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【連載】月刊ブング・ジャム Vol.65 ブング・ジャムイチ押しの最新"筆記具"(その2)
本サイト編集長の文具王・高畑正幸さん、イロモノ文具コレクター・きだてたくさん、ブンボーグA・他故壁氏さんの3人による文具トークライブユニット「ブング・ジャム」が、気になる最新文房具を独自の視点から切り込んでいく「月刊ブング・ジャム」。今回は、ブング・ジャムのみなさんイチ押しの最新“筆記具”を紹介してもらいました。
第2回目は他故さんイチ押しの「ポメラ」DM250です。
(写真右からきだてさん、他故さん、高畑編集長)*2021年11月9日撮影
*鼎談は2022年7月29日にリモートで行われました。
キーボードは筆記具だ!
「ポメラ」DM250(キングジム)
――次は他故さんお願いします。
【高畑】えっ何? 「ポメラ」?
【きだて】筆記具かよ(苦笑)。
【他故】筆記具だろ。
【高畑】まあ分かるけどね。しかも白だ。
【他故】僕にとって、キーボードは筆記具ということで(笑)、久しぶりに「ポメラ」を買ってしまったという話です。
【高畑】いや、みんな持ってますけどね(笑)。
【きだて】白モデルいいなぁ。
【高畑】気が付いたら白は売り切れてたよ。
【きだて】発売してから10時間ぐらいで売り切れたみたいだよ。
【高畑】DM200はみんな持ってるの? 俺は持ってるけど。
【きだて】持ってます。
【他故】うちに200あります。
【高畑】みんな200は使ってたし、その前のモデルも何かしら使ってたんだ。
【他故】そうだね。僕は10→20→100→200ときて、今回250を買った。
【きだて】王道を歩いている感じだ。
【他故】10は完全にバラバラになったことがあるので(笑)。キーボードがパカーンと(笑)。
【高畑】他故さんは物が壊れるよね。
【他故】何でかなと思うぐらい。
【きだて】他故さんの物の扱いは、そんなに粗いという感じはないんだけどな。
【高畑】時々他故さんのツイートで、バラバラになった文房具の写真を見るんだけど。
【他故】持ち歩いていると、そうなる可能性はあるかな。特に、初期のポメラは変形するものが多かったじゃない。キーボードが開いてとかスライドしてとか、そういうのがあったからかもしれないけど。とにかく、初代のはパカーンと割れちゃって(笑)。その後は200をメインで、ちょくちょく小説を書くのに使っていたんだけど、しばらく「ポメラ」を使ってなかったんだよ。
【きだて】うん。
【他故】今回、どうしても欲しいなと思ったきっかけがあって。年に2回、趣味で小説を書いているのね。コミケに向けて、文庫本を1冊書くというのを毎年やっているんだけども、僕が文房具が好きというのは、小説のかたちにして同人誌を出すための道具を選んでいるというかたちになっているので。そういうときに、一番重要な文房具は何かというと、キーボードになるんですよ。原稿用紙に手書きをするということはほぼありえないし、あったとしても、テキストにするための労力が別に必要になるんだったらあまり意味がないので、キーボードで入力するのが普通だろうと。
【高畑】なるほど。
【他故】もちろん、家にはパソコンもあるし、ノートパソコンも持ってるんだけど、出かけたときに、キーボードを叩いてすき間時間にも小説を書きたいというのが大きくなったので。今までは、「すき間時間も書かないと間に合わない」という切羽詰まった雰囲気でやってたんだけど、すごく久しぶりに「電車の中でただ寝てるのはもったいない、書きたい」という気持ちが大きくなって。この夏のは、全部自宅のパソコンで打ったんだけど、それが終わった瞬間に「新型のポメラが出ます」という情報があって、これは久しぶりに手に入れて、書き続けたいなという気持ちがでかくなった。
【きだて】なるほどね、そういう経緯で。
【他故】久しぶりに「ポメラ」を手に入れたのはいいんだけど、今日届いたばかりなので、これの性能は語れません。
【きだて】今までの語り、なんだったんだよ(笑)。
【他故】なので、すでに触ってる二人から、これの良いところを聞きたいなと。
【きだて】嘘だろ、おい(苦笑)。
【高畑】自分で持ってきておきながら丸投げするという(苦笑)。
【きだて】斬新だな!
