1. 連載企画
  2. 【連載】月刊ブング・ジャム Vol.90 読書や勉強で使いたい便利文具 その1

【連載】月刊ブング・ジャム Vol.90 読書や勉強で使いたい便利文具 その1

文具のとびら編集部

本サイト編集長の文具王・高畑正幸さん、イロモノ文具コレクター・きだてたくさん、ブンボーグA・他故壁氏さんの3人による文具トークライブユニット「ブング・ジャム」が、気になる最新文房具を独自の視点から切り込んでいく「月刊ブング・ジャム」。今回は、“読書の秋”“勉強の秋”に向けて使いたい文房具を取り上げました。

第1回目は、サンスター文具の「ウカンムリクリップ」です。

(写真左からきだてさん、高畑編集長、他故さん)*2024年8月17日撮影
*鼎談は2024年8月20日にリモートで行われました。

見たいページを開いたまましっかりキープ

ウカンムリクリップ.jpg「ウカンムリクリップ」(サンスター文具) 「ウカンムリ」の形が特徴のブックストッパー。クリップ2点で本の背表紙を避けて留めることができるので、本の内容も見やすく、厚めの教科書や参考書なども開いたまましっかり固定できる。本の中央部分を挟まないため、ページの開き癖もつきにくい。税込660円。
関連記事

――これが9月末の掲載になるので、その頃には暑さは多少は和らいでいるんじゃないかと思ってテーマを決めました。

【高畑】今年は本当ひどいからね。

――読書するにはよい気候にちょっとでもなってくれることを願って、読書まわりのものを今回は取り上げたいと思います。まずは「ウカンムリクリップ」です。

【高畑】何か、このクリップは、なんかやたらバズったね。これはネーミングが良かったんですかね。

【他故】それもそうだね。

【きだて】形状とネーミングだね。見ただけで「なるほど!」ってなる。

【高畑】これを「ウカンムリ」と呼んだところが、まず何よりもすごいなっていう気がする。手帳とかノートとか本をSNSにアップするのにもちょうどいいし、かたちも面白かったけど、いろんな意味で映えるというか、名前も面白かったし、キャッチーだったなっていう感じはすごいする。

【きだて】名前によって、装着する場所が簡単にイメージできるんだよね。

【高畑】ああ確かに、ウカンムリは上だからね。

【きだて】本の上に着けてウカンムリにすればいいんだなっていう、この辺のネーミングの妙はあったよね。

【他故】なるほどね。

【高畑】読書関係のアイテムが最近特に、このクリップを含め急に増えたなという感じはするんだよね。

【きだて】うん。

【高畑】この「ウカンムリクリップ」が出るまで、僕はずっとトモエそろばんのおもりの付いているブックストッパーをずっと使ってたんだけど。

【他故】うん、あるね。

【高畑】あとは書見台的なものとか、商品的にはその2択みたいな時代が長かったんだけど。急になんか読書用のツールが便利になった感じがすごいしていて。

【きだて】これが人気になったのって、読書というよりは勉強まわりだよね。

【高畑】そうだね、勉強まわりだね。

【きだて】我々が勉強してた時代よりも、今の中高生の人らの方が、机の上に開いておかないといけない資料が増えてるじゃない。

【高畑】開いておかなきゃいけない資料が増えてるって、何があるんだろう?

【きだて】資料集の活用率がすごい高いという話は聞いたよ。各種の授業において。

【高畑】ああ、そうなんだ。

【きだて】教科書と資料集とノートっていうのを机の上に開いとかなきゃいけないんだけど、手がいくつもあるわけじゃないから、結局のところ開いておけないものが出るので、それをするためにこういうクリップが必要だったんだろうね。

