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【連載】車椅子ライターから見た 弱い力でも使いやすい文具たち #11「軽い力で使えるダブルクリップ」

波子

[毎月25日更新]

私はかつて歩いていた頃に事務員としていくつかの職場で勤務していました。どの職場においても必ず使用する文具のひとつに「ダブルクリップ」が挙げられます。
枚数の多い資料を挟んだり、複数の書類をまとめておくのに一時的に挟んでおいたりと、便利に使えるので引き出しに常備してあった、いろんなサイズの頼もしいダブルクリップ。

でもあれって、クリップを開くときにかなり力が要りますよね。
特に、大きなダブルクリップで挟むとき。ちょっとギリギリかなという書類の厚みいっぱいに開くとき、指では追い付かなくて「手のひら」と「中指・薬指」で両レバーを握るようにして開いたこともあります。

ところが、昨年3月に、なんと「開く力を最大約50%削減」したダブルクリップが発売されたのです。
事務仕事とは長らく疎遠になっている私ですが、先日ようやくゲットいたしました。

PLUS「エアかる」


PLUSの「エアかる」は、「空気のように驚くほど軽く開くことができる」ダブルクリップ。
ホームページによりますと、大サイズで50%、中サイズで40%、小サイズで30%、PLUSの従来品より省力されるとのことです。
握力15kgですと、さすがに空気のようにとは言えませんが、従来品よりは楽に使えると感じました。

従来品と異なるのは、本体にある突起と、レバーの長さ。
突起を新たな支点として作用点(挟む部分)に近づけ、レバーを長くして力点(指で押さえる部分)を遠くに置くことで、これまでより軽い力でクリップを開くことができるのだそうです。
また、レバーの形も指にフィットしやすいように、先端がフラットになっています。
指先に触れる部分が広くなったので、痛くなりにくいと感じました。


20190125namiko2.jpg「エアかる」(大、中、小サイズ)

20190125namiko5.jpg「エアかる」と従来品の中サイズを比較すると、レバーの長さの違いが一目瞭然

20190125namiko6.jpg「エアかる」は従来品(右)に比べてレバーを挟む指(力点)がクリップの先(作用点)より遠くなる


軽さを最も実感できるのは、やはり大サイズ。
冒頭でも述べましたが、大サイズを必要とするようなシーンで挟むものは分厚いことが多いのです。また、クリップが大きいので、レバーも太くてかたいんですね。
でも、「エアかる」の大サイズを手にしたとき、必要な力は中サイズと同じくらいに感じました。思わず目を見開いたくらいです。だって、目の前にあるダブルクリップの大きさと、手に込める力に釣り合いが取れないんですもの。軽い!
これはかなり楽です。普段から大サイズを多用する方には強くお勧めしたいです。
今はもう日常的にはダブルクリップを使う用事のなかった私ですが、これだけ楽ちんなら、開封したスナック菓子の袋を閉じるなど、事務仕事以外でも使ってみようかなと思います。

20190125namiko4.jpg軽さを最も実感できる「エアかる」大サイズ

また、指先に力を込めることに不安があっても、冒頭に書いたように「手のひら」と「中指・人差し指」でレバーを握るようにすると、どのサイズも本当に楽に開くことができます。
これは、レバーが長くなったおかげでもありますね。

ダブルクリップはそうそう壊れるものでもありませんから、以前からあるものをそのままずっと使っていることが多いと思います。
でも、もしそれが「かたいなー」「指が痛いなー」と感じていたなら、この機会に買い替えてみることをお勧めします。
実物を店頭で試せる機会はなかなか少ないかも知れませんが、少量パッケージもありますので、見かけたらぜひ購入して確かめてみてください。

プロフィール

波子
1974年生まれ。脊柱側弯症、先天性ミオパチーのため、2006年に杖歩行となり、2012年から車椅子、2014年12月から簡易型電動車椅子を使用。便利な道具や文具が好き。
奈良県奈良市で生まれ育ち、大阪・東京での暮らしを経て現在奈良市在住。
産経新聞奈良版および産経WESTにて「車いすでみるなら」連載中。
ブログ「車椅子、ときどき杖。」 http://nam-kid.hatenablog.com/

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