【高畑】僕はもうガンガン使って、擦り傷だらけなんだよ。
【きだて】今回のボディは傷が付きやすいよね。
【高畑】そうだね。でも、いいっすよ。僕は、200のときから、YouTubeでしゃべる原稿とか、頼まれて作る動画でしゃべらないといけないことを「ポメラ」に打っておいて、「ポメラ」の画面を見ながらしゃべるという、プロンプター的に使うことが多くて。
【他故】へぇ。
【高畑】こうやってしゃべっている時は、原稿がなくても自分の思っていることをしゃべっていく会話スタイルでいいんだけど、もうちょっと締まってる動画を作らなきゃいけないときがあるじゃん。説明がキュッとなってるやつ。そういうのだと、カミカミになるとダメだし、「えっと」と言っちゃいけない場合があって。その時は、しゃべる内容をある程度先に決めておくんだけど、しゃべる前にガーッと打っておいて、簡易原稿として画面を見ながらしゃべる。それで、「違うな」と思ったら打ち直して。
【きだて】それは、ノートパソコンじゃなくて「ポメラ」がいいと。
【高畑】そう。ノートパソコンでかいじゃん。スマホのカメラで撮ってるんだけど、ちょうどよく見える所に置けて、あんまり大きくないんだけど、文字がすごいはっきり見えるというところが良い。「ポメラ」の文字はめちゃ読みやすいんだよ。
【きだて】「ポメラ」の背の低さがそういう形で役に立つのか。
【高畑】背が低くて軽いから、ちょうどいい所に固定しやすいんだよ。
【他故】なるほどね。
【高畑】カメラ横とか下にひょいっと入れて、その画面を見ながら、ちょっとだけスクロールとかしながらしゃべる感じで原稿として使う。文字の大きさも変えられるし、コントラストもすごいはっきりしているから、割と文字が読みやすいんだよ。
【きだて】読みやすいね。それは分かる。
【高畑】ちょっとした文章をしゃべる前に打つときに、じゃあiPadでやるのか、ノートパソコンでやるのかとなるとちょっと大げさなんだよね。でかくて重くて、ちょうどいいところに置きにくいというのがあって、そういう用途にちょくちょく使ってた。
【他故】うん。
【高畑】最近、自分が良いと思っているデジタル器機って、他にも「Kindleペーパーホワイト」があるんだけど、どっちも良い部分は電池の保ちなんだよね。書こうと思ったときに充電されてない問題ってすごいストレスで。思い付いた瞬間に充電されてなくて、充電しているうちに忘れるという。
【他故】ははは、嫌だね(苦笑)。
【高畑】電子本も、空き時間ができたから読もうと思ったけど電池が切れてたら、読む機会が1回分減るわけじゃん。放っておいても、「電池残量がまだ40%残ってる」から読める。30分~1時間ぐらい平気で読める。「ポメラ」の良いところは、今すぐ原稿が打ちたいと思ったときに、電池が切れているということがまずないのさ。何カ月も放っておいたらダメだけど、ポンと思い付いたときに大体電池があるというのは、俺にとってはすごい性能。
【きだて】スマホとかって、0%まで電池が減ったら、再び使えるようになるまでに充電が結構かかるじゃん。
【他故】かかるね。
【きだて】でも、「ポメラ」って、数分充電しただけで意外と電気が点くんだよ。そういう細かいところも軽快感につながってる。
【高畑】コンセントに挿したら使えるし、挿したままでも使えるから。物によったら、挿したままだと、充電されるまで使えないのがあるじゃない。
【きだて】そうそう。あと、DM250になってUSBがType-Cになったじゃん。それによって、充電自体も早くなってるんだよね。
【高畑】電池の容量もちょっと大きくなったんだよね。
【きだて】そうそう。電池が大きくなっても、ゼロから満充電まで1時間ぐらい早くなってるのね。その辺もポイントだと思うよ。
【高畑】俺が最大のポイントだと思うのは、QRコードが枚を撤廃したところ。「ポメラ」の発明で、俺が一番すごいなと思ったのが、スマホにデータ転送するのに、電波を使わないのが、最高にクールだと思ってるのね。QRコードを表示して、スマホの画面に移すというのが、すごい早いんだよ。Wi-Fiを使うと、その間は普通のネットから離脱するんだよ。
