【連載】『小粋な手紙箱』 #29 宛名書きができない子どもたち
(社)手紙文化振興協会認定・手紙の書き方コンサルタントの田丸有子さんは、子どもの頃から「手紙魔」と呼ばれるほどの手紙好き。コンサルタントとして手紙文化を広めるために活動している田丸さんに、手紙の書き方のコツや手紙に関するトピックなどを毎月紹介してもらいます。
手紙で気持ちを伝えよう!
夏のご挨拶を申し上げます。
厳しい暑さが続いていますが、みなさま、お変わりありませんか?
先日、中学3年の国語の試験で封筒の書き方を問題として出したところ、正解率が57.4%にとどまったというニュースを読みました。住所を書くところにメールアドレスを書く人もいたとか。それを知り、きっと今時の中学生は、手紙はおろか封筒に宛名を書いたことすらないのだろうな、と想像しました。そして、こうなった最大の理由は手紙に興味がないということかもしれません。手紙の書き方コンサルタントとしては実に悲しい結果です。
どうにかして手紙の楽しさ、素晴らしさを知ってもらいたい。気付いてほしい、そして興味を持ってほしいと願わずにはいられません。手紙を書くことのハードルが高いのであれば、せめて受け取る嬉しさを味わってもらいたい。そんな風に思いました。
ちなみに封筒の正しい宛名の書き方はMIDORIさんのHPに詳しく載っています。
「そんなことはとっくに知っているよ」という方もいらっしゃるとは思いますが、復習のつもりでご覧になってみてください。意外と「へぇ、そうだったのね」と思うことも書いてあるかもしれませんよ。
手紙トピック
「SLOWLY」というアプリをご存知ですか?
世界中の人を相手にスマホで文通体験ができるというものです。
アカウントはハンドルネームとアバターのみ。登録してしばらくすると、自分宛の手紙が発送されたという連絡がきます。世界地図が表示されて、どこから手紙が届くのかが分かります。そして遠くの国からの手紙は届くまでに時間もかかるようになっているのです。ここが手紙っぽいですよね。
届いたら返事を書きます。でも急いで書く必要はありません。チャットやメールと違って、アプリの名前通りにそこはゆっくりでOKなのです。
手紙っぽいことはもう1つあって、届く手紙には切手が貼られていること。世界中の人とやりとりすれば、各国の切手をコレクションできます。
私は1ヶ月ほどやってみて、これはあくまでも疑似体験に過ぎないと思いました。オンライン上では手にとった便箋の手触りや手書き文字の雰囲気を味わうことはできません。やはり手紙の醍醐味とは、五感の全てで相手の想いを感じ、味わうことなのだと改めて思いました。
そうは言ってもアプリはアプリで楽しいですよ。語学の勉強にもなりますし、いろんな人たちと心地よいペースで交流ができます。興味のある方はお試しあれ。
今月のマキシマムカード
テーマ: 桃の季節
葉書: sasaki megumi
切手: もも・福島県
風景印: 徳島 川端郵便局お知らせ
★手紙やメールの書き方の基本について通信講座があります。
忙しい人でも自分のペースで学べます。
楽しく学んで手紙上手になりましょう!
【入門講座 /通信講座「手紙の書き方講座」】
【ビジネスメール講座 /通信講座「仕事で差がつく!メール・文章の書き方講座」】
【美文字講座 /通信講座「仕事で差がつく!実用美字・美手紙講座」】
★ 体験講座も有ります!
プロフィール
田丸有子 (たまるゆうこ)
(社)手紙文化振興協会認定・手紙の書き方コンサルタント
子供の頃から「手紙魔」と呼ばれるほどの文通好き。でも手紙の何がそこまで自分を魅了するのか、深く考えたことはありませんでした。講座を受けて一番良かったことは、手紙が私の憧れを実現する手段であると気付いたことです。自分を表現することで人に喜んでもらいたい。叶えるために出来ることは何かずっと探してきました。その表現方法こそ私にとっての手紙であり、魅かれる理由なのだと気付いた瞬間、「やっと見つけた!」そんな気持ちになりました。
また、郵趣のコミュニティに参加したことで、手紙にも色々な楽しみ方が有ることを知りました。私が今夢中になっているのは、葉書と切手、消印をコーディネートするマキシマムカード。いかにセンス良く仕上げて個性を出すか、考えるだけでワクワクします。
奥深い手紙文化を通して自分の世界が広がっていく面白さを沢山の人たちと共有し、心を豊かにしていきたいです。
ブログ「Cordially yours」
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