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【連載】月刊ブング・ジャム Vol.16後編

ストックが切れると困る文房具!?

ジャム.jpg
左からきだてさん、高畑編集長、他故さん

本サイト編集長の文具王・高畑正幸さん、イロモノ文具コレクター・きだてたくさん、ブンボーグA・他故壁氏さんの3人による文具トークライブユニット「ブング・ジャム」が、気になる最新文房具を独自の視点から切り込んでいく「月刊ブング・ジャム」。Vol.16後編では、みなさんが「ストックが切れると困る」という文房具について教えてもらいました。

家族の思い出も詰まったカード

カード.jpg情報カード(5×3サイズ)」補助6㎜罫と無地(コレクト)、その奥に会社のデスクに置いてあるカード立てや収納ボックス、ジョッター。

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――後編のテーマは、「ストックが切れると不安になる文房具」です。

【他故】 すごい地味なんですけど(笑)。

【きだて】なぜだ…テーマに狙い撃ちされてる感あるぞ(苦笑)。

【高畑】いやいや、そんなこともないですけど。

――どなたから行きましょうか。

【他故】じゃあ、私から。私は、“5×3カード”と言われるカードが好きで、いろんなところで使っているんです。いろんなメーカーのいろんなカードを試してみたのですが、最終的にたどり着いたのが、コレクトの「無地」と「補助6㎜罫」ですね。

【高畑】あ~、「補助6㎜罫」ね。俺も6×4カードのこれを使ってるんだよ。

【他故】この「補助6㎜罫」が今のところ中心で使っているやつで、「無地」はどちらかというと家族で使っているもので。ちょっと使い分けているというか、本来の用途が違うのでね。罫線があった方が字が書きやすいので、そういうときは「補助6㎜罫」を使う。

【きだて】他故さん方眼好きなのに、これは方眼じゃないのね。

【他故】方眼は使わない。これを使うときは、方眼の中に字を書きたいという欲があまりないときなので。

【きだて】う~ん、その差がよく分からんな(笑)。

【他故】このカードを使うときは、もっとラフな感じなので。きっちり書きたいじゃなくて、すぐメモをとりたいとか、すごくラフなときに使ってしまうので、実は罫線を無視して書くというのもあるんだけど、でもあった方がいいということで「補助6㎜罫」を使っている。それプラス、絵が描きたいとか、ちょっとしたスケッチをしたいというときのために「無地」も持ち歩いてます。

【きだて】ふーむ。

【他故】元々、「補助6㎜罫」のメイン使い方というのは、1週間のToDoを作ってるのね。月曜日に出社したときに、今週は何をやるというのを手帳から書き出して、パソコンの上に1枚立てかけるんですよ。

【高畑】それをカード立てに立てておくんだ。

【他故】そう、それを常に見ていて、「今日はこれやった」というのにチェックを入れていくというのをずっとやっていて、それがこれだけ貯まってます。

【高畑】いや~、さすがだ!

【きだて】さすが、きっちりしてる。

【他故】別に、見返すわけじゃないんですけど、一応貯まっていく。で、それの後ろ側に無地を入れているというのが、会社での使い方です。

――これは、会社に置いてあるんですか。

【他故】そうです。

【高畑】他故さんを見ていると、積み重ねというか…。

【他故】ToDoのチェックボックスを書くのが、ノックスブレインが出していたテンプレートで、これが非常に大好きなのが、これの横に4つ穴があって、これがチェックボックス用の穴なんだけど、6㎜罫にピッタリ合うように横に線が入っていて、6㎜で4個書けるようになっているのね。専用になってる。それで、罫線に合わせて4つ書いていく。下は、1個書いたやつを重ねて3つ書いていく。そうすると7個になる。8個にすると、一番下のはカード立てで隠れちゃうから。これ以上やることがあれば、また書き方を工夫するんですが、大体1週間に7つはないので。これはないと困るし、1週間に1枚とはいえ、他のところではメモで使うし、切れちゃ困るので、大体会社にはパックの状態で1つ置いてある。書いてあるものは一杯になったら、箱ごと交換する感じで、今この箱は家に6個ある。

――すごい(笑)。

【他故】6個といっても、書いたものがぎっしり詰まっているわけじゃなくて、私用が3個で、家族にそれぞれ1個ずつ渡してあるので。家庭内でメモやりとりするときは、このカードを使って私に渡しなさいと言ってある。

【きだて】一つ疑問なんだけど、他故さんがそうやってきっちり管理するのは分かるんだけど、ご家族はちゃんと管理されているの?

【他故】管理というか、書いたものを取っておけとは言っていないので、それは自由に使っているけども。電話きたらカード出して書いたりとか。息子は絵を描くときは完全にこれを使ってる。

(一同)ほぉ~。

【他故】あとはね、彼はこれで自作のカードゲームを作るんですよ。

【きだて】あ~、この間Twitterでも書いてたね。

【他故】「こんなの作ったけど、どう?」って言って、それを毎晩やる。

【きだて】カードゲーム用にしてはちょっとでかいな(笑)。

【高畑】ただ、子どもが絵を描くにはいいんじゃない。本来のカードゲームのあの大きさに描くのはね。

【他故】名刺より小っちゃくなると描くのがね。

【きだて】そうな。

【他故】子どもが描くのにちょうどいい。昨夜もずっとテストプレイをやってて(苦笑)。

――家族のコミュニケーションとして役だってますね(笑)。

【高畑】それで、パパが留守のときにメモを残す場合は、このカードを使うんだ。

【他故】そう。口頭で言われても忘れちゃうので、書いてよこしてくれと。だからと言って、ペラペラな紙に書かれてもなくしちゃうので、これをあげるので、できればこれに書いて下さいということで、全員に支給している。

【きだて】他故家の標準紙なんだね。

【高畑】他故家の米だよ。

【きだて】だから、社会におけるA4が、他故家にとっては5×3になるわけじゃん。完全に。

【他故】例えば、「このマンガ予約してあるけど、アニメイトでもらってきて」というようなことを伝言で言われても忘れちゃうので、それをこれに書いてもらえば。そうすれば、ここにはさんでおけるから、絶対に忘れない。

【きだて】普通は、LINEか何かで送らないか?