【きだて】そうそう。
【高畑】あれが嫌なんだよ。Bluetoothだったらいいんだけど、そうじゃなくてWi-Fiを使ってるので。
【他故】使ってるね。
【高畑】そうすると、つながるはつながるんだけど、その瞬間スマホが止まるんだよ。それで、戻さないといけないんだけど、その設定が超面倒くさい。でも、QRだと一瞬に表示できる。書き終わった原稿をスマホに送るのは一瞬でできるので・それはいいんだけど、デンソーウェーブが決めているQRコードのルールって、16枚までしか連動しないんだよ。QRコードは、最大16枚まで1セットにできるというルールがあって、細かいものでも最大2,000字ちょっとまでしか送れなかったんだよ。それだと、ちょっと調子にのって、いい文章が書けたと思って転送しようとすると、転送が途中で切れて後半の部分が送れない。だから、前半の部分を消したファイルを作ってもう1回送るとかやると、何の意味もないんだよね。
【他故】そうね。
【高畑】今回それを撤廃して、ポメラ専用のPomera QRモードが使えるようになって、QRコードが999個まで連動するようになったから。それだと、1ファイルあたりの文字数が、約20万文字まで増えたんだっけ?
【他故】そうだね。
【高畑】それの全部が可能かは分からないけど、計算上だと10万文字以上は一度に送れることになる。普通に原稿を書いて数万文字を書いても転送できるようになったんだよ。これがもう、劇的に楽。
【きだて】専用アプリがあるから、そっちを使った方が楽なんじゃないかと思うんだけど、相変わらずのWi-Fiの弱さでさ。つながらないわ、復帰しないわで、結局QRが良いわってなっちゃうんだけどね。
【高畑】ただし、QRで転送の場合、スマホでいじった後に戻すというのができないんだよ。一方向なので書き足しができない。
【他故】ああ、なるほどね。
【きだて】でもね、アプリ上でWi-Fiで読み込んでも同じだよ。
【高畑】そうなの。戻せないの?
【きだて】戻せない。
【高畑】俺は、そういうときはType-CのUSBでパソコンとつないで使うのさ。そうすると、外付けディスクとして認識されるので。それだとテキストとしてエディターで開けるし、そこに書き込んで戻しても反映されるんだよ。パソコンで書き足しをする場合、有線で接続するのが一番速い。あと、融通がきくので。書き換えとかもできるし。双方向でやりたかったらUSBがいいと思う。
【きだて】実際は有線しかないよ。
【高畑】小説の原稿を書いたりガッツリやるんだったら、本体と有線接続すればいいし。短い文章だったらQRで移して、入稿するときにスマホを使う方がPCより全然簡単だから。QRの16枚が撤廃されて99枚までになったのが、独自アプリだからできるんだけど、それが大正解で、そうしてくれたのが超絶いい。
【他故】なるほどね。
【きだて】俺のおすすめは、常時文字数表示ですよ。
【高畑】そうそう!
【きだて】今までだと、F10を押してプロパティを出して、文字数を確認して、戻してみたいなことをしてたじゃない。
【高畑】してた、してた。
【きだて】「面倒くさいわ」っていう。今は、常に「何文字」というのが出てくれるからさ。これだけで200に戻れないというぐらいうれしい。
【他故】ふふふ(笑)。
【きだて】だってさ、原稿書くときに、文字数は基本的に意識するじゃん。
【他故】まあ、するね。そうだね。
【きだて】特に、我々は文字を書いてお金をもらうことも多いので、ひと文字いくらになるか計算しながら書くわけですよ。
【高畑】そうじゃなくても、枠が決まっていることが多いものね。
【きだて】まあ、Web原稿だとあんまりないんだけど。それでも、文字数は常に意識しないといけないので。そういう意味では、これは本当に最高。
【他故】なるほど。
【きだて】あと、地味にバッテリーの残量も数字で出るようになったしね。何パーセントっていうのが。
作成中のテキストの文字数やバッテリー残量が画面上に数字で常時表示されるようになった
【他故】あれ、これ前は出なかったんだっけ?
