- 連載企画
- 車椅子ライターから見た 弱い力でも使いやすい文具たち
- 【連載】車椅子ライターから見た 弱い力でも使いやすい文具たち #51「一定の長さでマスキングテープが切れるカッター」
【連載】車椅子ライターから見た 弱い力でも使いやすい文具たち #51「一定の長さでマスキングテープが切れるカッター」
先日、マスキングテープを複数回、同じような長さにカットしたいというシーンがありました。
だいたいの目算ではさみを使いカットしていたんですが、すべて終えた後に思い出したんです。
こういうときにピッタリのテープカッターが発売されていることを。
遅ればせながら購入してみましたので、ご紹介します。
ニチバン「プッシュカット」、ミドリ「クイックテープカッター」
ニチバン「プッシュカット」マスキングテープ。両面テープ ナイスタックは本体が赤色だが、どちらのテープも使える
ニチバンの「プッシュカット」は、ピストルのような形のテープカッター。2011年に販売終了した「ハンドカッター」を改良し、2020年9月から発売されています。
マスキングテープと両面テープ ナイスタックの2種類があり、本体の色が異なりますが、形状は同じ。どちらをセットしても使用できます。
引き金のようなレバーを人差し指で引くと、テープが約12mm出てきます。戻してまた引くと、さらに12mm。
一定の長さで送り出してくれるのです。
最初にこの形を見たとき、私の指ではうまく引けないのではないかと想像したんですが、実際に手に取ると意外なまでに軽い!
思わずスイスイと何度もレバーを引いてしまいました。
プッシュカットの名の通り、上部のボタンを押し下げるとテープがカットされます。
こちらも、思ったより軽く押せました。
カットしてくれているので、テープは簡単に離れます。
切り口は直線できれいです。
イレギュラーな使い方ではありますが、ボタンを押したあとに本体を机上に置くと、持っていた手でカットされたテープをつまみとることが可能です。
つまり片手で、カットから貼り付けまでできるんですね。
重量があったり固定されたものではないテープカッターが完全に片手で使えるのは、とても珍しいと思います。
プッシュカットは専用の詰め替え用テープ(幅15mm)がありますが、せっかくなので手持ちのマスキングテープを入れてみました。
カバーは簡単に開けられます。
私がかなり苦戦したのが、次の過程。
写真では順調に見えますが、テープを送り出し口への通路に差し込むのはなかなかうまくいきませんでした。テープの粘着部分がくっつきがちなので、これほんとに奥まで入れられるの? と心配になりましたが、粘り強く頑張ってみました。きっと器用な方はすんなりクリアなさることでしょう。
何度もやってみると、コツが掴めるのか慣れてきます。
カバーをつける前に、テープをたるませておくとスムーズにセットできます。
使用したマスキングテープの芯が専用テープより大きく、やや隙間ができましたが、問題なく使えました。
ただ、別の残量が少ないマスキングテープをセットしたところ、送り出しがうまくいかずテープがたまってしまいました。テープの薄さや粘着度の違いなどが影響するのかもしれません。専用ではないテープを使う場合はあくまでも自己責任ですね。
本来のマスキング用途で使うなら、専用テープで充分です。むしろプロ仕様で頼もしいです。なんと言っても「耐熱性に優れた車両用の高品質なマスキングテープ」が採用されているのですから。
手持ちのマスキングテープを使うタイプのカッターもあります。
こちらは使う過程の中で、ある程度の力が必要となるのですが、現時点の私は使えたのでご紹介します。
ミドリ「クイックテープカッター」。カラーは他に黒もある
ミドリの「クイックテープカッター」は、昨年5月に発売されたマスキングテープ専用カッター。外径54mm以下、内径24mm以上、テープ幅12~15mmのマスキングテープがセットできます。
テープをセットする、最初の過程で私はややつまづきました。
カバーを開けるためには、まず半透明カバーのへこみ部分に人差し指を入れてから、もう片方の手で白カバーの突起部分に爪を引っ掛けるんですが、これがうまくできないのです。
なので、突起ではなく隙間に親指の爪を差し込んで開けることにしました。
握力15kgの私はできましたが、指先のコントロール力が要るので、使えるうちに活用しておきたいです。
カバーをガバッと開いたら、マスキングテープを装着し、白カバーの三角印が示す位置までテープをセットし、カバーを閉じます。
上部のスライダーを親指でスライドさせると、テープが約20mm出てきます。
スライドさせるのにやや力が要ります。
カットするときは、もう一方の手でテープをつまみ持ち、送り出し口のカッターで切り取ります。
切り口に細かなギザギザはありますが、ほぼ直線です。
クイックテープカッターには、もうひとつカットの仕方があります。
送り出したテープを貼り、本体を引っ張ってテープのりのように使えるのです。
カットするときは本体を立て、ややねじるようにすると簡単に切れます。
白カバー中央にマグネットが内蔵されているので、デスクや冷蔵庫などに留めておけるのも便利。ただ、その分ちょっと重みがあります。
いずれのカッターも、マスキングテープが完全にカバーで覆われるため、ほこりなどがつきにくいのもかなりの利点です。
また、一定の長さでカットできるだけでなく、テープをつまんで引き出せば自由な長さでカットできます。
プッシュカットは2回引き(約24mm)、クイックテープカッターは1回スライドさせた(約20mm)
※以前ご紹介した、マスキングテープが簡単に切れるクリップタイプのカッターはこちら。
#28「マスキングテープを楽に切れるカッター」
https://www.buntobi.com/articles/entry/series/namiko/011874/
プロフィール
1974年生まれ。脊柱側弯症、先天性ミオパチーのため、2006年に杖歩行となり、2012年から車椅子、2014年12月から簡易型電動車椅子を使用。便利な道具や文具が好き。
奈良県奈良市で生まれ育ち、大阪・東京での暮らしを経て現在奈良市在住。
産経新聞奈良版および産経WESTにて連載「車いすでみるなら」2015年2月~2019年5月、全70回。
ブログ「車椅子、ときどき杖。」http://nam-kid.hatenablog.com/
【文具のとびら】が気に入ったらいいね!しよう