【他故】ああ、そういうことね。

【高畑】だから、読書まわりっていう文脈ではなくて、どっちかっていうと学生の勉強用だよね。勉強用ツールがすごい増えてるのか。

【他故】うん、学習用だよね。

【きだて】だって、読書用ってこんな開きっぱなしにしないじゃん。

【高畑】確かに。俺もめっちゃ使ってるけど、何に使ってるって、大体資料広げてスライド作っているときだよね。

【きだて】でしょ。

【他故】そうだよね。そのページを固定するわけだからね。

【高畑】読書っていうのは、もしかしたらちょっと違うのかもね。これに関していうと、参考資料とか、あとはレシピだったり楽譜だったりみたいな参照するものとかで、読むというよりは広げておくという感じだね。

【きだて】そういう印象は強いんだけど。

――プレスリリースにも、「厚めの教科書、参考書などを開いたまましっかり固定できる」と書いてあるので、用途としてはそっちの方が主かなという感じがしますね。

2.jpg

【他故】まあ、そうでしょうね。

【高畑】上手く作ったなという感じはするね。真ん中を抜くっていうのがさ。以前だと、参考書を開くときは、プラスチック製の大きなクリップとかで上から全部挟んじゃうみたいなのは、あったはあったんだよね。

【きだて】目玉クリップのでかいのとかを使ってたよね。

【他故】あったあった。

【高畑】目玉クリップとか、プラスチック製で「ウカンムリクリップ」と同じくらいの幅のある結構でかく開くクリップでガッて留めるみたいなのは確かにあったんだけど。でも、「本の背中の部分がじゃまだから真ん中抜きました」っていうのが本当にすごいなと思うんだよね。「そこを外せばよかったのか」っていうのは、すごい良い発明だなという気がする。

【きだて】気付きそうだけど、意外とみんなやってなかったんだなっていう。いざ実際に製品化されてみると「あれ、こんなの無かったんだっけか?」って(笑)。

【他故】気が付いたのすごいよな。

【高畑】持ち運びを考えたときに軽いっていうのがね。これまで僕は、ガッツリ重たいものばかり使ってたんですよ。

【きだて】オモリで固定するタイプね。

【高畑】重たい文鎮的なものを乗せるとか、クリップにおもりが付いてるとか、とにかく重さで解決してきてたんだけど。持ってみると非常に軽いっていうのが、特に学生が使うと考えたら、学校で使うのもそうだし、図書館なり自習室なり塾なりで使うみたいなときにでも、この軽さはすごい。読書系で他のものもちょっと出てはいるけども、その中でいくと圧倒的にこれだけ軽いんだよね。それも良いところだよね。

【他故】そうだね。

【きだて】携帯するということに関して言うと、女の子なんかは割とヘアクリップでこれよりちょっと小さめのやつを普通に持ち歩いているわけじゃん。そういう感じで違和感ないのかもね。持ち運んだり使ったりするのに。

【他故】ヘアクリップと相似形だから、確かにそうかもしれないね。

【高畑】これを作った女性の企画担当者自身がこれを作る元になったのはヘアクリップだって言っているからね。

【きだて】ああ、やっぱりそうだよね。納得だわ。

【高畑】ヘアクリップを改造して、「こんな形にしたらいい」って言って試作品を作ったところからこれになったらしい。確かに、ヘアクリップの形がそのまま残っているね。

【きだて】だって、「ウカンムリクリップ」の但し書きみたいなところに書いてある開けやすい工夫っていうのが、「全部それってヘアクリップでやってるやつやん」ってなるもんね(笑)。

【高畑】まあそうだよね。元々開けやすいクリップだったから。

【きだて】上手いこと本歌取りしたなっていう感じ。

【高畑】ヘアクリップの、あのギザギザの歯みたいな部分。あれを外して真ん中を削るみたいな感じだから、ほぼ形は一緒なんだけど。でも、ヘアクリップからこれを発想しないよね。だから、よくここへ持ってきたなっていう感じはする。社会科とか国語とかの教科書って結構分厚いじゃない。そういうのがちゃんと開くのかをやってみたら、思った以上にちゃんと留まっていてくれるっていうのが新鮮というか、すごいなっていう感じ。

