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【連載】車椅子ライターから見た 弱い力でも使いやすい文具たち #45 「進化する指サック」

波子

前回、指先や切手を湿らせるのに便利な「メクボール コンパクト」をご紹介しました。
https://www.buntobi.com/articles/entry/series/namiko/014631/

私は主に切手を湿らせるのに使いますが、「メクボール」という名前の通り、指先を湿らせて紙などをめくるのがメインだと思います。

一方で、何枚もの紙を続けてめくったり、めくる合間にペンで文字を書いたりする場合には、指サックが便利ですよね。
私は事務仕事から遠ざかって久しいので、しばらく指サックとはご無沙汰していたんですが、先日ふと文具店で棚を眺めていたら、何だか進化した形の商品が目に留まったんです。
また、それとは別に、昨年から話題になっている指サックも手に入れてみましたので、併せてご紹介します。

プラス「メクリッコ キャッチ」

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202111namiko2.jpgプラスの「メクリッコ キャッチ」。パッケージ内ケースの絶妙な凹凸で固定されている



プラスの「メクリッコ キャッチ」は、従来品より摩擦力が2倍に進化した指サック。2018年から販売されています。

私が事務員をしていた頃、リング型の指サック「メクリッコ(ラバータイプ)」には大変お世話になりました。指先が覆われないので、はめたままペンで文字を書いても邪魔に感じないんですよね。
メクリッコ キャッチは、めくり側が指の腹を先まで完全に覆ってくれるので、指先でも紙をめくることができます。
これがかなり便利。
メクリッコだと、指の腹を紙に当てるよう意識的にしっかり指を伸ばしてめくっていました。
でも、こちらは指先でもめくれるので、そういう意識を働かせずとも、無造作にめくることができます。

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やわらかな素材とめくり側のリブで紙をとらえ、指の第一関節に干渉しない凹みカーブでめくりが妨げられない



その無造作感を手助けしてくれるのが、新素材「ソフト エラストマー」。これによって摩擦力が2倍になり、さらにめくり側のリブがしっかり紙をとらえて逃しません。頼もしい!
また、やわらかな素材と丸みのある形が指先にフィットするので、ずれたり外れそうになることは早々なさそうです。これも嬉しいですね。

指先だけにはめるので、今までのように手軽さは変わることなく、同時にペンを握っても違和感は少なめ。
むしろ、メクリッコ キャッチをはめて筆記具を持つと、滑りにくくなるからか、ゆっくり丁寧に運筆できる気がしました。近頃は文字を書くのが億劫になるほどコントロールが不調だったので、これは大発見であります…! もう少し時間をかけて試してみたいと思います(今かなり興奮しています)。


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Mサイズは親指と中指に、Sサイズは人差し指に使っている



サイズはS(内径13.5mm、ピンク)、M(内径15.0mm、オレンジ)、L(内径18.0mm、ブルー)の3種。私は人差し指にSサイズ、親指と中指にMサイズを使っていますが、親指はややキツめなので長時間は厳しいかも。でも、ページをめくる程度であれば中指だけで充分にめくれます。

ほかに、従来品に形が似た「リング型 メクリッコ キャッチ」も。2019年発売のこちらは指先が覆われないので、はめたままパソコンのキーボードも使えそうですよ。

202111namiko5.jpgページをめくる程度であれば中指だけでも充分。指先で無造作にめくれるのが嬉しい



202111namiko6.jpg筆記具を持つときに滑らず運筆しやすいかも。しばらく試してみます

ライオン事務器「はにさっく」

202111namiko7.jpgライオン事務器の「はにさっく」。第2弾は今年発売され、様々な表情のはにわが加わった



もうひとつご紹介するのは、とてもかわいらしい指サック。
昨年9月に発売された、ライオン事務器の「はにさっく」です。

202111namiko8.jpg第1弾(左2つ)のとぼけた表情もかわいいし、第2弾の「怒り顔」もかわいい。各3セット発売。第2弾の他のセットは「笑顔」と「眠そうな顔」


202111namiko9.jpgめくり側の突起のひとつは、第1弾が前方後円墳、第2弾が勾玉になっていてかわいい



話題になっていたので気になりつつ、使う機会が少ないからと手に入れていなかったんですが、少し前にようやく購入してみました。
キャップタイプの指サックに顔や手がついて、見事なまでに「はにわ」です。これ、気づいてこの造形にした人すごいですよね。ライオン事務器の若手社員さんたちが中心のプロジェクトチーム「夢工房」によって企画された商品です。

大(内径17mm)と小(内径15mm)が1つずつセットになっています。私は大が親指にちょうどよく、小は中指にフィットしました。指先まですっぽり覆われるため外れにくく、内側のリブで指が滑りにくいので、安定してめくれます。
また、柔らかすぎないつくりなので、指を差し入れて指先をトントンと机に押しつけるようにすれば、片手で装着できました。

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大は親指にちょうどいい太さ。小は中指にフィット、人差し指だと先はゆるめだが第二関節近くでフィットするのでずれない



そして、私にとって最大の利点は、立てて置いておけること。
そう、使いたいときにサッと手に取りやすいんですよね。
しかも、こんなにかわいらしいはにわがですよ、デスクの端で見守ってくれるわけです。…いや、私が購入した「其の弐」のバージョンは怒ったりふくれっ面だったりしますけれども、何だかちょっと癒やされますよね。
かわいいだけでなく、手に取りやすくて使いやすい。買った甲斐がありました。

202111namiko11.jpgキャップタイプなのでめくるときも安定感がある



202111namiko12.jpg盤石の安定感は、内側のリブが指にフィットし、滑って回転するのを防いでいるから



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202111namiko14.jpg指のサイズは各パッケージ裏で目安のチェックができる




指先の力が弱くなると、今まで何でもなかったような「ノートをめくる」程度のことが、やりにくくなります。
そんなときも、手軽だったりかわいらしくサポートしてくれる文具があるのは、とても幸せなことですね。

プロフィール

波子
1974年生まれ。脊柱側弯症、先天性ミオパチーのため、2006年に杖歩行となり、2012年から車椅子、2014年12月から簡易型電動車椅子を使用。便利な道具や文具が好き。
奈良県奈良市で生まれ育ち、大阪・東京での暮らしを経て現在奈良市在住。
産経新聞奈良版および産経WESTにて連載「車いすでみるなら」2015年2月~2019年5月、全70回。
ブログ「車椅子、ときどき杖。」http://nam-kid.hatenablog.com/

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