1. 連載企画
  2. 車椅子ライターから見た 弱い力でも使いやすい文具たち
  3. 【連載】車椅子ライターから見た 弱い力でも使いやすい文具たち #64「文具マーケット(第3回)参加しました!」

【連載】車椅子ライターから見た 弱い力でも使いやすい文具たち #64「文具マーケット(第3回)参加しました!」

波子

9月17日(日)、浅草橋ヒューリックホールで開催された「文具マーケット(第3回)」に出展してきました。
2月の第2回に引き続き、2回目の出展です。
今回は、そのご報告をいたします。

書籍『弱い力でも使いやすい 頼もしい文具たち』と掲載文具の一部を販売

 202309namiko1.jpg文具マーケット(第3回)チラシ掲載の告知



9月17日の朝10時少し前、会場の浅草橋ヒューリックホールに入りました。既に多くの出展者さん方が準備にかかっておられて、やや焦りながら入場したのを憶えています。
78ブースが並ぶ会場はとてもきれいで、早くも熱気に溢れていました。私のブースは前回同様、車椅子でも出入りしやすいよう端の配置にしてくださっていて、ありがたかったです。
手伝いを頼んでいた友人2人も駆けつけてくれ、11時の開場までに何とかブースを整えねばなりません。

前回は書籍『弱い力でも使いやすい 頼もしい文具たち』のみの販売で、あとは持参した掲載文具をお試しいただくのみでしたが、今回は文具も一部販売しました。
その理由としては、前回「ハシレ!エンピツケズリ!」(プラス)をお試しになった複数の方が「これ買うよ!」とか「これは売ってないの?」とお声掛けくださったから。その場でお買い求めいただけないことがとても心苦しく感じたのです。

会場に届けたダンボール箱からまず布を取り出し、長机の半分(90×90cm)に敷いて垂らしました(友人たちが)。そして次々と文具を取り出しては一旦積み上げ、ポスターを吊り下げるアームを組み立て、ブース前にもポスターを貼り、書籍を出して積み上げ、みるみるうちにブースが仕上がっていきました。すべて友人たちの手によって!
本当にありがたいことです。私は足りていなかった値札を作っただけではないでしょうか。車椅子の高さからテーブル上にものを並べることは難しいのだなと改めて思い知りました。みんなありがとう。

202309namiko2.jpg

設営後のブース。左側に書籍、中央に販売する文具、右側にお試し用文具を並べた


11時の開場ギリギリに、何とか間に合いました。
この時間に入場されるお客様は、2000円のチケットをご購入くださった方々です。ここから通常チケット(1000円)入場の正午過ぎまでずっと、お客様がひっきりなしに会場をくまなく回っておられる濃厚な時間でした。
私たちのブースにも、この時間帯が最も多くのお客様にお立ち寄りいただけました。前回は午前中まだワタワタ接客していた私ですが、今回は販売経験者の友人がついてくれていたお陰で、私も何とか緊張しすぎずに応対できたと思います。できていたはず。


202309namiko3.jpg4月に新調した車椅子で参加しました

嬉しかったことのひとつが、「文具のとびら、読んでますよ!」と仰るお客様がたくさんお声掛けくださったこと。さすが文具好きの方々ばかりが集うイベントですから、「文具のとびら」の浸透度が高いですね…!
次に出展するときは「文具のとびらでの連載を書籍化!」ともっとアピールしたPOPを用意しようと決意しました。

14時を過ぎたあたりから人の波が引き始め、友人たちにも他のブースを見て回ってもらう余裕ができました。
そして「ハシレ!エンピツケズリ!」はブルーを1台お買い求めいただけました! お子さん方に一番お試しいただいた文具でしたので、嬉しかったです。他にもお試し回数が多かった「早技ゼムクリップとめ機〈クリラーク〉」(LIHIT LAB.)や「まほうのペーパーリボン」(ビバリー)は持参した数を完売しました。「ミニクリーナー」(ミドリ)も人気でした。

X(旧Twitter)の書籍公式アカウント(@tano_bun)のフォロワーさんが来てくださったり、mixi時代からの友人がわざわざ出向いてくれたりと、今回もまた出会いと再会がありました。
東京でのイベント参加ならではのことでもありますから、今後もまたぜひ参加したいと思っています。