【きだて】これで十分だったんだなっていうのはあるよね。

【高畑】持ち運びもできるし、コンパクトだし。また、このキャッチーなネーミングでさ。

【他故】そうだね。

【高畑】限定色では透明色も出てるんだけど、定番カラーの中だと圧倒的に透明が人気。やっぱり、挟んでるところが透明の方がいいよね。

img_359384_7.jpg

【他故】俺はmitteの透明のやつを使ってる。

【高畑】それ限定品みたいだね。透明だと見た目もいいし、非常に読みやすくて良いですね。

【他故】これはいいです。

【きだて】ページの上の方に章題とか入ってることもあるけど、あれが隠れる心配もなくてね。

img_359384_5.jpg

【高畑】そう、そこはいいよね。

【きだて】うーん、それにしてもアレだな。道具としてすごいシンプルだから、褒める箇所が限定されるな(笑)。

【他故】そのまんまだからね。

【高畑】まあ確かにそのまんまではあるけど、使ってみてすごい便利な上にこんなキャッチーな出方をしてきたので、他の「言われてみれば便利」みたいなところをちょっと超えた面白さがあったのが、インパクトは大きいなっていう気がする。

【他故】分かる分かる。

【高畑】これって「文房具総選挙」の大賞だっけ?(こちらの記事を参照)

――そうですね。

【高畑】そういうのを取ってたりするし、そこら辺が今っぽい感じはすごいするな。

【他故】普段俺は上を留めて本を読んでるんだけど、読み終わったり途中になったときに横を留めるのね。

【高畑】ああ、そうそう。

【他故】それだと、しおりが要らなくてすごい便利だよ。

――他故さんは普通に読書に使ってるんですか?

【他故】会社に1個と家に1個で、家のは読書にしか使わないし、会社のは仕事の資料用って感じですね。

【他故】じゃあ、ページめくるのはどうしてんの?

【他故】会社の場合が開きっぱなしにしているパターンのときしか使わないのでずっと開いたままだし、俺の読書って実は布団の中でうつ伏せになって読むんですよ。寝る時に。で眠くなったら、そのまま閉じて寝るっていうのをやってるんです。すごい簡単に言うと、一切手を触れずに本を読んでる。

【きだて】あーはいはい。

【他故】枕に頭をくっつけて、手は後ろの状態で顔だけ出して本を読んでるから、押さえてないんですよ。

【高畑】それは、めくるときだけ手を出しているの?

【他故】そう。めくるときだけ「ウカンムリクリップ」をひょいって抜いて、めくったら着けて、眠くなったらそのままパタンと閉じて寝るっていう。

【きだて】特殊姿勢だな(笑)。

【他故】プランクみたいな姿勢が大嫌いで、あれがすごい苦手なのよ。だから、腕は体重がかからないように逃がしちゃうという、他の人とは違う読書の仕方をしているので、「ウカンムリクリップ」はとても便利です。

【高畑】むしろ、首が辛そうな気がしなくもないけど。

【他故】枕に乗っけちゃってるから。

【きだて】そういう使い方なら、「うん、そういうときは『ウカンムリクリップ』使いなよ」って答えになるわね(笑)。

【他故】全員がそうだとは言いません。でも、そういう人もいるから、これはすごく便利という話。

【高畑】何せ、重たくないのが良いよね。本にくっつけたままでも持っていけるっていうのもあるし。

【他故】そうそう。

【高畑】本当にそれはいいなと思うし。僕は、どっちかっていうと、調べ物が最近はすごく多いので、調べ物の資料に挟んで開いておいて、それを見ながらなんかやるみたいな感じ。重たくないっていうのは結構メリットがあって、机の上に置いてあるやつを挟んだまんまの状態でちょっと横にどけておいて違う資料を開いてとかはできるので、それがすごい良いなっていう感じかな。

【きだて】俺は「オモクリップ」派なんだけど、「オモクリップ」は着けた状態で多少はページめくれるんだよね。重りを着けて開いた状態なので、着け直さなくてもそこから何ページかは進んでいけるんだよ。

【高畑】それは両側に着けてて?

