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【連載】月刊ブング・ジャム Vol.93 ブング・ジャムの2024年ベストバイ文具 その3
本サイト編集長の文具王・高畑正幸さん、イロモノ文具コレクター・きだてたくさん、ブンボーグA・他故壁氏さんの3人による文具トークライブユニット「ブング・ジャム」が、気になる最新文房具を独自の視点から切り込んでいく「月刊ブング・ジャム」。今回は、ブング・ジャムのみなさんに2024年ベストバイ文具を紹介してもらいました。
第3回目は、高畑編集長のベストバイ「バイモ11ロング」です。
(写真左からきだてさん、高畑編集長、他故さん)*2024年11月9日撮影
*鼎談は2024年11月26日にリモートで行われました。
プリントアウトした書類はコレで綴じるべし!
――最後に、高畑編集長お願いします。
【高畑】俺さ、これめっちゃ今使ってんの。「バイモ11ロング」。
【他故】これを!?
【きだて】ロングを? なんで?
【高畑】いや、気がつけばすごい使ってるなと思って。
【他故】すごいレア物じゃん(笑)。
【高畑】これ、中綴じ専用ホッチキスなんですよ。
【きだて】そうだね。
【高畑】僕は最近、調べ物とかが多くて、色々やってるんですけど。プリントアウトするときに、プリンタの設定で、冊子印刷っていうのがあるんですよ。A4の紙に表2ページ裏2ページで、プリントアウトを重ねると、冊子になる順番で割り付けて印刷してくれるっていう、そういうやり方があるんですよ。
【きだて】プリンタの設定で面付けしてくれるやつね。
【高畑】そう。それで、Webで拾ってきた論文のPDFとかで読みづらいやつなんかをプリントアウトして、冊子にして読むっていうのをやってるわけですよ。今までは、資料のプリントアウトって、基本的には全部A4だったんですよ。
【きだて】そうだね、A4をページの分だけプリントアウトするのが基本よね。
【高畑】それを穴をあけて綴じるとか、ルーズリーフのゲージパンチみたいなので穴開けてバインダーに入れるとかっていうのをやってたんだけど。僕の場合最近の調べ物は、数十ページの冊子ものっていうのが多くて、それをいちいち綴じるのも面倒っていうのもあるのと、あとは穴開けてファイルに綴じるとファイルがすごいジャマっていうのもある。あと、一つのPDFファイルを1冊の冊子にできるっていうのがメリットなんですよ。
【他故】うん。
【高畑】もちろん、デジタル上で全部読んでもいいんだけど、やっぱり調べ物してるときって、ラインを引いたりとか、書き込みをしたりとか、そういうのがある。あと「どこにあったっけ?」ってわさわさと調べたりするので、これが案外丁度いい。それとA4の冊子って、ファイルに入れないとベロンと斜めになってウニョンってなるじゃない。
【他故】ああ、倒れちゃうね。
【高畑】でも、A5で 2 つ折りにするとさ、このままビシッて立っててくれるんだよね。結構しっかり立っててくれるから、これがすごい都合がいいなと思って。中綴じって、「ホッチクル」みたいな中綴じホッチキスとかもあるんだけど、1回この「バイモ11ロング」を使うと、あまりに楽すぎてもう二度と戻れないぐらいの感じなんですよ。だから、毎回資料とかのプリントは冊子印刷して、これで綴じて半分に折ったら、もう製本が終わりなんだよね。速い。なおかつ、4ページが1枚になるから、印刷コストっていうか紙もあんまりムダにならないし。
