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【連載】月刊ブング・ジャム Vol.32 今、消しゴムが熱い! 気になる最新消しゴムをチェック!!(その2)

本サイト編集長の文具王・高畑正幸さん、イロモノ文具コレクター・きだてたくさん、ブンボーグA・他故壁氏さんの3人による文具トークライブユニット「ブング・ジャム」が、気になる最新文房具を独自の視点から切り込んでいく「月刊ブング・ジャム」。Vol.32では、気になる新製品が続々発売されている消しゴムについて激論を交わしています。

第2回目は、ショウワノートの「ジャポニカ学習帳文具シリーズ」の消しゴムについて取り上げました。

写真右から他故さん、高畑編集長、きだてさん

*その1はこちら

あの学習帳が消しゴムに!

ジャポニカ0.jpg「ジャポニカ学習帳 消しゴム」(ショウワノート) 2020年に発売から50周年を迎える「ジャポニカ学習帳」を様々な文具で展開する「ジャポニカ学習帳文具シリーズ」の消しゴム。スリーブにジャポニカ学習帳の表紙をデザインし、本体に罫線を入れたのがミソ。「さんすう」「こくご」「さくぶんちょう」「かんじれんしゅうちょう」「れんらくちょう」の5種類。税抜180円。

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【高畑】老舗のデザインを上手く使ったというところでいくと、ここに来るんですよ。「ジャポニカ消しゴム」に。

【きだて】そういうつながりなのね。

【高畑】まあ、ブランド力を生かす方法は色々とあるんだけど、学習帳メーカーが消しゴムを作るとこうなるというね。

【きだて】最初これを見た時に、学習帳のノベルティかなと思ったぐらい。これもちゃんと学習帳っぽさを踏まえてるよね。

【他故】すごい久しぶりに、白い消しゴムの上に印刷してあるものを見たんだけど。こういうのって、あんまりなくない?

【きだて】最近は見ないねー。だいたいスリーブのみで。

【他故】印刷されているのって、僕らの小さい頃は結構あったよね。

【高畑】あったね。

【きだて】MONO消しゴムだって、初代は本体に印刷してあったから。

【他故】すごい久しぶりに見て、むしろ懐かしいというか(笑)。それで、この学習帳に合わせた罫が印刷されているんでしょ。

ジャポニカ2.jpg
【きだて】その辺は、ちゃんとこだわってるね。それはとてもいい。

【高畑】俺らが子どもの頃だったら、これを買ってここに作文を書くよね。

【きだて】書かねぇよ…いや、書くかな。あー、書くかも(笑)。

――これは、「ジャポニカ学習帳」50周年記念で、消しゴム以外にもいろんなアイテムがあります。

【きだて】そうそう。「ジャポニカ学習帳文房具シリーズ」になってるんだよね。

――この消しゴムは結構売れているみたいで。

【他故】店頭でも結構なくなってきてますね。

【高畑】これ何種類あるの?

【他故】5種類かな。

――算数、国語、漢字練習帳、作文帳、連絡帳の5種類ですね。さすがに自由帳はない(笑)。

【きだて】それだと真っ白だよ(笑)。

――他故さんは、このマスに書くのは得意じゃないですか(笑)。

【他故】書けるとは思いますけど、これに書くという発想はなかったな(笑)。

【高畑】「恥の多い生涯を送ってきました」とか書いて。

【きだて】小学生用だから!「スイミーを読んで」とか、そういうので頼むわ。

――でも、これは大人が買っているんじゃないですか。

【他故】ノスタルジーグッズですよ。

【きだて】そりゃそうでしょ。値段も値段だし、ジャポニカを懐かしいと思って買う世代のものだよね。

――これもSNS映え?

【高畑】どうなんでしょうね。そんなに映えるのかどうかというとあれなんだけど、でも何かかわいらしくて欲しくなっちゃうやつだよね。

【他故】これは「かわいい」って買うやつじゃないですか。

【きだて】恐らくこれは、ジャポニカに対する思い入れがドンピシャで出ちゃうので。中を開けて「うわっ、ジャポニカと同じ罫線が引いてある」って分かってこそ買っちゃうやつじゃないかな。

【高畑】同じ時期に、ジャポニカの柄の商品がいっぱい出たじゃん。ポーチとか小っちゃいノートとか。その中では、持ったときのかわいらしさと、パロディとしての完成度の高さと、値段の手ごろさでいうと、絶妙にバランスがいいよね。買ってから場所をとらないし、言い訳が効きやすい。1個置いといてもかわいらしいし。