【きだて】いや、両側じゃなくて片側だけ。要はバランスを見て。

【高畑】ああ、軽い方に着けてという話か。

【きだて】何ページか読み進めながら何かチェックすることが多いので、使うとしたらそういう使い方なんだけど。「ウカンムリクリップ」は、いちいち閉じ直さなきゃいけないっていう面倒くささが勝って使ってない(苦笑)。

――「オモクリップ」は読書用なんですか?

【きだて】読書といっても、資料をチェックする用なので。読書は、俺は完全に手に持ってするので。

【高畑】普通の本はそうだね。文字をどんどん読んでいくときはそんな感じの読み方だから。だけど、最近は自分は調べ物が本当に多いので、使い分けをするね。この後に出てくるコクヨのやつもそうだし、「オモクリップ」もそうなんだけど、どっちが都合がいい時っていうのがそれぞれにあるので、とりあえず全部机の横に置いてあって。ただ、持ち出しはないね。やっぱり、「ウカンムリクリップ」ぐらいしか持とうとは思わないね。

【きだて】そりゃ、重いのは嫌だな。

【高畑】カバンに入れていくとなると、「ウカンムリクリップ」一択になっちゃうのかなという感じはする。自宅の机の上で勉強するんだったら、どの選択肢もそれぞれに良さがあるんだけど、学生さんが特にカバンに入れていくとかだったら、それこそカバンにくっつけていくぐらいの感じで持っていけるので。元々クリップなので、カバンとかペンケースとか何でもくっつくので、そこは楽でいいな。

【他故】はさんでおけるからね。

【高畑】まあでも、選択肢が急に増えて俺は嬉しいよ。

【他故】本当そうだね。

――「ウカンムリクリップ」は発売して1年以上になりますけど、未だに品薄なんですよね。

【高畑】未だに品薄みたいですね。

【きだて】そんなに売れてるんだ。

【他故】すごいなぁ。

【高畑】読書まわりっていうか、資料まわりっていうのかな、学習用タイマーとかもそうだし、暗記ツールもそうだし、工夫のある学童物みたいなのがなんかまた盛り上がってきているよね。

【他故】ちょっと目立ってるよね。

【きだて】今の学生さんは本当にうらやましいよ。

【高畑】そう。だから、学童っていうよりも本当に中高まで使えるやつ。その辺の学習用ツールがここで急に充実した感があって。

【きだて】「こういう風に使うと効率的ですよ」っていう、勉強のやり方込みのインストールがされているので、それがすごく良いんだ。

【高畑】僕らが学生の頃はさ、クリップもでかい目玉クリップだったし、タイマーはキッチンタイマーだったしみたいな、そういう感じの代用だったのが、専用ツールとして作られているだけあって、やっぱり便利なんだよね。

【他故】そうだね。専用があるのはうらやましい。

【きだて】目玉クリップをそう使うとか、キッチンタイマーを使えば勉強の時間が計れるよっていうのも、教えてもらわなきゃ分かんないじゃん。

【高畑】まあ、そうね。

【きだて】もしくは、頭のいいやつが自分の工夫で見つけ出すという二択しかないので。俺のようなボンクラ学生だった人間は、ちゃんと「これをこう使えばいいんだよ」って教えてくれるのが何よりありがたい。

【他故】そうね。

【高畑】それは、使い方のSNSも含めて、今はよくできてるなって気がするときがあるよね。なるほどって思う時は結構ある。

【きだて】この環境さえあれば、俺ももうちょっと勉強できたかなって思うよ。多分やってないんだけど(笑)。

【高畑】今、学生に戻りたいか?

【きだて】う~ん、それはそれでなぁ。

【高畑】それもしんどいなとは思うけどね。いやでも、学生の時にあったら、絶対盛り上がっていたなとは思う。

【他故】それはそうだね。

【高畑】俺らの時は、ここまで親切ではなかったけど、やっぱり新しい文房具が出たときに、文房具屋さんに行って「うわすげえ、新しいのが出た」とか思ってたから。今の道具はちょっとね、昔の俺に見せたら絶対そう思う。

