【連載】月刊ブング・ジャム Vol.20後編
本サイト編集長の文具王・高畑正幸さん、イロモノ文具コレクター・きだてたくさん、ブンボーグA・他故壁氏さんの3人による文具トークライブユニット「ブング・ジャム」が、気になる最新文房具を独自の視点から切り込んでいく「月刊ブング・ジャム」。Vol.20後編では、「読書の秋」にぴったりなブング・ジャムおすすめの読書グッズを紹介してもらいました。
読書のときメガネが拭きたくなって
「ふく栞(しおり)」(ジェコル)とリーディンググラスをかけられるアイテム(商品名・メーカー名不明)
――後編は、愛用の読書まわりグッズを紹介してもらいます。
【他故】読書するとき文房具を使わないんですけど。どうしよう(苦笑)。
【高畑】だれから行きます?
【他故】じゃあ、私からにしましょうか。そもそも、僕にとっての読書は、電車の中で過ごすためのものなんですよ。家では読めないんですよね。家族に話しかけられたりすると、読めなくなってしまうタイプなので。電車に乗っている時間が読書タイムです。その場合は、大きい本だと持ち歩きが大変で嫌になるので、ほぼ文庫に限られる。しかも、その中でメモを取るとか一切しないので、文房具って本当に使わないんですよ。だから、読書で使う文房具って、しおりぐらいしかないんですけど。
――はい。
【他故】それでしおりも、本を1冊買って中にはさんでおくと、なくしちゃうんですよね。しおりってなくなっちゃうんですよ、不思議なことに。
【きだて】なくなるか?
【他故】なくなっちゃうんだよ。
【高畑】俺はなくなる。
【他故】「これいいじゃん」って買って本にはさんでおくんだけど、読み終わった本にはさまっているかと思うと、ないんだよ。
【高畑】何か、分かる。
【他故】なので今日も、今使っているものしか紹介できなんですけど。
――ええ、大丈夫ですよ。
【他故】今使っているのはこれで、ジェコルっていうメーカーなのかな。要は、メガネ拭きが入っているっていうもので。
【きだて】去年のISOTで出ていたやつだね。
【高畑】あ~、そうか。
【他故】本を読むときに重要なのは、メガネが汚れていないかどうかだと思うんですよ。
(一同)あ~。
【きだて】分かる、うん。
【他故】毎回、何らかのかたちでメガネを拭きたいって思っていて。ただ、何でもいいわけではなくて。家にはメガネ拭きがあるんですけど、出かけているときにメガネを拭こうっていうのが、今までちゃんとできていなくて。これにしてからは、読む前にメガネを拭く習慣ができました(笑)。
――なるほど(笑)。
【きだて】メガネに脂っ気が付いていると、集中できないよね。
【高畑】できない。メガネが曇っていると、それだけで思考が曇るもん。
【他故】ズバリ「ふく栞」という名前なんですが。あと、買った本にしおりが付いていることがありますよね。
――付いてますよね。
【他故】あれでもいいんですよ。でも、みなさんはどうか分からないんですけど、カバンに入れておくとなくなっちゃうんですよ。落ちちゃうんですよね。
――あ~、パラッと。
【他故】ブックカバーをかける習慣もないし。
【きだて】他故さんは、ブックカバーを付けているイメージだったけど。
【他故】違うんだよ。僕は、買った書店のブックカバーを付けていて、読み終わったら外す。読んだ本は外してあるよというのをやっているの。
【きだて】あ~、なるほど。
【高畑】それで、読んだ本かどうか見分けているんだ。
【他故】自分ではブックカバーを付けない。本屋で付けてもらって、買ったときからちょっとずつ読み始めて、読み終わったらカバーを外して、本棚に入れるということをしている。
――それは私と一緒ですね。
【高畑】今読んでいる本は1冊なの? ブックカバー付いた状態で積んどくとかはないの?
【他故】結果的にある。買ったけど、内容的に乗れない。だけど、後で思い出したように読むというものもブックカバー付けたまま詰んである。
【高畑】そうすると、分かりにくくない?
【他故】分かりにくい。
【きだて】Amazonで買ったのは?
