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【イベントレポート前編】「パーカー」の貴重なコレクションを特別公開! 「PARKER Tokyo Museum 2020」が銀座 伊東屋で開催中!

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英国王室御用達の高級筆記具ブランド「パーカー」の貴重なコレクションを特別公開する『「PARKER Tokyo Museum 2020」 Travel with PARKER ~人生の物語を綴る~』が、2020年2月8日(土)から4月5日(日)までの約2カ月間にわたり、銀座 伊東屋 G.Itoya B1 Inspiration Hallで開催中(入場無料)。

※「PARKER Tokyo Museum 2020」繰上終了のお知らせ
4月5日(日)まで開催予定の「PARKER Tokyo Museum 2020」は、コロナウィルス感染拡大防止のための銀座 伊東屋 臨時休業に伴い、4月3日(金)をもって終了する。


1888年の創業以来、130年以上にわたり多くの人々を魅了してきた「パーカー」の歴史的な名品をずらりと展示。さらに、普段はブランド本拠地の英国・ロンドンにある「パーカー」のミュージアムで厳重に保管されている、ペン収集家垂涎の“伝説”のペンも特別公開しており、パーカーファン・万年筆ファンは必見のイベントとなっている。その貴重な展示品の数々をご紹介しよう!

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テーマは『Travel with PARKER』

「パーカー」の創業者である、ジョージ・サッフォード・パーカー氏は旅を愛し、異国の地の人々の生活や文化に触れることで、常に新しいものを追い求めた。「優れたペンを作り上げる、そうすれば必ず人々に求められる」という信念は、「パーカー」 ブランドの原点となっているという。

今回のミュージアムは、旅を愛した創業者に敬意を表し、テーマを「Travel」に設定。会場では、「パーカー」が続けるものづくりの旅を体感できる巨大な絵本のほか、20世紀初頭に広告として利用された「デュオフォールド フェアチャイルド飛行機」(写真)の模型を限定公開している。

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日本初公開品など貴重なコレクションを多数展示!

会場では、特別展示、常設展示(2月8日(土)~4月5日(日))と期間限定展示(第1部、第2部)に分けて、「革新」「クラフトマンシップ」「国を超えた絆」「日本との関わり」という4つの切り口で、「パーカー」の逸品の数々を余すところなく紹介している。

2020年2月8日(土)~2月27日(木)に展示されている、期間限定展示・第1部の内容をご紹介しよう。

まず『第1章 すべては「理想」のペンを作るために-パーカーの革新-』では、インク漏れを防ぐインク供給システム「ラッキー・カーブ」を採用した「ラッキー・カーブ・ペン」(1888年)、それまでの常識を覆す鮮やかなオレンジ色のボディで登場した“ビッグレッド”こと「デュオフォールド オレンジ」(1921年)、ボールペンのような手軽さで万年筆のような筆記感を実現した第5世代のペン「パーカー インジェニュイティ」(2011年)という、「パーカー」の革新性を体現したペンの名品に加え、蒸発作用ではなく紙への吸収作用によって速乾性を実現した革新的な万年筆インク「クインク(QUINK)」(1931年)も展示している。


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「ラッキー・カーブ・ペン」(左)と「デュオフォールド オレンジ(ビッグレッド)」。「デュオフォールド」の下にあるのは、1945年の太平洋戦争終戦の調印式で、“ビッグレッド”で署名するマッカーサー元帥の姿を掲載した当時の新聞記事。



19.jpg歴代「クインク」のボトル(左)と「パーカー インジェニュイティ」(右)



『第2章 国を超えた絆』では、「やがてパーカーのペンで、世界中の言語が綴られるだろう」というジョージ・サッフォード・パーカー氏の言葉とともに、世界中の人々をつなぎ合わせる役目を担ってきた「パーカー」のペンを紹介。
1987年に、アメリカのレーガン大統領とソ連最高指導者のゴルバチョフ氏は、中距離核兵器を全て廃止する協定に調印したが、その調印ペンとして「パーカー75 スターリングシルバー」(写真右)が使用された。さらに、1992年にアメリカのブッシュ大統領(父)とロシアのエリツィン大統領の間で第2次戦略兵器削減の予備条約調印には、「デュオフォールド オレンジ」(同左)を使用している。このことから、「デュオフォールド」は「平和のためのペン」とも呼ばれるようになったという。

