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【連載】他故となおみのブンボーグ大作戦!Bootleg  #49 水筆にたっぷりインクを含ませてもきれいに落ちることに感動!! hocoro ブラッシュ

文具のとびら編集部

30分間、文房具の話題だけをお送りするラジオ番組「他故となおみのブンボーグ大作戦!」のパーソナリティ「なおちゃん」こと、ふじいなおみです。

番組では毎週たくさんの文房具が登場します。その中から、他故さんとなおちゃん2人で選んだ商品をピックアップ。より掘り下げてご紹介していきます。

今回は、2025年04月13日OA の「なおちゃんの文房具部屋からこんばんは」でご紹介しました、セーラー万年筆の「万年筆ペン先のつけペン hocoro ブラッシュ」をご紹介します。

hocoroのペン先、とても充実しましたね

hocoroとは、セーラー万年筆が販売している、万年筆のペン先を持ったつけペンのシリーズです。

hocoroという名前の由来は「つぼみが開く」という意味の「ほころぶ」。ペン先から色とりどりの花が咲き生まれるイメージから名付けられたそう。そしてもうひとつ、ペン先を差し込んでいる大先と呼ばれる樹脂パーツには誤飲防止のために笑った口のような穴が開いているのですが、これが「顔がほころぶ・笑顔になる」というほころぶのもう一つのにかけているそうです。

photo0.jpg今まで発売されたペン先を並べました

hocoroシリーズのペン先は、2021年12月に「細字(写真一番左)」「1.0mm幅のカリグラフィータイプ(同3番目)」が発売になって以来、2022年8月に「2.0mm幅のカリグラフィータイプ(同4番目)」、「筆文字(ペン先が上を向いている/同5番目)」が、2023年7月には「中字(同2番目)」のそれぞれ発売されました。

特徴は万年筆と同じペン先を持っていてスムーズに書ける/描けることです。

そして、この3月に発売になったのが「ブラッシュ(写真一番右)」。いわゆる筆ペンのペン先です。

つけペンによっていろんなことが可能になりましたね

セーラー万年筆はhocoroを発売して以降、万年筆では推奨されないインクたちを「つけペン専用」として次々とリリースしています。その「つけペン専用」のインクはDiptonという名前で展開されています。

インクが溜まる部分にインク色とは異なる色の金属のような光沢が生じる『シーンインク』。見る角度や光の当たり具合で色が変化したり、特定の色が見え隠れする偏光ラメにより繊細に表情を変えたりしながら輝く『シマーインク』。そして、シリーズでは初めての顔料インクで、色名は食べ物をテーマにした、黒い紙にも書くことが可能な『クリーミーインク』が登場。インク沼の民を驚かせてきました。

ブラッシュの仕様

photo1.jpg身長測定(?)



新商品のブラッシュの細かな部分を調べていきましょう。
ブラッシュの毛の長さは1cm程。

photo2.jpg側面の穴とお尻の穴が確認できます


オレンジ色のパーツの側面2ヶ所に大きな穴があってここから洗浄時に水が流れ出ます。お尻の部分はカートリッジがちょうどハマる大きさになっていて、こちらも真ん中に穴が空いています。

hocoro ブラッシュを使って描いて/書いてみよう

絵も字も上手ではない私ですが、今回、このために万年筆インクで描くことにチャレンジしてみました。せっかくだからとチョイスしたのは豊平川という地元・札幌にある大丸藤井セントラルのオリジナルインク。紙により程度は異なりますが揺色がはっきりと出て、川の青い色の中にピンクや紫が見えるインクです。

まずは絵を描いてみました。

photo3.jpg落書きのような絵でお恥ずかしいです



hocoroの中字のペン先を使って描いてみました。どうにも平面的でイマイチの絵ですが、その後、ブラッシュに水を含ませてインクを伸ばしてみると?

photo4.jpgIt's 水筆マジック!



シャボン玉のつもりで描いた丸と影からきれいな色が出てきました。

そして筆ペンで伸ばし終わったのがこちら。

photo5.jpgなんとなく雰囲気のある仕上がりに!



イマイチと思っていたイラストに魂が宿ったように味わいのある絵手紙風に仕上がりました。

次に、ブラッシュを直接インク瓶にドボンして文字も書いてみました。

photo6.jpgその時の気持ち。気合を入れたかったみたいです



これも、空いているスペースが勿体無かったので、ちょっとだけ色の変化をつけようとしてランダムに塗ってみました。

この紙は10.5×7.5cmです。なので、ハガキのおおよそ半分の大きさ。文字を書くには「やるときは」部分の大きさくらいが書きやすかったので、ハガキに筆文字で書くようときに重宝しそう!年賀状の時期にも活躍しそうです。

photo7.jpgなんとなく派手目にしてみました


ランダム部分を、水を含ませたブラッシュを使って色を伸ばしていくと?
説得力があるかは不明ですが、なんかグラデーションがきれいに出て嬉しかったです。

中でも感動したのはこの機能

一世を風靡した万年筆インクを塗ると絵や文字が浮かび上がってくるカード。そのさまざまな技を教わった時に使った筆は100円ショップで購入した水筆や水彩絵の具用の筆でした。しかし、楽しく終えたあとにかなりの苦労が待っていました。いくら洗っても色が落ち切らないのです。

筆を何日かつけ置きしてみても、先生が使っていた洗濯機のおもちゃのようなものを使ってみても、何度水を変えて筆先を揺らしてみても、インクは落ち切らず、ティッシュに置いてみるとインクの色が出てくるのです。

ですが、hocoroのブラッシュは違いました。

photo8.jpgインク瓶にドボンしました



このようにたっぷりインクを含ませたブラッシュに、我が家にある昔購入した、セーラー万年筆専用の「万年筆メンテナンスキット」に入っていた洗浄ノズルと洗浄機(本体)を装着します。

photo9.jpg持っていると安心!メンテナンスアイテム登場!