【高畑】前は電池マークだったよね。
【きだて】電池マークだけで、F10で表示しないとダメだったんだよね。
【高畑】充電中にランプが点くようになったしね。
【きだて】そうそう。充電し終わると緑になったりするんだよね。分かりやすくなった。
【他故】そこら辺はいいよね。
【きだて】今までは、バッテリーをパカッと開けて見ないといけなかったので、すごい面倒くさかった。
【高畑】強いて言うなら、選択範囲の文字数も、選択したら出るようにしてほしいね。
【きだて】そうな。パソコンとかのエディターだと、そんなのはもう当たり前の機能じゃない。
【高畑】そこがちょっと惜しいなというところですね。
【他故】そうか。
【高畑】ATOKが本当に賢くなったのかは、まだよく分からないね。
【きだて】賢いというか、指摘されることが多くて鬱陶しくなってきた。「イルカの消し方を教えてくれ」という気分になってくる(笑)。
【高畑】本当?
【きだて】普通に「校正支援」をオフにすれば、イルカよりも楽に切れるんだけど。でも、ゼロにすると不安なときもあるので。
【他故】なるほど。
【きだて】わざと誤用して、面白おかしく書くこともあるじゃんよ。
――超真面目な編集者みたいな(笑)。
【きだて】そう、書く内容によっては、校閲がうるさく感じるケースもある。
【高畑】あれはどうなの、シナリオモードは誰か使う人はいるの? 俺はないんだけど。
【きだて】あれはね、雑誌の対談記事とかを編集するときに便利かなと思って使ってみたんだけど、文字の一桁数を定められないからダメだった。一桁で15文字とか18文字みたいに設定ができるなら対談記事が作りやすいんだけど、それができないのであんまり使いようがないな。
【他故】そうか。
【きだて】多分、要望はあったんだろうね。シナリオライターとか放送作家で「ポメラ」を使っている人もいるみたいだから。
【高畑】アウトライン表示が便利だから、僕は割と使うんだけど。でも、僕ときだてさんがこれだけ語れるんだから、色々と使ってるんだよね。
【きだて】他故さんさ、200と250でキーボードを押し比べてみた? フィーリングが微妙に違うのよ。
【他故】違うね。
【きだて】250の方がモッチリして音も静かになってるんだけど、純粋な好みとして、俺は200の方が好きだったのよ(笑)。
【高畑】ははは(笑)。
【他故】200の方が、カタカタというか、打ってる感はあるよね。
【きだて】250は、モッチリしている割には、押し込みが硬いのよ。
【他故】あーそういうことか。
【きだて】音は静かなんだろうけど、何かね、まだしっくりきてない。すぐに慣れるとは思うんだけど。
【高畑】もうちょっと押下圧は軽めがいいな。それは分かる。
【きだて】意外と指に力が要るよね。力が要るというほどもないんだけど、やっぱり何か圧が要るんだよ。
【高畑】最近、ずっと軽いキーボード、しかも押下圧の軽いのを使ってるので、普通のキーボードになったときに「重たい」ってなっちゃったので。
【他故】確かに、そう言われれば、重たい感じはあるね。
【きだて】筆記具として、そこを許容できるかどうかは大きいと思うんだよね。
【他故】まあ、そうだね。
【きだて】だから、他故さんがその辺をどう感じるかを知りたかった。
【他故】これについては、俺も軽い方が好きなのは間違いないけど、ただ電車の中で打つとか、喫茶店で打つとかを想定しているので、音が小さい方がいいんだよ。
【きだて】ああ、それはそうだね。
【他故】その限りでは、この圧は許容範囲だね。ただ、何万字も打ったら変わるかもしれないけどね。
【きだて】多分、その頃には慣れてると思うよ。何万字も打てば。
【高畑】高級感は出たんだけど、表面にザラッとしたテクスチャーを入れたじゃん。なくていいなという気がするんだけど(笑)。
【きだて】キートップがテカらない?
