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【連載】他故となおみのブンボーグ大作戦!Bootleg #40 グラデーションを自由に操る魔法のインク「マイルドライナーのもと」
30分間、文房具の話題だけをお送りするラジオ番組「他故となおみのブンボーグ大作戦!」のパーソナリティ「なおちゃん」こと、ふじいなおみです。
番組では毎週たくさんの文房具が登場します。その中から、他故さんとなおちゃん2人で選んだ商品をピックアップ。より掘り下げてご紹介していきます。
今回は、2024年7月7日OA の「オープニング」でご紹介しました、ゼブラの「マイルドライナーのもと」を掘りさげていきます。
半年待ってたよ!
2023年12月に横浜で開催された「文具女子博2023」で先行販売された「マイルドライナーのもと」。マイルドライナーで使われているインクを容器に詰めたものです。ゼブラのマイルドライナーやマイルドライナーブラッシュのペン先に、瓶に入った「マイルドライナーのもと」適量をつけて文字を書いていくと、初めは「マイルドライナーのもと」の色、徐々に元々のペンの色というグラデーションの筆記が楽しめるという商品です。
マイルドライナー(上)とマイルドライナーブラッシュ(下)
先行販売から半年。待ちに待った通常販売も始まり、店舗でも販売什器をよく見かけるようになりました。
キラキラしたパッケージのコンプリートセットは気持ちが上がります
「ご当地インク研究家」という肩書きで発信している私ですが、同じくらい「カラフル」「グラデーション」が大好きなんです。今回実際にすべての組み合わせの「マイルドライナーのもと」グラデーション色見本(306種類!)を作った私に、想いを語らせてください。
306通りのグラデーション
現在、マイルドライナーは35色、マイルドライナーブラッシュは25色販売されています。
瓶もコロンとしていてかわいい。かわいいは正義!
そして、マイルドライナーのもとは「マイルドダークブルー」「マイルドブルー」「マイルドグリーン」「マイルドゴールド」「マイルドレモンイエロー」「マイルドベビーピンク」「マイルドコーラルピンク」「マイルドラベンダー」「マイルドブラウン」の合計9色です。
マイルドライナーとマイルドライナーブラッシュ、マイルドライナーのもとの同じ色名のものは同じインクが使われているので、組み合わせとしては35色(すべての色の種類)×9種類-9(ペンともとが同色の場合が9回ある)で計算すると全部で306種類のグラデーションが作れることになります。
左上がマイルドライナーそのものの色です。全組み合わせを塗りました。
ちなみに、私は同じ色の組み合わせも見本として残したので、315種類の組み合わせを見本に残してあります。
マイルドライナーのもとの使い方
大きく2種類あります。「ガラスペンマイルド」と「ちょい足しマイルド」です。
「ガラスペンマイルド」はインクをガラスペンで使うのとまったく同じです。ガラスペンの先端をマイルドライナーのもとに浸します。毛細管現象で溝の少し上の方まで吸い上げられたら余分なインクを優しく拭って筆記をしていきます。
もう一つは、マイルドライナーのもとの特徴が一番活かせる「ちょい足しマイルド」です。マイルドライナーまたはマイルドライナーブラッシュ(二つを総称して、以下「ペン」と書きます)とマイルドライナーのもと(以下「インク」と書きます)を用意します。
おおよそ1/3を浸しました
ペン先1/3くらいまでをインクに浸したら取り出し、ペン先にインクがついたのを確認して紙に筆記していきます。文頭に書いた通り、初めはインクの色でかくことができ、筆記を進めるにつれて元のペンの色が現れてきます。
書き終わったらティッシュできれいにします
書き終わった時にまだペン先にインクが残っている場合は、ティッシュなどに押し当ててインクを吸い取り、元々のペンに戻します。これをしないとインクがペンの奥に浸透してペン自体の色が変わってしまう場合もあるからです。
やってわかったグラデーション作りのコツ
「ちょい足しマイルド」で全種類の塗り見本を作ってみてわかったコツをご紹介します。
1.ペンとインクの濃さの差を把握する
マイルドライナーシリーズは名前の通り、優しい色味が特徴のマーカーペンです。ですが、その中でも濃淡があります。
インク側の色が薄いと、すぐに元の色が出てきてしまう
例えば「マイルドラベンダー」は色が強くはっきりと出るため、つける方のインクが負けてしまうことがあります。そのため、ペンの色が初めから主張をして、インクの色がすぐ見えなくなってしまうことがありました。この時には、少し時間長めにペン先をインクに浸しました(大体3秒数えるくらい)。
「マイルドグレー」は色が薄いので、グラデーションというより、絵の具で言う「水」+くすみを付加する液体のような役割に
逆にペンの色がものすごく薄いものもあります。インクの色が主張してしまい、なかなかペンの色に戻ってくれません。なので、「チョン」とつけたらOK。
本当は試し書きをしてから本番を書くのがおすすめですが、「書く→少しティッシュで拭き取る→書く→また少しティッシュで拭き取る→書く」とすると、グラデーションの早回しができます。例えば私のインク見本帳のように限られたスペースにグラデーションを作りたい場合にはとても有効な方法でした。
2.大胆な色の組み合わせが意外性を呼ぶ
間違いないきれいなグラデーションを作ろうとすると、同系色の色を選びがち。例えば「オレンジのペンに黄色のインク」「青いペンに水色のインク」のようにイメージしませんか?