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左写真は、18世紀に財宝を積んだまま沈没したスペイン船の中に眠っていた銀貨から製作された限定万年筆「パーカー75 スパニッシュトレジャー」(1965年)。右写真は、NASA10周年を記念して製作された限定ボールペン「イントゥ スペース ジョッター」(1969年)。

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『第3章 受け継がれる創業者の想い-パーカーのクラフトマンシップ-』では、熟練の技術者の手によって生み出されてきた歴代の名品を展示。
左写真の万年筆「NO.15」(1906年)は、創業から15番目に発売されたアイドロッパーフィラー(首軸をはずし、スポイトなどでインクを吸い上げ同軸にインクを補給するシステム)を搭載したモデル。金細工の手法で施された美しい装飾とボディのオレンジのコンビネーションが鮮烈な印象を与える。
右写真の万年筆は、ブランド創業130周年を記念して「旅」をテーマに作られた万年筆「デュオフォールド クラフトオブトラベリング LE」(左)と「ソネット スペシャルエディション」(右、現行販売品)。

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長さ約20cm、円周5.9cmの大型万年筆で、1905年の発売当時“まさに最高の万年筆”と評された「デュオフォールド ブラックジャイアント」(写真奥)と、「パーカー」創業125周年を迎えた2013年に同じサイズ感で発売された「デュオフォールド ジャイアント125th LE」(写真手前)。18金仕上げのボディとキャップには、それぞれ8個のダイアモンドが輝いている。

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『第4章 日本との関わり』では、日本の伝統技法を取り入れた作品などを展示。
左写真の万年筆は、「デュオフォールド マンダリンイエロー」(1927年)。1926年に初来日したジョージ・サッフォード・パーカー氏が京都を訪れた際に、美しい七宝焼きの花瓶に心を奪われたという。その鮮やかでクリアなイエローを再現しようとして生み出された万年筆だ。
右写真は、蒔絵の技術を取り入れた「デュオフォールド 蒔絵コレクション」の歴代万年筆。

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下写真の万年筆は「バキューマティック」。1945年9月2日に行われた太平洋戦争終戦の調印式で、日本側代表である重光葵外相が使用した万年筆として知られている。また先述の通り、マッカーサー元帥が「デュオフォールド ビッグレッド」を使用したというのも万年筆ファンにはおなじみの話だろう。「パーカー」と日本を結ぶ象徴的なエピソードの一つである。
ちなみに、この「バキューマティック」は、1933年に「パーカー」が5年の歳月を費やして完成した、新しいインク吸入方式で、インク容量の多いことで評判を集めたという。また、「パーカー」を代表する意匠となった「矢羽クリップ」を初めて採用した記念すべきモデルでもある。

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“伝説”のペンも特別公開!

ペン収集家の間で “伝説”と言われる1907年発売の初代「スネークペン」も会場で展示。ブランド本拠地の英国・ロンドンにある「パーカー」のミュージアムで厳重に保管されてきた初代コレクションで、日本で公開されるのはこれが初めてのこと。

6.jpgペン本体と装飾を分けて製作する“オーバーレイ”(ペン本体の上に金属のパーツを覆い被せる装飾技法)というスタイルを採用し、ペンのボディの上に緑色の目をした18金製のスネークが装飾されたエキゾチックな万年筆だ。

