一般社団法人未来ものづくり振興会は、新しいプロダクトのデザインを募る「14th SHACHIHATA New Product Design Competition （シヤチハタ・ニュープロダクト・デザイン・コンペティション）」の表彰式を2021年10月15日（金）に行い、受賞作品10点を発表した。

「シヤチハタ・ニュープロダクト・デザイン・コンペティション」は、シヤチハタが1999年から10回にわたり開催してきたプロダクトデザインのコンペティション。第14回となる今年は、『「　　　」を表すしるし』をテーマとし、自由な発想で「　　　」を埋め、そのしるしを表すアイデアを2021年4月1日～ 5月31日の2カ月間にわたり募集した。昨年に続き、今回も喜多俊之氏、後藤陽次郎氏、中村勇吾氏、原研哉氏、深澤直人氏の5人の審査員、および特別審査員2人の計7人で厳正な審査を実施。応募作品総数は、過去最多の昨年の応募数（1,282点）と並ぶ1,206点の応募があり、そのうちの10点を受賞作品として決定した。

グランプリ（賞金300万円）は『「My Face Stamp」―「心」を表すしるし』（姫野剛氏）が受賞。 「My Face Stamp」は、表情の印影で心を表し、伝える電子印鑑。非対面でのコミュニケーションが増えたことにより、難しくなった気持ちの伝達を手助けする。



準グランプリ（賞金50万円）は、『「はる、しるし」―「出会い」を表すしるし』（富岡啓祐氏）と、『「重さを示す印鑑」―「行為の重さ」を表すしるし（大沢拓也氏、須藤哲氏）が受賞。「はる、しるし」は、「押す」ではなく、「貼る」しるし。しるす度に長さを変えていき、視覚と手触りでその経験を体感することができる。「重さを示す印鑑」は、金属の削り出しで印鑑の形を六角柱型に仕上げることで、質感や重量感、陰影によってずっしりとした印象を与え、行為の重要性を感性に訴える。

（左から）「はる、しるし」「重さを示す印鑑」

審査員賞 （賞金20万円）は、喜多賞が『「SHACHIHATA CARD」―「身軽さ」を表すしるし』（坂本俊太氏、吉岡俊介氏、安達 岳氏）、後藤賞が『「BARCODE TAPE」―「隠された情報」を表すしるし』（広川楽馬氏、迫健太郎氏、中塩屋祥平氏）、中村賞が『「学びの記憶」―「日々の研鑽」を表すしるし』（小高浩平氏）、原賞が『「筆跡えんぴつ」―「特性」を表すしるし』（石川和也氏）、深澤賞が『「光のしるし」―「正確な位置」を表すしるし』（矢島章亜氏）が受賞。また特別審査員賞 （賞金20万円）は、『「秘密の質問」―「秘密」を表すしるし』（若田勇輔氏、内山智義氏、村山周平氏）、『「料理のための落款印」―「私の料理」を表すしるし』（渥美航氏、佐野千畝氏、吉成真里氏）が受賞。

「SHACHIHATA CARD」は、カード状の印鑑の提案。スポンジシートの版面を持つカードは、側面に力を与えると立体化し、従来の印鑑と同じように使える。「BARCODE TAPE」は、オリジナルバーコードを使ってテープを作成するサービス。バーコードには20字程の英文字を情報として記録できる。バーコードを伸ばしてテープにすることで、メッセージを入れて荷物の梱包に使ったり、名前や連絡先を記録してネームタグ代わりに使うことも可能。「学びの記憶」は、カーボンやトレーシングペーパー、PETを用いた、筆跡を刻印する下敷き。学習した分だけ、赤く染まっていく。

（左から）「SHACHIHATA CARD」「BARCODE TAPE」「学びの記憶」

「筆跡えんぴつ」は、芯の濃さをグリップに筆跡でしるし、直感的に芯の濃度がわかる鉛筆を考案。「光のしるし」は、印影側面の傾斜部に設けたLEDにより、放たれた光が紙面に十字の基準線を描く。その光を目安にすることで、印影の傾きや位置を押す瞬間まで確認することができ、正確な位置への押印が可能になる。「秘密の質問」は、オンラインストアで秘密の質問に答えると、判子になって届くサービス。秘密の質問が書かれた判子を押すと、その問に対する答えが印字される。「料理のための落款印」は、料理の作り手を伝える、皿の縁に押す判子を提案。軟質シリコン層の印面は、食器の曲面にもきれいに押すことができ、料理に添えられた印は作品としての完成度の証にもなる。インクは食用色素を使用。

（左から）「筆跡えんぴつ」「光のしるし」「秘密の質問」「料理のための落款印」