【他故】LINEでもいいんだけどさ。でも、メッセージって流れちゃうじゃない。常に固定の場所にあるわけじゃないから。

――確かに、いろんなメッセージが次々と届くと押しやられちゃうから。

【他故】あとは最近、娘とLINEを始めたんだけど、なんか気恥ずかしいので。

【きだて】よく分からん(笑)。

【他故】「元気?」とか言われても、家に帰れば分かることだから(笑)。

【高畑】まあ、確かに。

【他故】でも、「必要なことがあれば、書いて渡して」とは前から言っているので、それほど文句は言われない。「なくなったからくれ」と言われることもあるし。

【高畑】そういう場合は支給されるんだ。

【他故】それは自宅にいくつか積んであるので。

【きだて】備蓄米があるんだ(笑)。

――これって、何年くらいそうやって運用しているんですか?

【他故】もう、10年くらいはやっているんじゃないですか。

【きだて】積み重ね(笑)。

【他故】他の人たちは、僕みたいにカードを取っておくわけじゃないから、運用っていってもこの紙があるだけですからね。でも、彼らが書いたメモは基本全部取ってあるので、だから貯まってはいきますね。

――ほぉ~、すごいじゃないですか。家族のアルバムみたいになっているんですね。

【他故】多分そうですよ。息子の小さいときの絵とかもありますし。

【高畑】それ、整理しやすくていいね。

【他故】基本的に時系列になっているので、探れば何年前というのが出てきますよ。

【きだて】画用紙とかだと、残すのに本当に苦労するけどさ。

【他故】画用紙は大きいから、大変だよ。

【きだて】これなら楽だね。

【他故】しかも、忘れていたようなことが、ここから出てくると面白いしね。

【きだて】ここに描けというのは、自由画教室の対極にあるような気がするんですけど(笑)。

【他故】俺は、この紙に描けと言っているわけじゃないから。でも、息子がこれを選んでいるから。もっと大きい紙をくれと言われればあげてるよ。

【きだて】いや、これが他故家の標準紙だから、これ以外を知らないんだよ。

【高畑】知らなくはないよ。

【きだて】そうだけど、もう感覚の基準がこの紙になっちゃってるんだよ。

【他故】そうだね。基本この紙で、学校に持っていって描くのは、B5の自由帳があるから。

【きだて】きっとルーズリーフに出会うまでは、標準紙はこれだよ。彼が中学生になるまで、ずっとこれだと思うよ。

――でも、このサイズで家族の足跡を残しておけるのはいいんじゃないですか。

【高畑】なかなかいいと思いますよ。買い物したメモとかも残ってるわけでしょ。

【他故】基本的に自分で書いたメモは捨てない。よっぽどのことがない限り破り捨てたりはしないので。この紙だと、もったいないというか、取っておきたいと思うから。

【きだて】硬い紙だしね。残しておく紙というイメージがあるから。

――この大きさだと、10年くらいならそこまで大量ではないですよね。

【他故】そうですね。家にあるやつでも、ティッシュペーパー用の金属の収納ケースに入れているんですけど、それが2個ですね。

――10年でですか?

【他故】そうです。書いたやつがそれくらい。それプラス、この箱が6個あるけど、中身が詰まっているのは3個しかないから。

【高畑】10年かけてティッシュの箱2つ分と考えれば、まあね。

【きだて】全然いいよ。

【他故】何か分類する研究者とかではなくて、日常で使ったメモがほとんどなので、すごい量にはならないですよ。

――このあと、もし他故さんが歴史的な研究対象になった場合には(笑)。

【高畑】そういう場合には、博物館のガラスケースにこのカードが入っているよ。

【きだて】というか、1億年後ぐらいの他故家遺跡から、このカードが出てきてさ…。

【高畑】当時の人類は、こういうことをしていたというのが分かるという。

【きだて】そう。後世の歴史学者が「発掘された紙片に『アニメイトで買ってきて』とあるが、これは何を意味するのか。当時の宗教儀式だろうか」とか(笑)。

(一同爆笑)

【他故】他にもあるだろ!

【高畑】でも、後で思い出をたどるには、すごいシステマチックにたどれるので。

【きだて】便利だよ。

【他故】意外とコンパクトですよ。いろんな大きさのフォーマットがあるノートよりは全然コンパクト。

【きだて】そりゃそうだ。

――紙にメッセージを書いて託されるのはいいですよ。忘れちゃいますからね。

【他故】忘れちゃうし、書いた本人が忘れていて、それが後で見つかるのが面白いんですよ。

【高畑】紙そのものが視覚化されたタスクとしてあるじゃない。「このカードの山から取った1枚の仕事を終わらせて、こっちへ移す」という感じで、存在として紙があることが、仕事の残りを示しているというのはある。

