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【連載】他故となおみのブンボーグ大作戦!Bootleg  #41 「書きたい」を叶えるガラスペン

文具のとびら編集部

30分間、文房具の話題だけをお送りするラジオ番組「他故となおみのブンボーグ大作戦!」のパーソナリティ「なおちゃん」こと、ふじいなおみです。

番組では毎週たくさんの文房具が登場します。その中から、他故さんとなおちゃん2人で選んだ商品をピックアップ。より掘り下げてご紹介していきます。

今回は、2024年8月11日OA の「オープニング」でご紹介しました、静岡の文具店Penne19が販売している「指だけでかけるガラスペン」です。

書くって楽しい

photo0.jpg文具マーケットにて、印刷屋さんで製本したものを数量限定で販売しています


ブンボーグ大作戦!では毎月最後の日曜日にホームページにてZINE(https://daisakusen.net/zine/)をUPしています。PDF形式でのご提供でダウンロード後にご自身で印刷していただき、すべてのページを半分に折って開いている側をホッチキス留めしていただくと、小学校の時に作った「宿泊研修のしおり」のようになる懐かしい作りのZINEです(イベント「文具マーケット」では3ヶ月ずつ印刷したものを販売中)。

そこでは、他故さん・なおちゃんそれぞれの文章を読めるのですが、2024年8月号の他故さんの随筆「文房具57歳」の中では書くことが自分にとって大切な行為であるということが書かれていました。

私自身も歳を重ねるごとに手書きの楽しさを噛み締めることが増えています。娘の習い事に付き添いで待っているくらいならとペン習字を昨年4月から一緒に習っています。最近ようやく漢字のセクションに入りました。見本をよくみて解説を頭の中に叩き込んで集中して書く。上手く書けた時にはやはり嬉しいものです。

指にペンをつけて書く筆記具

静岡にある文具店Penne19のXでのポストで「指だけで書けるガラスペン」の存在を知りました。まず名前を見た時に「こども文房具2022」で他故さんが挙げていた墨運堂の「ポップコーンゆび筆」を想像しました。

photo1.jpg左「指だけで書けるガラスペン」/右「ポップコーンゆび筆」


黄色のプラスチックでできているスペースに指を入れると、プラスチックが持つしなやかさで指をホールドしてくれて文字などが書けるという筆です。

でもガラスには指をホールドするだけのしなやかさはなく、人差し指1本でどうして書けるのか不思議でした。「まずは体験をしてみよう」。早速ネットショップから「指だけで書けるガラスペン」のミドルサイズの中字を注文しました。

photo2.jpg指だけでかけるガラスペン(ミドルサイズ・中字)

商品はセミオーダー品(受注品でキャンセルは基本的に不可)です。また納期も10〜20日とじっくり待つ必要があります。サイズは「ショートサイズ」と「ミドルサイズ」の2種類。ネットショップの注文画面(https://penne19.base.shop/items/87505690)にそれぞれの特長が書かれていますので、ご購入の際にご確認ください。字幅は中字が基本となり、オプション(+550円)で細字と太字もオーダーすることが可能です。
筆記する角度は、説明書によると45度よりも小さい角度がベストなようです。

まずは装着

商品が届いて、まずは試しに使ってみることにしました。
ネットショップでは指サックをはめた上で指をガラスペンに差し込むことを推奨しています。
なぜなら


指サックをつけていない場合

photo3.jpgそのまま指を入れるだけではホールドできませんでした。


指サックをつけた場合

photo4.jpgはにさっくがしっかりホールドしてくれています(はにさっく以外の指サックでもOKです)


これだけ安定性が違うからです。
輪ゴムもガラスペンを支えるために大切な道具です。ショートサイズは2本、ミドルサイズは1本を指に絡めて指サックをつけた指をガラスペンの下部に差し込んで書く準備が整います。指へのガラスペンの付け方はこちら(https://x.com/Penne191/status/1802652134284083665)の動画でも説明されています。

次に試筆

photo5.jpgこれは他故さんが試した時の写真ですが、自然と他の指が出てしまいます。


書き始めると思わず親指と中指で人差し指につけたガラスペンを支えたくなります。もちろん支えて書けば安定した文字(それでも普段の文字とは少し違いますが)を書くことができますが、それではこのペンの本来の目的とは離れてしまいます。

なので、私が改めて人差し指1本で書いてみました。それがこちらです。

photo6.jpg人差し指一本で筆記中


photo7.jpg左「指だけで書けるガラスペン」/右「真鍮のつけペン」|筆記用紙はジデイク「透明メモ便箋」


比較対象に真鍮のつけペンで書いた文字の写真も並べて撮影しました。
不慣れなせいでしょう、Penne19のネットショップで公開されているような美しい筆運びにはなかなかなりません。ただ、私の購入したミドルサイズはより寝かせて書くと書きやすいということで、かなり寝かせて書いたところ文字のふらつきは抑えられました。

