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【ショウワノート新工場を見学】ジャポニカ学習帳のタイムトンネルに注目!!

北澤孝之(Bun2編集長)

弊社が発行する文具のフリーマガジン「Bun2」10月号では、ショウワノートの高岡新工場の取材記事を掲載している。ロングセラーの学習帳「ジャポニカ学習帳」を製造している工場で、工場見学も受け付けている。今回の記事は、その工場見学ツアーに同行したものをまとめたものだ。

誰もが知っているあの学習帳を作っている工場とあって記事の反響も結構大きいが、誌面の制約もあり詳しく掲載できなかったこともあるので、改めて「文とび」にも同工場の見学記を掲載したい。

壁面にはドラえもんの壁画が!

1.jpgショウワノートは、「ジャポニカ学習帳」などのノートを製造している富山県高岡市の本社工場の建て替えを行っていたが、2018年5月に新工場が完成した。高岡工場では、「ジャポニカ学習帳」を主力とするノートを自社生産しているが、新工場では従来の糸綴じに加え、無線綴じ製本ラインを導入。“おじいちゃんのノート”で話題となった中村印刷所と共同開発した「水平開きノート」を製造できるよう、独自に開発した装置も準備。また、「ドラえもん学習帳」を発売していることから、工場の壁面にドラえもんを描いたのも話題だ(写真は落成式でテープカットを行ったときのもの)。

ちなみに、高岡市はドラえもんの作者、藤子・F・不二雄の出身地でもあるが、この工場の目の前にある「高岡おとぎの森公園」という大きな公園には、「ドラえもんの空き地」という『ドラえもん』の作中でおなじみのあの空き地を再現した広場があり、ドラえもんやのび太など主要キャラクターが、作品そのままの姿で立っている。この公園からも同工場のドラえもん壁画が見るので、ドラえもんファンにはたまらないスポットだろう。

01.jpg高岡おとぎの森公園の「ドラえもんの空き地」(取材時はあいにくの雨模様だった)。ドラえもんとのび太は工場の方角を向いて立っている。工場見学の際に立ち寄るのもおすすめ。


©Fujiko-Pro

大人気の工場見学ツアー

工場見学は、平日に1日3回行っており、各回の定員は20人(団体は50人まで)。同社のホームページから申し込みできる(21人以上の団体は電話で)が、予約状況をみると満員の日も多いようだ。記者が訪れた日(8月29日)も満員で、夏休み中なので大勢の小学生たちが参加していた(ちなみに、この記事を書くにあたって予約状況を確認してみたが、やはり満員の日が多い)。

2.jpg当日はまず、工場の向かい側にある旧工場を再利用したという“ファクトリーホール”に集合し、ビデオで学習帳の製造工程を学んだあと、同社事業戦略室産業観光課副主任の山本飛鳥さんからのレクチャーを受けた。

「ジャポニカ学習帳の表紙には、写真家の山口進さんが撮影した世界に1枚しかない貴重な写真を使っています。また、本文の罫線は、日本色彩研究所の協力で、目が疲れにくい色を採用しています。鉛筆で書きやすくて消しゴムで消しやすい専用紙も使用しています」と山本さんはジャポニカ学習帳の特徴について詳しく説明してくれた。

工場見学をスタート!

3.jpgレクチャーが終わり、向かい側の工場に移動して工場見学がスタート。シンプルな中に木の温かみが感じられるエントランスホールに入ると、オリジナルグッズを販売するコーナーが目に入り非常に気になったが、それはまた後でゆっくり見ることにして、階段をのぼった。


4.jpg

階段をのぼったところに、学習帳に使われている原紙が展示されていた。表紙や百科に使われる板紙は、1枚が781×740㎜で、ノート6冊分が作れる大きさだという。本文に使われるロール紙は、重さが約700キログラムあり、長さが約13キロメートル。1本で約7,200冊のノートが作れるそうだ。

いよいよ製造現場に入る。残念ながらここからは撮影禁止だが、中に入ると機械が威勢の良い音をたてており、学習帳が次々とできあがる様子が見学できた。一緒に見学している子どもたちも熱心に見ている。事前に配布された資料やビデオによると、学習帳は①表紙・百科・本文をそれぞれ印刷②表紙と百科を一つの機械にセット③表紙・百科・本文を丁合④6冊分のものを縦3冊分に断裁⑤切り分けた真ん中を専用のミシン糸で縫う⑥背折りをする⑦クロス(紙テープ)を貼る⑧最後に3冊に切り分けてできあがり⑨検査して完成──という工程で製造されているという。