この状態から、本体の可動するパーツを外して本体に水を貯めようとしたのですが……穴が空いているので。当然水は下まで流れていきます。

photo10.jpg注射器のような本体を通って水がどんどん流れていきます



その様子がこれ!
洗浄機を通った水が大先に入り、ブラッシュの毛を束ねてあるあたりを通り、奥から左右下方向に水が流れて洗浄されていきます。おおよそ3分くらいで「きれいになったな」と感じました。

phto11.jpgかなりきれいになりました



おおよそ洗い終わったかなと思ったのがこちらです。ナイロン製の毛がインクの色に多少染まってしまいましたが、それはどのようなインクを使っても、筆ペンを使ったときにもあったことなので、想定の範囲です。それよりも毛に透明感が戻ってきたのがとても嬉しいです。

photo12.jpg実物はもっとほんのりとした色合いでした



拭いた時のペーパーウエスをみるとほとんどインクの残りはありませんでした。写真に撮ると少し紫が強く見えますが、実物はもっとわかりづらいものでした。

水彩絵の具用の筆の時に1時間以上格闘したのはなんだったのだろうと思うくらい簡単にきれいになりました。これで万年筆のインクを気軽に筆で使って楽しむことができます!セーラーさんありがとうございます!

筆なので他のペン先とは異なり、水分を取り去るために時間がかかります。単色で使うか、複数の色を使うならば瓶からパレットなどにインクを出して使用すると、インクが混ざることがないので良いと思います。

このブラッシュ、きれいになると聞いていたとはいえ、想像以上の機能に本当にびっくりしました。

なお、私が持っている万年筆メンテナンスキットは古いものですが、現行品としてブラッシュとは別売りの「万年筆サポートキット」や「万年筆ペン先のつけペン hocoro ブラッシュ用洗浄器(限定販売)」が使えますので、お持ちでない方はそちらを是非購入してみてくださいね。

ブンボーグ大作戦!こぼれ話

ブンボーグ大作戦!では毎月ZINEを発行しています。
毎月最終週の放送が終わる時間頃にWebページで公開していて(https://daisakusen.net/zine/)、ダウンロードをしたものを印刷し、印刷面を表になるように二つに折って、端っこをホッチキスで固定すると、小学校の時に作った「校外学習のしおり」のごとく本になるように作られています。

また、3ヶ月分を1冊の本として、印刷屋さんで印刷・製本したものを、文具マーケットや通販サイトBASE(https://daisakusen.booth.pm)などで販売しています。

内容は、ブンボーグ大作戦!の放送記録(どんなコーナーでどんな話題がされたかなど)となおちゃんのコラム、他故さんの読み応えのある随筆、二人がテーマに合わせて文房具を選ぶ「たこなおチョイス」などさまざまな内容で、2人で意外と頑張って作っています。

ラジブンをお楽しみの方には読み応えのある本かつ、資料的にも使えると自負しています。イベントでの直接販売時は500円、通信販売等では販売手数料がかかってしまうため少々割高になります。ご了承ください。

プロフィール

【ふじいなおみ】
1979年北海道札幌市生まれ。ラジオパーソナリティ/文房具プレゼンター
ナナコライブリーエフエムで放送中のラジオ番組「他故となおみのブンボーグ大作戦!」のパーソナリティ及び制作・技術を担当。万年筆インク(中でもご当地インク)コレクター。
他故壁氏さんとユニット「たこなお文具情報室」として、文房具の楽しさを伝える活動を行っている。
2015年生まれの娘とともに知育・学童文具を使用しているため、リアルな声を届けられる数少ない存在である。
そして、きだてたくさんと色物文具をひたすら紹介する動画コンテンツ「イロブンの引き出し開けていこう」もYouTubeにて配信中。

【他故となおみのブンボーグ大作戦!】
埼玉県朝霞市のコミュニティFM「ナナコライブリーエフエム」にて放送中の30分間文房具の話題だけをお送りするラジオ番組。
パーソナリティーは他故壁氏&ふじいなおみ。
放送時間は毎週日曜日19:30~20:00/毎週水曜日 11:30~12:00(再放送)
FMラジオ77.5MHz(埼玉県朝霞市・志木市・新座市・和光市とその周辺地域)の他、パソコンやスマートフォンではListenRadioのサービスを利用すると気軽に聴くことができます。

詳しい聴き方は番組Webページへ
https://daisakusen.net/howto/

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