【きだて】目に見える厚みだからね。

【高畑】そういう意味では、タスクのリストもそうだし、買い物リストも買い終わってケースにしまったら終わりだから。それは何かいいよね。

【他故】ここに持ってきたのは仕事のだけど、家にあるのは家族の歴史になっているのは間違いないので。

【高畑】昔、同人誌を書いているときは、それの6×4の「補助6㎜罫」を使っていて、それだけは赤線が引いてあるから、タイトルが書けるところがあるんだよ。

【他故】そうそう、横にあるんだよ。

【高畑】それが、他のやつはないんだよね。これだけなんだよね。情報カードって、タイトルと日付を書いて、中身を書くというのが基本。情報1個が1枚だから。そう考えると、タイトル欄がちゃんとあるのはすごく大事なんだよ。コレクトのこのカードは、その中でも一番使い勝手がいい紙なんだよ。

【他故】やっぱり、ベーシックでベストだなと思うし。あと、他のメーカーのカードに比べて、これは厚いんだよね。カードとしてきっちり立ってくれているので、そういうのも大好きで。

――立つのは大事ですねよ。

【高畑】そう、立つの大事。

【きだて】本当に立たせマニアだな。

【他故】いやいや、ロクな言い方しないな(苦笑)。

【高畑】でもさ、こうやってカードがぎっしり詰まってると説得力があるよね。

【きだて】何だろう、こうソリッドに迫ってこられてもな~。

【他故】何で?

【きだて】う~ん、「他故さん真面目」としか言えなくなるんだよな。

【他故】真面目なわけじゃないよ(苦笑)。

【高畑】こういうことなんだよね。書いて積み上げていくのが、文房具そのものの本来の姿というか。

【他故】僕が個人的にいいと思っているところは、文房具店めぐりで、稀に買いたいものがない店があったりするんですよ。でも、そおっと出てしまうのも失礼だなと思った瞬間に、店主に訊くんですよ。「情報カードありますか?」って。なかったら、「あ~、ありませんか」と言って出られるし、あったら買えばいいので。

――なるほど(笑)。

【きだて】いくらあってもいいものだからね。他故家においては。

【他故】これはいくらあってもいいから。何も買うものがなかったときに、これを1冊買うというのが基本なの。一時それを「測量野帳」でやっていたら、すごい貯まっちゃったので(笑)。

【きだて】それは、さすがに処理の仕様がなくなってくるな。

【他故】これは消費されるので、やっぱりこっちだなと。今は、なにもなければ「5×3カードありますか?」と言って、その時はブランドを選べないかもしれないけど、買っている。それで、「ぶらりタコ歩き」(他故さんが街の文具店を巡る、ブング・ジャムトークイベントでの名物企画)のときは、5件行くと2件くらい情報カードを買っている(笑)。

【きだて】そうか~、あの裏には情報カードがあったのか(笑)。

【他故】それがまたね、古いコクヨのロゴのやつだったりするんだよ。

――まだ残ってるぞと(笑)。

【他故】まあ、みなさんもぜひ、ちょっと使ってみて下さい。

【高畑】それだけ使っているから、ストックがなくなると不安だということだね。

【他故】そう、不安。

【きだて】なくなりようがないだろ、そんな買い方してたら(笑)。

【他故】いやいや、気が付くと無地ばっかりになっていたりするからね。あと、さっきも言ったけど、他のメーカーのものはあるけど、コレクトがないということもあるから。会社のはコレクト専門でやっているので。

【きだて】あ~、それは揃えないと気持ち悪いわな。

【他故】これには、「補助6㎜罫」が必要なので。これがまた売ってなかったりするのよ。

【高畑】あ~、それよく分かる。欲しいときに限ってね。

【他故】そういうわけで、確かに枚数はそれなりに持っているけど、ないと困るものというお話しでした。

ストックは残りあとわずか、情報求ム!

ペンポッド.jpg「ペンポッド」(ゼブラ)*現在は製造中止

【きだて】じゃあ、次俺いこうか?

--よろしくお願いします。

【きだて】以前によそで記事にしたり、いろんなところで話したりもしてるのでご存知の方もいるかもしれませんが、俺にとってストックがないと落ち着かない…というか、もうストックがなくて弱り切ってるのがゼブラのボールペン「ペンポッド」ですよ。

【高畑】はい(笑)。

【きだて】ニヤニヤしやがって、腹立つな~。

【高畑】いや、そんなことないよ(笑)。

【きだて】これが廃番になるって聞いたの何年前かな。

【高畑】もう大分経つよね。

【他故】6年くらいじゃない?

【きだて】6、7年くらいかな? 多分、10年は経ってないと思うんだけど。まあ、探しまくったよね。

【他故】涙ぐましいエピソードはたくさん聞かせていただいたけど。

【きだて】もう、知る限りの都内の大手文具店に行き、あるだけ買ってくるという。その当時は40本くらい買えたわけですよ。で、そもそも「ペンポッド」って携帯のストラップにつけられるぐらいコンパクトなのに、使う時はバネの力で程よい長さに伸びてくれて、しかもリフィルはどこでも買える4C芯というね。俺にとって「人生で一番使ったボールペンはなに?」と聞かれたら「ペンポッド」と答えるレベルの存在なんだわ。

【高畑】利用頻度的にはどうなの?

【きだて】めちゃめちゃ高い。

【高畑】例えば、日に一度は使うとか、一週間に何度使うのかとか。

【きだて】日に一度はまず使うよねというレベルだね。

【他故】ほお~。

【きだて】例えば筆箱を持たずにちょっと外に出たときなんかも、なにか思いついてメモ取りたいと思ったら、タバコの箱とかポケットに入ってたレシートとか、なんでも手近にある紙に書き込みたい。そうなると、どうしても手元に常時携帯するペンが必要と。

【他故】ペンが欲しいよね。

【きだて】そういうわけで、これを使うんですが。

【高畑】今、携帯に付いてるものね。

【きだて】ペンポッドをスマホと一緒に持ち歩きたいがために、ストラップホールがあいているスマホケースをわざわざ探して使っているから。

【他故】そうだよね、最近のは付けられないのが多いから。

【きだて】これがまたなかなか見つからないんだ。しかも、ちょっとしたこだわりで、ストラップホールはスマホの画面向かって右側にあいててほしい。

【他故】真ん中じゃダメなんだ?

