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【連載】他故となおみのブンボーグ大作戦!Bootleg  #50 インクアート作家・ハコペンさんにインタビュー

文具のとびら編集部

30分間、文房具の話題だけをお送りするラジオ番組「他故となおみのブンボーグ大作戦!」のパーソナリティ「なおちゃん」こと、ふじいなおみです。

番組では毎週たくさんの文房具が登場します。その中から、他故さんとなおちゃん2人で選んだ商品をピックアップ。より掘り下げてご紹介していきます。

今回は、2025年05月18日・25日OA の「文房具のすごいゲストコーナー」に出演いただきました、「インクアート作家・ハコペンさんと、ハコペンさんの作品」をご紹介します。

まずはハコペンさんの作品をご紹介します

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ハコペンさん作「銀河鉄道の夜」

ハコペンさんの代表作「銀河鉄道の夜」からの一説です。
文章の周りを物語に出てくるモチーフで囲っています。


photo2.jpg左:白雪姫(通常時)/右:白雪姫(UVライトを当てた時)


番組内でも紹介しましたが、白雪姫の作品。
右半分はリンゴが一つ実った木、左半分が魔法の鏡と2つの物語を象徴するモチーフの中に物語の一節が配置されます。
また、UVライトを当てると別の表情を見せる作品があるのもハコペンさんの作品の特徴です。

ハコペンさんの作品の題材は大きく分けて
・「文学作品をテーマとした書写作品」
・「名言シリーズ」
・「日本の文様」
この3本柱で成り立っています。

ハコペンさんとの出会い

私がインク沼の浅瀬を泳いでいた頃(私にもそんな時期がありました)、素敵な作品を発表されていらっしゃるアーティストさんのSNS投稿を見ながら憧れを抱いていたものです。そのうちのお一人が、ブンボーグ大作戦!5月のゲストとして出演してくださった、インクアートアーティスト、ハコペンさんでした。

代表作の一つが宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」をモチーフとした作品。私はこの作品を手に取ったことはなく(恥ずかしいですが・汗)、ただ、タイトルと「宮沢賢治の作品」ということだけは知っていたのですが、ハコペンさんのこの作品を拝見して作品の世界観を感じられたことでいつか読みたいと思ったほどです。

ハコペンさんが描き始めたわけ

ハコペンさんには精神的にとても辛かった時期があったそうです。そのときは気持ちが下がりっぱなしで、それを打破しようと写経を始めたものの(その時にはボールペンを使用していたとのことでしたが)黒一色で文字を淡々と書き続けることに、ますます気持ちが下がってしまったとのこと。

photo3.jpgハコペンさんが使ってらっしゃるガラスペン


そんなある日、ハコペンさんは衝撃的な出会いをします。SNSでフォローしていらっしゃった方の中にカラフルな万年筆インクで文字を書いている方がいらっしゃったそうです。万年筆インクにもこんなカラフルなものがあるのか! そこで、まずはリーズナブルなガラスペンを使って書くことを始めました。

作品への愛の込め方がすごかった!!

ハコペンさんは文章の一部分だけを抜き出す書写をする場合でも、その作品を最初から最後まですべて読むのだそうです。そしてその中で印象に残った文章と描くべきモチーフを都度メモしていきます。

読み終わったら作品の制作です。小さめのラフを描き、フォーマットが決まったら本番サイズで下書きを作って、紙に転写を行い、それにインクで色を添えていきます。

そして、使用するインクの選び方にもルールが! モチーフになったものをイメージさせる名前のインクを選ぶのだそうです。四季織や色彩雫のインク名は二十四節気や季節をテーマにしていますし、今はさまざまなご当地インクも海外のインクも手に入れる事ができるようになってきました。ハコペンさん曰く、インクを作っていらっしゃる方にリスペクトしているとのことです。

