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【連載】月刊ブング・ジャム Vol.27 その1

ブング・ジャムの令和元年初文房具

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左からきだてさん、高畑編集長、他故さん


本サイト編集長の文具王・高畑正幸さん、イロモノ文具コレクター・きだてたくさん、ブンボーグA・他故壁氏さんの3人による文具トークライブユニット「ブング・ジャム」が、気になる最新文房具を独自の視点から切り込んでいく「月刊ブング・ジャム」。Vol.27では、ブング・ジャムの3人が、令和元年を迎えて初めて手に入れた文房具を紹介してもらいました。

第1回目は、高畑編集長の令和初文具を紹介します。

*その2はこちら

ブームが過ぎたあとに実力を発揮!? 超実用的な“令和文具”

定規.jpg令和定規」(サンスター文具) 新元号を記念して発売された15㎝定規。メモリの部分が和暦(令和)と西暦の早見表になっているので、「今年が令和何年なのか」がすぐに分かる。価格は税抜250円。
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――今回は、令和になって初めて手に入れた文房具をご紹介いただきたいと思います。

【高畑】令和といったらこれです。令和何年かがすぐに分かる「令和定規」。

――どストライクなところですね。

【高畑】令和乗っかり商品がいっぱい出たじゃないですか。

【きだて】出たね~。

【高畑】一番早かったのはカレンダーとかで、5月に入るか入らないかぐらいにはもう並んでたんだよね。

【きだて】令和対応カレンダーね。印刷関係の皆さん、ほんとお疲れさまでした。

【高畑】あとはクリアファイルとか、分かりやすいものがいっぱい出てたじゃないですか。

【他故】そうだね。

【高畑】それはそれでいいんだけど、「令和、令和」っていうのをあんまりいっぱい持っていてもね、というのがあるじゃないですか。令和グッズも2種類あって、一つは「令和」って印刷してあるだけのもの。

【他故】ああ、あるね。

【高畑】もう一つは、改元に伴って、本来は令和になるはずのところが、まだ平成のままになっているのを直すもの。これはシヤチハタとかサンビーなんかの。

【きだて】取り消し二重線+「令和」っていう。

【他故】ああ、はんこね。

【高畑】平成を令和にする訂正スタンプで、これはガチなやつっていう事務用のやつのどっちかなんですよ。手帳・カレンダーもどっちかというとガチな方じゃないですか。

【他故】まあ、そうね。

【高畑】そうやって二分されたときに、どっちでもないものが出てきたぞということで。

【他故】あ~なるほど。

【高畑】訂正スタンプは業務用だから、面白くないじゃないですか。個人で持っている意味もあんまりないし。

【きだて】まあ、ないか。

【高畑】もちろん、仕事では要るんだけどね。カレンダーもいいんだけど、会社ならともかく、家に飾っておいても自慢できないし。

【他故】自慢(笑)。

【きだて】自慢するのか?

【高畑】「令和にいち早く対応しました」っていうカレンダーを買うのは、それを誰かに見てもらわないと淋しくないですか?

【きだて】あ~、なるほどね。

【高畑】個人でならば、「今年は令和元年」って思うだけで充分じゃない。家にあるカレンダーなんて。6月とかが変わるわけじゃないし。

――確かに、職場とか家族がいれば盛り上がるかもしれないですけど。

【高畑】そうそう。みんながいる所に掛ければ、「お~、もう変わってるのか」って盛り上がるじゃない。それを一人暮らしの人が自分ちに掛けてもしょうがないんだよ。

【きだて】まあ、そうだね。一人でいる分には何の意味もないわな。

【高畑】そういうこと。手帳だって、5月に急に変えるのも何だしね。

【きだて】春始まりの手帳にしても遅いわな。

【他故】そうね。

【高畑】途中まで使っている手帳があるわけだし、それを急に変えるというのはね。そこでいくと、この定規はペンケースから取り出して、さりげなくかつ大胆に見せびらかすことができるので。

【他故】なるほどね。

【きだて】ただね、この定規は「今が令和何年か」が分かるわけじゃん。令和元年から数年は、この定規がなくてもそれはすぐに分かるでしょ。

【高畑】いや、元年は要らないんだよ。3年ぐらい経ったら必要になってくる。

【きだて】だから、これが活きてくるのは今じゃなくて、数年後なんだよね。

【高畑】そうそう、そうなんだよ。だから、逆に言うとまだこれから使えるんだよ。他の令和商品は、今しかネタにできないけど、これは普通に使えるし、事務の仕事してたら「え~っと、これは令和何年だっけ?」ていうことがあるからね。

【他故】そうか。

【きだて】だよね。後からじわじわ効いてくる令和グッズなんだよ。

【他故】じわじわ(笑)。

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【高畑】だから、この商品の立ち位置がちょっと変わってるんだよ。今すぐ便利かといったら、今年が令和元年だっていうのは、みんな知ってるんだよ。

【きだて】そう、「2019年は令和元年でしょ」ってすぐ言えるんだけど、令和5年ぐらいになってくると「んっ、え~っと、5+何だっけ」ってなってくるからね。

【他故】足し算が必要になるからね。

【高畑】すでに平成のときからあったからね。あと、契約書が和暦で書いてあったりするじゃない。それで、数年後の契約終了時のことまで書かないといけなかったりするから、今だけじゃなくて、何年か先のことも書かないといけないこともあるわけですよ。そういうときに、案外便利なんじゃないのかな。

【きだて】改元浮かれ案件かと思ったら、意外と実用だという。

【高畑】それで、令和15年まで使えるから。令和グッズだから売れているけど、今しか使えないんでしょという感じではなくて、案外寿命が長い商品だよ。

【きだて】だからこそ、15㎝定規じゃなくて、1mくらいの長さでやってほしかったよね。

【他故】え~っ、令和100年?