【きだて】スマホの画面を見るとき、ストラップに着けてる落下防止リングを左手の指にひっかけているので、位置の関係上、どうしても右側じゃないと勝手が悪い。

――なるほど。

【きだて】今はばっちり条件に合致するケースを見つけたのでそれをリピートしてるんだけど、それ以前は自分でドリル使ってケースに穴をあけてたぐらいだから。とまぁ、それぐらいペンポッドを身近に置きたくて頑張っているのに、なぜかペンポッドは俺から離れてゆく。

(一同爆笑)

【きだて】これだけ愛しているのに。

【他故】また去っていくという(笑)。

【高畑】どこかで聞いたことがあるようなセリフだな。

【きだて】ペンポッドがまた僕からどんどん立ち去っていくという。

――あらら。

【きだて】さっきも言ったけど、ペンが伸びるギミックのために軸内にバネが入ってるんだけど、ホルダーに収めた状態はバネがたわんでるわけです。なので、ちょっとした衝撃なんかでペンが勢いよく飛んでいっちゃう。

【他故】はいはい。

【きだて】自分のポケットに収めようとした瞬間に、ポケットのフチにペンが押されて飛んじゃったり。

【高畑】回してロックしてるんだけど、それが何かの拍子に押しながら回されちゃうと、ビョーンて出てっちゃうんだ。

【他故】大したロックじゃないんだ。

【きだて】押しながらちょいひねるだけで勢いよく飛んじゃうので。

【高畑】それは出しやすいことではあるけども、そのおかげでポケットに入れるときなんかにビョーンと出ちゃう。

【きだて】また、勢いよく飛ぶもんだから、落としたって気づいたときに、えらく遠くの方に落ちてたりするから。

【他故】ええっ!

【きだて】今年になってからはまだ落としてないんだけども、大体年平均で5本はなくしてます。

【高畑】年5本! そうかぁ、厳しいな~。

【きだて】あ、年5本は言い過ぎかも。

【高畑】でも、確実に数本はいくわけだ。

【きだて】そうだね。

【他故】1本もなくさなかった年はないの?

【きだて】(即答で)ない!

【高畑】ないんだ(笑)。

――断言しちゃった。

【きだて】多分、最小で3本ぐらいだと思う。

【他故】発売された当初から、携帯と一緒に持っていたイメージなの?

【きだて】そうそう。当時はまだスマホじゃなくて、今で言うガラケーだけど。要するに、財布、パスケースに続く第三の“常時携行アイテム”となった携帯電話を筆箱化したくて。ボールペン、油性マーカー、ハサミ、などの中からストラップ化できる小型のものをぶらさげてます。これが俺の文房具システムの根幹となってて、使用頻度もめちゃくちゃ高い。

当然のことながら紛失頻度も高まって(苦笑)、40本近くあったペンポッドが、現在ストック9本。

【他故】ついに一ケタ!

【きだて】はい、昨年ついに10本を切りまして。

【他故】そりゃ慎重にもなるわな。

【きだて】今年に入っても、落としたは落としたんだけど、その瞬間に気づいて、取り戻すということを2回くらいしてます。

――結構、センサーが働くようになったんじゃないですか。

【きだて】というよりは、警戒レベルが高まった。スマホをポケットにしまうときに、ペンポッドがあるかどうか、いちいち指でさわって確認しながら戻すようになりました。

【高畑】なるほど。

【他故】どっちがメインなのか分からない(笑)。

【きだて】「1本も落とすものか」と。

――「スマホを落としても、ペンポッドを落とすな」っていう(笑)。

【きだて】下手したら、「iPhoneなくなってもいいから、ペンポッドなくなるな」ぐらいの勢いで。だって、iPhoneは最悪でも買い直せるけど、ペンポッドは何万円払っても買えないんだよ。

【高畑】みなさん、ペンポッドなら何万円も払うと言ってますよ(笑)。

【きだて】いやいやいや。

【高畑】これ、ガワだけならいっぱいあるんでしょ。

【きだて】ガワはなくならないからね。家になんぼでもあるよ。

【他故】いらなきゃ捨てればいいじゃん。それとも、取っておくの?

【きだて】何かね、俺の中のセンチメンタルな部分が(笑)。

【他故】分かった、もうそれ以上聞かない(笑)。

【きだて】そこは、俺の中の柔らかい部分だから聞くな(苦笑)。

【他故】分かった(笑)。

【きだて】死んだ子の年を数えるなと言われようとも。

――水子供養(笑)。

【高畑】でも、どっかの文具屋さんが、倉庫を棚卸ししてたら、「あれ、箱で出てきたよ」というのがあればいいよね。

【きだて】それがあれば、北海道でも沖縄でも買いに行きます。離島だって行く。

【高畑】どこかで出てくれないかな。宮古島あたりであったといって、それをきだてさんが取りに行って帰る体験記を読みたいよね。

【他故】読みたいね。でも、文房具マニアで、ペンポッドを集めている人って聞いたことないから、本気のマニアの人たちに、発見例だけでも教えてもらえればいいよね。

【高畑】その本人は、ペンポッドがいっぱい欲しいわけじゃないだろうからね。

【きだて】その当時はマニアックなものではかったからね。

【高畑】そんな話してると、「ワークダッシュでもいいんじゃないですか」って言われたりしてね。

【きだて】そういう話じゃない!!

