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【連載】他故となおみのブンボーグ大作戦!Bootleg  #009 ぺんてる「Calme(カルム)」

30分間、文房具の話題だけをお送りするラジオ番組「他故となおみのブンボーグ大作戦!」のパーソナリティ「なおちゃん」こと、ふじいなおみです。

番組では毎週たくさんの文房具が登場します。その中から、他故さんとなおちゃん2人で選んだ商品をピックアップ。より掘り下げてご紹介していきます。

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Calmeの単色ボールペン

今回は、2021年12月5日On Airの「なおちゃんの使ってみた」でご紹介した、ぺんてるの油性ボールペン「Calme(カルム)」をピックアップします。

「かく」って何だろう

ぺんてるは2019年3月ごろから新しい油性ボールペンのカタチを模索していました。

デザイナーが「かくこと」に向き合い、「製品を見たときに触ってみたくなる『カタチ』とは?」「心に響く『カタチ』とは?」と、「かく」ための道具を物理的な「形」にとどまらず油性ボールペンの在り方そのものを0から創造したのです。その後、技術者や営業担当者といった部署を越えて作り上げた「カタチ」が2021年12月15日に発売された「Calme(カルム)」です。

目指したのは「無音」ではなく「静音」

この製品の1番の特徴は「静音設計」、つまりボールペンを使うときに発生する「ノック音」が静かなことです。
製品名になっている「Calme」は「穏やかな」「落ちついた」という意味を持ちます。

2019年5月ごろ、デザイナーは「ボールペン使用時の音の大きさ」に着目をします。同年12月、大阪の営業担当者の元をデザイナー・開発者たちが訪れヒアリングを行いました。そこでは「どのボールペンの音が小さいか」「どれを使ってみたいか」とさまざまなボールペンを実際に触りながら意見を出してもらったそうです。結論として見えたのは、ノック式のボールペンを使っているのにノックをするときに無音であると「ペン先が出たのかどうかがわからない」「使っている感覚が指に伝わらない」など、ノック音がしないと不自然であるということでした。よって「無音」ではなく「音は静かだけれど聞こえる」そして「ノックしたときに指へ柔らかな衝撃を感じる」といった「静音」の商品を作り上げるという方向性が明確になりました。

音ハラに敏感な20〜30代

「音ハラ」という言葉を耳にしたことはありますか?
「音ハラスメント」の略で、「音によって苦痛を与えること」や「その苦痛自体のこと」を意味します。

ぺんてるは2021年夏に「世代別『音ハラスメント』全国意識調査」を行いました。ここでは結果から読み取れる3点に注目してみます。

1つ目。カフェやコワーキングスペース、図書館など他人との共有スペースで仕事や勉強をすることが多いのは20〜30代であり、その年代は他の年代に比べて周囲の作業音に対して敏感であること。

2つ目。集中を妨げる周囲の作業音として全世代で「ボールペンなどのノック音」が高順位であること。

そして特徴的なのが3つ目。20〜30代の回答を見ると他の年代と比べて、「自分が発するボールペンの作業音で周囲へ迷惑をかけているのではないか」と不安視している割合が高いことです。

結果、Calmeのコンセプトは「自分も周りも穏やかに心地よく」と掲げられました。

開発者たちが生み出したもの

今回発売されたCalmeは黒・赤・青の単色ボールペンと、黒・赤・青の3色が1本になった3色ボールペン、黒・赤のボールペンと0.5㎜のシャープペンシルが一つになった多機能ボールペンの3種類です。

photo2.jpgいずれも軸色はカーキ。手前から単色・多機能・3色ボールペン


単色ボールペンではノックをして芯を出す機構を新たに開発。ノックの時に動く「回転子」と呼ばれる部品を、上下にある摺動子(しゅうどうし)というパーツで受けることで衝撃を緩和し静音を実現しました。
また、3色・多機能ボールペンは後軸の頭の部分(使用中に一番上になる部分)に緩衝材を入れることで衝撃を緩和。静音を実現しています。

photo3.jpg静音の仕組み(ぺんてる提供)


