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【連載】他故となおみのブンボーグ大作戦!Bootleg  #36 漫画のインク?漫画のペン?

ふじいなおみ

30分間、文房具の話題だけをお送りするラジオ番組「他故となおみのブンボーグ大作戦!」のパーソナリティ「なおちゃん」こと、ふじいなおみです。

番組では毎週たくさんの文房具が登場します。その中から、他故さんとなおちゃん2人で選んだ商品をピックアップ。より掘り下げてご紹介していきます。

image1.jpg白を基調に大人かわいいパッケージ


今回は、3月17日放送の「なおちゃんの使ってみた」でご紹介したアイシーの「てがき時間」シリーズをピックアップします。

漫画の画材系インクを初体験

きっかけは2023年末に横浜で開催された文具女子博でした。もともと「黒い紙にかける画材」が大好物であるなおちゃんは、事前情報でアイシーという漫画の画材を扱っているメーカーのブースで「てがき時間インク」という黒い紙にもかけてしまうインクが先行発売されるとの情報をキャッチ。プレス公開日にお邪魔をしてお話を伺った後に商品をご提供いただきました。

「てがき時間」シリーズは実際に体験することに魅力を求める「コトモノ需要」にいまだ注目が高まる中、「手で書く/描くこと」で楽しんで欲しいとリリースされたものです。水性顔料インクを使っているため乾くと耐水性を持ちます。この商品では同社の漫画用のインク「アイシープレミアム ホワイト」という白いインクがベースに使われて隠蔽性の高い5色を作成しました。

image2.jpg直前にインクを撹拌したために泡立ってしまっていますが、粘度高めです

万年筆のインクをガラスペンへつけた場合の定番の言葉として「ハガキ1枚分ほど書くことができます」がありますよね?
漫画画材のインク初体験の私がまず驚いたのはこのインクの速乾性の高さ。書いているうちにペン先のインクが乾き始めるので、一文書くごとに一回インクを足さないと書き続けられなかったのです。
また、粘度も高く、修正液を想像していただけると近いと思います。

image3.jpgインク瓶に浸す→乾かす→浸す……と3回浸したもの


また、乾くたびにインクをつけていくとペン先に少しずつ固まったインクの層ができるため、こまめに拭いたり、乾く前に水で洗い流す必要がありました。新たな「インク」を知ることができて、私の知識も広がりました。

image4.jpgオーナメントニブをうっかり乾かしてしまったもの。複雑な部分はきれいにできずアウト……


ちなみに乾いてしまった場合は耐水性を発揮するため、水に入れてもインクを溶かすことはできません。とにかく爪や布などで擦らないとることができませんでした。よって、万年筆の場合はコンバーターやそこからペン先に行く途中の各機構でインクが固まってしまう危険性があるので、このインクは入れないでください。
また、つけペンだといえどもガラスペンは繊細なので、先端の溝にこびりついてしまった時に強い力で擦ることはできません。使うことを避けることが無難でしょう。商品の説明にもありますが、私からもお伝えします!

インクの色味をご紹介

なおちゃんは「黒い紙にかけるインクは濃い色の紙に書いてこそ価値がある」と思っているので、パイロットから出ているクルールフォンセシリーズの紙3色に書いてみました。

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結果はこの通り。とても素晴らしい発色です。

せっかくなので、漫画を描く時に使われるペン先を体験!

image6.jpgこの商品を紹介した際に他故さんの口から「今や漫画を描く道具となってしまいましたが、Gペンやサジペンなどもぜひ体験してみてください」という言葉が出ました。「あ、私やったことない。今がこの書き味を知るチャンス!」と思い、X(旧・Twitter)でつけペン先メーカータチカワさん(@tachikawapen)がご紹介されていた、ペン軸1本とペン先5本のセットを購入いたしました。

image7.jpgimage8.jpg
書き上がり

1.Gペン

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「漫画家さんはみんなこれを使っているのだ」と幼き頃信じていたほど有名な名前のペン、
両サイドに切れこみがあるため力をかけるとよくしなってペン先も開くので、線の強弱をとってもわかりやすく表現できました。
漫画の世界はまったく触れたことのないジャンルでしたが、よく耳にする名前だから多くの方が使うオーソドックスなペン先と考えていましたし、実際、このペンを偏差値の50に置いておくと以降のペンの描きやすさをうまく表現できるのではないかと直感的に思いました。

2.さじぺん

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カブラペン、スプーンペン、タマペンともよばれているペン先。描いていて安定感がありました。Gペンよりしなりも少なく、ペン先がほんのわずかだけ上を向いているのでどの方向に線を引いても描きやすさはあまり変わらない、ずっしりとした大黒柱のようでした。

3.日本字ペン

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日本語には縦方向の長い線が多いために開発されたペン先なのだそうで、さじペンと同じようにペン先はわずかに上を向き、線を引く方向を気にせずにかくことができます。私には少し硬いペンに感じました。

4.スクールペン

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すごく硬いので、故意に力をかけようとしない限り一定の幅の線が書けました。筆記方向によってはインクが出づらかったです。


5.丸ペン

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これだけ挿しこみ部分が筒状になっていました。そして線が細く一定の方向にしかかけません。それ以外の方向に動かそうとすると鋭い先端で紙を破ってしまいそうな頑固さを感じました。


番外編.カリグラフィーに使われるニブでも?

