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【コレ買いました!】パイロットの顔料インク「強色」&コスパ抜群の万年筆「ライティブ」

文具のとびら編集部

パイロットコーポレーションは、万年筆に使用可能な顔料インク「強色(TSUWAIRO)」(税込1,100円)を2022年3月4日に新発売。同社の顔料ボトルインクは「製図用」と「証券用」の2つをラインアップしているが、あくまでも付けペンでの使用を想定したもので、万年筆用を謳った顔料インクは今回が初めてとなる。

染料インクと比べて耐水性や耐光性の高い顔料インクを使いたいという万年筆ユーザーは少なくないので、セーラー万年筆やプラチナ万年筆は以前から顔料ボトルインクを何種類か発売している。そして今回パイロットから、満を持してというかたちで「強色」が発売されたわけである。インク色はブラック、ブルーブラック、ブルーの定番3色をラインアップしている。
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「強色」の発売は万年筆ユーザーから大きな注目を集めており、文とびに載せた新製品ニュースも多くの読者の目に留まったようだ。筆者もこのニュースを知って、「ついに出たか」と心が躍るような気持ちになったのだが、では実際に使ってみるかというとちょっと躊躇してしまう。

染料インクと比べ顔料インクは水に溶けにくい特性があるが、それが故に万年筆に入れて使うとインク詰まりなどを起こしやすいと言われている。もちろん、万年筆用にチューニングしたインクになってはいるのだろうが、それでもメンテナンスは欠かせないだろうし、インクを入れっぱなしにしたまま放置する、なんてことは絶対に避けなければいけない。要するに、「生半可な気持ちじゃ使えぬ」のである。使うにはそれなりの覚悟が要ると思うと、二の足を踏んでしまうのだ。

先日、パイロットコーポレーションにお邪魔して「強色」について取材してきた。色々とお話しを伺っているうちに、「そこまで神経質にならなくてよいかも」と思うようになってきた。もちろん、メンテナンスは必要だが(「強色」使用時の注意事項はこちらを参照)、もっと楽な気持ちで使っても大丈夫だというのが分かったので「使ってみよう」と心に決め、文具店に直行した次第である。

以下、取材で聞いた話に触れながら、「強色」を試用したレポートをお伝えしたいと思う。

パッケージとボトルにもこだわり

「強色」のパッケージは、正面で「水に濡れても滲みにくく水に強い」と大きな文字で謳っている。天面に印字されている商品名よりも一際目立つので、まるでこっちが商品面かと思うくらいだ。これは、「インクの特性を知ってほしい」というメーカーの想いからそうなったようだ。

ちなみに、このパッケージには上質な紙を使っているそうで、文字も銀の箔押しで何気に高級感のあるものになっている。

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インクの容量は30ml。これは同社の定番の染料インク(写真右)と同じで、ボトルのかたちも一緒。でも、「強色」のラベルの文字は、パッケージと同様に銀箔になっているので、グレードの違いが感じられる。

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「万年筆クリーニングセット」は必須アイテム

取材の際に「『強色』と一緒に、ぜひクリーニングセットもご購入いただきたいです」と言われていたので、「万年筆クリーニングセット」(税込880円)も併せて購入した。しばらく使用しない場合やインク色を変える場合は、このセットを使って万年筆をよく洗浄してほしいとのこと。やはり、顔料インクを使う上で万年筆のメンテナンスは欠かせない。クリーニングセットは必須アイテムなのだ。

万年筆の首軸を洗浄する際に使うスポイト1本と洗浄液5回分をセット。パッケージにはスライダーが付いており、そのまま保管することができるから便利だ。

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万年筆「ライティブ」との組み合わせがおすすめ

このインクを入れる万年筆には、パイロットが2021年12月に発売した「LIGHTIVE(ライティブ)」を選んだ。税込2,200円というお手頃価格の万年筆ながら、書き味は抜群で、さらにキャップ部分の内部機構に新仕様のインナーキャップを使用することで、高価格帯万年筆に匹敵する高い気密性を実現しているのも特徴だ。
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高額な万年筆に「強色」を入れた場合、「もし万が一、取り返しの付かないトラブルが起こったらどうしよう」と心配になってしまうだろうが(*使用できる万年筆とできない万年筆があります。スクリュー式の「カスタムヘリテイジ92」、プランジャー式の「カスタム823」、ペン先の弾力を調整できる「ジャスタス95」、漆製品・蒔絵万年筆全般には使用不可)、この2,000円のエントリー万年筆ならばその点は気兼ねなく使えるし、何より気密性の高さが「強色」にピッタリである。取材でも、「気軽に使えるのでおすすめです」と話していた。

筆者はすでに「ライティブ」を使っているので、その実力は織り込み済み(レビュー記事はこちら)。実は、「強色」を使おうと決心したのは、「ライティブ」の存在が大きかった。

今回、「強色」用に購入したのは、インクの映えるノンカラーで、ペン先はM(中字)。細書きを好む人は多いと思うが、インク詰まりの心配がある顔料インクを使う場合は、中太以上の字幅のペン先を選んだ方がよさそうだ。

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いざ、インクを吸入!

では、万年筆にインクを入れてみよう。

インクの吸入を行う前に、まずボトルを4、5回反転させてほしいとのこと。インクの成分が沈殿している可能性があるからだという。

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「ライティブ」と一緒にコンバーター「CON-70N」(前モデルのCON-70は「強色」に使用不可とのことなので注意して下さい)を購入したので、それを装着してインクを吸入した。ちなみに、購入したインク色はブルーブラック。インクが映えるからという理由で透明ボディの万年筆を選んだが、インク色が黒系なので、それほどでもないか。

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クッキリ鮮やかな筆跡!

「ライティブ」はさすがの書き味。書き出しもスムーズで、書いていてとても気持ちが良い。インクは、にじみもなくクッキリとした筆跡で、発色も鮮やかだ。インクのにじみや筆跡の濃淡などを楽しむ場合は染料インクだが、にじみにくさや耐水性・耐光性といった実用性を重視する場合は顔料インクがベストだろう。

写真右は、「強色」(上)とパイロットの定番染料インク(下)の色味比較。同じブルーブラックでも、発色の傾向は結構異なる。染料は青味が強いが、「強色」はよりダークな色味になっているのではないだろうか。

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耐水性もチェックしてみた。それぞれの筆跡の上に水を一滴たらしたのがこちらの写真(左が強色で右が染料)。パイロットの染料インクが思った以上に耐水性があって、はっきりと分からないかもしれないが、染料インクの方が若干色落ちしている。その一方で、「強色」は特に変化が感じられない。

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先述の通り、ビジネスシーンなどで実用性を重視する場合はもちろんだが、はがきを書くのにもおすすめしたい。耐水性はもちろん、割と速乾性もあると思うので、「宛名書きをしていたら手が汚れた」という心配もないはずだ。

そして、インクに付属している取扱説明書にしっかりと目を通して、定期的なメンテナンスを心がけて使用していただければと思う。
同社ホームページにも詳細な注意事項が載っているので、そちらもご参照下さい。

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