次回の文具マーケット(第4回)は2024年1月14日(日)開催。会場は東京の大田区産業プラザPiO 大展示ホールです。
9月24日から出展受付を開始しています。先着順とのことですから、「出展してみたい」と思われる方はぜひお急ぎください!
http://bungumarket.com/
私は次回は不参加ですが(もし積雪したら車椅子では動けなくなるため)、なんとブース数150卓とほぼ倍増ですから、規模が大きく変わりますね。

プラスの「メクリッコ キャッチ」、ステッドラー日本の「ノリス ジュニア 色鉛筆」

文具マーケットにおいでくださったお客様の中には、ご自身やご家族の筋力が弱いなどの理由で、私に「どういった文具が使いやすいですか?」とお尋ねくださる方もいらっしゃいます。
今回は、ご自身の手にしびれがあるという方がお見えでした。書籍の見本を手に、どれが自分に合っているか聞きたいとのこと。書籍の章立てでは、連載でご紹介した文具を「握る力が弱い」や「つまむ力が弱い」などと分類していますが、「しびれがある」に対応するカテゴリーは設けていません。
その方は、ペンを持ったり、ノートなどのページをめくったり、とにかく指を使う度にしびれが気になるとのことでした。
私がお勧めしたのは、プラスの「メクリッコ キャッチ」。指先にはめるコンパクトな指サックでありながら、指の腹を爪の先まで覆ってくれる頼もしさがあります。

202309namiko4.jpgプラス「メクリッコ キャッチ」。鉛筆を持つ指先にはめると滑り止めに


滑り止めが効くので、ペンや鉛筆を持つのに軽い力でキープできたこと、ページをめくるのも指にさほど力を込めなくても大丈夫なことをお伝えしました。
文具を使うすべてのシーンで役立つかは分かりませんが、指先を使うときに必要な力を軽減してくれますよ、とお伝えしたところ、ご納得いただけたようです。
「メクリッコ」シリーズはたくさんのラインナップがあるので、「『キャッチ』がオススメですよ!」と念押ししておきました。

※こちらの記事でご紹介しています
#45「進化する指サック」
https://www.buntobi.com/articles/entry/series/namiko/014838/


前回の文具マーケットでは、筆圧の弱いお子さん向けに「良い鉛筆はないですか?」と聞かれました。
私は普段あまり鉛筆を使わないのですが(この連載でも鉛筆自体を取り上げたことはありません)、以前購入して気に入っている三菱鉛筆の「筆鉛筆 10B」をお勧めしてみました。埼玉県の小学校で教材として使われているそうで、鉛筆なのに「はね」や「はらい」が表現できるほどに芯が太く柔らかいのが特徴です。
10Bというさすがの柔らかさは、本来筆圧が必要な鉛筆での運筆をかなりスムーズに行ってくれますよ。

また、そのときに「色鉛筆ならこちら!」とお勧めしたのが、ステッドラー日本の「ノリス ジュニア 色鉛筆」です。軸が太く、2歳から使えるほどに筆圧が要りません。

202309namiko6.jpgステッドラー日本「ノリス ジュニア 色鉛筆」。写真は旧版のもの


※こちらの記事でご紹介しています
#23「太くて描きやすい色鉛筆」
https://www.buntobi.com/articles/entry/series/namiko/010954/
(連載時から商品名がリニューアルしています)


これからも私が使いやすいと感じた文具を収集しご紹介していくことで、こうした「文具のお悩み」にもお答えできるようにしたいな、と改めて思った次第です。

もしも、この連載をご覧いただいている方の中で、筋力が弱いなどの理由で文具に対するお悩みがございましたら、ぜひ編集部宛てにご連絡ください。私がお答えできる範囲内で、寄り添ってくれる頼もしい文具をご紹介いたします。(ご期待に添えないときはごめんなさい。)

プロフィール

波子
1974年生まれ。脊柱側弯症、先天性ミオパチーのため、2006年に杖歩行となり、2012年から車椅子、2014年12月から簡易型電動車椅子を使用。便利な道具や文具が好き。
奈良県奈良市で生まれ育ち、大阪・東京での暮らしを経て現在奈良市在住。
産経新聞奈良版および産経WESTにて連載「車いすでみるなら」2015年2月~2019年5月、全70回。
ブログ「車椅子、ときどき杖。」http://nam-kid.hatenablog.com/
初の著書『弱い力でも使いやすい 頼もしい文具たち』を2022年10月25日に小学館から発刊


202210namiko11.jpg

『弱い力でも使いやすい 頼もしい文具たち』をAmazonでチェック

【文具のとびら】が気に入ったらいいね!しよう