ボディにもさまざまなこだわりが詰まっています。グリップ部に革シボ加工を施したのもその一つです。革シボとはちりめんのように細かく不規則な皺模様で、身近なものだと一眼レフカメラのグリップ部が挙げられます。Calmeのグリップも一眼レフカメラのようにしっかりと手に馴染みます。ちなみにこの革シボ加工はぺんてるの製品では初めて採用されたため、さまざまな材料を試し実現させたそうです。

photo4.jpgグリップ部の革シボ加工


また、鉄器や漆器のように落ちついた艶消しのボディやクリップ上部の特徴的な凹みと、「手に取りたくなる」・「触りたくなる」をカタチにしました。

実際にCalmeを手にしてみました

前述の通り、落ちついた色味やグリップの革シボ加工もあって重量がありそうに感じますが、見た目に反して持った時の軽さにびっくりします。

そして何と言っても「静音」。

まずは単色ボールペン。従来のノック音が「カチカチ」ならば、Calmeのノック音は「スラスラ」。パーツの部品が噛み合う音というよりも、パーツがスライドして擦れたような「スラスラ」という音なのです。

一方、3色・多機能ボールペン。一般的には芯を入れ替えるときに部品が後軸の頭の部分にぶつかり衝撃を受けて音が鳴りますが、Calmeではその衝撃音がかなり軽減されています。逆に従来の多色・多機能ペンに持ち替えてみると「今までこんな衝撃があったの?」と感じるほどでした。

Calmeは油性ボールペンのブランドとして開発されたので「Calme」の名ではゲルや水性のボールペンは作られないそうです。ただ、私のようなラジオの仕事をしている場合、放送中にノック音を鳴らさないように気を付ける必要があります。Calmeのような静音設計の製品でインキの種類の違うボールペンも開発されると使用用途が広がるなーと期待しています。

商品情報

ぺんてる「Calme(カルム)」
Calme単色ボールペン(ボール径0.5/0.7㎜)1本165円(税込)
・インキ色:黒の軸色は「ブラック」「カーキ」「グレイッシュホワイト」の3色。
・インキ色:赤、インキ色:青は、インキと同じ軸色
Calme多機能ペン(ボール径0.5/0.7㎜、シャープペンはどちらも0.5㎜)1本550円(税込)
・軸色は「ブラック」「カーキ」「グレイッシュホワイト」の3色
Calme3色ボールペン(ボール径0.5/0.7㎜)1本440円(税込)
・軸色は「ブラック」「カーキ」「グレイッシュホワイト」の3色

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ブンボーグ大作戦!こぼれ話

番組内、そして文具のとびらや番組ホームページでお知らせしていた通り、2022年1月から番組の放送局をお引越ししました。今度は埼玉県のナナコライブリーエフエムから文房具の話題だけをバシバシ発信していきます。

日曜日の放送は今まで同様、よる7:30からですが、水曜日の再放送はあさ11:30からに移動していますのでお気をつけください。

番組を聴く場合はFMラジオで周波数77.5MHzにセット(埼玉県朝霞市周辺)の他、PCではListenRadioホームページからアプリ不要で聴くことができます。スマートフォンで聴く場合はListenRadioアプリを使うとスムーズに聴くことができます。

そして、日曜日の番組放送中にはTwitterで実況大会(「#ラジブン」をつけて番組の感想をつぶやくだけで、パーソナリティ・リスナー同士が想いを共有できる楽しい時間です)も実施中!

これからもブンボーグ大作戦!は全力で文房具情報を発信します。

プロフィール

ふじいなおみ
1979年北海道札幌市生まれ。ラジオパーソナリティ/文房具プレゼンター
ナナコライブリーエフエムで放送中のラジオ番組「他故となおみのブンボーグ大作戦!」のパーソナリティ及び制作・技術を担当。
他故壁氏さんとユニット「たこなお文具堂」として、文房具の楽しさを伝える活動を開始。
万年筆インク(中でもご当地インク)コレクターであり、2015年生まれの娘とともに学童文具の観察を行う。
そして、きだてたくさんと色物文具をひたすら紹介する動画コンテンツ「イロブンの引き出し開けていこう」も配信スタート。

【他故となおみのブンボーグ大作戦!】
埼玉県朝霞市のコミュニティFM「ナナコライブリーエフエム」にて放送中の30分間文房具の話題だけをお送りするラジオ番組。
パーソナリティーは他故壁氏&ふじいなおみ。
放送時間は毎週日曜日19:30~20:00/毎週水曜日 11:30~12:00(再放送)
FMラジオ77.5MHz(埼玉県朝霞市・志木市・新座市・和光市とその周辺地域)の他、パソコンやスマートフォンではListenRadioのサービスを利用すると気軽に聴くことができます。

詳しい聴き方は番組Webページへ
https://daisakusen.net/howto/

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