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【連載】『小粋な手紙箱』 #49 小説に出てくるような手紙を書きたい

(社)手紙文化振興協会認定・手紙の書き方コンサルタントの田丸有子さんは、子どもの頃から「手紙魔」と呼ばれるほどの手紙好き。コンサルタントとして手紙文化を広めるために活動している田丸さんに、手紙の書き方のコツや手紙に関するトピックなどを毎月紹介してもらいます。

手紙で気持ちを伝えよう!

こんにちは。東京は八重桜の季節も終わり、次の季節へと移り変わっているところです。お元気ですか?

私は子供の頃、小説に出てくるような手紙を書きたいと思っていました。相手に物語を読んでいるような気持ちにさせる面白くてワクワクする手紙が書けたら…そう思っていましたが実際には出来た試しがありません。そんな理想を描いていたことすらつい最近まで忘れかけていたのです。

そのことを思い出させてくれたのは、辻仁成さんの小説『代筆屋』でした。売れない小説家が手紙の代筆でアルバイトをする話です。そこに出てくる手紙文は小説家としての文章力が余すことなく発揮されていて読み応えがありました。情景がまるで映画でも見ているみたいに目の前にたやすく浮かぶのです。書かれていることを自分のことのようにありありと感じることができるのです。読んでいるうちに「あぁ、こういう手紙を書きたいな」と思いました。

私の手紙が小説のようにならない理由は、もちろん基本的な文章力の問題もあるのですが、していないことがありました。それは何かを“描写する”ということです。そのことに気付くことが出来たからと言ってすぐにできるものでもないでしょうけれど、理想への一歩として今後の手紙に取り入れようと思っています。

ちなみに『代筆屋』の私の感想は、代筆文が上手すぎてすぐに代筆であることがバレてしまうのではないか? というものでした。読みやすい小説なので気になった方はぜひ読んでみてください。

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手紙トピック

2021年4月14日に1円の特殊切手が発行されました。1円切手はいつどんな時に使うのか? と思っている人もいるかもしれませんね。多くの人にとっては、消費税増税で郵便料金が変わったため、旧価格の切手使用時に追加する端数用の切手という位置付けでしょうか。

普通切手の1円は郵便の父と呼ばれた前島密氏の肖像です。その渋さゆえに他の切手と並べて貼った時のテイストの違いが気になる人も…。かくいう私もマキシマムカードを作成する際の悩みの種でした。前島密氏の功績を思えば、1円は永久欠番のようなものです。切手好きの間では、半ば諦めつつ、イギリスのエリザベス女王の切手のようにカラフルな色別に発行して欲しいとか、他の切手と合わせても違和感のないシンプルな1円切手を発行して欲しいとか、それぞれにとっての理想を妄想する恰好のネタでもありました。

そして今回発行された1円切手の意匠は、日本郵便のキャラクターである“ぽすくま”です。渋さから一転して愛らしい…愛らしすぎます。可愛い系のデザインは1円切手として画期的と言えるでしょう。50枚で1シートのシール式。バラでは買えずシート買いしかできませんが、50枚買ったとしても50円。100均で買うシールより安いかも? なんだか不思議な感覚です。

グリーティング用の特殊切手という扱いですから、普通切手のように常時あるものではありません。1億枚の限定発行ということは売り切れたらそれでおしまいなのです。70年ぶりの新デザイン切手、記念に買ってみてはいかがでしょう?

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今月のマキシマムカード

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テーマ: 藤

切手: ふるさと切手・神奈川県と明治百年記念

風景印: 東京・城東郵便局

お知らせ

★手紙やメールの書き方の基本について通信講座があります。
忙しい人でも自分のペースで学べます。
楽しく学んで手紙上手になりましょう!

入門講座 /通信講座「手紙の書き方講座」
ビジネスメール講座 /通信講座「仕事で差がつく!メール・文章の書き方講座」
美文字講座 /通信講座「仕事で差がつく!実用美字・美手紙講座」


★ 体験講座も有ります!

(社)手紙文化振興協会 体験講座スケジュール

プロフィール

田丸有子 (たまるゆうこ)

(社)手紙文化振興協会認定・手紙の書き方コンサルタント

子供の頃から「手紙魔」と呼ばれるほどの文通好き。でも手紙の何がそこまで自分を魅了するのか、深く考えたことはありませんでした。講座を受けて一番良かったことは、手紙が私の憧れを実現する手段であると気付いたことです。自分を表現することで人に喜んでもらいたい。叶えるために出来ることは何かずっと探してきました。その表現方法こそ私にとっての手紙であり、魅かれる理由なのだと気付いた瞬間、「やっと見つけた!」そんな気持ちになりました。

また、郵趣のコミュニティに参加したことで、手紙にも色々な楽しみ方が有ることを知りました。私が今夢中になっているのは、葉書と切手、消印をコーディネートするマキシマムカード。いかにセンス良く仕上げて個性を出すか、考えるだけでワクワクします。

奥深い手紙文化を通して自分の世界が広がっていく面白さを沢山の人たちと共有し、心を豊かにしていきたいです。

ブログ「Cordially yours

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