- 連載企画
- 【連載】他故となおみのブンボーグ大作戦!Bootleg #53 支援教育と文房具
【連載】他故となおみのブンボーグ大作戦!Bootleg #53 支援教育と文房具
30分間、文房具の話題だけをお送りするラジオ番組「他故となおみのブンボーグ大作戦!」のパーソナリティ「なおちゃん」こと、ふじいなおみです。
番組では毎週たくさんの文房具が登場します。その中から、他故さんとなおちゃん2人で選んだ商品をピックアップ。より掘り下げてご紹介していきます。
今回は、2025年08月24日・31日OA の「文房具のすごいゲストコーナー」でお招きした筑波大学附属大塚特別支援学校の佐藤義竹先生へのインタビューから我々が学んだこと、支援教育においての文房具についてご紹介します。
先生の職場とお仕事
佐藤先生は筑波大学附属大塚特別支援学校で主幹教諭・研究主任というお仕事をしています。
学校には主に知的障がいのお子さんが通われていて、幼稚部・小学部・中学部・高等部全体で75名ほどの児童・生徒が在籍しています。
「主幹教諭」というのは管理職の先生と学級担任の先生の繋ぎ役として、学校環境の改善や学校運営を補助する立場。「研究主任」とは、支援学校ごとに研究テーマを持っているそうなのですが、先生の在籍されている学校では「お子さんがどのようにすればより学びやすくなるのか、豊かな学びに繋がるのか」を日々研究しているとのことです。他にも地域の学校からの支援の相談や校内研修会などの依頼を受けて、気になるお子さんを支援するためのアプローチの仕方をアドバイスするなど、お子さんの学びがより良くなるための活動をしています。
子どもたちの「できた」をどのように実現するか
佐藤先生から多く出てきた言葉が、「子どもたちの『できた』」です。「できた」体験を重ねることでそれが自信や達成感につながるからです。
そのための「手立て」(目的を達成するための準備)として学校では道具や環境の調整を行います。その「道具」の一つが文房具とおっしゃっていました。もともと佐藤先生は文房具に興味があって、文房具売り場があるとよく立ち寄っていたそうで、学級運営をする時にも文房具によるアプローチの例を出していただきました。
手立ての例として挙げられた文房具にはこのようなものがありました。
※写真は商品の例で、実際に先生が使用したものとは限りません。
1.デスクカッター
デスクカッター例「ハンブンコ/プラス」
学校の活動の中で、紙を切って大きな紙に貼るというものがありました。はさみを使うのが難しいお子さんに対して、反復練習ではさみを使えるように練習を続けるのが良いのか、それとも道具を変えた方がいいのかと考えたときにデスクカッターを取り入れたところそのお子さんの問題が解決し、道具を考える大切さを認識するきっかけになったそうです。1つのことを実現させるとしてもさまざまなアプローチがあることを私たちも考えさせられました。
2.削らずに書き続けられる鉛筆
削らずに書き続けられる鉛筆例「メタシルスクール/サンスター文具」
なおちゃんにとっては「これ1本持っていけば野外でスケッチをする時も削らずに済んで便利」と考えていた道具でしたが、先生の目から見ると、削ることをよく忘れてしまうお子さんの気持ちの負担を軽減できること、普通の鉛筆とは異なり使い続けることができることから、お子さんの「困った」が解決するものと捉えることができるそうです。
3.電動鉛筆削り
電動鉛筆削り例「リビガク 充電式トガリターン/ソニック」
かつては鉛筆を横から挿すものが多かったのですが、最近は上から挿すものが増えてきました。横から挿すという行為が難しいお子さんがいて、場合によっては利き手により使いやすさが変わるように見えることもあったそうです。「上から挿すことができる」ことは他故さんやなおちゃんにとっては「向きが変わった」程度の変化でしたが、お子さんにとっては劇的に使いやすさが変わったそうで、目から鱗が落ちました。
先生の考える「できた」につながる「道具」とは?
ゲストコーナーでは途中、先生の著書「自信を育てる 発達障害の子のためのできる道具 (小学館)」に書かれている道具のお話をしました。例えば、文房具に明るい方ならご存知のシヤチハタの「おててポン」やオルファの「キリヌーク」なども挙げられていましたが、お掃除の道具「クイックルワイパー」も掲載されていて、意外な商品が挙げられていると感じ、詳しく教えていただきました。
「クイックルワイパー」は汚れが見えることで掃除をした結果が見え、周りの方からの「ありがとう助かったよ」などの感謝の言葉をかけられることで、お子さんの自信につながるということでした。
この本でなおちゃんが印象的だったのは「必要な子には必要な手立て」という言葉。私が小中学校の頃は何か問題が起きないように「特別なものは全部排除する」といった傾向が強かったのですが、目が悪い人がメガネをかけるように、それぞれのお子さんがあることを達成するために必要な道具を用意することは「特別ではない」ということでした。だって、目が悪い人がメガネを外すと何も見えないですよね?