【きだて】そうだね。
【高畑】本棚に立てやすくてさ。それで、何回も見るような資料とかだとカンミ堂の「ファイルタブ」をペタッと貼り付ける。そうじゃなくても一旦資料とかで見なきゃいけないやつがときどきあるじゃん。ラジオとかテレビとかの台本みたいなのを送られてきても、一旦このサイズにしておくと移動中に見ながら「何しゃべろうかな」みたいなのをチェックしたりもしやすいので。A4だとやっぱちょっとでかいなって感じなので。 Word の書類とかも、A4でプリントするとちょっと間が伸びるというか、読むだけならもっと小っちゃくてもいいじゃん。ページ数も多くなるとなんか紙がもったいないっていうのもあるし、かさばるから。これだとカバンに入れやすいんだよね。
【きだて】やっぱり、A5サイズはいいよね。
【他故】A5はいいよ。
【きだて】でも、そういう使い方はいいなぁ。プリントアウトの処遇って困るじゃん。外で見る用にプリントアウトして持ち出して、一枚一枚ペラ紙をめくって読むのって、扱いづらいよね。
【他故】分かる分かる。
【高畑】本になってるのって、結構いいよ。同人誌感覚だよね。同人誌と本当に一緒なので、ちょっと外行くときに「この資料を今日読んでおかなきゃ」みたいなやつはこんなのでもいいし。あと、終わった後に本棚に立てて置いとけるんですよ。だから、後でまた参照するときに見れるので。ただ、背表紙のところが全部白くなっちゃうので、大事なやつはテプラでタイトルを印字して背表紙の位置に貼ったりしてる。
【他故】そこまでしてるんだ。
【高畑】年間使うやつはテプラで貼ったりしている。
【きだて】マメだなぁ。
【高畑】日々出てくる書類を半分にするだけで、だいぶコンパクトになるからA5サイズいいよねって思う。
【他故】A5はいいね。
【きだて】それで「バイモ11ロング」というのはなるほどなぁという。何に使うんだろうと思ってたけどな(笑)。
【高畑】「バイモ11ロング」自体が、まあでかくてジャマじゃんっていうのがあって。で、ここに吊す板を自分で作ったのね。
(一同爆笑)
【きだて】それは、そういうことなのか(笑)。
【高畑】レーザーカッターで自作したんだけど、ここに穴をあけて壁のフックに掛けられるようにしてあるので。
【他故】いいな、それ欲しいな(笑)。
【きだて】確かに、「バイモ11ロング」は吊す方がいいな。なるほどな。
【高畑】両面テープで貼ってあるだけなんだけど、これがあるとめっちゃしまいやすくなる。
【きだて】結構しまいづらいじゃん、これ。
【他故】横に長いからね。
【高畑】長いから、置くと床面積はだいぶ取るし、かと言ってこれ立たないしさ。
【他故】そうそう。立てておけないし、ラックにも入らないし。
【高畑】他故さんの好きな、立つタイプでもないので。
【他故】そうなんだよ。
【高畑】これはね、結構邪魔なんですよ。それで、穴をあけて吊るしてある。
――それを商品化して「文具王工作室」で販売したらどうです?