【高畑】令和が何年続くか分からないけど、少なくとも15年はあるでしょ。ただね、平成は30年あったから、平成で30㎝定規も作れるんだよ。それは案外便利なんだよね。これから、平成の読み替えって結構必要になってくるから。

【他故】逆に、これから作るべきだよ。

――サイズがすでに決まってますからね。

【高畑】ちょうど30㎝で作れるから、印刷を変えるだけで今までの定規をそのまま使えるんだよ。あったらあったで便利なんだけど、みんな令和グッズの方を期待しているんだからね。

【きだて】このタイミングで平成グッズ出してもしょうがないからな。

――令和グッズの前は、平成グッズで盛り上がってたじゃないですか。

【きだて】「平成最後の」というのでね。

――そのときに平成定規を出せばよかったんだ。

【他故】そこに間に合わせればよかったんですね。

【きだて】ただ、年明けから4カ月くらいしか売れないグッズってのもつらくない?

――確かに。

【高畑】本当は、もうちょっと先でも便利なんだけど、みんなの意識として終わったものになっちゃうじゃない。

【他故】「平成ものはもういいか」みたいなね。

【高畑】それもあって、平成ものはもう出ないんだけど。

【きだて】平成定規が出てたとしたら、2、3年後にメルカリで超高値がつくとかね、そういう扱いですね。

【他故】「あ~、あったね」みたいな(笑)。

【きだて】あったし、今すごく便利じゃんみたいなね。

【高畑】本当はね、そういうのがあってもいいと思うんだけどね。

【他故】うん。

【高畑】「令和定規」の面白いところは、とりあえず上の段だけ見ると普通の定規なんだよね。

【他故】そうね。

【高畑】だから、普通の定規の機能を全く損ねてないのもいいところで。

【きだて】損ねてないというか、西暦をプリントしただけともいえるし(笑)。

【高畑】でもね、令和の「令」が0のメモリになっているから。

【他故】これが「零」の代わりなんだね。

【きだて】くだらない(笑)。

【高畑】そこはくだらないんだけど、「え~っと、今何年だっけ?」を平成の頃から何度も何度も、書類を書く度に繰り返してた人なので。令和メモリアルとして買うにしても、ちょっと独特の雰囲気があって、面白いところにきたなと思って買いました。

【きだて】手帳の後ろによくある和暦と西暦の換算ページって、意外と使うんだよね。

【他故】俺は全然覚えられないからな。

【高畑】真面目な話、1mとか30㎝定規とか、色々と欲しい感じなんだよ。文房具で古い時代の話とかやるじゃん。それで「大正12年」とか出てくると、そこで「え~っと」っていって読み替えが発生するんだよ。

【他故】発生するね。

【高畑】スマホアプリでもできるんだけど、一々面倒くさいから一覧表が欲しいんだよね。そう考えると、定規は悪くない。

――基本的に、昭和以外は西暦に換算しにくいですからね。

【高畑】昭和の63㎝定規を作るわけにはいかないし。

【きだて】昭和と平成で1m定規でいいんじゃないの。

【高畑】いや、1mの定規を普段使うのは大変だから(苦笑)。

【他故】折りたたみ定規で。

【高畑】まあ、30㎝で折りたたみはあるけどね。

【きだて】みんな、メーター尺使わないの?

【高畑】机の上では使わないよ。書類書くときにメーター尺は使わない。メーター尺使ってダンボールで工作するときに、その読み替えは要らんだろ。

【きだて】まあ、そうだな。

【他故】パッと見るっていう大きさじゃないだろ(笑)。

【高畑】まあ、令和グッズが色々とある中で、俺的にちょっとだけ「おっ」って思ったのはこの定規だったので。なので、令和最初の商品としてはこれかな。

【きだて】実力をちゃんと発揮できる頃までは、店頭でちゃんと買えるようにしておいてほしいね。

【高畑】そうだし、みんな買ってちゃんと使ってねということだよ。キャラクターとしての令和じゃないところへ持ってきたのは評価したいね。

【他故】しかし、2020年を間もなく迎えるこの時代に、まだプラスチックの定規にセンチメートルが書いてあるのかっていうのもちょっとね(笑)。

【きだて】わはは(爆笑)!

【高畑】大丈夫だよ。まだクルマは飛んでないから。

【他故】何か、俺の考えていた未来と大分違うな(笑)。

プロフィール

きだて たく
小学生の時に「学校に持っていっても怒られないおもちゃ」を求めて、遊べる文房具・珍妙なギミックの付いた文房具に行き当たる。以降、とにかく馬鹿馬鹿しいモノばかり探し続けているうちに集まった文房具を「色物文具=イロブン」と称してサイトで公開。世界一のイロブンコレクターとして文房具のダメさ加減をも愛する楽しみ方を布教している。著書に『イロブン 色物文具マニアックス』(ロコモーションパブリッシング)、『愛しの駄文具』(飛鳥新社)など。
色物文具専門サイト【イロブン】http://www.irobun.com/

他故 壁氏(たこ かべうじ)
文房具トークユニット〈ブング・ジャム〉のツッコミ担当。文房具マニアではあるが蒐集家ではないので、博物館を作るほどの文房具は持ち合わせていない。好きなジャンルは筆記具全般、5×3カードとA5サイズノート。二児の父親。使わない文房具を子供たちに譲るのが得意。

たこぶろぐhttp://powertac.blog.shinobi.jp/


*このほか、ブング・ジャム名義による著書として『筆箱採集帳 増補・新装版』(廣済堂出版)と、古川耕さんとの共著『この10年でいちばん重要な文房具はこれだ決定会議』(スモール出版)がある。

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