たまにはそのお子さんに必要な道具が他のお子さんには目新しい場合もあり、うらやましいと思われてしまうこともあります。しかし、それは特別扱いではない。必要だから使っているのだという確固たる考え方もありました。
支援教育のプロと文房具のプロとのコラボレーション
佐藤先生は学校視察のために海外まで行かれた際に文房具に対して感じたのは日本の文房具の質の高さと使いやすさだったそうです。
そんな日本の文房具ですが、先生は支援教育をする際にもう一歩意識的に使い、感じたことをメーカーにフィードバックすることで、より商品の価値を高められるのではないかとも考えています。子どもたちの「できた」「またやってみたい」という気持ちのために、支援教育の専門家である佐藤先生をはじめとする支援学校の先生と、文房具のプロである協力してくださる文房具メーカーの担当者の方が専門知識を持ち合って取り組むことによってより子どもたちの「できた」に繋げられる文房具が生まれるのではないでしょうか?
そこでこれから取り組みたいことは、「文房具業界とのコラボレーション」と語っていらっしゃいました。
他故さんもなおちゃんもぜひ協力できることはしたいですし、実現してほしいと期待しています。
ブンボーグ大作戦!こぼれ話
今回ゲストにお招きした佐藤義竹先生監修で、ふじいなおみが本を書きました。
「支援が必要な子からちょっと不器用な子まで 子どもの困ったを解決するハッピー文房具図鑑」です。

ふじいなおみ 著/佐藤義竹 監
学事出版 2,970円(税込)
特別支援学級の子どもたちが学習や活動に集中できない理由に、文房具(道具)をうまく使えないためにイライラしたり、やる気をなくしたりすることがあります。そうした子どもたちの困りごとを文房具から解決する方法を紹介します。
特別支援学校の主幹教諭・研究主任である佐藤義竹先生に、子どもたちがどんなことで困っているのか、それを解決するためのポイントは何かを提示してもらい、それを受けて文房具の専門家・ふじいなおみが悩みを解決するアイテムをセレクト(その数250点以上!)。
「書く」「消す」「切る」「塗る」など動作別に解決アイテムを掲載。また、「片付けられない」「すぐになくしてしまう」など、日常生活の中での困りごとを解決するためのアイデア文房具も紹介しています。これらを保護者に紹介することで、子どもたちの学校生活はハッピーに変わるはずです。
さらに、文具メーカーに商品開発の裏話などを取材したインタビュー記事も掲載。文房具の世界がさらに広がること間違いなしの一冊です!
『ハッピー文房具図鑑』を楽天でチェック
プロフィール
【ふじいなおみ】
1979年北海道札幌市生まれ。ラジオパーソナリティ/文房具プレゼンター
ナナコライブリーエフエムで放送中のラジオ番組「他故となおみのブンボーグ大作戦!」のパーソナリティ及び制作・技術を担当。万年筆インク(中でもご当地インク)コレクター。
他故壁氏さんとユニット「たこなお文具情報室」として、文房具の楽しさを伝える活動を行っている。
2015年生まれの娘とともに知育・学童文具を使用しているため、リアルな声を届けられる数少ない存在である。
【他故となおみのブンボーグ大作戦!】
埼玉県朝霞市のコミュニティFM「ナナコライブリーエフエム」にて放送中の30分間文房具の話題だけをお送りするラジオ番組。
パーソナリティーは他故壁氏&ふじいなおみ。
放送時間は毎週日曜日19:30~20:00 ※2025年9月から再放送がなくなりました。
FMラジオ77.5MHz(埼玉県朝霞市・志木市・新座市・和光市とその周辺地域)の他、パソコンやスマートフォンではListenRadioのサービスを利用すると気軽に聴くことができます。
詳しい聴き方は番組Webページへ
https://daisakusen.net/howto/
また、放送後には主要なポッドキャストプラットホーム(Spotify、Apple Podcast、Amazon Music)とナナコライブリーFMのYouTubeチャンネルでも配信をしていますので(一部配信できない場合があります)お気軽にお聴きくださいね!