【きだて】「バイモ11ロング」を持っているやつがそんなにいないよ(苦笑)。
【他故】めっちゃレアですよ(笑)。
(※現在このフックは文具王工作室で販売中です)
――これでも1個1万円ぐらいするじゃないですか。
【高畑】する。だけど、中綴じをこのぐらいのペースでしてると、正直真ん中に合わせてホッチキス横にしてやるとかだとちょっと大変だからそれに比べればいいなっていうのと、もちろんこれ「バイモ11」だから 40枚綴じができるんだよね。
【きだて】そうだね。
【高畑】マックス40枚までいけるから、ページ数にすると最大160ページまで行けるよね。だから、まあまあの厚みまで対応できるし。
【きだて】多分ね、コピー本160ページは折れない。
【高畑】でもね、160ページギリギリでも折れなくはない。結構いけるよ。まあ、さすがに折るのが大変なので、もうちょっと枚数少なめにすることが多いけど、100ページぐらいだったら全然余裕です。
――メーカー的には、「30枚まで」とアナウンスしているみたいですね。
【高畑】そうか、枚数多すぎると、折ったときに厚みが出て内側の爪が浅くなるから。でも、 30枚だと120ページまでいけるということだね。
――そういう風に書いてあります。まあ、でもまあギリギリ160ページまでいけるって事ですよね。
【高畑】僕も160ページで留めてるかっていうと、それは滅多にないから。 PDF の書類とか資料とかでダウンロードしたやつって、あっても20~30ページみたいなのが多くて。さっき言ったみたいなラジオ番組とかだと、20ページぐらいの原稿とか来るじゃないですか。そういうのはちゃんと留めておけば全然それで見られるから。A5だと、さらに半分に折るとお尻のポケットとか上着の内ポケットとかにシュッて入るんだよね。
【きだて】そうだね。
【高畑】それだと、その場で読めるじゃん。だけど、A4だとどこかに置いてこないと、「収録中はしまっといてください」みたいになるじゃないですか。そういうのにならないので、これは実に良きですよ。小説みたいなやつはKindleとかデジタルで全然いいなと最近思うんだけど、資料として書き込んだり、抜き書きしたりとかするときは、やっぱり紙の方がいい。
【きだて】全然扱いも楽だし、これはいいな。
【他故】分かる分かる。俺もずっとA4で刷ってたから、すごいいいなと思ってる。
【高畑】あと、ちょっとした読み物とかあったりするじゃん。これホームページの読み物をプリントして読んでるんだけど、本読むみたいに読めるから、すごく読みやすい。
【きだて】我々の世代って、ペラ1の紙をめくっていくよりも、本みたいに表裏があって、ちゃんと面付けされたものの方が読みやすいのよね。
【高畑】2、3ページだったら、左肩を留めておくだけでもいいけど、ちょっとページ数が増えると、カドを留めてあるだけだとすごい読みづらいじゃん。あとカバンの中でクシャッとなりがちなので、保管しづらかったんだよね。これだと、中綴じで全然いけるじゃんみたいな感じなので。
【他故】それいいな、今度試してみよう。
【高畑】この方式だと、メールをプリントアウトするときでも、やっぱ何枚かになるじゃん。4枚までだったら、冊子印刷にして 2 つ折りにすると、1枚の紙をV字に折っただけで4ページまで行けるから。メールに書いてある事って、4枚まではいかないぐらいの感じじゃない。それが1枚ペラの冊子として持てるので。それはホッチキス要らないけど、でもそんな感じで持てるから。俺は最近、冊子印刷がデフォルトみたいな使い方をしてるので。
【他故】へぇ。
【高畑】あと、ノートに貼れるじゃん。この大きさだと、切って貼るのもできるし。だから、V字に折ったやつをそのままノートに挟んでおけるし、すごい使い勝手が良くて。なので、A5の2つ折りはおすすめです。
【他故】うん。
【高畑】もちろん、予算的な話でいけば「ホッチくる」で十分綴じられるんだけど、ただ普段からいっぱい使うんだったらこっちの方がしっかり使える。今「バイモ11フラーメ」という新しいのが出たけど、あれになるちょっと前みたいな状態で。
【他故】そうだね、進化の途中みたいな感じだね。
【高畑】それで、完全なフラットクリンチじゃなくて、ちょっと内側にはまる2段階クリンチみたいになってる(編集部注:先曲げクリンチ)。以前のフラットクリンチに比べたら、指に針の端っこが引っかかるっていうのがなりにくいので、結構安全性も高い。あと針の長さが単純に「ホッチくる」に比べたら長くてしっかりしてるので、こっちの方がしっかり留まるよね。ていうことで毎日のようにこれを使ってると言うと言い過ぎだけど、資料もののプリントがほぼほぼこれを使ってるっていう感じなんで。
【きだて】何で急にそれを思いついたの?