【他故】その「ワークダッシュ」もなくなってしまったし(笑)。

【高畑】ペンポッドを超えるような新製品が出てくればいいんでしょ?

【きだて】ペンポッドそのものにこだわってるわけじゃなくて、携行にベストなペンが欲しいだけだから。

【高畑】そろそろ出るべきだと。

【きだて】ストラップ化できるレベルのコンパクトさで、収納時にはペン先が完全にカバーされていて、リフィルが4CとかD1互換なもの。

【他故】で、比較的安価なもの?

【きだて】そう。あと、筆記時には成人男性の手でもつらくないレベルまで長さが伸びてくれること。

【他故】そうだろうね。

【きだて】ていうものであれば、別にこだわらない。

【他故】すごいこだわってんじゃん(笑)。

【きだて】うるさい、他故壁氏うるさいぞ!

【他故】だって、そこのこだわりなくしちゃったら意味ないだろうと思ってさ。

【高畑】ストラップがないんだったら、ちょっとでかいけど「ラミー ピコ」とかさ。

【きだて】ちょっとでかいんだよなー。もちろん「ピコ」も試したよ。

――試したんだ(笑)。

【高畑】そういうのありそうなんだけど、全然ない。携帯用のはさみをあれだけ開発しているのに、携帯用のボールペンがないという。

【きだて】そうだよね。携帯用のはさみって、ペン型のはさみじゃない。ペン型のペンって、言ってもしょうがないじゃない。

【高畑】まあ、そうだ。

【きだて】だから、コンパクトなペンで、常時持ち歩いてて、周りにダメージを与えないもの。インクがしみ出さないとか。

【高畑】それで、使うときにはちょうどいい長さになるもの。

【きだて】最悪、これを3Dプリンターで作れないかなと思って。

――それ、考えますよね。

【高畑】あと、クラウドファンディングでね。

――ああ、クラウドファンディングいいんじゃないですか。

【高畑】でも、作るところがないとね。ゼブラももう作ってないから、金型とかもうないんじゃない。金型って、使ってないと使えなくなるんだよね。

【他故】そうだよね。維持していけないからね。

【きだて】もう残ってないみたい。

【高畑】でも、「ネオ・ペンポッド」みたいなのを作って、もっともっと便利になって、今度は落とさない「カチッ」ていうロックなら。

【きだて】そうそうそう。

【高畑】うっかり落とさない機能のを作ればいいんだ。

【きだて】ちなみに聞くけど、文具王はあとストック何本?

【高畑】5、6本じゃないかな。それで、1本8万円で売れるとすると…。

(一同爆笑)

【他故】ひと財産だ(笑)。

【高畑】僕も大好きだから持っているんだけど、それは本当にヤバいときに相談に乗ろうかという話で。

【きだて】文具王の場合は、俺ほどの常用頻度ではないので。

【高畑】そうなんだよ。

【きだて】エマージェンシー用なので、マステで巻いてあったりするから。

【高畑】普段はキーチェーンに付けてあって、ペンのところをマステで巻いているのね。回転しなければ抜けないんだけど。ただ、きだてさんの言うような、すぐ使うということには対応してない。毎回はがさないといけないからね。僕は使う頻度が月に何回なので、それだけで済んじゃうんだけど。

【他故】これって、ガワの方だけ外れないように工夫して作るというのもアリなんじゃないかな?

【高畑】3Dプリンターで上手く作ればできるんだろうけど。

【きだて】なんらかのロックパーツでも付けられたらいいと思うんだけどね。

【他故】そういうことは、アリはアリだよね。製品にはならないと思うけど。

【高畑】ここが押されないと回せないので、シーリングみたいなのを作ってここににはめて、それでシーリングを外したら抜けるとか。手榴弾のピンみたいに、抜いて使うとか。邪魔になるけど。

【きだて】それだと煩雑になるしなー。キャップ側からペンの頭を押さえて固定するようなのでいいのかも。

【他故】片指でパンと外せるような感じ?

【きだて】そう、それぐらいの感じで。それだったら、ポケットのフチに引っ掛かっても、まず外れることはないじゃん。

【他故】うん。

【きだて】そうか、このガワの新造だけでも相談に乗ってくれる人はいないかな。

【高畑】でも、ガワだけだったら、3Dプリンターで作れるかもしれない。

【他故】そうね。そういう方向で延命させるのもいいかもしれない。

――ここで言うと、相談に乗ってくれる人が現れるかもしれないですよ。

【きだて】そうだね。

【高畑】それは、考え方としてアリだね。

【他故】幸いなことに、替え芯は替えて使い続けることができるわけだから。

【きだて】なので、余計に未練たらしくなるんだけど(苦笑)。インクは無くなっても替えられるという。今は「サラサ」用の4Cリフィルを入れてるんだけど、軸とインクの相性はわりと理想的。短いボディにコントローラブルな筆記感という組み合わせで。