【高畑】今回どうなんだろう。文字のところが、デカールの跡がよく分かるようになってて。前のサラッとした表面の方が俺は好きかな。
【きだて】多分、キーのところにちゃんとザラザラ感を出すためにデカールっぽくなってるんと思うんだけど、角度によってすごいテカる。
【高畑】確かに。
【きだて】それが微妙にストレスではあった。
【高畑】あと微妙なことなんだけど、文字がセンターに寄ったよね。そこは、好みの問題だと思うんだけど。
【他故】ああそうだね。
【高畑】これ親指シフトに対応できるようになってるんだけど、あんなステッカーを付けるんだったら、ファンクションキーのステッカーを作ってくれって、すごく思う。
【きだて】「テプラ」で貼れよ。
【高畑】だから、毎回「テプラ」で貼るんだよ。キングジム製品は、基本的に「テプラ」で貼らないといけないんだよね。
【他故】ははは(笑)。
【きだて】Twitterを見ると、貼ってる人続出してるね。
【他故】あ~見た見た。
【高畑】これは、「ポメラ」オリジナルのショートカットだから、いちいち覚えてないじゃん。普通のショートカットキーじゃないから、すぐ忘れるんだよ。
【きだて】200のときは、プロパティ出しまくって文字数見てたから、F10だけは完璧なんだけどな(笑)。
【他故】ははは(笑)。
【高畑】でも、「明るさかな」と思ったら、文字の大きさが変わったりするじゃん。勘で打ったら違うんだよ。
【きだて】文字の級数がいきなり大きくなって、元に戻すのに何遍もキーを叩くとか。
【高畑】そうそう。一方向しか行かないからね。
【きだて】「行き過ぎた」みたいな(笑)。
【他故】あ~なるほどね。
【高畑】ここでこうやって盛り上がるのは、3人とも物書きだからだよ。
【他故】まあ、そうだろうね。
【高畑】だから、物書きにとってはすごく良い。でも、DM10は、正直使いこなすところまではいかなかった。もちろん、面白いから買ったけど、「こういう道具もあるわな」で終わったのね。集中して使うには、ボディがちょっとたわむじゃん。
【他故】そうそう、たわむよ。
【高畑】あれが嫌で、DM100が出たときに「ようやく出た」と思って。だから、俺にとって本気で使えるようになったのは、100からなんだよ。
【きだて】俺も全く同じで100からです。
【高畑】俺は200を1回壊して、2台持ってるんだよね。ヒンジが割れちゃって。それで、100も裏のゴムが取れるんだよ。
【他故】あのゴムはダメだったね。
【高畑】100のゴムが取れると、バランスが取れなくなるのって知ってる?
【きだて】後ろにガクッといくんだよね。
【高畑】そうそう。あれが、絶妙なバランスで立ってるのに、取れるんだよ。それで自立しなくなるという。
【きだて】あれはひどかったな。
【高畑】カッコよくするために、右上のカドに穴があいていたんだけど、あの穴がジャマで、上手くケースに入らない。
【他故】ちょっと出っ張ってたよね。
【高畑】「要らね」って思ったんだよ。でも200になって「完成した」と思ったんだけどね。
【きだて】200は本当に素晴らしかったんだけど。
【高畑】今回のアップデートで、キーボードの問題とかは好みがあると思うんだけど、物書きとしたら1ファイル20万字って重要だと思うんだよ。ファイルの文字数を気にしながら、上限に当たったから1回止めるというのはね。これ本気で小説家とか使ってるから、そういうところだと思うんだよね。別に、変な機能を足さなくてもいいから、文字数が分かるとか基本的なところが良くなったから。
【他故】20万字に上がってくれたというのは、僕みたいなアマチュアでも10万字ぐらいは超えちゃうので、すごく不満だったところが、20万であれば分厚い本でもない限り入るは入るというところまで行ったので。あと、SDカードが出っ張らなくなったのが良い。200って、簡単にSDカードが出っ張るのよ。
【きだて】そうだっけ?