【他故】Amazonでは小説を買わないよ。本屋にぶらっと行ったときに、気になったものを買うので。マンガとか雑誌など、決め打ちで買うものとか、「この本は絶対に欲しい」というものはAmazonで買うけど。
【きだて】そうなんだ。
【他故】それで、しおりをなくしちゃうので、これと同じで引っかけられるやつじゃないと使わない。
――あ~、なるほど。
【他故】そうじゃないとすぐになくすので。
【きだて】ちょっとでも摩擦力を増やすという。
【他故】以前は、金属クリップみたいな「ブックダーツ」を使ってたんだけど、これがまた本の中にザクザク入ってきちゃうので。
【高畑】あ~、ページが切れるんだ。
【他故】それで、金属はダメだとなって。
【きだて】ブックダーツだと切れるよね。
【他故】そういう意味では、ブックダーツ苦手なんだよ。手帳にはさむ小さいのならいいんだけど、しおりの代わりには使わない。
――そうか~。
【他故】これに関して言えるのは、本を読むときにしおりぐらいしか文房具は使わないけど、意外としおりは重要だなということ(笑)。
――そっちのは何ですか?
【他故】これは、持ち運び用じゃなくて家でしか使ってないんですが。文庫だけじゃなくて、大きい本を買うこともあるので、その時はちょっとずつ家で読むんですよ。これはしおりでも何でもなくて、ここにリーディンググラスをかけておくんですよ。
(一同)あ~。
【きだて】それ、ペンシースじゃないんだ。
【他故】そうじゃない。こうやってリーディンググラスをかけて本と一緒にできるんです。
――なるほど。
【きだて】そんなのがあるんだ。
【他故】リーディンググラスというか、老眼鏡ですね(笑)。普段かけているメガネでも見えなくはないんだけど、大分字が小っちゃかったりする本もあるので、そのためのフック。
【高畑】ちゃんとメガネの絵が描いてあるんだね。
【きだて】本当だ。
【他故】ペンはちょっと入らないかな。ペンを入れるやつもあるんだろうけど。
【高畑】まあ、読書専用だからね。
【他故】しおりにもなると思うんだけどね。間に入れることもできるだろうから。
――本にはさんで、リーディンググラスを引っかけて。
【他故】基本的に本の外に出しておいて、ここにリーディンググラスを引っかけて、本を立てて置いておく。
――そうやって使うんですね。
【きだて】メガネアイテム2点だね。
【他故】拭くやつと入れるやつ。これが文房具かというと、ギリギリだと思うんですけど(笑)。
【高畑】いや、でも全然ありじゃないですか。
【他故】本を読むための文房具かどうかは別として、こういうのを使うと僕は快適だよということで。
【高畑】読もうとして気がつくんだよね。メガネが汚れているということに。
【他故】そういうのが結構ショックで。朝、会社へ行ったときも、さあ何やるといったら、パソコンの電源付けたらメガネを拭くんです。汚れてるのがもう分かっているから。それと同じくらい、電車で座って本を出したときにメガネ拭きたいんですよね(笑)。
【高畑】うん。
【他故】まあ、これにしてからは、重宝しているので、気を遣ってなくさないようになりましたよ。
【きだて】そりゃ、普通のしおりよりは高いものな。いくらだっけ、それ?
【高畑】結構するよね。
【他故】900円ぐらいはするんじゃなかったかな?
【きだて】あれ、思ったよりは高いね。でもまぁメガネ拭き込みだからそんなもんか。
【他故】なので、これは大事にしてます。
【高畑】言われたら、それはそれで良さそうだな。メガネ拭きは、ハンカチみたいなやつか、使い捨てみたいなやつかしかないじゃない。布きれのやつは、どうしてもくしゃくしゃになるから。入れどこがね、いつも微妙なんですよ。それで、カバンのポケットなんかに入れておくと、用もないのに汚れてるじゃん。
【他故】分かる(笑)。
【きだて】布目が細かいからホコリを拾うんだよね。
【高畑】元々がホコリを吸着するためのものだから。せっかく洗濯したのに、汚れていると嫌じゃないですか。これは、ここに付いたままなんだよね。
【他故】そうだね。だから、これは汚れたらしょうがないなぁ。
【きだて】2人とも老眼鏡は持ち歩いてないの?
【他故】会社と自宅に1個ずつ置いてあるけど、普段歩いているときは必要ない。
【きだて】まじか?
