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【ラブリー文房具】わびさびの音色に癒やされる!? 南部鉄テープカッター

北澤孝之(Bun2編集長)

みなさんは、ニチバンから発売されている南部鉄製のテープカッター(正しくは「テープカッター 大巻用 南部大型」というらしい)のことをご存じだろうか? 南部鉄器といえば盛岡県の伝統工芸品で、鉄瓶とか風鈴なんかをよく目にすると思うが、テープカッターにもなっているのだ。

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もう随分前になるだろうか、ある展示会でニチバンのブース前を通りがかったら、南部鉄のテープカッターが展示されているのに気が付いた。噂には聞いていたが、実物にお目にかかるのはこれが初めてである。物珍しそうな目で眺めていたら、それに気が付いたニチバンの男性社員が声をかけてくれた。

「このテープカッターは、テープを切るときの音がいいんですよね。何て言うかな、わびさびの利いたような感じで」。そう言いながらテープを切ると、チーンと、高く澄んだ音が小さく響いた。ケレン味のない、どことなく儚げなその音色を聞くと、心が落ち着くようだ。確かに、わびさびが利いている、と思った。それまで、テープカッターの音なんて気にしたことはなかったけれど、こんな味わい深い音が出るものは他にはないのではないか。

そう思ったら、俄然購買意欲が高まり、ついに購入に至ったわけである。実物を手にすると、鉄器なのでずしりと重い。誤って足の上にでも落としたら大変なことになるので、置き場所には気を遣った。表面のゴツゴツとした感じが、いかにも工芸品という感じで好もしい。実用品ではあるが、机上のアクセサリーとして眺めていても飽きることはない(ただし、筆者の購入したタイプのものはもう在庫がないようだ)。

2.jpg南部鉄器の風合いが味わい深い。もちろん、プーリーも南部鉄でできている(右)。


そして、セロテープを切るときの音。テープを切るたびに、この音色に癒やされる思いがする。
文章だけでは伝わりにくいので、動画を撮ってみた。みなさんも、この音色にわびさびを感じるだろうか?



惜しむらくは、刃が「直線美」ではないことだろうか。「直線美」は、テープの切り口がギザギザにならない、凹凸の少ない刃を採用したテープカッター。小さな子どもが刃を触ってもケガをする心配がないので、うちのリビングにはこの「直線美」を置いている。でも、「直線美」の刃にしたら、あのわびさびの利いた音色は聞けないかもしれない。

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今から2年前、「セロテープ」発売70周年記念のキャンペーンで、「直線美」の刃が付いた南部鉄テープカッター(小巻用)をプレゼントの景品にしていたことがあった(こちらの記事を参照)。応募してみようかなと思っているうちに締め切られてしまったのだが、その後ある展示会に出品されていたのを見たことがある。この写真は、そのときに撮ったものだ。デザインがかなりレトロなのは、1952年に発売したものを復刻したから。景品のみで非売品なのが残念だが、もし今後発売されるようなことがあったら、思わず買ってしまいそうだ。

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