似たような色だとグラデーションがわかりづらいのです(赤で囲ったもの)
写真では「マイルドバーミリオン」と「マイルドゴールド」の例を挙げました。よくみると左上の色味が少し違いますが、あまりグラデーションしているように見えませんよね。
マイルドライナーでは、逆に「え?その組み合わせ?」と思いがちな組み合わせが魅力的に仕上がります。例えば絵の具で赤と緑を混ぜるとかなりくすんで沈んだ色になってしまいますが、ペンとインクで同様の色の組み合わせを作った場合はオシャレカラーに見えるのです。
マイルドマゼンタとマイルドグリーンの組み合わせ。
上の写真の赤く囲ったもの。マイルドマゼンタ(赤系)とマイルドグリーンの組み合わせです。色の変わり目が少し茶色のようにくすんでいますが、そのくすみすら素敵に見えます。マイルドライナーには人気色「グレー」が存在します。そしてどの色をとっても柔らかな色合いなので、渋い色などがあっても当たり前でしかも優しくみえる。なので、くすみすらきれいな色と見えるのでは?という私なりの分析をしました。
金属ペンはダメなの。
元々マイルドライナー向けに作られたインクなので、金属部品と触れる仕様になっておらず、金属のペンは使わないように呼びかけられています。
「ガラスペンがOKならば、カリグラフィーのニブも!」と反射的に考えてしまいがちですが、カリグラフィーのニブは素材が金属の場合がほとんどかと思いますのでお気をつけください。もちろん、万年筆に入れるのもNGです!
逆に考えると、ガラスペンもつけペンも万年筆もお値段の張るものです。
特に、いまどきの小学生たちにとってガラスペンは憧れるけれど、価格的に少し頑張らないと手が届きにくいものだと思うのです。中高生でも、さまざまな用途で使うお小遣いを文房具だけに注ぎ込むわけにはいかないでしょう。そこでリーズナブルなマイルドライナーやマイルドライナーブラッシュで使えるように作られたこのインクは、「書くこと」が減ってきている若年層にも「書くことは楽しい!」と気づいてもらういい機会をもたらしているのではないかと考えています。
夏の便りを書いてみました。うーん、絵心が欲しい
私も、素敵な作品が描けるようになりたいなー。
ブンボーグ大作戦!こぼれ話
今年4月に開催した、自分の好きな文房具をプレゼンしあう"あの"企画が帰ってきます。
「他故となおみの推し文房具の会」第2回の開催決定です!
会場:「CHIENOWA BASE」2階会議室
「CHIENOWA BASE」は東武東上線朝霞駅南口から歩いて5分ほどのところにある、地元に密着した本と文具のお店です。
日時:2024年9月15日(日)
時間:午前の部(推し文具テーマ固定) 10:30〜12:30
→テーマを設けました。
他故チーム:筆記具(定員8名)
なおチーム:インク(定員8名)
午後の部(テーマなし) 14:00〜16:30
→テーマの指定はありません。(定員12名/最少催行人数8名)
(もちろん、「筆記具」「インク」を推してもOK)
備考:午前&午後続けてのご参加も可能です
参加費:500円(当日1階のレジでお支払いください/たこなお文具情報室からのプレゼント付き)
午前・午後両方の参加もOKです。その場合の参加費は2回分の1,000円です。
申し込み:「CHIENOWA BASE」ホームページ(https://chienowa-bs.com)、もしくは店頭にて受付をしています。
前回2グループに分けたため「もう一つのグループのお話が聞けずに残念だった」という声がたくさん上がりましたので、午後の部はグループ分けせずに開催します。これは、他故さん&なおちゃんの話を聞く会ではなく、あなたの文房具が好きな気持ちを思い切り伝える会です。当日は、お好きな(ご紹介をする)文具をお持ちください。
前回の経験を活かして、より良い形を作れるように少しずつブラッシュアップしていきます!ぜひみなさん、ご参加ください!
プロフィール
1979年北海道札幌市生まれ。ラジオパーソナリティ/文房具プレゼンター
ナナコライブリーエフエムで放送中のラジオ番組「他故となおみのブンボーグ大作戦!」のパーソナリティ及び制作・技術を担当。万年筆インク(中でもご当地インク)コレクター。
他故壁氏さんとユニット「たこなお文具情報室」として、文房具の楽しさを伝える活動を行っている。
2015年生まれの娘とともに知育・学童文具を使用しているため、リアルな声を届けられる数少ない存在である。
そして、きだてたくさんと色物文具をひたすら紹介する動画コンテンツ「イロブンの引き出し開けていこう」もYouTubeにて配信中。
【他故となおみのブンボーグ大作戦!】
埼玉県朝霞市のコミュニティFM「ナナコライブリーエフエム」にて放送中の30分間文房具の話題だけをお送りするラジオ番組。
パーソナリティーは他故壁氏&ふじいなおみ。
放送時間は毎週日曜日19:30~20:00/毎週水曜日 11:30~12:00(再放送)
FMラジオ77.5MHz(埼玉県朝霞市・志木市・新座市・和光市とその周辺地域)の他、パソコンやスマートフォンではListenRadioのサービスを利用すると気軽に聴くことができます。
詳しい聴き方は番組Webページへ
https://daisakusen.net/howto/
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