【他故】かわいらしいね。

【高畑】何だろうね、文房具のミニチュアマグネットに近いものがあるけと、ギュッとやったときの縮小率の絶妙感はあるよね。

【他故】これは、立てて並べておくものでしょ。消しゴムとしては使わないんじゃない。

【きだて】やっぱり、ちょっと使いたくはないな。

【他故】5個並べて楽しむものでしょ。

―――試しに、罫線の入っていない白いとことでちょちょいと消すぐらいで。

【きだて】まあ、それで終わりぐらいかな。

【高畑】コレクションフィギアではあるんだけど、これも消しゴムであるという言い訳が重要なんだよ。

【他故】ああ、そうだね。

【高畑】「クリアレーダー」と比べると、コレクション性が高い、愛でるものという要素が高くなる。

【きだて】コレクタブルであり、「昔ジャポニカを使ってました」という思い出がいるんだよね。これを愛でるためには。そういう意味では、ちょっとハードルが高い。

【高畑】今の小学生が買うというよりは、どちらかというと大人になってから欲しくなるよね。

――まあ、ジャポニカを知らない人はそんなにはいないでしょうけど。

【他故】ジャポニカを知らない人はいないけど、子どものうちからジャポニカが好きかというと、そこはあんまり関係ないと思う。

【きだて】そうだと思う。

【他故】大人になって初めて、「ジャポニカってかわいかったよね」ということだと思うので。

――小学生だと、宿題を思い出しちゃうから (笑)。

【きだて】そうだよ。漢字練習帳なんて投げ出したくなるよ(笑)。

【高畑】大人になって、「ああ、昔あったね」というもので。でも今、懐かしいからといってジャポニカ学習帳を買うかといったら買わないわけで。

【他故】それはしないよね。

【高畑】普通に「キャンパスノート」とか、ショウワノートでも「水平開きノート」を買えばいいわけで。

――今は「大人ジャポニカ」の水平開きノートがありますからね。

【高畑】ああそうだ。でも、懐かしくて欲しくなるのは、13マスの国語とかになっちゃうから。

――確かに、13マスの国語ノートは大人は使わないですからね。

【高畑】使いようがないじゃん。

【きだて】あとは、この水色の罫線に深い思い入れというかさ。「ああ、この色だったな」という。

【他故】これがないと、さすがにただの消しゴムだからな。

【高畑】ここに印刷がなかったら、これはそこまでじゃないよね。

【他故】パッケージだけだったらそこまでではないけど、これをやったからかなり欲しくなる。

【きだて】それをやったから値段が上がったというのもあるけどね。

――スリーブの裏面にも、ちゃんと学習百科が載ってますよ。

ジャポニカ3.jpg
【他故】字が小っちゃすぎて読めない(笑)。

【きだて】大人向けなのに、老眼の大人は読めないのはどうかと思う(笑)。

【他故】横にQRコードでも付いていて、それを読み込むと画面に出てくるならいいんだけど。

【高畑】スマホで撮って拡大して見るんだよ。

【きだて】そういえば、子どもの頃はこのジャポニカの学習百科で色々と知識を得たなぁと思って。

――ああ~。

【きだて】退屈な授業中の友だったな、というのを今思い出したよ。

――そう言ってもらえると、ジャポニカ的には本望じゃないですか。

【他故】ねえ。

【きだて】ついでに、全ページ柱のところに豆知識入れてくれないかな、とか。

【他故】ノートページに?

【きだて】そう。学研の「まんがひみつシリーズ」って、柱に全部豆知識が入ってたじゃん。ジャポニカにもあんな感じで入っててほしかったなと思って。だいたい授業中に教科書は全ページ読み終わっちゃって、もっとなんか読む字がないかなーと思ってたから。

【高畑】まあ、学習帳っていうジャンルが普及したのも、ジャポニカの力も大きいから。

【きだて】そうだよね。

【高畑】もちろん他にも学習帳があったけど、ジャポニカは百科事典と組むというのが上手くいったパターンだから。

――「ジャポニカ」は元々百科事典の名前ですからね。

【きだて】表紙の写真と豆知識でね。

【高畑】あそこにわざわざ豆知識のページを追加したのが、ジャポニカのすごいところだし。

【きだて】しかしこの消しゴムの裏の字、本当に読めないな(苦笑)。

――それこそ「ハズキルーペ」が要りますよ(笑)。

【高畑】でも、スマホで撮影して拡大すると、文字ちゃんと読めるんだよ。ルビまでちゃんと読めるようになってるよ。まあ、こういう豆知識に引っ張られて俺らは大人になってるという部分はあるね。

【きだて】本当にね、仮にもいま文章書いてメシが食えるぐらいになってる知識のベースは、この辺に支えられている部分も大きいだろうな。

【高畑】というか、そういうのが面白いって思うところがさ。

【きだて】あ~そうか、そうだな。

【高畑】もちろん、そこで得た知識というのは、全体からみると大した量ではないんだけど。

【他故】そういうのを見ていると、興味が広がるよね。

【高畑】「こんなの知ってた?」っていうネタが面白い。

――今のきだてさんを作ったのは、ジャポニカによるところが大きいんですね。

【きだて】ジャポニカと学研のまんがひみつシリーズが大きいね。

【他故】関心の羽を広げさせてくれたわけですよ。

【きだて】いやー、ただ単に周囲に「ねぇ、これ知ってる?」って豆知識をぶつけまくって、「きだてくんは物知りだなぁ」と言わせたい的な。自己承認欲求のための武器ですよ。

【高畑】あ~。

【きだて】40年前からそういう駄目なマウント取りをやっていたのかという(笑)。

――ジャポニカ消しゴムで結構話が盛り上がりましたね(笑)。

プロフィール

きだて たく
小学生の時に「学校に持っていっても怒られないおもちゃ」を求めて、遊べる文房具・珍妙なギミックの付いた文房具に行き当たる。以降、とにかく馬鹿馬鹿しいモノばかり探し続けているうちに集まった文房具を「色物文具=イロブン」と称してサイトで公開。世界一のイロブンコレクターとして文房具のダメさ加減をも愛する楽しみ方を布教している。著書に『イロブン 色物文具マニアックス』(ロコモーションパブリッシング)、『愛しの駄文具』(飛鳥新社)など。
色物文具専門サイト【イロブン】http://www.irobun.com/

他故 壁氏(たこ かべうじ)
文房具トークユニット〈ブング・ジャム〉のツッコミ担当。文房具マニアではあるが蒐集家ではないので、博物館を作るほどの文房具は持ち合わせていない。好きなジャンルは筆記具全般、5×3カードとA5サイズノート。二児の父親。使わない文房具を子供たちに譲るのが得意。

たこぶろぐhttp://powertac.blog.shinobi.jp/


*このほか、ブング・ジャム名義による著書として『筆箱採集帳 増補・新装版』(廣済堂出版)と、古川耕さんとの共著『この10年でいちばん重要な文房具はこれだ決定会議』(スモール出版)がある。

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