1. 連載企画
  2. パイロット指輪物語
  3. 【連載】パイロット指輪物語/第6話「さらなる新素材への挑戦、『Ptau』」

【連載】パイロット指輪物語/第6話「さらなる新素材への挑戦、『Ptau』」

文・イラスト/ヨシムラマリ

※この記事は、横浜YAMATOのウェブサイトに掲載されたものを再掲載しました。

第6話「さらなる新素材への挑戦、『Ptau』」

 さて、UHP(ウルトラハードプラチナ)により、高純度でありながら高硬度という今までにない素材の開発に成功したパイロットだったが、新素材開発への情熱はその後も続いていた。
 その結果誕生したのが、「Ptau(ピトー)」である。「Ptau」はその名の通り、プラチナ(元素記号Pt)と金(Au)を1対1の割合で混ぜ合わせた、100%貴金属からなるパイロットのオリジナル素材だ。
 プラチナと金は、単体だといずれもやわらかい金属で、そのままだと変形したり傷がついたりしやすい。だが、この2つを合金にすると、元の金属よりも硬くなる性質があることが知られていた。
 ひとつひとつは弱い素材なのに、結びつくことで単体のときよりもずっと強くなる。それって、結婚も同じではないだろうか?ブライダルジュエリーの素材として、これほどふさわしいものは他にあるまい、と次なる挑戦が始まった。
 「Ptau」の開発には、当初から譲れないこだわりがあった。それは「プラチナと金の比率を1対1にする」ことである。人生を共に歩む夫婦は、各々異なる性質はあれど平等で対等なのだから、2人を象徴する素材であるプラチナと金の比率も、1対1でなければならないのだ。
 しかし、この「1対1へのこだわり」が、後にとんでもない苦労を招くことになるのであった…。

column_06.jpg

プロフィール

ヨシムラマリ.png
ヨシムラマリ

神奈川県横浜市出身。子供の頃、身近な画材であった紙やペンをきっかけに文房具にハマる。現在は会社員として働くかたわら、イラスト制作や執筆を手がける。

著書『文房具の解剖図鑑』(エクスナレッジ)

『文房具の解剖図鑑』をAmazonでチェック

【文具のとびら】が気に入ったらいいね!しよう