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【連載】月刊ブング・ジャム Vol.39 ブング・ジャムおすすめのテレワークに便利な文房具(その1)

本サイト編集長の文具王・高畑正幸さん、イロモノ文具コレクター・きだてたくさん、ブンボーグA・他故壁氏さんの3人による文具トークライブユニット「ブング・ジャム」が、気になる最新文房具を独自の視点から切り込んでいく「月刊ブング・ジャム」。今回は、テレワークにおすすめの文房具を紹介してもらいました。

第1回目は他故さんおすすめのコクヨの「ファイルボックス〈KaTaSu〉(取っ手付き・スタンドタイプ)」です。

写真右から他故さん、高畑編集長、きだてさん *2019年12月撮影

*今回の鼎談は5月25日にリモートで行いました。

取っ手付きで便利なファイルボックス

コクヨ.jpgファイルボックス〈KaTaSu〉(取っ手付き・スタンドタイプ)」(コクヨ) 運びやすい可動式取っ手が付いたファイルボックス。横置きでも縦置きでも使え、クリヤーホルダーを立たせて使えるので、書類を探しやすく省スペース。書類の仕分けに便利な仕切付き。A4サイズで、税抜650円。

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――緊急事態宣言は解除になりましたが、まだ自宅でテレワークを継続するという人も多いでしょう。ということで、この時期に「自宅で役立った」という文具をみなさんに紹介してもらいましょう。

【高畑】そう言われても、俺ときだてさんは、急に需要が変わったわけではないからね。

【きだて】元から自宅で引きこもって仕事してるもんな。

――まあまあ(苦笑)。まずは、以前と環境がガラリと変わったであろう他故さんからお願いします。

【他故】僕は、4月の半ばぐらいから、ずっと自宅で仕事をしているわけですが、在宅勤務といっても、オンラインで何かデータが見られるわけじゃないんですよ。なので、会社に許可をもらって、必要なものだけプリントアウトして持ってきているんですね。

――はい。

【他故】それに対して、できる仕事をする。あとは、各部門にお願いしていた調査の回答がメールで段々と返ってきているので、それは自宅でも受信してエクセルで表を見られるので普通に仕事ができるんですが、それ以外だと、正直に言えば、プリントアウトした書類を復習するみたいな感じになっちゃうんですよ。

【きだて】リモートワークの中でも、大分レガシーなやつだよね。

【他故】そうそう。受信はできるんだけど、こちらから作ったものはどこへも行かないという(笑)。あとは、自己啓発的に勉強するような本も持っていて、それを中心に過ごしているので、それを固めて置いておく必要があったんですわ。

【きだて】あ~、はいはい。

【他故】手ごろでちょうどいいかなと思ったのが、今回紹介させていただく「ファイルボックス〈KaTaSu〉」の取っ手付き・スタンドタイプというやつです。

【高畑】ふむ。

【他故】この取っ手が、有意義に使っているパーツなんですよ。ここに書類を全部入れておいて、座った状態で取っ手をつかんで、机の上に持ち上げて、この中から必要なクリアファイルを出して、必要がなくなったらまた入れてという感じで、全部確認しながらやっています。自己啓発的な本もここに一緒に入れておいて、時間があるときはこの本を読みながら勉強しています。仕事の方は、書類をこうやってまとめておいて、一方でアクティブな書類はクリップボードに留めた状態にしておいて、必要があったら書き込んだりした上で、メールを返して回答をもらうというような作業をしていて、このボックスファイルが完全に僕の今の仕事のベースステーションになっています。

【高畑】うん。

【他故】紙でできているので、軽くて丈夫というのもあるし、あとは在宅勤務をずっとするかどうか分からなかったので、ここにあまりお金をかけなくないというのが正直なところだったんですよ(笑)。

【きだて】一時的な環境ならコストかけたくないってのは確かにあるよね。

【他故】ガッチリとシステムを組むほど在宅をするとは思ってないので(笑)、一番手頃で有意義に使えるだろうということだったんだけど、このシステムを気に入ったので、場合によっては、もし会社に戻ったとしても、会社の自分のデスクにこれを入れておいてもいいかなと思っているんですよ。引き出しのところにドーンとね。

――なるほど。

【他故】すごく便利に使ってます。

【きだて】コクヨの社内はフリーアドレス制なので、移動の時は実際にそれを使って書類とか持ち歩いてるのは見たよ。でも、家庭内でそうやって便利に使えるのは「へ~」っていう感じだわ。

【他故】とにかく、書類をなくしたくないので、1カ所にしておきたかったんですよ。かといって、カバンに入れっぱなしにしてしまうと、普段サッと取り出せなくなってしまって、よろしくない。後ろに自分のファイルキャビネットはあるんだけど、これはほとんどのものが、自分の生活と趣味のもので埋まっていて、改めて仕事のものを入れるスペースがゼロだったので、余計なものは入れられない。それで、これを足下にポンと、朝9時から午後5時35分までの勤務時間に置いておいて、午後5時35分になったらこれを背後に置いて、もう見ないと(笑)。そういうオンオフを一応、今はしています。

【高畑】なるほどね。

【他故】今までは、会社のパソコンをシャットダウンして帰るという、明確な縛りがあったのが、今回初めて自分のパソコンで仕事をするというのをやってしまったので、もう区切りがよく分からなくなっちゃうんですよ。とりあえず、区切りを何か1個欲しいと思って、今回このファイルボックスに、終わりの時間になったら全部詰め込んで、閉じて離すことで見えない化するという(笑)。

【きだて】あ~なるほどね。

【他故】今のところそういうかたちで、在宅勤務が終わるまでこれでいこうと思っています。

【きだて】容量的には、特に不満はない?