【高畑】ボディは考えた方がいいかもね。

【きだて】相談に乗ってくれるメーカーさんとかあったら、ぜひ。

【高畑】それこそ、3D系の人で「俺、得意だから設計しますよ」という人がいたら。それなりのものだったら、お金を払ってでも作りたいという気持ちもあると。

【きだて】顧客が俺しかいない状態にはなると思うんだけど、「ワンメイクでいいよ」と言ってくれる人がいたら、すがりたい。魂から「助けて」と言いたい。

――連絡お待ちしております、ということで。

【高畑】「ストックがなくなると不安」というよりも、すでに不安だから。

【きだて】不安でしかないよ。ストックが40本から9本に減って、年間5本減ってくとなるとさ。君たちとは切迫度が違うんだ。

【他故】そりゃそうだ。

――今は笑ってますけど、心の片隅では不安がつきまとってるわけですね。

【きだて】今はお仕事中だから無理して笑顔でしゃべってるけど、収録が終わった瞬間に深く溜息つくからね。

【高畑】メーカーは新しいものを作って、人をよろこばせることができるけど、それは作り続けないと、不幸になる人もいるのね。

【きだて】それはね、もちろん陰で泣く人はいるわけですよ。でもそこまでメーカーに背負わせるのは良くないというのも分かる。メーカーだって、いつまでも売れないものを作ってられないじゃない?…って誰が売れないもんじゃい!わしが買うたるわ!

【高畑】まあ、まあ。難しいよね。

【きだて】こればっかりは、難しいのはよく分かる。だから、ゼブラを責めはすまい。恨みがましい目では見るけども(笑)。

【高畑】まあ、そこら辺は本体を工夫して作らないといけない。

【きだて】そういうことを考えないといけない時期だね。

【高畑】あとは、そういう新製品にも期待ということで。

【きだて】そういうことですね。…この話になると、ホント情緒不安定になるわ(笑)。

【他故】来年あたり、このネタでいじれないな(笑)。

――とりあえず、連絡お待ちしております。

のり付けはコレに限る!

ドットライナー.jpgドットライナーホールド」(コクヨ)、右にあるのは使用済みカートリッジの山。

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――じゃあ、トリは高畑編集長に。

【きだて】さあ、余裕しゃくしゃくの話を聞かせてくれよ。

【高畑】余裕しゃくしゃくというか…(苦笑)、「ドットライナーホールド」ですけど、僕は日本でも有数のヘビーユーザーだと思うんですよ。結構な頻度で使ってるんですね。先日、海外旅行に行ってきたんですけど、旅行に行くときは前にも紹介しましたが、「測量野帳」を1冊持っていくんですけど、ここにいろんなものを貼るんですよ。なので、新しいカートリッジを入れた「ドットライナーホールド」も持っていくんですよ。「こんな大きなのじゃなくて、小さいのいっぱいあるじゃん」って言われるんだけど、これが楽なので、これをカバンに入れて持っていく。

【きだて】これは、貼るのに場所いらないものね。机使わずに貼れるから。

【高畑】机いらないのが大きくて、手で持ったまま貼れるので。というのも大きいし。

【きだて】電車の中とか、そういう旅の途中でできちゃうね。

【高畑】カフェだろうがホテルだろうが、どこでも使えるので。それこそ、飛行機の中でも使えるので。こういう貼るのを後回しにしていくと、どんどん貯まっていっちゃうので、その場でやりたいというのもあって。そういう場合にも使うし、普段は「アクセスノート」を使っているんだけど、プリントした紙を貼る場合、のりを塗るところが自分で決まっているので、端っこにのりを塗るのはこれを使っている。そうやって使っていると、意外となくなるので、カートリッジは2、3カ月で1箱なくなるくらい。

【きだて】お~、使うな。

【他故】1箱ってどのくらい?

【高畑】1箱10個入りで、家、会社、持ち運び用とかで3つくらいは常に使っているので。で、これが10個入りなんだけど、3カ月はかからないくらいでなくなります。いつも買うのは、詰替用10個パックで、この箱も何個も買っていて、家に使用済みのカートリッジがジャラジャラあって。この間も、使用済みのがこんな大きい袋に貯まったけど、捨てるのもどうかと思って、minikuraにあずけた(笑)。

(一同爆笑)

【高畑】だって、これだけで何かオブジェが作れるくらいあるんだもの。何かできるんじゃないかと思って、貯まってくると捨てられなくなっちゃう。

【きだて】「ペンポッド」のガワと一緒だね(笑)。

――何だ、みなさん全員取っているんじゃないですか。

【高畑】そうなんだよね~。取っておいちゃうんだよね。捨てられないんだけど、結構な頻度でこれがガシャガシャ出てくんだよね。

――しかも、3人の中でこれが一番かさばるし(笑)。

【きだて】ドットライナーシリーズの中で、「ワイド」かこれが一番かさばるやつだものね。

【他故】「ドットライナーワイド」の方が大きいかな?

【きだて「ワイド」は幅の厚みがあるけど、高さと長さ的にはこっちの方が大きい。

【高畑】カートリッジはデカいけど、使用頻度はすごい高い。

【きだて】俺もドットライナーホールドのカートリッジは箱で買っているんだけど、1年半くらい前に買って、まだ2つぐらい残ってたはずだな。

【高畑】まあ、そうだよね。普通はそうだと思うよ。

【きだて】だから、君はどんな頻度で使ってるんだ?

【高畑】だから、貼るものはほとんどこれで貼っているけど、使っていると引くのは段々重くなってくるんだよ。ローラーの都合で。その重さ加減で、「あっ、そろそろ終わるな」というのが分かる。

【きだて】職人か、お前は。

【高畑】いや、まあそうなんですよ。でも、たまには端っこ以外のところにも塗るけど、まあほとんど端っこだよ。で、ほぼ直線だよ。テープのりとしては、これ変なかたちじゃん。特殊用途と思われて、使っていない人も多いかもしれないけど、普段使いのテープのりとして考えたら、これが普通でもいいぐらいに思っているんですよ。

【他故】あ~、はいはい。

【高畑】ほとんどの用途は、これでいけちゃうし。必要ならパカッと開けば中も使えるし。テープのりが上手に使えない人は、スタンプ型の「イチオシ」みたいなやり方もあるけど、俺としてはこれぐらい豪快にやりたい。

【きだて】俺が下手なのかどうか分からないけど、封筒のベロのところに引いていって、封筒の8割5分か9割ぐらい引いたところで、一瞬カスっとして、貼り損じが出ちゃうのよ。これ何でかね?