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伊東屋限定万年筆やミュージアム限定グッズなど販売

会場では、ミュージアムの開催を記念して伊東屋のみの特別限定品「デュオフォールド Tokyo ミュージアム 2020 センテニアル万年筆 リミテッドエディション」(税抜100,000円、シリアルナンバー入り限定100本)を販売。
1921年に発売された「パーカー」のフラッグシップモデル「デュオフォールド」の中でも、ヒストリカルカラーとして名高い「ラピスラズリ」の流れを組む深みのあるブルーのアクリライトを採用。「パーカー」の誇るチーゼリング技術で美しい「シェブロン」模様を刻み込んだ繊細な仕上げに、特別限定品を示す美しいエングレービングを施したのが特長となっている。さらに、伊東屋のビンテージロゴをモチーフにしたオリジナルの天冠がその希少性を高めている。

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1927年に発売されたオリジナルの「デュオフォールド ラピスラズリ」も一緒に展示。

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さらに、会場でしか手に入れることができないミュージアム限定オフィシャルグッズも販売。「PARKER×MOON クラッチバッグ」(5,000円+税)、「PARKER×MOON ペンケース」(2,500円+税)、「クインク・ボトルインク ミュージアムパッケージ」(1,200円+税)、「トートバッグ」(1,500円+税)、「ポストカードセット」(600円+税)をラインアップしている。

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2019年6月から伊東屋限定で展開している「JOTTER Factory -Final assembly line-」は、2,000通り以上の組み合わせからカスタマイズできることで好評を博している。今回、会場内には「JOTTER(ジョッター)」ボールペンの巨大ウィールがお目見え。巨大ウィールを使って、バレルとキャップの組み合わせを試しながら、自分だけのこだわりの1本を作り上げることができる。購入特典として、伊東屋の伊藤明社長がデザインした「特別缶ケース」も用意。

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このほか会場では、お気に入りのペンとポストカードでエアメールを書いてその場で投函できるコーナー(投函したエアメールは切手を貼って出してくれる)など、「パーカー」のペンを体感できるコーナーを設けている。また、大人も子どもも楽しめるワークショップも随時実施している(詳細および予約はこちら)。

来日したジェフリー・パーカー氏に特別インタビュー

オープニングゲストとして、創業者の曾孫であり、パーカーブランドヒストリアンの肩書を持つジェフリー・パーカー氏が来日。スペシャルトークショウが2月8日(土)/2月9日(日)11:00~12:00、14:00~15:00 各日2回にわたり行われた。
本サイトでは、ジェフリー氏に特別インタビュー。英国・ロンドンにある「パーカー」のミュージアムや今回の展示などについて伺った。

15.jpg曾祖父のジョージ氏のパネルと並ぶジェフリー氏

〈ロンドンにあるミュージアムについて教えて下さい〉

曾祖父のジョージは、多くのペンのサンプルを集めていましたが、集めているうちに非常に多くなってきて、それがおよそ7,000本にもなってしまいました。大半は「パーカー」のペンですが、研究のために集めた他社のペンも含まれています。それらは、「パーカー」にとって資料的価値があるものなので、ロンドンに保管しておくべきだと考え、ミュージアムを作りました。

私が小さいときに、自宅にもペンを展示している部屋があり、そのペンの数がとても多かったのを覚えています。ペン自体は小さなものなので、それほど場所はとりませんが(笑)。

ロンドンのミュージアムは3つのカテゴリーに分けることができます。1つ目はペンです。2つ目はカタログや広告・宣伝ポスター、写真などの紙の資料になります。そして、3つ目は試作品です。この3つを保管しています。

〈ミュージアムは一般に公開しているのですか?〉

一般には公開していません。従業員の研修のために利用しています。「パーカー」の歴史を学んだり、過去の資料を調べたりする場所になっています。また、試作品も多数所蔵しているので、そこから素材やデザイン、機構や技術を学ぶこともできます。

試作品の中には、その当時は素材に問題があって商品化に至らなかったものもたくさんあります。でも、その後のテクノロジーの進化で、今ならば商品化できるものもあるでしょう。そういう観点からも、そうした試作品はしっかりと保管しているのです。これから研究をしていく上で非常に価値があるものと考えています。