【高畑】俺は、小さな模型を作るとかじゃないと、今のところは。
【他故】僕も、本を読むときも、文庫本だったら大丈夫だよ。
――そうか、きだてさんは持ち歩いているんですよね。
【きだて】そう、持ち歩いていて、ケースの中にメガネ拭きも入れているから、さっき文具王が言っていた、カバンの中で汚れることなんかはないんだ。
――メガネケースの中に入りますからね。
【きだて】メガネを掛け替えたタイミングで、自動的に拭く癖はついてる。
【他故】普通そうだよね。だから、どうやって持ち歩くかのパターンの一つとしてこれがあるということで。
【きだて】なるほどね。その場合、用途がちゃんと焦点合ってるから正しいよね。
【他故】「本を読むためにメガネ拭きは必要だ」というのは、納得していただけるのではないかと(笑)。
【高畑】いや、分かるよ。
――さすが他故さん。使うしおりも普通のものではありませんね。これだけあります! マンガノート!!
各種マンガノートと、吹き出しの中に書けるマンガメモ。
――次は、きだてさんお願いします。
【きだて】俺も他故さんと一緒で、本を読むときに文房具を使わないなというのがあったんだけど。でも、使っていたことがあったなと思って、ずっと思い返していくと、大学のときに文章の因数分解に凝ってて。
【他故】ほう。
【きだて】パスティーシュ文章みたいなのに一時期凝ってずっと書いていたので、人の書いた文章を抜き出して、どういう要素に分かれているか分解してとか、そういう分析をやっていたので。
――ポストモダン的なことをやっていたのですね(笑)。
【きだて】なので、当時は本と一緒にノートとペンを持ち歩いてたのね。で、最近ちょっとマンガの原作をやってみたいなと思ってて、いちどマンガも前みたいに分解しながら読んでみようか、と。それならマンガにマッチしたノートを使ってみようということで、これらのマンガ関連ノートを持ってきました。
【他故】マンガノート、なるほど(笑)。
【きだて】色々と持ってきましたが。
【高畑】あっ、これ浦沢直樹なんだ。
【きだて】『PLUTO』の特装版に付いていたおまけなんだけど。ノベルティでノートって結構あるじゃない。
【他故】あるよね。
【きだて】その中でも、マンガ系のノベルティでノートは結構あって。ただね、ノベルティノートの欠点は、書く面積が少ないよねというのがあって(苦笑)。
【他故】まあ、中に色々と入っちゃってるから。
【高畑】それはサービスだからな。中が普通の自由帳だったら、それはそれでガッカリだよ。
【きだて】だから、工夫してあればあるほど嬉しいんだけど、してあればあるほど書けないっていう、そういうアンビバレンツなところがあって。
【他故】そうだね。
――書くのがもったいない感じが(笑)。
【高畑】どっちかとういと、もったいなくて書けないだよね。
【きだて】そう。浦沢直樹の絵の横に、何か書いていく度胸は俺にはないな。
――で、これを使おうと思っているんですか?
【きだて】う~ん、多分使わないと思うんですが。
(一同爆笑)
【きだて】持っては来たものの、使うのは普通のノートになるよね(笑)
【高畑】へぇ~。
【きだて】まあ、マンガも読書でいいじゃないかということで。
【他故】それはもちろん。
【きだて】あと、これが個人的に好きなんだけど。マンガメモね。
【高畑】これね。ありましたね。
【きだて】『北斗の拳』シリーズはサカモトから20冊ぐらい出ているのね。
【他故】そんなに出てるんだ!
【きだて】その後で、サンデー系、マガジン系で10冊ぐらいずつ出ていて。『うる星やつら』とかでも出ていて。
【他故】出てたね。
【高畑】でも、『MMR』はいいよね。
【きだて】それが一番使いやすい。
【他故】使いやすい?
【きだて】じゃなかった、ネタにしやすい(笑)。
【他故】どんなメモ書いても「何だって?」って返されちゃうから(笑)。
――これは、ふきだしの部分が空白だから、そこにメモが書けるということですよね。
【きだて】そうです。それで、メモパッドになっていて、ビリッと切り離して伝言メモ的に使える製品なんですけど。これも一応、マンガノート的なものとういうことで持ってきたんだけど。いやぁ、ネタがねえな!