【他故】さっきも言ったように、ここにいる限り書類は増えないので、それは今のところ問題ないです。どんどんプリントアウトして、書類が増えるんだったら、これでは足りないかもしれないし、もっとファイルボックスが必要かもしれないけど、僕の使い方だと、元々ある書類プラス、メールで来たものをプリントアウトするぐらいなので、これで充分です。

【きだて】リモートワークとしては、他故さんのやり方は、かなりレアケースだと思うのね。

【他故】ふふっ、そうだよね(笑)。

【高畑】何らかのかたちでオンラインにつないで動かそうとしているわけじゃないので、リモートじゃないよね。リモートというのは、つながっていて外に出ているんだけど、他故さんの場合はスタンドアローンで外に出ているから、母艦から離れてまた戻ってくるみたいな感じじゃん。

【他故】そうそう。

【高畑】つながっている状態で糸電話で話しているんじゃなくて、ポンと離れていて、どちらかというと出張に近いよね。

【他故】そうだね。長期間ホテルに泊まっているイメージ。

【高畑】会社から直にではないんだね。

【きだて】そっか、家庭内単身赴任だ(笑)。

【高畑】それは単身赴任か (笑)?

【他故】まあまあ、そうだね。他所で経験したことあるけどね。他の会社に出向して、自分一人だけということがあったけど、それに近い感じかもしれない。

【きだて】自分のスペースが極端に狭いことも含めて、そんな感じだね。

【他故】なので、直接みなさんの役に立つかどうかは全く分からんのですが、まあこういう使い方をしていますという(笑)。

【高畑】時間がきたら区切りをつけるのは、結構重要な感じ?

【他故】うん。これがないと、自分でもよく分からなくなっちゃう。だらだら仕事しちゃうかもしれないし、極端に仕事が嫌いになっちゃうかもしれない(笑)。

【高畑】俺らはそういう区別がなくて、だらだらやっている方だから(笑)。

【きだて】そうだよね。

【高畑】ずっとつながってるから、オンオフというのがないんだよね。

【他故】そうだと思う。

【きだて】常時オンで、常時オフみたいな感じなので。

【高畑】「着替えてから仕事する」って言ってたの他故さんだっけ?

【他故】そうそう。朝起きて、息子と一緒に散歩して、9時から仕事なのでそれまでに戻ってきて、襟があるシャツとベルトができるズボンに履き替えます。

【きだて】ほぉ~。

【他故】少なくとも、それをやっておかないと、自分が何をしているのか、よく分からなくなってしまうので。

【きだて】別に、ビデオ会議をするわけでもなし。

【他故】もちろん、ワイシャツにスラックスという意味ではなくて、Tシャツに短パンとかはやめようというだけの話なんだけど(笑)。

【きだて】あっ、なるほどね。

【高畑】チノパンに、襟が付いてる普通のネルシャツみたいなのだったらアリ?

【他故】それでも全然、充分OK。どうも、ベルトがあるというのが、僕の中では大きいみたいで。

【高畑】仮面ライダーか(笑)。

【他故】ちょっと締まってると、「仕事をしているな」という感じになるみたいで。

【きだて】あ~。

【高畑】きだてさんも、そういう区別をしていないから、ゆるい格好で仕事しているよね。

【きだて】自宅にいる限り、身体を締め付ける必要性は全く感じないね。リラックス最優先だよ。

【高畑】他故さんは前からそうだけど、会社に行っているときは、スーツにネクタイじゃない。

【他故】そうだね。

【高畑】そこはやっぱり、習慣なんだろうなと思うけど。

【他故】単純に、自分の中でのスイッチなんだろうと思う。

【高畑】そういう意味で、スイッチとしても、ボックスファイルを横に置いたり、手前に持ってきたりするのが重要ということなんですね。

【他故】そうそう。仕事のときは見える位置にあって、仕事が終わったら、しまっちゃうわけじゃないけど、少なくとも背後に置いて、「見えない」という状態する。

【高畑】なるほどね。

【他故】だって、見たくないもん。

【高畑】取っ手があるのがいいというのも、会社だったらすぐ手が届くちょうどいい高さに、棚とか引き出しとかがあったりするけど、そうじゃない机とかだと、床に置いたらちょっと低いんだよね。大分、体をかがめないと取れないから。

【他故】そうそうそう。

【高畑】取っ手付いているから、箱ごと持ち上げて中身を出すんでしょ?