作られた経緯

Penne19さんにこのガラスペンを作った経緯について伺いました。
きっかけはお客様からの言葉だったそうです。

「昔は書くことが好きでしたが今は手が不自由になってしまいました。力が入らず、震えてしまうので書きたいけれど書けないのです」

これが忘れられずに「自然体の指だけで書けたらどうだろうか」とガラス工房である工芸装置さんに相談し、たくさんの方の意見を取り入れながら半年の期間をかけて作り上げたのだそうです。Penne19代表の内海さんご自身も指関節に病気の症状があることも、このガラスペンを制作するきっかけの一つになっています。

ここには、「自由に書くことができない方に使用していただいて、書くことの楽しさを再び感じてもらえたら」という気持ちが込められていました。

書きたい気持ちを受け止めるためのガラスペン

娘が小さい頃を思い出すと、鉛筆の持ち方に不慣れで彼女にしか読めない文字らしきものや、鏡文字になっているひらがなをたくさん書いていたことを思い出します。私自身もペン習字を習い始め、文字の特徴や線の長短など改めて覚え直すたびに文字を一つ一つ新たに学んでいく感覚があります。どちらの場合も繰り返し練習をするほど文字はきれいに整っていくことでしょう。

「文字を書きたい」と思った時、練習を重ねる忍耐力と筆記をするための道具が必要です。今回ご紹介した「指だけで書けるガラスペン」は、手に障がいが出てしまって筆記が難しくなった方の「書きたい!」という気持ちを受け止めるための道具なのだと感じました。そして「書きたいから練習をする。し続ける」という忍耐力により理想の文字を書けるようになるかもしれません。

「あなたの書きたい気持ちを受け止めるためのガラスペン」はここにあります。あとは「書きたい」という気持ち次第で、再び文字を書く楽しさを得られるのではないでしょうか?

今回はこのガラスペンを作るきっかけになったお客様と同じような方が、この商品で「書きたい」気持ちが叶えられたらいいなと思いこの商品を紹介しました。

ブンボーグ大作戦!こぼれ話

先月もご案内いたしましたが、今年4月に開催した、自分の好きな文房具をプレゼンしあう"あの"企画が帰ってきます。

「他故となおみの推し文房具の会」第2回の開催決定です!

会場:「CHIENOWA BASE」2階会議室
「CHIENOWA BASE」は東武東上線朝霞駅南口から歩いて5分ほどのところにある、地元に密着した本と文具のお店です。
日時:2024年9月15日(日)
時間:午前の部(推し文具テーマ固定) 10:30〜12:30
 https://chienowa-bs.com/event/1152
 →テーマを設けました。
 他故チーム:筆記具(定員8名)
 なおチーム:インク(定員8名)
 午後の部(テーマなし) 14:00〜16:30
 https://chienowa-bs.com/event/1155
 →テーマの指定はありません。(定員12名/最少催行人数8名)
 (もちろん、「筆記具」「インク」を推してもOK)
備考:午前&午後続けてのご参加も可能です
参加費:500円(当日1階のレジでお支払いください/たこなお文具情報室からのプレゼント付き)
午前・午後両方の参加もOKです。その場合の参加費は2回分の1,000円です。
申し込み:「CHIENOWA BASE」ホームページ(https://chienowa-bs.com)、もしくは店頭にて受付をしています。

前回2グループに分けたため「もう一つのグループのお話が聞けずに残念だった」という声がたくさん上がりましたので、午後の部はグループ分けせずに開催します。当日は、お好きな(ご紹介をする)文具をお持ちください。

これは、他故さん&なおちゃんの話を聞く会ではなく、あなたの文房具が好きな気持ちを思い切り伝える会です。前回の経験を活かして、より良い会を作れるように少しずつブラッシュアップしていきます!ぜひみなさん、ご参加ください!

プロフィール

【ふじいなおみ】
1979年北海道札幌市生まれ。ラジオパーソナリティ/文房具プレゼンター
ナナコライブリーエフエムで放送中のラジオ番組「他故となおみのブンボーグ大作戦!」のパーソナリティ及び制作・技術を担当。万年筆インク(中でもご当地インク)コレクター。
他故壁氏さんとユニット「たこなお文具情報室」として、文房具の楽しさを伝える活動を行っている。
2015年生まれの娘とともに知育・学童文具を使用しているため、リアルな声を届けられる数少ない存在である。
そして、きだてたくさんと色物文具をひたすら紹介する動画コンテンツ「イロブンの引き出し開けていこう」もYouTubeにて配信中。

【他故となおみのブンボーグ大作戦!】
埼玉県朝霞市のコミュニティFM「ナナコライブリーエフエム」にて放送中の30分間文房具の話題だけをお送りするラジオ番組。
パーソナリティーは他故壁氏&ふじいなおみ。
放送時間は毎週日曜日19:30~20:00/毎週水曜日 11:30~12:00(再放送)
FMラジオ77.5MHz(埼玉県朝霞市・志木市・新座市・和光市とその周辺地域)の他、パソコンやスマートフォンではListenRadioのサービスを利用すると気軽に聴くことができます。

詳しい聴き方は番組Webページへ
https://daisakusen.net/howto/

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