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【連載】車椅子ライターから見た 弱い力でも使いやすい文具たち #31「手先が震えても入れやすい1本挿しペンスタンド」

波子

デスクでよく使うペンを1本さっと取り足せるように、一輪挿しならぬ一本挿しのペンスタンドがあります。
ホテルのフロントや、みどりの窓口などでも見かけますね。
私も、ノートパソコンの脇にひとつ置いて使っています。すぐにメモしたいとき、ペン立てから選んで引き抜くよりも素早くアクセスできるので便利です。

でも、一本挿しだからこその特徴が、私には少し使いにくくなってきてしまいました。
それは、ペン1本分の太さに、狂いなくまっすぐペンを差し入れなくてはならない、ということ。
時々手先が震えたりして定まりにくいことがあるので、狙いを外しそうになることがちょいちょい発生するようになってしまったのです。

そんなときに出会った、見事なまでに私にドンピシャなペンスタンドをご紹介します。

LIHIT LAB.「ペンスタンド」

202009namiko1.jpgLIHIT LAB.の「ペンスタンド」。入り口が広く入れやすい



LIHIT LAB.から昨年8月に発売された「ペンスタンド」。
パッケージには「入り口が広くて入れやすいペンスタンド」と明記されています。

202009namiko2.jpg

開口部は、3枚の羽根がまるで花びらがほころんだように開いていて、その中央にペンを垂直に差し込むと自動的にキュッと羽根が閉じ、ペンをホールドします。
スタンドのベース部分には重みがあり、安定感は充分です。

202009namiko3.jpg3枚の羽根が大きく開いて、無造作に入れたペンをホールドする



私が初めてこのペンスタンドを見たのは、昨年晩秋の文具展示会だったと記憶しています。ブースに展示してあったのを試させてもらって、これはすごいぞと感嘆しました。
その後、ようやく最近になって店頭で再会し、いそいそと購入した次第です。

「入り口が広くて入れやすい」と銘打ってある通り、その逆三角錐のような形状のお陰で、ペンを垂直に挿せなくても、とにかくこの開口部へ放り込んでしまえば、ペン先は自ずとペンスタンド中央へ導かれます。あとは、ほんの少し指先で位置を整えるだけで、キュッと閉じてくれるのです。

202009namiko4.jpg逆三角錐状に開いた3枚の羽根は、どの角度からペンを入れてもペン先を中央へ導く



また、ベース部分がしっかりとした重みで支えてくれているので、開口部が閉じずにペンが斜めに入ったままだとしても、ペンスタンドが傾くことはありません。
だから安心してペンを放り込めるのです。

この、一本挿しであるにもかかわらず「安心してペンを放り込める」ことが、私にとっては革命的なことでした。
少々手先が震えようが、お構いなしに受け止めてくれる、この頼もしさたるや…!
思わず何度も、ペンを入れては取り出し、また違う角度から放り込み、と繰り返してしまいます。

説明書きによると、対応できるペンの太さは軸径7~10mm。
細軸代表としてフリクションスリムの透明軸、太軸代表としてジェットストリーム多機能ペン4&1で試したところ、どちらも問題なくホールドしてくれました。
また、尖ったペン先だけでなく、平らなキャップにも対応しています(ただし形状によってはしっかりホールドできない可能性あり)。

202009namiko5.jpg今回購入した赤(実際の色合いはピンク)と黒。フリクションボールスリム、ジェットストリーム多機能ペン4&1、いずれも問題なく挿せた



カラーは私が購入した黒と赤のほかに黄と青があり、黒以外はすべてスタンド下部の色がグレーです。
また、かわいらしくデフォルメされた「食べ物シリーズ」として、ダイコンやニンジン、パイナップル、ナスが発売されているのをネットショップでみかけました。いずれもベース部分が食べ物、開口部の羽根が葉やガクの色になっています。

プロフィール

波子
1974年生まれ。脊柱側弯症、先天性ミオパチーのため、2006年に杖歩行となり、2012年から車椅子、2014年12月から簡易型電動車椅子を使用。便利な道具や文具が好き。
奈良県奈良市で生まれ育ち、大阪・東京での暮らしを経て現在奈良市在住。
産経新聞奈良版および産経WESTにて連載「車いすでみるなら」2015年2月~2019年5月、全70回。
ブログ「車椅子、ときどき杖。」http://nam-kid.hatenablog.com/

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