(一同爆笑)
【きだて】本を読むときは、基本文章に集中したいから、他の作業何もしたくないんだよ。
【高畑】あっ、そうなんだ。
【きだて】ふせん貼ったりとか、アンダーライン引くのですら、とりあえず最初の一読めはしないし。
――繰り返して読む場合は、ふせん貼ったりするんですね。
【きだて】一遍通読して、もう1回資料的に読まなきゃいけないときに、不承不承ふせんをはさんだりとかするみたいな。資料的な本でも、1読目は絶対にそのまま読むんだ。でないと、脳に入ってこないんだよ。
【他故】ほぉ~、なるほどね。
【きだて】俺は基本的に集中力が弱いので、他の作業をすると一気にそっちへ持って行かれちゃう。
【他故】はいはい。
【きだて】だから、文章の因数分解なんて小生意気に言っていたけど、まだ集中力のあった学生のときだからできたんだよ。なかなか今だとやりづらいだろうね。
【他故】そうか。
【きだて】だから、本と文房具は相性悪いと思うよ。『きまじめ姫と文房具王子』でも、「メモれるブックカバー」を作ってるじゃない。あっ、なるほどって思ったんだけど、俺は絶対に使えないやつだよ。
【高畑】ブックカバーにメモとか書いたりしないんだ。
【きだて】しない。するとしたら二読目以降。それで、ブックカバーにメモをするとしたら、本と関係がなく、手元にメモ帳がなかった場合に書くという、そんな感じだものね。
(一同)ほ~。
【きだて】だから、本の内容を頭から話したくないというのがある。
【高畑】読んで没頭すると、どちらかというとそこだけな感じになるから、そこはむしろ何もない方がいいと。
【きだて】何もないほうがいい。という訳で、こういう卑怯な逃げワザを持ってきたんだけど(苦笑)。
【高畑】なるほど。
【きだて】イロブン棚から普通の文房具棚までひっくり返して見たんだけど、読書に使える文房具が本当になくて。
――ブックカバーも使わないんですか。
【きだて】最近は、ほぼAmazonで買っているので使わないし。
【他故】さらに、自分でブックカバーを付けるというところまでしないんだ。
【きだて】しないね。
【高畑】カバーは俺も付けないな。
【きだて】さらにね、同時平行で何冊も読んだりすることもあるから、カバーを付けていると何の本だか分からないんですよ。
【他故】まあそうだね。
【高畑】それは分かる。あと、本屋で面白そうな本を新しく見つけたら、読んでいる本を途中までで置いておいて、そっちを読み始めたりするから。
【きだて】そう、するね。
【高畑】だから、さっき他故さんに「分かりにくくない?」と言ったのは、本屋のカバーが付いていると中身が分からないから。
【他故】今年買った本だったら、まだ憶えているんで。
【きだて】だから、どこで何を買ったのかも憶えていないんだよ俺は~(苦笑)。
【高畑】有隣堂で「赤にして下さい」「青にして下さい」とか(*有隣堂ではブックカバーの色が選べるサービスを行っている)。でも、それもまた色を忘れるんだよ(苦笑)。
【きだて】そうなんだよ~。
【他故】どっちにしても、分けるのは無理なんだよ。
【高畑】だから俺は、本の表紙が見えていないと分からなくなるんだよ。積ん読なんだけど、何を詰んだのか分からなくなるので。
【きだて】しかも俺は、本をそんなに大事にする方ではないので、カバンの中で本が多少くたびれようが、特に中が読めればいいやという。基本、文庫だけれどね。さらに、最近は電子書籍でも読むようになったので、なおさら文房具との相性が悪くなってくるという。
【高畑】電子書籍は確かにそうだね。
【きだて】だから、今回のテーマは聞いた瞬間に「ん、ダメかも」って。
【他故】わはは(笑)。
――でもね、こういう面白いノートをご紹介いただいて。
【きだて】何とかひねり出してきましたよ(苦笑)。
【高畑】きだてさん原作のマンガが出てきたらすごいね。ノートが見たいよね。
――そこは企業秘密でしょう(笑)。
読者の時には手放せない、ラインを引くための必須アイテム!