筆者はかつて、東京の下町の町工場で昔ながらの手作業でのノートづくりを見学したことがある。それはそれでアナログな良さがあるが、こちらは見ていて迫力がある。やはりスケール感はかなり違うなと実感した。

ジャポニカ学習帳のタイムトンネル

5.jpg続いて、同社の歴史や学習帳の歴史、特徴などを知ることができるコーナーを見学した。ジャポニカ学習帳の年表をはじめ、同学習帳のこだわりポイントを解説したコーナー、同社で販売しているノートを紹介するコーナーなどを設けている。

6-2.jpgジャポニカ学習帳の年表


6-1.jpgジャポニカ学習帳の表紙をめくると、こだわりポイントの解説が現れる。


6-3.jpg

ジャポニカ学習帳以外にも、180°フラットに開く「水平開きノート」(左)をはじめ各種ノートを紹介している。


5-1.jpgそしてその奥に、壁や天井一面に歴代のジャポニカ学習帳の表紙をずらりと並べたタイムトンネルが設置されている。トンネルの中に入った人たちは、大人も子どもも皆一様に嬉しそうだ。「一体、いくつの表紙が並んでいるですか?」と山本さんにたずねたら、何と611枚もあるというではないか! 同学習帳は1970年に誕生したので、今年で発売48年。トンネルの中に入ると、その48年の歴史の重みをひしひしと感じるような気がした。

工場オリジナルグッズも多数販売

7.jpg工場見学はこれで終了だが、最後にさきほど一瞥して気になっていたグッズコーナー「FACTORY SHOP」に立ち寄った。ここでは、高岡工場でしか手に入らない、限定オリジナルグッズを多数販売している。「以前から、『学習帳を作っているのに買うことはできないのか』というお問い合わせをいただいていましたが、ようやくオリジナル商品を販売することができました」と、山本さんは感慨深そうにそう話す。「ジャポニカ学習帳」や「水平開きノート」のご当地限定デザインのものをはじめ、ジャポニカ学習帳の復刻限定版、懐かしのジャポニカ表紙をデザインしたアイテムなどがずらりと並んでいた。


8.jpg

左側の写真はドラえもんをデザインした「水平開きノート」(左)とご当地デザインの「ジャポニカ学習帳」。「水平開きノート」は、工場の壁面に描かれたのと同じドラえもんのイラストを表紙にデザインしており、「ここでしか手に入らないのでおすすめですよ」と言われた。また、一見普通の商品に見えるご当地「ジャポニカ学習帳」は、どこがご当地デザインなのかというと、チューリップの写真を表紙に使っているのがミソ。富山の花といえば何と言ってもチューリップだろう。左の写真は、A5 サイズの「水平開きノート」と「ジャポニカ学習帳 復刻版4冊パック」。復刻版の4冊は、下記で紹介しているピンバッチと同じもの。


9.jpgピンバッチは、歴代ジャポニカ学習帳の表紙4種類と、ドラえもんの壁画イラストをデザインしたものの計5種類をラインアップしている。

本当に、どれも欲しくなった悩んだが、この中からいくつか選んで購入した。ここで購入したグッズについては、また改めてご紹介したい。

工場見学の概要

所在地:〒933-0826 富山県高岡市佐野850
アクセス:電車・バスの場合 北陸新幹線 新高岡駅から徒歩で25分、車の場合 能越自動車道高岡ICから車で10分/北陸自動車道小杉ICから車で20分
開催日:平日のみ(*土曜、日曜、祝日と年末年始やお盆期間中の工場休業日は開催しない。また、工場の稼働状況や運営体制によって、開催しない平日もある。下記【工場見学サイト】でご確認ください)
開催時間:①10:00~11:00 ②13:15~14:15 ③14:45~15:45(*工場の稼働状況や運営体制によって、開催しない時間帯もある)
所要時間:約60分
定員:各時間帯20人(*21人以上の団体の場合は最大で50人まで)
予約開始日時:見学日の90日前の9時から
予約締切日時:見学日の7日前の16時まで
予約方法:1~20人の場合はインターネット予約(下記【工場見学サイト】参照)、21人~50人までの団体は下記【工場見学サイト】をご確認のうえ、電話で同社産業観光課0766-22-6201)までお問合せください。

【工場見学サイト】
http://www.showa-note.co.jp/factorytour/

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