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【連載】車椅子ライターから見た 弱い力でも使いやすい文具たち #57「スペースいらず! すぐに使えるテープのり」

波子

これまでにも、私が使いやすいと感じた「テープのり」をいくつかご紹介してきました。
力が弱い方だけでなく、ちょっと不器用な方にもオススメできるのでは…と思っています。

#32「テープのり使い比べ」
https://www.buntobi.com/articles/entry/series/namiko/012601/
#33「手に取りやすいテープのり」
https://www.buntobi.com/articles/entry/series/namiko/012770/

テープのりは、基本的に机の上で使うもの。
のりを付けたい紙を平らに置いて、その上にテープのりを引きますよね。
また、引かずにスタンプのように使えるテープのりもご紹介しましたが、いずれにしても紙を広げて置けるスペースが必要です。

今回ご紹介するのは、そういったスペースが要らないテープのり。
使ってみてとても感動したので、オススメです!

プラス「ノリノスポット」

202212namiko1.jpgプラス「ノリノスポット」。カラーはグリーンのほか、ブルー、ピンク。詰め替え式で、しっかり貼れるタイプ




今年11月に発売されたプラスの「ノリノスポット」は、ホッチキスのように片手で持ち、紙を差し入れ「押して貼る」テープのり。紙の端に、6mm×8.4mmの範囲でのり付けできます。

202212namiko2.jpgパッケージはミシン目から開けるタイプで開けやすい。詳しい説明も書かれている



これ、すごくないですか?
紙を置くスペースがなくても、簡単にのり付けできちゃうんです。
「いやいや、どうせ貼り付けるんだからスペースあるでしょ」とお思いになるかも知れませんが、のり付けするときに必要なスペースは、実際に貼り付けるスペースよりも断然広いんです。ちょっと紙を斜めにしたり、テープのりを引くために腕を動かすスペースも要ります。
さらに「角だけにテープのりを使いたい」場合、机の上で紙を動かしたりしますよね。そう、意外と場所を取るんですよ、のり付けのときって。

でも、ノリノスポットなら、空中でのり付けできちゃうんです。紙の端の、ねらった場所に、ピンポイントで!
すばらしすぎる…!


202212namiko4.jpg

用紙の差し込み口は、入口が斜めに広がってくれているので、手が震えがちな私でも難なく紙を差し入れられました。
そして、本体を押しつけるときも、軽く親指を押し下げるだけなので簡単です。

さらに嬉しいのは、机上でしっかりと自立すること。

202212namiko8.jpg
決まった場所に置いておけば、使いたいときにサッと手に取れます。すばらしい。
机の上に充分なスペースがあるなら、置いて紙を差し入れ、上から押して使うことも可能です。

202212namiko9.jpg


私にとっては、ここまでの特徴で充分に満足なので、今後も自宅の机上で使おうと思っています。
ですから、ここから先は「とりあえず試してみた」という感じでご紹介しますね。


202212namiko12.jpg

ベースを開くと、のり付けしたい場所に押しつけてスタンプのようにも使えます。

202212namiko14.jpg
端だけでなく、紙の中央などに使いたいときはこちらのモードで。ただ、指先をしっかりコントロールして持たないと、本体カバーだけがパカッと開いちゃうんですよね。あと、ベースを戻すときも、カチッとはめ込むのに絶妙なコントロールが要ります。

持ち運びたいときは、カバーを閉じることができます。
ただ、これはかなり指先の器用さが求められると感じました。

202212namiko17.jpg
まず、カバーを前方へ伸ばすためにロックを外すのが私にはやや難しい。
パッケージ裏の説明書では人差し指でロック解除していますが、私は人差し指の力が弱めなので、親指でやってみました。うまくいくこともあれば、なかなか外せないときもあります。人差し指でも試してみましたが、同じくできたりできなかったりしました。
カバーをベースにかぶせて閉じるのはさほど難しくありません。かぶせたあと、カバーをスライドさせればカチッとロックされます。

カバーを開けるときも、手順があります。

202212namiko20.jpgカバーのロックを外してスライドさせる



202212namiko23.jpgカバーを90度開き、スライドさせて戻しロック



202212namiko26.jpgカバーを閉じ、本体前方の突起にカバー先端を引っ掛け固定する




最後の「本体前方の突起にカバーの先端を引っ掛ける」が指先のコントロールを求められるんですよね。きっと多くの方には何でもない動作なのでしょうけれども。
ただ、すぐに使うのであれば、気にせずそのまま押してしまっても問題ありません。

私はすぐに使える状態で机上に常備しておいて、手で持って使おうと思っています。
それだけでも充分に、私にとっては使いやすい相棒となってくれそうです。これからよろしくね。

さて、今年は私にとって非常に大きな出来事があった年でした。
1月に父を亡くし、3月からこの連載の書籍化に向けた作業が始まり、10月25日に無事書籍を発行していただきました。
本を出すのは私にとっては初めてのことで、小学館クリエイティブの市村さんに様々に助けていただき、二人三脚で作り上げてきました。

書籍化がなければ、今年は大きな喪失感に呑まれていたことと思います。
この1年を充実感で満たしていただけたこと、心から感謝しています。
書籍のあとがきにも記したのですが、父には「もしかしたら書籍化されるかも」という最初の一報は伝えていました。
出来上がった本は、届いたその日に仏前へ供えたのでした。

来年も更なる飛躍ができるよう、前へ進んでいきたいと思います。連載も、引き続きお楽しみいただけるよう、がんばります!

プロフィール

波子
1974年生まれ。脊柱側弯症、先天性ミオパチーのため、2006年に杖歩行となり、2012年から車椅子、2014年12月から簡易型電動車椅子を使用。便利な道具や文具が好き。
奈良県奈良市で生まれ育ち、大阪・東京での暮らしを経て現在奈良市在住。
産経新聞奈良版および産経WESTにて連載「車いすでみるなら」2015年2月~2019年5月、全70回。
ブログ「車椅子、ときどき杖。」http://nam-kid.hatenablog.com/
初の著書『弱い力でも使いやすい 頼もしい文具たち』を2022年10月25日に小学館から発刊

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