。

【高畑】そうだよ、多いなと思ったけど、それでも1回だからね。2台分の移動だけど、きだてさんの場合はのべ15台が移動してるからね。

【きだて】違う違う。3日間トータルで5台だから。1日目2台、2日目2台、3日目に1台でトータル5台だから。

【高畑】あ、そういうことね。

【他故】15台はないだろ(笑)。

【きだて】それはコンボイ大陸縦断みたいな話だぞ(笑)。

【高畑】いやもうなんか、俺が頭の中では「マッドマックス怒りのデス・ロード」のように、きだてさんが後ろで火を噴くギターを持っててみたいなイメージで(笑)。

【きだて】竿で揺られてる人はいませんでした。

【高畑】いやいや、大変でしたね。

――「大変でしたね」じゃなくて、まだこれから続くんですよね。

【他故】まだまだこれからで、終わってない。

【きだて】まあなんとか、年明けには皆さんをお呼びできるようにしたいと。

【大変】本当に頼むよ。

【他故】持ってるよ。

*次回は、他故さんおすすめの「マーカー差し」です。

■文具のとびら関連記事■
コンパクトな丸型の「ダンボールカッター」がさらに使いやすくリニューアル
https://www.buntobi.com/articles/entry/news/012504/

梱包・開梱に必要な4つの機能を搭載した「メジャーが付いたギザノコ刃カッター」
https://www.buntobi.com/articles/entry/news/018128/

プロフィール

高畑 正幸(たかばたけ まさゆき)
文具のとびら編集長。学生時代に「究極の文房具カタログ」を自費出版。「TVチャンピオン」(テレビ東京系列)の「文房具通選手権」では、3連覇を達成した。サンスター文具に入社し商品企画を担当。現在は同社とプロ契約を結び、個人活動も開始。弊社が運営する文房具のWebマガジン「文具のとびら」の編集長も務めている。著書は『究極の文房具カタログ―マストアイテム編―』(ロコモーションパブリッシング)、『究極の文房具ハック』(河出書房新社)、『そこまでやるか! 文具王高畑正幸の最強アイテム完全批評』(日経BP社)、『文具王 高畑正幸セレクション 一度は訪れたい文具店&イチ押し文具』(監修/玄光社)、『究極の文房具カタログ』(河出書房新社)、『文房具語辞典』(誠文堂新光社)と、翻訳を手がけた絵本『えんぴつとケシゴム』(KADOKAWA)。
https://bungu-o.com/


きだて たく

小学生の時に「学校に持っていっても怒られないおもちゃ」を求めて、遊べる文房具・珍妙なギミックの付いた文房具に行き当たる。以降、とにかく馬鹿馬鹿しいモノばかり探し続けているうちに集まった文房具を「色物文具=イロブン」と称してサイトで公開。世界一のイロブンコレクターとして文房具のダメさ加減をも愛する楽しみ方を布教している。著書に『イロブン 色物文具マニアックス』(ロコモーションパブリッシング)、『愛しの駄文具』(飛鳥新社)など。
色物文具専門サイト【イロブン】http://www.irobun.com/

他故 壁氏(たこ かべうじ)
文房具トークユニット〈ブング・ジャム〉のツッコミ担当。文房具マニアではあるが蒐集家ではないので、博物館を作るほどの文房具は持ち合わせていない。好きなジャンルは筆記具全般、5×3カードとA5サイズノート。二児の父親。使わない文房具を子供たちに譲るのが得意。ラジオ番組「他故となおみのブンボーグ大作戦!」が好評放送中。ラジオで共演しているふじいなおみさんとのユニット「たこなお文具堂」の著書『文房具屋さん大賞PRESENTS こども文房具 2022』が発売中。
たこぶろぐhttp://powertac.blog.shinobi.jp/

「ブング・ジャムの文具放談・完全収録版~2022年Bun2大賞を斬る!~」〈前編・後編〉をコンテンツプラットフォームnoteで公開中。

【文具のとびら】が気に入ったらいいね!しよう