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【連載】他故となおみのブンボーグ大作戦!Bootleg #43 万年筆インクを一歩踏み込んで楽しめる「インクをより楽しむ紙」
30分間、文房具の話題だけをお送りするラジオ番組「他故となおみのブンボーグ大作戦!」のパーソナリティ「なおちゃん」こと、ふじいなおみです。
番組では毎週たくさんの文房具が登場します。その中から、他故さんとなおちゃん2人で選んだ商品をピックアップ。より掘り下げてご紹介していきます。
大丸藤井セントラルで販売した「インクをより楽しむ紙」
今回は、2024年10月6日OA の告知コーナーでご紹介しました、「インクをより楽しむ紙」をご紹介します。
万年筆インクはもう飽和状態!?
あなた、使いきれないほどの万年筆インクを持っていませんか?
私のインク台帳には今までに手にしたインクを日付順に番号をつけて管理しています。この間、850という数字の横にインクの名前を書きました。その先にも書いた記憶があったような……(汗)。そんな私が今さら思うのは、「インクはコレクションするものではない、使ってなんぼだ!」ということです。
年始に立てた目標は「文具を使って楽しむ」でした。なので今年は、万年筆で行うカリグラフィーやインクを使って描いていく水彩画のワークショップに積極的に足を運びました。
全国各地で文具イベントや人が集まって体験をする機会も増えてきて、
『すでにみんなインクをたくさん持っているよね! だから今度は楽しく使おうよ!』
それが今の万年筆インクの動向だと思っています。
私のインクの楽しみ方の1つ
化学を学生時代に専攻していた私にとって、いま夢中になっているインクの胸キュンする楽しみ方がこれです。
「紙によってインクの発色が異なる」
今年に入ってから、インクをコレクションではなく実用品にすべく、色見本のフォーマットを変えたのです。その時にメインに据えたコンセプトは、「紙による発色の違いを記録したい」でした。
万年筆での筆記に適していると言われている紙を16種類集め、プラスの「ハンブンコ」という用紙を簡単に半分の大きさにカットできる商品を使ってA8サイズにして、1枚の台紙に8種類ずつ、1色につき2枚・16種類の筆記台紙を作りました。
インクの塗り方は、文具王が紹介していた「ステンレスの定規を使いインクを塗る」方法を実践しています。ステンレスはインクを吸い込まないので、定規表面についたたっぷりのインクを紙を塗ることができるのです。
そうすると見えてきたことの一つが、「モスグリーンのインクは紙によって緑みが強い時と茶色っぽく発色する時がある」ということでした。
秋田のとみやさんの「バッケ」筆記見本。全部同じインクです。なので色の違いは紙の違いによるものなのです
代表的なのが、秋田のとみやで出しているオリジナルインクの「バッケ(ふきのとう)」と、今は販売していませんが、札幌の大丸藤井セントラルで出したオリジナルインクの復刻版「クローバー」です。
それ以外にも青っぽいインクや色が薄めのインクは単色ではなく部分部分によって見える色が変わる(セーラー万年筆の石丸治さんの言葉をお借りするならば「揺色(ようしょく)」)の場合が多いけれど、揺色になりやすい紙となりづらい紙があるということも以前より見えてきました。
そこで紙の詰め合わせを作りました
化学的根拠はどうであれ(あれ?化学専攻じゃ……)、1つのインクなのに紙によって発色が変わるという現象はとても興味深いと思ったなおちゃんは、自分の色見本でも標準的な発色と位置付けている紙と、発色が楽しい紙の2グループをA5サイズで2枚ずつ詰め合わせにした「インクをより楽しむ紙」を限定28パック作成しました。
SAKAEテクニカルペーパーの「iroful」やこの企画に協賛していただいた神戸派計画の「グラフィーロ」他を【標準的な紙】として、オリオンの画材用紙「こみっくでねぶ」やPen_Saloonの「ヌルリフィル」などを【揺色を楽しむ紙】として全7種類の紙を入れて、入手方法などの説明も書かせていただきました。
また今回は、以前ブンボーグ大作戦!のスポンサーになってくださっていた、用紙の専門店である株式会社相馬さんにもご協力いただきました。ありがとうございました。
「インクをより楽しむ紙」は大丸藤井セントラルで行われたインクマーケットというイベントで発売しましたが、まだ商品の在庫がありますので、今後は文具マーケットの会場にて頒布予定です。
これをきっかけに紙とインクのマリアージュを楽しんでいただけたら嬉しいです。
ブンボーグ大作戦!こぼれ話
ご当地インク研究家と名乗っている私、ふじいなおみが、ご当地インクの元祖を探し、インタビューをしてまとめた本の最終巻が完成しました。
今回完成した「北国の万年筆案内人物語」
ご当地インクが生まれて、今これだけ定着しているのは、インクへの愛を強く持つ3名の力があってこそでした。そのご当地インクが生まれるまでを3冊の本に記録しました。
1冊目は、セーラー万年筆のインクブレンダー、石丸治さん
2冊目は、ナガサワ文具センターでKobe INK物語を手がける竹内直行さん
そして今回完成した最終巻は、大丸藤井セントラルの万年筆案内人、福島一康さん。この3名に1人ずつインタビューをしてまとめた3冊です。
なんと!3冊読むと、万年筆の存在価値が消えかけていた1990年代後半から2000年代前半、今度は趣味の筆記具として再び注目を浴びるようになった2000年代半ばからの出来事がひとつの糸でつながります。
こちらの販売は「他故となおみのブンボーグ大作戦!」のネットショップ(https://daisakusen.booth.pm)で販売中です。インク沼の方や万年筆愛好家の方なら知っていたいお3方の証言をぜひ読んでいただきたいです。
プロフィール
1979年北海道札幌市生まれ。ラジオパーソナリティ/文房具プレゼンター
ナナコライブリーエフエムで放送中のラジオ番組「他故となおみのブンボーグ大作戦!」のパーソナリティ及び制作・技術を担当。万年筆インク(中でもご当地インク)コレクター。
他故壁氏さんとユニット「たこなお文具情報室」として、文房具の楽しさを伝える活動を行っている。
2015年生まれの娘とともに知育・学童文具を使用しているため、リアルな声を届けられる数少ない存在である。
そして、きだてたくさんと色物文具をひたすら紹介する動画コンテンツ「イロブンの引き出し開けていこう」もYouTubeにて配信中。
【他故となおみのブンボーグ大作戦!】
埼玉県朝霞市のコミュニティFM「ナナコライブリーエフエム」にて放送中の30分間文房具の話題だけをお送りするラジオ番組。
パーソナリティーは他故壁氏&ふじいなおみ。
放送時間は毎週日曜日19:30~20:00/毎週水曜日 11:30~12:00(再放送)
FMラジオ77.5MHz(埼玉県朝霞市・志木市・新座市・和光市とその周辺地域)の他、パソコンやスマートフォンではListenRadioのサービスを利用すると気軽に聴くことができます。
詳しい聴き方は番組Webページへ
https://daisakusen.net/howto/
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