作品作りをちょっとだけ体験してみました

ハコペンさんがクリエイター登録しているファンサイト「PixivFANBOX」では月々200円の「カッパにきゅうりプラン」に登録すると、毎月「なぞり書きワークシート」をダウンロードまたはネットプリントすることができます。私が挑戦した5月の作品は、A4サイズ縦に2段でプリントがされていて、上半分はハコペンさんが色を添えた枠線入り。下半分はすべてが下書きの灰色で印刷されてなぞれるようになっています。

photo4.jpg素敵な言葉で思わず書きたくなりました


ハコペンさんがおっしゃるには、「なぞり書きは、ご自身の文字につられてしまうことが多い」そうです。なので、あらかじめ書かれている灰色の文字を再現できたことをとても褒めてもらいました!2年ほど娘と習っていたペン習字の課題にもなぞり書きがあったので(流石にレタリングするというほどではありませんでしたが)、私は「文字を書く」というよりも「とても変わった塗り絵」を塗っているかのような感覚でした。灰色の部分をきれいになぞったら何が見えるのだろうか?と感じながら進めたことが良かったようです。

今まで、なぞり書きでここまで真剣に作品を書いたことはありませんでした。色を塗った後に別の色を載せるとグラデーションがかかる。色の組み合わせによって変わるので、一つとして同じ作品は作れない。そんな「インクアート」を、今度はぜひ、下書きから作ってみたいと感じました。

今回使用したインクについて

photo5.jpg『もっと黒を愉しむ万年筆インク6色セットつき 万年筆のある毎日』(宝島社)


今回は、ご提供いただきましたムック『もっと黒を愉しむ万年筆インク6色セットつき 万年筆のある毎日』(宝島社)の6色のインクのうち、蝶豆花(バタフライピー) 茶・抹茶・葡萄酒の3色で書きました。
photo6.jpgムックについてくる6色のインク。使用したのは上の段の3色です


「黒を愉しむ万年筆インク」と謳われていますが、ボールペンで展開されているニュアンスブラックというよりももっと明るいトーンで、でも深みのある色味にとても魅力を感じました。

なぞり書き教材になっていた言葉も「自信を持って一歩一歩進んでいく」というイメージを受けたので、力強い色で書きたいと思っていた時に手にしたインクでした。イメージ通りの作品が作れたととても感激しています。宝島社の担当の方々、ご提供ありがとうございました。

ブンボーグ大作戦!こぼれ話

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ブンボーグ大作戦!のサントラを発売しました。4月からリニューアルでオープニングソング・エンディングソング・他故さん&なおちゃんのコーナーBGMが変わりましたが、4月にゲスト出演いただきましたメルダーのお二人の力をお借りして、なんと!CDとして発売することになりました。

ボーナストラックとして、収録曲のうち2曲のボーカル入りバージョンを収録!

5月18日の文具マーケット(第8回)から販売開始になっていますが、ラジブン関連の同人誌などを販売している通販サイトBooth(https://daisakusen.booth.pm/)でも扱い中ですので、ぜひGetして「ブンボーグ大作戦!ごっこ」で遊んでみてね!

プロフィール

【ふじいなおみ】
1979年北海道札幌市生まれ。ラジオパーソナリティ/文房具プレゼンター
ナナコライブリーエフエムで放送中のラジオ番組「他故となおみのブンボーグ大作戦!」のパーソナリティ及び制作・技術を担当。万年筆インク(中でもご当地インク)コレクター。
他故壁氏さんとユニット「たこなお文具情報室」として、文房具の楽しさを伝える活動を行っている。
2015年生まれの娘とともに知育・学童文具を使用しているため、リアルな声を届けられる数少ない存在である。
そして、きだてたくさんと色物文具をひたすら紹介する動画コンテンツ「イロブンの引き出し開けていこう」もYouTubeにて配信中。

【他故となおみのブンボーグ大作戦!】
埼玉県朝霞市のコミュニティFM「ナナコライブリーエフエム」にて放送中の30分間文房具の話題だけをお送りするラジオ番組。
パーソナリティーは他故壁氏&ふじいなおみ。
放送時間は毎週日曜日19:30~20:00/毎週水曜日 11:30~12:00(再放送)
FMラジオ77.5MHz(埼玉県朝霞市・志木市・新座市・和光市とその周辺地域)の他、パソコンやスマートフォンではListenRadioのサービスを利用すると気軽に聴くことができます。

詳しい聴き方は番組Webページへ
https://daisakusen.net/howto/

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