【高畑】ていうかね、薄っい紙に貼るとヨレそうになるんだけど、これ実はローラーがななめに付いているんだよ。要は、紙を奥に引き込むようにローラーがななめに付いているから、ビャッて無理に薄い紙に引くと、紙の端っこがヨレヨレってなったりとか、そのズレから逃げようとするので、その時にカスってなるんじゃないかな。

【きだて】その時かな。ローラーが空転するんだわ。だから、のりが貼れていない部分が、端っこの方に出ちゃうの。

【高畑】これ、新品のころはこのローラーに糊が付かないんだけど、使い込んでるとローラーに糊が付くようになってきて、空打ちというか、紙を入れずに握ってしまうと時々表面にのりが残っていることがあるので、そこだけ注意かな。

【他故】そうか、そうか。

【高畑】それがあるんだけど、何せ普通のテープのりは紙のフチに合わせて引こうとすると、何かの引力に引っぱられて、紙の外にはみ出そうとする力が出てくるんですよ。

【きだて】あるある。

【高畑】あれは何ですかね?

【きだて】弾く力が存在するね。

【高畑】真っ直ぐ引きたいと思っていても、うまく引けないときがある。

【きだて】重力に対する反重力みたいな感じで、反テープのり力が封筒とかには存在するので。紙にはやはり存在するのよ。

【高畑】はみ出そうとしちゃうんだよね。それを目視しないで使えるテープのりはこれだけなんだよ。スタンプタイプのテープのりもあるんだけど、それでもカドは見てるじゃん。これは、空中で使えて、かつ目視の必要がないという。これはね、本当に楽なんだけど。

【他故】確かに、空中で使えるっていいなあ。

【高畑】でもね、テープのりとかカッターナイフの欠点だと思うんだけど、カッターナイフは平らなところじゃないと使えないじゃない。それに対してはさみはどこででも使えるじゃん。あの自由さがドットライナーホールドも同じで。角形2号の封筒貼りをする時って、あの封筒のA4よりも大きなスペースが、平にないときれいに貼れないじゃん。

【他故】まあね。

【高畑】そう考えると、そういうのなくても使えるし。しかも、よそ見していても使えるというのはね。俺も、本気を出せば器用に使うことはできるけど、普段はうっかりしているんですよ。

【きだて】そだね。君、ポンコツだものな。

【他故】わはは(笑)。

【高畑】普段はうっかりさんなので、ちゃんとやろうとすると、気が張って疲れちゃうんですよ。

【きだて】そうだね。どの面下げて文具王だ、というようなことが普段は多いものな(笑)。

【高畑】まあね。だから、気を張らずに使えるというのがね、これに慣れると他に行けなくなっちゃうから。

【他故】いいねえ。

【きだて】それは分かる。他故さんは使ってる?

【他故】これは使ったことないんですよ。

【きだて】そうなんだ、意外!

【他故】手帳とか小物を貼るというときに、隅に貼るという発想がそんなになかったので。紙片を貼るという発想はあるんだけど。例えば、レシートの上部にちょこっと付いていればいいという発想だから、ピッタリ貼るというイメージがなくて。会社で「アクセスノートブック」を使うようになってからは、A5をA4に貼りましょうというときは、真っ直ぐにならないなというのは確かにあって。でも、真っ直ぐに貼るという用途は、今のところ会社でのごく一部の用途しかないので、専用では買ってない。でも、1回は試さないとダメだよな。

【高畑】真っ直ぐに貼れると、こっちもページみたいにきれいにめくれるんだよ。これがよれてると、紙って真っ直ぐに折れないんだよね。しかも、2枚とか3枚あるときに、きれいに重ねると、ページができちゃうんだよ。これ、テープのりで貼ってるんだけど、端っこだけ合わせてペトンて貼ると、これができる。

【きだて】ちょっとした製本だよね。

【高畑】やっぱり、真っ直ぐ貼れるというのは、すごく威力がある。

【他故】ラインアップに加えないといけないな。

【高畑】もちろん、他のものも使ったりはするんだけど、やっぱりこれが一番楽なんだよ。だから、楽だからよく使うということで、ストックが足りなくなると困るので、会社で使う分として予備で3個ぐらい引き出しに入っていて、家にはこの箱で置いてある。定番品で他のものに比べてもちょっと頻度が高い。これとサインペンくらいかな。

【きだて】割と意外なものが出てきた感じだね。

【高畑】これはね、残りわずかになると、まじで不安になる。1回会社のを切らした事があって、ドットライナーだけどホールドになるとコンビニには売ってなくて。

【他故】ないね。

【高畑】大きなお店に行かないと、ドットライナーホールドのカートリッジは売ってないので。たった2日これなしで仕事してると、まあストレス。

(一同爆笑)

【高畑】他のテープのりを借りることはできるんだけど、精神衛生上イラッとする。

ーー意外なところに文具王の弱点が(笑)。

【高畑】そうなんですよ。これはかなり依存して使ってますよ。

【他故】こんなたくさん見たことなかったけど、割ときれいだね。

【きだて】使い終わったリフィルって、結構きれいなんだよ。

ーーこれごと捨てちゃいますからね。

【他故】使い終わる前に、ベタベタになって使えなくなるものばかりでね、すごい汚いんだよ。

【高畑】他故さんって、テープのり上手く使えないって言うよね。

【他故】どれを使っても、中がベタベタになって最後まで使えないか、テープが伸びちゃって、「戻せますよ」と書いてあるけど、戻らないとか(苦笑)。

【きだて】何故だろうね?