【きだて】そういうのにハマって、今文具王になっていたりとか、他故さんも色々と文房具を見るのが好きでこうなっているわけだから。

【他故】まあ、そうだね。

【きだて】学生がこれだけの環境で暮らしていたら、多分より多くの人間が文具好きになって成長するような気がするよね。

【高畑】そういうものを使うっていうのは、当たり前のようにはなってくるっていうのはあるかもね。

【きだて】それだけ常用すれば興味も増えるしさ。みんなもうちょっと文具好きになっていってほしいな。

【他故】そういうところも増えてほしいね。

【きだて】俺ら稼ぎのために(笑)。

【高畑】少子化、少子化とか言われている中で、学生向けの商品をこれだけちゃんと作ってきてるっていうのは、なかなか日本の層の厚さの面白いとこだなと思うんだよね。サンスター文具とかソニックとかクツワとかが、そういう工夫文房具をどんどん出していっているところはすごいなと思うけどね。

【他故】うん。

【高畑】それで結果的に、俺らが便利じゃない?

【他故】まあ、間違いないよ。

【高畑】めっちゃ便利だけどね。最近の学習文具って、今の俺用に便利って思う。昔はね、大人のメソッドを子どもに落とすっていうのがすごいあったじゃないですか。それが学生から逆輸入されてる感じがちょっとするんだよね。

【きだて】そうだね。

【高畑】学生向けに作られた商品が、案外大人に便利だったりして。勉強タイマーってさ、普通に仕事で便利じゃない?

【きだて】実際、仕事用として快適に使ってるしね。

【高畑】本を広げておくアイテムも、学生が勉強に便利って言ってるけどさ、俺の仕事にすごい便利だから。学生の勉強の仕方に、もう一回大人が学ぶというか、そんな感じもちょっとあったりして。逆輸入的に戻ってきているというのもあるな。

【他故】むしろ、大人用だったらこんなにバリエーション出ないよ。

【高畑】そんな気がするね。

【きだて】色とかはそうだものね。

【高畑】大人用で「資料を広るのに便利です」っていうと、やっぱり狭そうな感じがするじゃん。「そういう人たちがどのぐらいいるの?」っていったら、シェアがちっちゃそうに見える。でも、学生用だから商品が分かりやすいというか、商品の目的はすごく分かりやすいから、そう言われると大人が使うにしても「こうやって使えばいいんだな」っていうのがすごい良く分かる。逆に、「勉強するのが日常の中でメインの仕事ですよ」みたいな人たちに向けて作ったからこそブレないというか、商品の立ち位置がめっちゃはっきりしてるから、それが何か分かりやすいのかな。

【きだて】ちょっと個人的に言うと、ちょっと前は、狭い机の面積をどう使うかみたいな流れだったじゃない。

【高畑】ああそうね、あったあった。

【きだて】これって、面積の削減には繋がらないわけじゃない。

【高畑】削減にはならないね。

【きだて】だから、これはまだちょっと途中のものなのかなと。このジャンルとして。だから、もうちょっとコンパクトに持ち運べる書見台とか、そういう方向に今後は進化するのかなという気はしているけどね。

【高畑】なるほどね。まだなんかできそうな感じか。

【きだて】多分だけど、今の文具メーカーなら、資料を野放図に広げたままにはさせないんじゃないかな。

【他故】さらにその先を(笑)。

【きだて】広げて、かつ省スペース化を考えると、立てる方向には行くでしょ。だから、より簡単でコンパクトに本を立てるメソッドを考えてるんじゃないか。

【高畑】立てるってことね。

【きだて】「ウカンムリクリップ」で広げておけるものって、書見台で立てた方がより便利じゃん。

【高畑】実は、「ウカンムリクリップ」って立てても置けるんだけどね。引っくり返して下から支えると、挟んだ状態で立てられるんだよね。

【きだて】そうそう。

【高畑】そういうのもできるはできるけど、ちょっと倒すとパタンっていくからね。

【きだて】90°に立つのは見にくいじゃん。

【高畑】もうちょっとこれを斜めにしてとか。そういうのでいろんな多可能性はあるよね。【きだて】これに関しては、ちょっとそっちの方を待ちたいなという感じ。

【高畑】きだてさん的には、まだできるはずだぞっていう。

【きだて】それぐらいできないはずがないだろう、日本の文房具メーカーが。

――書見台を出してるメーカーが、何か考えているかもしれないですよね。

【高畑】書見台ってね、俺的にはかさばるのもそうだし、ちょっと大げさだなっていうのもあって。むしろタブレット立てとかだと非常によく分かるんだけど。本を書見台に立てておくかというと、ちょっと腹に落ちないところがあるので、そういう意味でいくと何かできそうな気がするね。