【他故】そう。それが200で嫌だったの。ほんのちょっと出っ張ってて、簡単にカードが出ちゃうのよ。
【高畑】本当だ。1㎜か2㎜だけど出てるね。
【他故】これは、僕にとって嬉しい改良。
【きだて】そういえば、俺はSDカード入れて運用したことなかったわ。
【高畑】俺はSDカード入れる派だけど、気が付かなかった。でも、確かにそうだね。
【他故】そう、200のときは出っ張ってたんだよ。だから、250を買った決め手の一つは、この出っ張りがないということ。
【きだて】そこか~。
【他故】僕は、お二方のように200をバリバリに使ってなかったわけですよ。だから、改めて250を使いたいなと思って、色々と教えてもらう回になっちゃったんだけど(笑)。
【高畑】でも良いですよ。それこそ、「何で今これをアップデートしないといけないのか」という話があると思うけど、前以上に文章を書くことに特化することに意味が出てきた可能性はあるよね。
【他故】そうだね。
【高畑】前から主張していることは一緒なんだけどね。その白は、専用ケースが付いているの?
【他故】専用ケースと保護フィルムがセットになって販売されていたの。
【高畑】へぇ、そのケースかっこいいな。
【他故】このケースも、出した状態で置いておくと、アームレストになるの。
【きだて】そうそう。
【他故】よくできてるよね。
――白いポメラは、キングジムのオンラインストアだけで販売したんですね?
【きだて】そう、250台限定で。
――もう全部売り切れちゃったんですね?
【他故】もう初日で。
【高畑】初日気が付かなくて、Twitter見て「出るんだ」と思ってサイトを見たら、もう売り切れてた。
――何年ぶりの新モデルでしたっけ?
【きだて】前が2016年だったので、6年ぶり。
――そんなになるんですか!
【きだて】そこからDM30をはさんで250だね。
【他故】そうだね。30があったからね。
【高畑】200がなくなると困るからって、小説家で何台も買い占めている人がいたじゃん。それぐらい、その後出るとは思わなかったもの。250を作ってくるとは思わなかったので。
【きだて】まあ、そうね。
【高畑】ここで出してくれたので、ここ何年かはこれでいけるじゃん。
【他故】うん、いけるね。
【高畑】何年かはこれをベースにいける。これは、ある意味ガラパゴスの商品なんだけど、これにしかない魅力があるよね。
【他故】あるある。
――一瞬にして250台が売れちゃったわけですから。
【高畑】それは、白が250台売れただけだから、黒も合わせるといきなりかなりの数が売れているわけですよ。
【他故】だって、Amazonが品切れになったという話だよね。
【高畑】「ようやく在庫復活しました」って今日出てたよ。
【きだて】5、6万するものが初日にそれだけ売れるというのは、そりゃすごいわな。
【他故】すごいよね。
【高畑】結構マニアックな商品だとは思うけど、「これが好き」という切実なユーザーがいるということだよね。
【きだて】面白いのはさ、初日にこれだけ売れたんだけど、きっとこれからも継続して売れるんだよね。
【他故】売れるんだと思うよ。Twitterを見ていると、「ポメラに新しいのが出たんだ、欲しい」というツイートが減らないよね。何回も何回も流れてくる。
【きだて】多分、2年後、3年後で、まだもじわじわと売れると思うんだよ。壊して買い替えとか、他に乗り換えようがないからね。囲い込みがすごすぎる機械だよ。
【他故】まあ、本当にそう思うよね。
――200持ってる人は買い替えますかね?
