- 連載企画
- 車椅子ライターから見た 弱い力でも使いやすい文具たち
- 【連載】車椅子ライターから見た 弱い力でも使いやすい文具たち #62「かわいくて持ちやすいボールペン」
【連載】車椅子ライターから見た 弱い力でも使いやすい文具たち #62「かわいくて持ちやすいボールペン」
筆圧が弱い私にとって、ボールペンはやや書きにくいと感じることが多い筆記具です。
そんな私でも、今や知らぬ人はいないだろう「ジェットストリーム」は日常的に使います。あのヌルリとした書き心地は、筆圧が弱くてもそれなりにスラスラと安定して書けるので、とてもありがたいです。
この連載では、筆圧の弱い私でも複写伝票が書きやすいボールペンをご紹介したことがあります。
#55「しっかり書ける油性ボールペン」
https://www.buntobi.com/articles/entry/series/namiko/016558/
今回ご紹介するのは、特徴的なインクに加えて、ペン軸の形によって使いやすさを感じたボールペンです。
三菱鉛筆「ユニボールワンP」
三菱鉛筆の「ユニボールワンP」バナナ。インク色は黒、ボール径は0.38mm(軸色:みかん、コーヒー、ソーダ、もも、はっか)、0.5mm(軸色:バナナ、ヨーグルト、ぶどう)
三菱鉛筆の「ユニボールワンP」は、今年3月に発売されたゲルボールペン。キャッチコピーは「ころんと、可愛い。」です。
特徴的なのは、その形。
従来のユニボールワンより短く、太くなっています。
このかわいらしいフォルムが、めちゃ持ちやすいのです。
「P」は「手になじむ上質さとどこへでも持っていきたくなる世界観を表す」Pocketの頭文字から
グリップ部も軸と同じ素材で、マットな感触です。ツルツルしていないので滑りにくく、ちょうど人差し指を添える位置くらいからペン先に向かってカーブしていて、持ったとき手にフィットします。
私は人差し指の力が弱いので、いつもは筆記具を他の指で持って人差し指を浮かせることが多いのですが、このペンは人差し指を添えても震えずに書くことができました!
ユニボールワン特有の濃いインクも、筆圧の弱さをしっかりカバーしてくれます。頼もしい。
また、ペンを立てて書いても、インクが途切れませんでした。これも嬉しい!
人差し指を休ませようとすると、親指と中指だけで支えることになるのですが、この持ち方だとかなりペンを立て気味にして書くことになるんですよね。
そんな私にとって、立てても書けるというのは、とてもありがたいことなんです。
太さがあるからか、ペンはそれなりに重量がありますが、握ってみると適度な重さに感じます。長時間の筆記には向かないかも知れませんが、この重みが手にフィットする安定感を演出しているように感じました。
購入時にセットされているインクは黒ですが、替インクはユニボールワンと共通なので、様々な色が楽しめます。
軸を回してインクを交換するのは、さほど難しくはありません。力を入れて差し込んだりしなくてもいいので、楽でした。
それにしても、太さと重さがここまでボールペンの書きやすさに繋がるのだということに驚きました。「さっと手に取って書き始めるのに、最適な長さ・太さ・重さに調整して、筆記時の持ちやすさにもこだわりました」とのこと、まさに実感いたしました。ありがとう三菱鉛筆さん…!
太さの影響なのか、ノックするのにやや力が必要です。
もし指で押し下げにくい場合は、ノック棒を机などに押し付けてください。太いので、押し付けやすいですよ。
ノック棒の面も広いので、指を当てやすく、机にも押し当てやすい
3年前に参加したワークショップで作成した、M5手帳サイズのノートカバーにジャストフィット! 嬉しくてテンション上がっています。
※過去にご紹介した太い色鉛筆はこちら
#23「太くて描きやすい色鉛筆」
https://www.buntobi.com/articles/entry/series/namiko/010954/
(現在の商品名は「ノリスジュニア色鉛筆」で、パッケージが変更されています)
プロフィール
波子
1974年生まれ。脊柱側弯症、先天性ミオパチーのため、2006年に杖歩行となり、2012年から車椅子、2014年12月から簡易型電動車椅子を使用。便利な道具や文具が好き。
奈良県奈良市で生まれ育ち、大阪・東京での暮らしを経て現在奈良市在住。
産経新聞奈良版および産経WESTにて連載「車いすでみるなら」2015年2月~2019年5月、全70回。
ブログ「車椅子、ときどき杖。」http://nam-kid.hatenablog.com/
初の著書『弱い力でも使いやすい 頼もしい文具たち』を2022年10月25日に小学館から発刊
【文具のとびら】が気に入ったらいいね!しよう