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【ニュース】「メセナアワード2019」発表! コクヨ、キヤノンなどが受賞

公益社団法人企業メセナ協議会は2019年10月18日、「メセナアワード2019」の受賞活動7件(「メセナ大賞」1件、「優秀賞」5件、「特別賞:文化庁長官賞」1件)を発表した。「メセナアワード」は、企業による芸術・文化を通じた社会創造の観点で特に優れた活動を顕彰するもの。メセナ大賞は竹中工務店、優秀賞はコクヨなど、文化庁長官賞はキヤノンが受賞した。

〈受賞企業〉
メセナ大賞:竹中工務店「木造モダニズム建築『聴竹居』による社会貢献と建築文化発信」
優秀賞 アートやで中之島賞:京阪ホールディングス「京阪電車中之島線なにわ橋駅「アートエリアB1(ビーワン)」における社学・地域連携文化活動」
優秀賞 文具を超える文具賞:コクヨ「『コクヨデザインアワードプロダクト』プロジェクト」
優秀賞 耳を澄ませば心に響く賞:日本ユニシス「川畠成道コンサートプログラム」
優秀賞 世界と島で踊りま賞:パソナグループ「Awaji Art Circus 2018」
優秀賞 花とアートの森あわせ賞:六花亭製菓「六花の森の企画・運営」
特別賞 文化庁長官賞:キヤノン「綴プロジェクト」

コクヨ「『コクヨデザインアワードプロダクト』プロジェクト」


コクヨデザインアワードは、コクヨが2002年から行っている国際コンペティション。ユーザー視点のものづくりの推進を目的とした活動で、商品デザインを広くユーザーから集めて受賞作品の製品化を目指している。

募集対象は、同社の既存カテゴリーの文具・家具だけでなく「働く、学ぶ、暮らすシーンで用いる文具・家具・道具全般」。アワードの開始当初は機能的価値を持つ作品が評価される傾向にあったが、近年は暮らしの中に新しい価値を見出せることが評価のポイントになっている。

毎年異なるテーマが設定されており、2018年のテーマは「BEYOND BOUNDARIES」。グランプリを受賞したのは「音色(ねいろ)鉛筆で描く世界」で、鉛筆に専用のホルダーを装着することで紙と鉛筆の摩擦音を増幅させ、「視覚情報を伴わずに機能する文具」「楽器のように音を楽しむ文具」といった新しい文具の展開を探求する作品である。

2015年からは「コクヨデザインアワードプロダクト」のブランドを立ち上げ、同社と受賞デザイナーと新規開拓した地場の生産工場で協業して、高い品質かつ300個という少ない製品ロット数で受賞作品の製品化を実現するプロセスを構築した。プロジェクトで開発された製品は同社の直営店舗と公式通販で販売されている。

このプロジェクトを通して、同社は新しい商品カテゴリーにトライアルする機会を持ち、受賞デザイナーにはリアルな市場で自分のデザインの価値を知ることができる機会を提供している。

【評価ポイント】
●企業の資源を活用し、広くアイデアを募集して新しい文具・製品への挑戦の機会をつくっている。
●時代に合わせたテーマを設け、既成の概念を超えた文具の枠にとらわれない製品の開発を試みている。

キヤノン「綴プロジェクト」


「綴プロジェクト(正式名称:文化財未来継承プロジェクト)」は、キヤノンと京都文化協会が共同で、国内外にある日本古来の文化財の高精細複製品を制作し、オリジナル作品を保存しながら、その高精細複製品による有効活用を目的に立ち上げたプロジェクト。開始から10年を経て、葛飾北斎や俵屋宗達、雪舟といった貴重な文化財を、全国の所蔵者および海外に渡る前に所有していた寺社や地方自治体などへ、50作品以上寄贈してきた。

プロジェクトは技術開発のレベル向上に寄与し、技術者のモチベーションやチャレンジ精神の育成にもつながっている。2017年には画像解像度を2倍に引き上げ、より高精細に再現すると同時に、制作におけるオリジナル作品への負荷を軽減させるため、撮影時間の短縮やシステムの高速化を実現。2018年
は、大英博物館が所蔵する3作品(「秋冬花鳥図」「津島祭礼図屏風」「平家物語 一の谷・屋島合戦図屏風」)を制作・寄贈した。

さらに、同年には独立行政法人国立文化財機構文化財活用センターとの共同研究プロジェクトを発足し、より多くの人が文化財に親しみをもてるよう、幅広い鑑賞機会の提供と展示方法にも工夫を凝らす。

ガラスケースを外し、畳に座って本来の屏風の鑑賞スタイルを展示室内に再現するとともに、照明の変化や映像を組み合わせ、屏風の表情を楽しめるような体験型展示を行う。東京国立博物館で開催した「松林図屏風」の展示では、約10万人が来場した。

地域の学校や公共施設では、ワークショップ型プログラムや対話型鑑賞プログラムなど、複製品によるアウトリーチ活用も広く展開。日本の美しい文化を伝え、人の心に明るい未来を綴っている。

【評価ポイント】
●NPOや行政などと連携し、さまざまな人により深い文化体験ができる機会を創出している。
●技術力を進歩させ、時代の流れを捉えた活動の広がりと厚みにより、文化の発展に寄与している。

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