【他故】人によっては買い替えるんじゃないですかね。バッテリー弱くなってる人もいるでしょうし。
【高畑】無制限の部分とか、買い替える理由はあるからね。
【きだて】悩んでいる人は、とりあえず「文字数表示あるよ」ということで、買い替えて下さいよと思うんだけどね。
【高畑】そうだよ。文字数表示と、どんなに長い文章を書いても大丈夫というところが大きい。
【きだて】その辺がでかいよね。
【高畑】真面目だなと思うのは、そういう基本性能のところをちゃんとやったけど、100のときは変なボタンとか付いてたじゃない。
【他故】ああ、あったね。
【高畑】ああいうのは別になくてもいいんだよとは思う。だから、かたちは全然変えてないじゃない。見てくれを変えずに、基本性能をアップしてきたというのが、これが愛されているというのが分かっていて、変なことをして嫌われるくらいなら、このままのかたちで良いものにしてくれた方がいいというのは、すごい分かる。
【きだて】そういう意味で、200は完成度高かったんだなと思うしね。変えるところはそんなになかった。それでいて、不満に思っていたSDカードのところとかは、細かくちゃんと変えてきているしで。使い勝手を変えずに良くしているというのが、非常によく伝わる機械ですよ、これは。
【他故】そうだよね。スペックで見ると、メインのストレージの容量がめちゃくちゃ増えたんだよね。
【きだて】そう。
【他故】それで、この中でバックアップもとってくれるようになったんだよね。
【きだて】オートバックアップは、上書き保存する度なので、あんまりは当てにならないんだけど。でも、あるだけ大分マシだよね。
【高畑】かたちを変に変えて打ちにくくなったと言われるよりは、このままでいてくれたのが本当に良かったなという感じだよね。液晶は変わってないのかな?
【他故】スペック表で見る限りは、特に変わってないようだけど。
【きだて】変わってないけど、液晶の色温度が変わっているような気がする。
【他故】そういうところは違うのかな。
【高畑】これって、カラーディスプレイをモノクロ化して使ってるんじゃなかったけ?
【きだて】そうそうそう。
【高畑】これは、モノクロのディスプレイを手に入れるより、カラーのを手に入れる方が安かったんでしょ。そのカラーをモノクロ表示しているだけという。
【他故】そう。
【高畑】ここで色を出そうと思ったらできたんだけど、そういうところを全然しないのが良いし。これは、ひざの上に載せて電車で打てるというのが良いんだよなあ。
【他故】良い物を手に入れたので、「ポメラ」再デビューということで、バリバリ使っていきたいと思います。
【きだて】いいね。
【高畑】小説を書いている他故さんにとってはまさにそうだし、我々にもね。
――これだけ売れるというのはすごいですよね。
【高畑】この感じからいくと、サポートもしばらく大丈夫そうだし。
【きだて】そう思うよね。次が「DM300」になるのかどうかは知らないけど、次も出そうな気がしてきたし。
【他故】安心できる。
――希望があっていいですね。
*次回は各社のつけペンを紹介します。
プロフィール
きだて たく
小学生の時に「学校に持っていっても怒られないおもちゃ」を求めて、遊べる文房具・珍妙なギミックの付いた文房具に行き当たる。以降、とにかく馬鹿馬鹿しいモノばかり探し続けているうちに集まった文房具を「色物文具=イロブン」と称してサイトで公開。世界一のイロブンコレクターとして文房具のダメさ加減をも愛する楽しみ方を布教している。著書に『イロブン 色物文具マニアックス』(ロコモーションパブリッシング)、『愛しの駄文具』(飛鳥新社)など。
色物文具専門サイト【イロブン】http://www.irobun.com/
他故 壁氏(たこ かべうじ)
文房具トークユニット〈ブング・ジャム〉のツッコミ担当。文房具マニアではあるが蒐集家ではないので、博物館を作るほどの文房具は持ち合わせていない。好きなジャンルは筆記具全般、5×3カードとA5サイズノート。二児の父親。使わない文房具を子供たちに譲るのが得意。ラジオ番組「他故となおみのブンボーグ大作戦!」が好評放送中。ラジオで共演しているふじいなおみさんとのユニット「たこなお文具堂」の著書『文房具屋さん大賞PRESENTS こども文房具 2022』が発売中。
たこぶろぐhttp://powertac.blog.shinobi.jp/
「ブング・ジャムの文具放談 特別編・完全収録版~『ブング・ジャム的Bun2大賞』ベスト文具を決定!~」〈前編・後編〉と「ブング・ジャムの文具放談・完全収録版~2020年Bun2大賞を斬る!~」〈前編・後編〉をコンテンツプラットフォームnoteで公開中。
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