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【連載】『小粋な手紙箱』 #54 友情の手紙

田丸有子

(社)手紙文化振興協会認定・手紙の書き方コンサルタントの田丸有子さんは、子どもの頃から「手紙魔」と呼ばれるほどの手紙好き。コンサルタントとして手紙文化を広めるために活動している田丸さんに、手紙の書き方のコツや手紙に関するトピックなどを毎月紹介してもらいます。

手紙で気持ちを伝えよう!

こんにちは。
朝晩は涼しい風がそよぎ、キンモクセイの香りが漂う季節となりました。
いかがお過ごしですか?

最近『マティスとルオー 友情の手紙』を読みました。偉大な画家であるアンリ・マティスとジョルジュ・ルオーの往復書簡をまとめたものです。何年か前に東京で同じテーマで展覧会が開かれた時に観にいき、絵画の感動もさることながら二人の直筆の手紙に心を動かされ、もっとじっくり読んでみたいと購入した本です。

絵画の専門的な内容が書かれている部分はあまり理解できませんでしたが、どの手紙にも二人のかたい絆を感じることができます。仕事が大変な時にも、病気になった時にも、戦争中でも、お互いを気遣い、励ましあい、信頼して意見を求め合うのです。手紙から読み取れる深い友情に胸が熱くなりました。時々直筆の写真が挿絵のように現れるのですが、絵画と同じように直筆にも二人の性格や特徴が滲み出ていて味わい深いものがあります。

それから、私が興味深く読んだのはむすびの言葉です。いろんなパターンがありますが、「両手で心を込めた握手を送る」とか「友情を込めて握手を送る」という表現を、特にマティスが好んで使っています。フランス人がよく使う形式的な言い回しなのかどうかわかりませんが、翻訳された日本語で読むととても詩的に聞こえて真似したくなりました。

ということで…このコラムを読んでくださったみなさんへ、心を込めて両手で握手を送ります。

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手紙トピック

8月25日〜30日に「日本国際切手展」がパシフィコ横浜で開かれました。日本では10年に1度開かれているというこの催しに初めて行きましたら、まぁなんと楽しいことでしょう! 郵便好き、手紙好きには遊園地に遊びに行くようなものといえばその楽しさを想像してもらえるでしょうか。

コロナ禍での開催ということもあり、入場者数は少なかったようで寂しいという声も聞かれましたが、混雑しているところが大嫌いな私にはちょうど良かったです。文具マルシェでの買い物も楽しめましたし、いくつかのワークショップも並ばずに参加でき、興味深い展示もじっくり観ることができて大満足でした。

個人的には何も楽しいことを計画できなかった今年の夏でしたが、おかげさまで良い思い出ができました。次はまた10年後。一体どんな世の中になっているでしょうか。皆目見当もつきませんが、手紙の楽しみは普遍と信じて楽しみにしたいと思います。

今月のマキシマムカード

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テーマ: 日本国際切手展2021
ポストカード:無地の和紙に折り紙を貼ったもの
切手・絵入りハト印・小型印: 日本国際切手展2021

お知らせ

★手紙やメールの書き方の基本について通信講座があります。
忙しい人でも自分のペースで学べます。
楽しく学んで手紙上手になりましょう!

入門講座 /通信講座「手紙の書き方講座」
ビジネスメール講座 /通信講座「仕事で差がつく!メール・文章の書き方講座」
美文字講座 /通信講座「仕事で差がつく!実用美字・美手紙講座」


★ 体験講座も有ります!

(社)手紙文化振興協会 体験講座スケジュール

プロフィール

田丸有子 (たまるゆうこ)

(社)手紙文化振興協会認定・手紙の書き方コンサルタント

子供の頃から「手紙魔」と呼ばれるほどの文通好き。でも手紙の何がそこまで自分を魅了するのか、深く考えたことはありませんでした。講座を受けて一番良かったことは、手紙が私の憧れを実現する手段であると気付いたことです。自分を表現することで人に喜んでもらいたい。叶えるために出来ることは何かずっと探してきました。その表現方法こそ私にとっての手紙であり、魅かれる理由なのだと気付いた瞬間、「やっと見つけた!」そんな気持ちになりました。

また、郵趣のコミュニティに参加したことで、手紙にも色々な楽しみ方が有ることを知りました。私が今夢中になっているのは、葉書と切手、消印をコーディネートするマキシマムカード。いかにセンス良く仕上げて個性を出すか、考えるだけでワクワクします。

奥深い手紙文化を通して自分の世界が広がっていく面白さを沢山の人たちと共有し、心を豊かにしていきたいです。

ブログ「Cordially yours

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