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メーカーの方から「カリグラフィーのニブもお使いいただけます」と耳にしたので、我が家にあったものの中から「オーナメントニブ」を選んで使ってみました。丸ゴシックのような文字が書けるペン先です。

万年筆インクと比較すると粘度の関係で、塗りムラのあるものに仕上がりましたが、これも手がきのアジとして楽しめそうです。

カードBOXを使ってメッセージカードを書いてみよう!

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てがき時間では名刺サイズで、カードを一周するように箔押しがされたカードBOXも発売されました。
カードの紙の色・素材の違いで「シロ」「ナチュラル」「クロ」「トレペ」の4種類。書いていてやはりワクワクするのは「クロ」。隠蔽性の高いインクならではの濃い色の上で鮮やかに発色する「晴れ舞台」がみられます。またなかなか普段使わない「トレペ」(厚手のトレーシングペーパー)も珍しい感覚の筆記がとても楽しかったです。


image16.jpg(デザインセンスのなさは関係なしに)素敵なカードを描くことができました。

つけペン界からの使者も試してみた

逆にGペンを万年筆インクに使って筆記をしたらどのようになるのだろうか?
今まで使ってきた漫画を描くインク用(顔料インク)用のGペンの他に、つけペン先メーカータチカワがインク沼ユーザーに向けて染料インクによる筆記を快適なものにした「ニュームメッキ」というつけペン先を知りました。白くて触るとモコモコした感覚が手に伝わるペン先を見つけたので、試してみることにしました。
今回はインクがすぐに消費されてしまうサラサラのインクを使って、五十音を書いてみると??

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通常のGペンでは22文字目の「に」でインク切れを起こしましたが、ニュームメッキの方は56文字目の「わ」の途中でインク切れ、想像以上に多くの文字数を描くことができました。メッキをすることでインクをより多く保持できるようになったのが理由のようです。
タチカワではインク沼の方々への新たな刺客を考えているようなので覚悟をしておいた方が良いかもしれませんね(=楽しみです!)。

商品情報

てがき時間インク(バジル・シナモン・アネモネ・リラ・アジサイ)各1,870円(税込)

てがき時間カードBOX
・シロ、ナチュラル 50枚770円(税込)
・クロ 50枚825円(税込)
・トレペ 30枚880円(税込)

イベント限定商品「てがき時間ミニインクセット くすみ」 
てがき時間インク少量が5色セットになって3,080円(税込)
※コピックやアイシーが出展するイベントでのみ販売する限定商品です

ブンボーグ大作戦!こぼれ話

4月29日(月・祝)13:00から15:00に、東武東上線朝霞駅南口から歩いて5分ほどのところにある、地元に密着した本と文具のお店「CHIENOWA BASE」で、”他故となおみの「推し文具の会」”が開催されます。

なおちゃん念願の、放送エリアでのイベント開催。他故さんの年頭の目標でもあった文房具OFF会です。「自分の大好きなものを他の人と分かち合いたい。」「他の人の推しを聞いて知見を広げたい」など、同じ文房具好き同士で楽しく盛り上がれる会にしたいです。

詳細や申し込みはこちらのページをご覧ください。
なお、定員になった時点で申し込み終了となります。また、定員に満たない場合も4月26日20時が申し込み締め切りとなりますのでご注意ください。

当日あなたにお会いできることを楽しみにしています。

プロフィール

【ふじいなおみ】
1979年北海道札幌市生まれ。ラジオパーソナリティ/文房具プレゼンター
ナナコライブリーエフエムで放送中のラジオ番組「他故となおみのブンボーグ大作戦!」のパーソナリティ及び制作・技術を担当。万年筆インク(中でもご当地インク)コレクター。
他故壁氏さんとユニット「たこなお文具情報室」として、文房具の楽しさを伝える活動を行っている。
2015年生まれの娘とともに知育・学童文具を使用しているため、リアルな声を届けられる数少ない存在である。
そして、きだてたくさんと色物文具をひたすら紹介する動画コンテンツ「イロブンの引き出し開けていこう」もYouTubeにて配信中。

【他故となおみのブンボーグ大作戦!】
埼玉県朝霞市のコミュニティFM「ナナコライブリーエフエム」にて放送中の30分間文房具の話題だけをお送りするラジオ番組。
パーソナリティーは他故壁氏&ふじいなおみ。
放送時間は毎週日曜日19:30~20:00/毎週水曜日 11:30~12:00(再放送)
FMラジオ77.5MHz(埼玉県朝霞市・志木市・新座市・和光市とその周辺地域)の他、パソコンやスマートフォンではListenRadioのサービスを利用すると気軽に聴くことができます。

詳しい聴き方は番組Webページへ
https://daisakusen.net/howto/

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