【きだて】L字フレームの写真立てとか、あんな感じのコンパクトにたためるタイプのものがあるわけじゃん。

【高畑】まあ、色々あるとは思うね。ノートパソコン立てるやつだって、コンパクトになったりするもんね。

【他故】まあ、そうだね。

【きだて】それを楽しみに待ってます。

【高畑】まだいけるか。

【きだて】まだいける。メーカーは、こんなに寝かせっぱなしにしとくんじゃないよ。

【高畑】あおってきましたね(笑)。でも、急に増えてきたってことは、これからまだありそうじゃない。

【きだて】そうだね。ジャンルとして絶対あるわけじゃん。

【他故】そうね。

【高畑】なので、この新ジャンルとしての本まわりツールは、まだまだいってもいいよね。

――きだてさんの予言が当たるかどうか、乞うご期待という感じですかね。

【きだて】それは当たるでしょ。

――期待して待ってましょう。

*次回は「本に寄り添う文鎮」です。

関連記事

プロフィール

高畑 正幸(たかばたけ まさゆき)
文具のとびら編集長。学生時代に「究極の文房具カタログ」を自費出版。「TVチャンピオン」(テレビ東京系列)の「文房具通選手権」では、3連覇を達成した。サンスター文具に入社し商品企画を担当。現在は同社とプロ契約を結び、個人活動も開始。弊社が運営する文房具のWebマガジン「文具のとびら」の編集長も務めている。著書は『究極の文房具カタログ―マストアイテム編―』(ロコモーションパブリッシング)、『究極の文房具ハック』(河出書房新社)、『そこまでやるか! 文具王高畑正幸の最強アイテム完全批評』(日経BP社)、『文具王 高畑正幸セレクション 一度は訪れたい文具店&イチ押し文具』(監修/玄光社)、『究極の文房具カタログ』(河出書房新社)、『文房具語辞典』(誠文堂新光社)と、翻訳を手がけた絵本『えんぴつとケシゴム』(KADOKAWA)。新著は『人生が確実に幸せになる文房具100』(主婦と生活社)。
https://bungu-o.com/


きだて たく

小学生の時に「学校に持っていっても怒られないおもちゃ」を求めて、遊べる文房具・珍妙なギミックの付いた文房具に行き当たる。以降、とにかく馬鹿馬鹿しいモノばかり探し続けているうちに集まった文房具を「色物文具=イロブン」と称してサイトで公開。世界一のイロブンコレクターとして文房具のダメさ加減をも愛する楽しみ方を布教している。著書に『イロブン 色物文具マニアックス』(ロコモーションパブリッシング)、『愛しの駄文具』(飛鳥新社)など。
色物文具専門サイト【イロブン】http://www.irobun.com/

他故 壁氏(たこ かべうじ)
小学生のころから文房具が好きで、それが高じて文具メーカーに就職。ただし発言は勤務先とは無関係で、個人の見解・感想である。好きなジャンルは書くものと書かれるもの、立つ文房具と薄いペンケース。30分間文房具のことしか語らないトーク番組・775ライブリーFM「他故となおみのブンボーグ大作戦!」パーソナリティ。たこなお文具情報室所属。
「他故となおみのブンボーグ大作戦!」番組ホームページ https://daisakusen.net/

「ブング・ジャムの文具放談・完全収録版~2023年Bun2大賞を斬る!~」の電子書籍を文具のとびら商店で販売
https://buntobi.stores.jp/items/658902aa956c0c002c619427

【文具のとびら】が気に入ったらいいね!しよう