コクヨ2-3.jpg

【他故】そう、こうやって手元に持ってきて出す。

【きだて】ひざの上に乗せるんだね。

【他故】そう。それで、必要な書類だけ出す。

【高畑】箱から直接出すんじゃなくて、箱ごと持ち上げるためにハンドルが付いているのが、結構大事ということなんだね。

【他故】ものすごく大事(笑)。

【高畑】家具なんかでも、下手に買っちゃうと捨てられなくて困るじゃん。燃えるゴミで捨てられるというのが、ある意味導入する理由になってる。だからといって、すぐに捨てていいというわけではないんだけど、1回買うと捨てにくいという今のゴミ事情もあるじゃない。その大きさでプラスチックになってしまうと、捨てるのがなかなか大変になってくる。

【他故】ああ、そうね。

【高畑】紙だったら、小さくちぎったりして、燃えるゴミで捨てられるわ、と思うんだけどさ。

【他故】こんだけギッシリ詰まってても、ハンドルが問題なくちゃんと使えるから。

【きだて】それ、紙製のくせにやたらと頑丈なんだよね。

【他故】めちゃめちゃ頑丈だからね。すごいっすよ。

【高畑】ハンドルを上から押さえたら引っ込むんだよね。

【他故】そう、引っ込む。

――全部紙でできているんでしたっけ?

【他故】そう。これは全部紙です。

【きだて】だから、捨てるときはダンボールと一緒で、資源ゴミOKというやつだね。

【他故】うん。

【きだて】そういうタイプのは割と少ないんだな。

【他故】立てて並べるという人が使っても、そんなに悪くないし。引っ張り出せるしね。

――それは、タテでもヨコでも使えるんですね?

【他故】タテでもヨコでも使えます。

――仕事関係のは全部そこに入っているんですね。

【他故】そうですね。筆記具以外は全部入ってます。筆記具は、これより当然多いので、入らないです。

――ちなみに、筆記具は何をお使いなんですか?

【他故】えっ、会社と比べて制限がないので、使い放題ですよ(笑)。

【きだて】会社にいるときよりも、生き生きしてる状態だよね(笑)。

【他故】書こうと思ったら、何でもあるからね。

【きだて】あ~(笑)。

【他故】ただ、個人的な事情で、パソコンラックしか居場所がないんですよ。すごく狭い。キーボードを上げた状態でしか書く場所がないので、そういう意味では会社より机が全然狭い。という不便はある。

【きだて】そのラックって、書き物するのに低くはない?

【他故】ちょっと低かったんで、3~4㎝程度の分厚い板を1枚かぶせた状態で、机にしているので。書き物をしても、ギリギリ腰が悪くならない程度の高さにしています。

【きだて】ああ、そうだよね。

【他故】でも、狭いので、A4を1枚広げるとそれでいっぱい、という雰囲気になってしまうので、ちょっとつらい。

【きだて】じゃあ、書類に書き込む以外は、何もできない感じ?

【他故】ほぼできない。なので、書き込む場合はクリップボードを使って書いてる。だから、書類がたくさんあったら、クリップボードを2枚にして、マルチウィンドウ状態で(笑)。

【高畑】他故さん家は、クリップボードはいっぱいあるからな。

【きだて】マルチウィンドウでも、シングルタスクしかできないけどね(笑)。

【他故】物理的制約があるところは、自宅の狭さというさみしいところだけども、一応頑張っております。


次回は、高畑編集長がおすすめする「ポスト・イット ホワイトボードフィルム」です。

プロフィール

きだて たく
小学生の時に「学校に持っていっても怒られないおもちゃ」を求めて、遊べる文房具・珍妙なギミックの付いた文房具に行き当たる。以降、とにかく馬鹿馬鹿しいモノばかり探し続けているうちに集まった文房具を「色物文具=イロブン」と称してサイトで公開。世界一のイロブンコレクターとして文房具のダメさ加減をも愛する楽しみ方を布教している。著書に『イロブン 色物文具マニアックス』(ロコモーションパブリッシング)、『愛しの駄文具』(飛鳥新社)など。
色物文具専門サイト【イロブン】http://www.irobun.com/

他故 壁氏(たこ かべうじ)
文房具トークユニット〈ブング・ジャム〉のツッコミ担当。文房具マニアではあるが蒐集家ではないので、博物館を作るほどの文房具は持ち合わせていない。好きなジャンルは筆記具全般、5×3カードとA5サイズノート。二児の父親。使わない文房具を子供たちに譲るのが得意。

たこぶろぐhttp://powertac.blog.shinobi.jp/


*このほか、ブング・ジャム名義による著書として『筆箱採集帳 増補・新装版』(廣済堂出版)と、古川耕さんとの共著『この10年でいちばん重要な文房具はこれだ決定会議』(スモール出版)がある。

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