ロンドンのミュージアムは一般公開していませんが、「パーカー」では「トラベルミュージアム」というかたちで各国で展示を行うことがあります。それ自体は、とてもコンパクトな展示になりますので、これだけで「パーカー」の歴史全体が分かるものではありませんが、その一部を公開しています。

〈今回、伊東屋で展示しているものは、「トラベルミュージアム」ではなくて、より本格的なミュージアムの展示になるのですね〉

そうです。

〈会場に大きな模型が展示されていますが、「デュオフォールド フェアチャイルド飛行機」について教えて下さい〉

これは、曾祖父ではなくその息子、つまり私の祖父のケネス・パーカーの話になります。多分、祖父が7歳の時だったと思うのですが、祖父のケネスはライト兄弟の飛行機を見て、飛行機にすごく憧れを持っていました。

そして1920年代に、当時はすごく飛行機は珍しいものだったので、もし頭の上に飛行機が飛んでいたら、みんな見るだろうと考えたんです。ケネスは当時、「パーカー」で広報宣伝を任されていたのですが、「飛行機は広告として利用できる」と思いつきました。そして、購入した飛行機を「デュオフォールド」の“ビッグレッド”と同じオレンジ色に塗り上げました。

この飛行機が町から町へと飛んでいたら、飛行機を見た人は「パーカーのペンが来ているな」というのが分かりますよね。これはすごい広告塔になります。飛行機には、「パーカー」のディーラーや従業員を乗せていましたが、それだけでなく、例えば市長や町長といったその土地の名士たちを招いたらすごく喜ぶし、「パーカー」ブランドのアンバサダーになると考えました。「パーカー」の飛行機に乗ったという思い出は、その人の中でずっと残るでしょうし、「パーカー」のことは忘れないでしょう。

〈この飛行機で宣伝していた「デュオフォールド」は、「パーカー」にとってどのような存在のペンになるんでしょう?〉

「デュオフォールド」の登場は、今でいうiPhoneぐらいセンセーショナルなものでした。その当時は、万年筆といえば黒が当たり前の時代だったのですが、「デュオフォールド」の“ビッグレッド”が出たことで、いろんな色のペンを出す発想が生まれてきました。

〈空中を飛行するフェアチャイルド飛行機から「デュオフォールド」を落として、耐久性をアピールしたという話を聞きましたが〉

初期の「デュオフォールド」では、硬質ゴムを使用していました。加工しやすくて良い素材なんですが、ただ耐久性には優れていませんでした。そして、新しい素材としてプラスチックが出てきたとき、「パーカー」としてはこれで良いペンが作れると考えました。今はプラスチックがどういうものかはみなさんご存じですが、当時は誰も知らないので、どんなに丈夫なものなのかも分かりませんでした。なので、飛行機の上から落として、丈夫さをアピールしたのです。

その後素材も進化してきており、今の「デュオフォールド」はプラスチックの一種であるアクリライトを使用して、さらに耐久性も向上しています。

〈今回の伊東屋限定モデルの「デュオフォールド」はいかがですか?〉

これは「パーカー」の伝統とモダンなところが融合しています。「ラピスラズリ」というのは1920年代に発売した「パーカー」のヒストリカルカラーの一つなのですが、その色を使っているのですごくいい万年筆ですね。

〈最後に、このミュージアムの見どころを教えて下さい〉

ジョージがビジネスを始めたのは25歳のときです。彼がまず目を付けたのが、素材の品質です。素材の品質がペンの品質に直結することに気が付いたのです。なので、それを理解しているペン職人を探すところから始まりました。

彼が感じたのは、良いペンを作るのはいつでも可能だということです。常に新しい素材や機械が出てくるので、自分が満足できるペンが作れるし、それを超えるものを作ることも可能です。

ジョージが築き上げてきた、“クオリティ”と“クラフトマンシップ”、そして絶えず新しいものを作っていくという「パーカー」の“イノベーション”をこの展示でご覧いただけます。「パーカー」の歴史を感じることができますよ。

16.jpgジェフリー氏が手にしているのは伊東屋限定の「デュオフォールド」

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