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【連載】『小粋な手紙箱』 #03 筆記具を選ぶ

田丸有子

(社)手紙文化振興協会認定・手紙の書き方コンサルタントの田丸有子さんは、子どもの頃から「手紙魔」と呼ばれるほどの手紙好き。コンサルタントとして手紙文化を広めるために活動している田丸さんに、手紙の書き方のコツや手紙に関するトピックなどを毎月紹介してもらいます。

手紙で気持ちを伝えよう!

手紙の基本の5つのステップは…

  1. 紙を選ぶ
  2. 筆記具を選ぶ
  3. 文章を考える
  4. 手書きする
  5. 切手を貼る

今回は2つ目の「筆記具を選ぶ」についてお話しします。

筆記具と言っても色々ありますよね。ボールペン、ゲルインキのペン、シャープペンシル、万年筆、筆ペン・・・etc.

基本的には容易に消えないものであれば何を使っても構いませんが、手紙で気持ちを伝えようと思うときには何を使うと一番効果的でしょうか?

私たち手紙の書き方コンサルタントは万年筆を推奨しています。

理由はなんといっても書き味。インクを使うことで程良い滲みが出るのが万年筆の特徴です。人の温もりが手から万年筆を通して紙に移っていくように、味わい深いインクの滲みが気持ちを豊かに読み手に伝えてくれるのです。

それに万年筆で書くこと自体に、少しだけ贅沢なことをしている時のような特別感があると思いませんか?なんとなく他の筆記具を使う時より字がきれいになったように感じたり、背筋が気持ちよく伸びるような心持ちになったり…。そういう好い気分にさせてくれる筆記具で書けば、手紙もおのずとエレガントなものになっていきます。手書きの文字に自信が無い人ほど万年筆を使ってほしいですね。

万年筆は敷居が高いイメージを持つ方もいらっしゃるかもしれませんが、最近は大手の文房具店に行けば高価なものから安価なものまでバリエーション豊富に出ています。安くてもそれなりに書き味の良いものがありますので、まずはリーズナブルに買えるもので試してみてはいかがでしょうか。

そして慣れてきたら、自分好みの高価な万年筆を1本買うという夢を持つのも素敵ですね。

筆記具を選ぶときは紙との相性も大事なポイントです。便箋や一筆箋によっては適した筆記具が何かを表記しているものもありますので、書きやすそうなものを選んでみてください。

ちなみに私は、封書の手紙を書く時はだいたい万年筆を使いますが、便箋によってはボールペンを使うこともあります。ハガキを書く時は万年筆かゲルインキのペンを使うことが多いですね。

筆記具と紙の相性が抜群に良いと手紙を書くリズムが乗ってきて楽しく書けるようになりますよ。

次回はステップ3「文章を考える」についてお話しします。

手紙トピック

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万年筆のインクはカートリッジ式が便利ですが、パイロットの色彩雫(いろしずく)シリーズのインク瓶が、文房具屋さんでズラリと勢揃いしているのを初めて見たときから吸入式のインクに目覚めてしまいました。ひとつひとつの色の名前が風流な日本語であるところも気に入っています。

そして、歴史を感じさせるレトロ感のあるインク瓶の形やおしゃれなラベルのデザインが多い海外の万年筆ブランドが出すインクにも心惹かれます。

その時の気分で選んだ色のインクをインク壺から吸入する地味な作業がなんとも言えず無心で心地よい気分にさせてくれます。便利さと対局にある敢えて選ぶアナログ感がたまりません。

万年筆の世界も奥が深いので、知れば知るほど楽しみが広がっていきますね。

今月のマキシマムカード

紫陽花の季節になりました。

日本画のポストカードに色っぽい美人画の小型印で、梅雨時のしっとりした雰囲気を狙ってみました。

いかがですか?

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お知らせ

手紙の書き方の基本について通信講座があります。

忙しい人でも自分のペースで学べます。

楽しく学んで手紙上手になりましょう!

手紙の書き方アドバイザーⓇ2級認定講座

体験講座も有ります!

(社)手紙文化振興協会 体験講座スケジュール

プロフィール

田丸有子 (たまるゆうこ)

(社)手紙文化振興協会認定・手紙の書き方コンサルタント

子供の頃から「手紙魔」と呼ばれるほどの文通好き。でも手紙の何がそこまで自分を魅了するのか、深く考えたことはありませんでした。講座を受けて一番良かったことは、手紙が私の憧れを実現する手段であると気付いたことです。自分を表現することで人に喜んでもらいたい。叶えるために出来ることは何かずっと探してきました。その表現方法こそ私にとっての手紙であり、魅かれる理由なのだと気付いた瞬間、「やっと見つけた!」そんな気持ちになりました。

また、郵趣のコミュニティに参加したことで、手紙にも色々な楽しみ方が有ることを知りました。私が今夢中になっているのは、葉書と切手、消印をコーディネートするマキシマムカード。いかにセンス良く仕上げて個性を出すか、考えるだけでワクワクします。

奥深い手紙文化を通して自分の世界が広がっていく面白さを沢山の人たちと共有し、心を豊かにしていきたいです。

ブログ「Cordially yours

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