【高畑】でも、今年ずっとそれをやってる感じかな。「バイモ11ロング」が出たのってちょっと前だよね。
【他故】結構前だよ。
――2021年の4月に発売されたみたいです。
【高畑】なんだけど、ガツガツ使い始めたのは去年ぐらいかなからかな。最近特によく使っているので、今年のベストバイかっていうとどうかと思うけど、今年よく使ったというところで。今までブング・ジャムの鼎談でも紹介してなかったし。
【きだて】うちの「バイモ11ロング」、あまりにも持て余し過ぎて、どこに収納したかもう分かんないんだけど(苦笑)。どこに置いたっけかな。
【他故】うちは置き場がないから、文房具が入ってる箱の必ず一番上にポンって置いてあるので、すごい目立つ。
【高畑】それだと、この板を付けてどこかに吊るしとくといいよ。
【他故】そう、どの箱にも入らないから(笑)。
【きだて】本当に持て余すよな(笑)。
――きだてさんは絶対見つけないといけないですね。買い直すわけにいかないでしょ。
【きだて】買い直すのはキツいな。
【高畑】結構な値段するからね。いやでも本当にこれはね、そのやり方にしてからプリントがすごく楽になったので。今年特に使った印象があるものとして、今回はちょっといつもと違うものを紹介してみました。
【きだて】それにしてもアレだね。3人とも今年の新製品ではなかったっていうのは、いいのかね(笑)。
【他故】ははは(笑)。
【高畑】なんだけど。でも、取材のやり方とか生活の仕方が今年変わったみたいな話だったから、これもちょっとそういうところが紹介できたらなというところで。
【他故】よかったです。
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プロフィール
高畑 正幸(たかばたけ まさゆき)
文具のとびら編集長。学生時代に「究極の文房具カタログ」を自費出版。「TVチャンピオン」(テレビ東京系列)の「文房具通選手権」では、3連覇を達成した。サンスター文具に入社し商品企画を担当。現在は同社とプロ契約を結び、個人活動も開始。弊社が運営する文房具のWebマガジン「文具のとびら」の編集長も務めている。著書は『究極の文房具カタログ―マストアイテム編―』(ロコモーションパブリッシング)、『究極の文房具ハック』(河出書房新社)、『そこまでやるか! 文具王高畑正幸の最強アイテム完全批評』(日経BP社)、『文具王 高畑正幸セレクション 一度は訪れたい文具店&イチ押し文具』(監修/玄光社)、『究極の文房具カタログ』(河出書房新社)、『文房具語辞典』(誠文堂新光社)と、翻訳を手がけた絵本『えんぴつとケシゴム』(KADOKAWA)。新著は『人生が確実に幸せになる文房具100』(主婦と生活社)。
https://bungu-o.com/
きだて たく
小学生の時に「学校に持っていっても怒られないおもちゃ」を求めて、遊べる文房具・珍妙なギミックの付いた文房具に行き当たる。以降、とにかく馬鹿馬鹿しいモノばかり探し続けているうちに集まった文房具を「色物文具=イロブン」と称してサイトで公開。世界一のイロブンコレクターとして文房具のダメさ加減をも愛する楽しみ方を布教している。著書に『イロブン 色物文具マニアックス』(ロコモーションパブリッシング)、『愛しの駄文具』(飛鳥新社)など。
色物文具専門サイト【イロブン】http://www.irobun.com/
他故 壁氏(たこ かべうじ)
小学生のころから文房具が好きで、それが高じて文具メーカーに就職。ただし発言は勤務先とは無関係で、個人の見解・感想である。好きなジャンルは書くものと書かれるもの、立つ文房具と薄いペンケース。30分間文房具のことしか語らないトーク番組・775ライブリーFM「他故となおみのブンボーグ大作戦!」パーソナリティ。たこなお文具情報室所属。
「他故となおみのブンボーグ大作戦!」番組ホームページ https://daisakusen.net/
https://buntobi.stores.jp/items/676b8e121008560336e05fac

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