クレヨンのような固形蛍光マーカー「テキストサーファーゲル」(ステッドラー日本)
【高畑】そこへ行くと、俺だけ違うんだ。俺は線引くんだよ。上から書くんだよ。小説より他のジャンルの本が多いけど、僕は平気で書き込む人なんですよ。文字を書き込むときは「フリクションボール」なんだけど、読む時に絶対持っているのがステッドラーの「テキストサーファーゲル」なのね。常にこれを持って読んでいるの。
――ああ、指にはさんでいるんですね。
【高畑】指にはさんだ状態で読むの。
――本を持ちながら。
【高畑】ピッピッと線を引きながら読むの。
【きだて】蛍光マーカー数あれど、何で「テキストサーファーゲル」なん?
【高畑】しかも「テキストサーファーゲル」のオレンジじゃないとダメなんですよ。
【きだて】それは、色の好みなの?
【高畑】インクが染みないというのと、あんまり蛍光の色味が強くないので。キーワードになっているところに、自動的にピピッと線を引きながら読むんだけど、後で読み返そうと思ったときに、自分の引いた線を頼りに手繰っていくんだよ。
【他故】そうか。
【高畑】小説を読んでいるときでも、新しい登場人物が出てきたときにピッと線を引いたりして。
【きだて】へぇ~。
【高畑】だから、オレンジ色のところだけ見ると要約して読めるの。
――シドニィ・シェルダンの超訳みたいですね(笑)。
【高畑】あと、これはフリクションを使うけど、気になったところは書き込むのね。「これどうなの?」みたいなところを。きだてさんが言う分解みたいなのは、特に文具系の本に関しては、自分に知識があるから、間違っていると添削を入れちゃうの。
【きだて】あっ、それ俺もやった(笑)。
――唯一、それだけは書き込んだんですね(笑)。
【高畑】本だけじゃなくて、雑誌や文具業界紙でも気になったところは線を引くのね。それで、読み終わってそれでおしまいでもいいし、後で何かに書き写したりとか、資料として読むことも多いので。
【きだて】文具王としては、資料的にレアな古い本を読んだりするじゃない。そういうのも容赦なく引いちゃうの?
【高畑】さすがに希少本って分かっているものには引かないけど、Amazonとか古本ドットコムで買えるような本ならば割と引いちゃう。
【他故】そうなんだ。
【高畑】余所から借りた貴重なものには引かないし。
【きだて】当たり前だよ! それに線を引いちゃったらどうしようもないわ(笑)。
【高畑】もちろんそうなんだけど、希少本クラスのものはそれだけで文化財なので。
【他故】ああ、そうだね。
【高畑】それは、写真撮って複製本を作ったりするんだけど。そういうのを除いては、ほぼ書き込んでいる。だから、2冊買って一方は置いておくということをすることもあるし。特に、新しい本はほぼ間違いなく線を引くので。それを引くときは必ず「テキストサーファーゲル」で、これも家にダースで買ってあるんだよ。
【きだて】ああ、そうだろうなと今思った(笑)。
【高畑】だから、ないと落ち着かないので、ここにも何本もあるのね。
【他故】お~、入っているね。
【高畑】あともう一つは、「テキストサーファーゲル」は最初のうちはキャップ外した状態で芯が出ているけど、ちょっと使って短くなるとキャップなくても使えるんだよ。乾かないし。
【他故】まあ、固形マーカーだからね。
【高畑】キャップなくても使えるので、面倒くさいからこのままで使っている。それで、黄色ははっきりしている割には、輪郭がぼんやりしているんだよ。
【きだて】ちょっと紙色に溶けるんだよ。
【高畑】逆にピンクは色が強すぎるので、俺の中ではオレンジしか選択肢がないんだよ。それとね、液状の蛍光ペンは裏に染み込んじゃったりすし、書いたときに色が強すぎるので。「マイルドライナー」とかも使ったことあるんだけど、やっぱり液体じゃなくて固形マーカーの方がいいなとなって。
【きだて】そうか。
【高畑】今は、間違いなく常にこれを持っている感じ。これは、読むものほとんどのときに持っている。校正とか打合せの資料なんかでも大体、線を引きながら読むので。どこに引くと考えているよりは、速読の人ならばその文字を読んでいるんじゃないかみたいな線の引き方かな。
【他故】なるほど。