【他故】ど下手なんだろうね。だから、これが福音になる可能性はあるんだよ。まだ使ったことないから。

【高畑】これは、押し付ける力はほぼ関係ないので。

ーーこれ、ビョーンとテープが伸びちゃうことはないですよね。

【高畑】あんまりない。

【きだて】そういうようなトラブルは出たことないな。テープがらみとか。

【高畑】挟んで引っ張るからね。

【きだて】俺の場合は、どんな場合でも8割、9割ぐらいのところで、貼り付け不良が出ちゃうという現象ね。

ーー使い方のクセでもあるんですかね?

【きだて】多分、クセみたいなものか、力の抜きどころかなんかだと思うんだけど。

ーー高畑編集長は何もないんですよね?

【高畑】ないです。

【きだて】最後まで均等に引けるんだ。じゃあ、個人的な引き方なんだろうな。

【高畑】それがあんまりあると、「何も考えずに使えるよ」と言えなくなっちゃうんだけど、1回買うとずっと使えるし、このボディも大分使ってるけど、壊れないし。ボディはまだ1個も壊れてないんですよ。

ーー普通のドットライナーは、カートリッジを抜くと周りの部分しかなくなっちゃうので。

【高畑】これは結構テープ交換した気分になるよ。

【きだて】ガワがでかいからだよ(笑)。

【高畑】リフィルの方が重いってよくあるから。

【きだて】あるね。

【高畑】ちょっと大きくて、置きどころに困ることはあるけど。

【他故】いや、立ってるから大丈夫。

【高畑】さすが(笑)。

【きだて】この立ち好きめ(笑)。

【高畑】これ以外に、同じ使い方ができるのがないですよ。

【きだて】そうだね。類似品すらない。

【高畑】そう。だから、替えようがないな。

ーーこれ、ドットライナーの中でどのくらいのシェアがあるんだろう?

【高畑】どうだろう? 僕のまわりでも、ちょっと特殊なものだと思って、使ってない人が多いけど。僕はこうやって、さんざんっぱら便利だって言ってるんですけど、使っている人を他に見ない。

【きだて】やっぱりね、この見た目と雰囲気から、特殊用途だと思っちゃうんだよね。使ってみれば、普通に使いやすいものなんだけどね。

【高畑】特に、テープのりを多く使う人ほど楽だよ。

【きだて】それは分かる。

【他故】封筒貼らないしなとか、そこだけ思っちゃうと特殊用途になっちゃう。

【高畑】貼る書類のほとんどは四角いんだよ。全部ビーッと付けなくても、ちょっと付けるんでも、フチから何ミリのところが必ず貼れると思えば。

【きだて】そう思うよ。

【高畑】僕の中では、これが定番なので、ないと困る。

ーー日本で一番使ってるんじゃないですか?

【きだて】その可能性あるね。

【高畑】本当にね、ゴミ袋いっぱいにこれがあるんだよ、という状況なのね。

【きだて】年間40個は使っているわけだから。

【他故】何かこれアートにできそうだな。

ーードットライナーアート(笑)。

【他故】替えが積んであるだけだから、セロテープアートとは違う(笑)。

ーー水中花みたいにしたら(笑)。

【高畑】ムチャクチャあるから大変だよ。

【きだて】梅酒漬けるビンか何かで、ハーバーリウム作れよ(笑)。

【高畑】これをいっぱい積み重ねて家を建てるとかね。

ーードットライナー御殿だ(笑)。

【高畑】何かベタベタするな~(苦笑)。

プロフィール

きだて たく
小学生の時に「学校に持っていっても怒られないおもちゃ」を求めて、遊べる文房具・珍妙なギミックの付いた文房具に行き当たる。以降、とにかく馬鹿馬鹿しいモノばかり探し続けているうちに集まった文房具を「色物文具=イロブン」と称してサイトで公開。世界一のイロブンコレクターとして文房具のダメさ加減をも愛する楽しみ方を布教している。著書に『イロブン 色物文具マニアックス』(ロコモーションパブリッシング)、『愛しの駄文具』(飛鳥新社)など。東京・京橋の文具店・モリイチの文具コラムサイト「森市文具概論」の編集長も務める。
色物文具専門サイト【イロブン】http://www.irobun.com/
【森市文具概論】http://shop.moriichi.net/blog/

他故 壁氏(たこ かべうじ)
文房具トークユニット〈ブング・ジャム〉のツッコミ担当。文房具マニアではあるが蒐集家ではないので、博物館を作るほどの文房具は持ち合わせていない。好きなジャンルは筆記具全般、5×3カードとA5サイズノート。二児の父親。使わない文房具を子供たちに譲るのが得意。「森市文具概論」で「ブンボーグ・メモリーズ’80s」を連載中。

たこぶろぐhttp://powertac.blog.shinobi.jp/


*このほか、ブング・ジャム名義による著書に『筆箱採集帳 増補・新装版』(廣済堂出版)があるほか、古川耕さんとの共著『この10年でいちばん重要な文房具はこれだ決定会議』(スモール出版)も2018年3月2日に発売。

弊社よりKindle版電子書籍『ブング・ジャムの文具放談』シリーズを好評発売中。最新刊の『ブング・ジャムの文具放談5』も発売された。

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