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【連載】『小粋な手紙箱』 #53 『すいか』と万年筆

田丸有子

(社)手紙文化振興協会認定・手紙の書き方コンサルタントの田丸有子さんは、子どもの頃から「手紙魔」と呼ばれるほどの手紙好き。コンサルタントとして手紙文化を広めるために活動している田丸さんに、手紙の書き方のコツや手紙に関するトピックなどを毎月紹介してもらいます。

手紙で気持ちを伝えよう!

こんにちは。みなさま、お盆はいかがお過ごしでしたか? 

2003年に放送された、小林聡美さん主演の『すいか』というテレビドラマをご存知でしょうか。
信用金庫に勤める主人公がひょんなことから家を出て下宿生活を始めます。下宿は三軒茶屋の古い日本家屋で個性あふれる住人たちが住んでおり、生活を共にし、交流を深めていく中で自分の人生を見つめ直すという、あらかたそんなあらすじです。

このドラマの中で、住人の1人であるきずなちゃんが学校のプールの水の入れ替えの日にそれを見に行くシーンがあります。
「水を抜いて、プールをゴシゴシ洗って、また水を張って…水がいっぺん空になってそれでまたいっぱいになるのが好きなの。人もさ、こんな風に中身全部出してそれでまた新しいのを入れられたらいいのにな、とか思ったりして」と、きずなちゃんは言います。

ところで、私は万年筆を使うとき、カートリッジではなくインク瓶からインクを吸い上げて充填するコンバーターを使います。万年筆のペン先を水の入ったコップにつけて少し残っているインクを押し出して洗浄します。青や黒のインクが透明の水の中に流れ出ていく様子を見ているとなんだか自分の中のいらないものが一緒に出ていってくれるような気がします。そしてきれいになったところに新しいインクを充填します。インクがコンバーターにいっぱいになると気持ちも改まり、「よし!」と気合が入ります。インクを充填する一連の動作にはちょっとしたメディテーション効果があるように私は感じます。そして、規模は違えども、きずなちゃんがプールの水を入れ替えるときに感じているのもこんな気持ちなのではないでしょうか。

今年のお盆は『すいか』を見て過ごし、そんなことを思ったのでした。

手紙トピック

8月25日〜30日に「日本国際切手展」がパシフィコ横浜で開かれます。日本国内はもちろんのこと海外の切手商が集い、カナダ、チェコ、フィンランドなどの国々の郵政による展示や、文具マルシェ、手紙や切手の面白そうなワークショップもあります。日本で開かれる国際切手展は10年に1度です。今年は郵便創業150年の節目の年ということもあり盛り上がりそうな予感。私も初めて見に行くのですが、とても楽しみです。興味のある方はぜひ足を運んでみてはいかがでしょう。

今月のマキシマムカード

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テーマ: カラフルな夏
ポストカード: セブンデイズカード
切手・絵入りハト印: 夏のグリーティング

お知らせ

★手紙やメールの書き方の基本について通信講座があります。
忙しい人でも自分のペースで学べます。
楽しく学んで手紙上手になりましょう!

入門講座 /通信講座「手紙の書き方講座」
ビジネスメール講座 /通信講座「仕事で差がつく!メール・文章の書き方講座」
美文字講座 /通信講座「仕事で差がつく!実用美字・美手紙講座」


★ 体験講座も有ります!

(社)手紙文化振興協会 体験講座スケジュール

プロフィール

田丸有子 (たまるゆうこ)

(社)手紙文化振興協会認定・手紙の書き方コンサルタント

子供の頃から「手紙魔」と呼ばれるほどの文通好き。でも手紙の何がそこまで自分を魅了するのか、深く考えたことはありませんでした。講座を受けて一番良かったことは、手紙が私の憧れを実現する手段であると気付いたことです。自分を表現することで人に喜んでもらいたい。叶えるために出来ることは何かずっと探してきました。その表現方法こそ私にとっての手紙であり、魅かれる理由なのだと気付いた瞬間、「やっと見つけた!」そんな気持ちになりました。

また、郵趣のコミュニティに参加したことで、手紙にも色々な楽しみ方が有ることを知りました。私が今夢中になっているのは、葉書と切手、消印をコーディネートするマキシマムカード。いかにセンス良く仕上げて個性を出すか、考えるだけでワクワクします。

奥深い手紙文化を通して自分の世界が広がっていく面白さを沢山の人たちと共有し、心を豊かにしていきたいです。

ブログ「Cordially yours

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