【高畑】読むのが得意じゃないというか、時間もかかるし、エネルギーも使うので、1回読んでもう1回探すのがつらいのね。だから、きだてさんみたいに、最初はなしで読んでだと、次から読んだときにどこに書いてあったのかを探すのがすごい苦手なの。
【きだて】はいはい。
【高畑】だから、2回目のために線を引いとく。
【きだて】そうか、足がかりをつけておくわけね。
【高畑】そう。つけておくと、次がものすごく楽なの。家に古い資料の本があるわけですよ。文房具の歴史の本だったり、テクノロジー系の本だったり、最近だと面白かったのは『ホモ・デウス』とか『サピエンス全史』だけど、ああいう本ってめちゃくちゃいろんなところにキーワードが出てくるから、それは引いておかないと、後でもう1回「あれ、面白い話だったよな」というのが見つからない。
(一同)あ~。
【高畑】俺は、そこら辺の検索能力が低いので、また一から読まないといけなくなっちゃうから。だから、「テキストサーファーゲル」だけは何本も家に置いてある。会社の引き出しにも入れているし。
【他故】いろんな場所にあるんだ。
【高畑】この間ディノスで買った、5×5マスのペン立てがあるんだけど、1列これなんだよね。ペンって使うと減るじゃん。でも、5本あるから大概必要なときにそこにあるの。
【きだて】残り3本くらいになったら注文するんだ。
【高畑】そういうときは、カバンの中を片付けたりすると、ゴロゴロって何本か出てきたりするから、それを立てておいてという感じで。でもね、読書用でいろいろと試したけど、赤鉛筆だと濃く書けないし、筆圧も要るし、ダーマトグラフを使うと、下の文字が読みづらくなるので。
【きだて】そうだね、つぶれちゃうね。
【高畑】それでいくとね、このオレンジが超絶読みやすい。むしろ、これじゃないと文字が頭に入ってこないんじゃないかと思うくらい。
【他故】お~(笑)。
【高畑】それは、書き込み系読書の人だからしょうがないんだけどね。
【きだて】しかしあれだね、今回テーマにきちんと沿っていたのは文具王だけという状況だな。
【高畑】だから、俺は本を書き込みベースにしちゃっているんだよ。さっきの因数分解の話も、俺はノートに取らないで本に書き込むんだよ。
【他故】はいはい。
【高畑】マンガなんかでも欄外に書いちゃうと思うんだよね。あと、僕は文庫本の場合はしおりを使わないんですよ。
【きだて】ページを折っちゃうんだ。
【高畑】今読んでいるところに、これぐらい折っちゃうんだよね。そうすると、最後まで読むときに留めなくて済むので。あとは、ふせんも貼るので、「クリップココフセン」とかも入れたりするんだけど。でも、読書のときに何が一番ないと困るかというと、この「テキストサーファーゲル」なんですよ。
【他故】そういうことだね。
【高畑】というわけなんですけど、違いが出たね。
【他故】はっきり出たね。
【高畑】本への接し方が、多分他故さんときだてさんが似ていて、俺はちょっと違うんだよね。
――他故さんは、書き込みはどうなんです?
【他故】僕は書き込みができないですね。本に対して、何かを書くことができない人間です。
――きれいなままに。
【他故】きれいなままでいたいですね。
【きだて】俺は、書き込みはできるけど最初はしないし、書き込みをすると集中できない。
――他故さんはきれいな状態にしておきたいし、きだてさんは集中できないということですね。
【高畑】僕は逆に、書き込んじゃうから本を人にあげられないし、だから借りずに買うみたいな。要は、自分のノートなんだよね。そういう風に引きながら読める本が好きなのかな。ノンフィクション系で。
――たまにありますよね、古本を買ったら書き込みがしてあったりとか。
【他故】ありますよね。
【高畑】それも面白かったりするんだけどね。本を汚さずに読むのもいいかなとは思うんだけど、自分に入ってこないんじゃ読んでいて意味ないからね。
【他故】そりゃ意味ないでしょ。
【高畑】そこは割り切っているところはちょっとある。
【きだて】でも、読書ってすごいパーソナルな行為だから、本当に人それぞれのかたちだからね。
【他故】それはそうだよ。
【高畑】そういう意味でグッズが色々あるわけだし。
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