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【シリーズ企画】独創的だから面白い、キングジムのヒット商品「③デスク周りの便利グッズ編」

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千葉 勇

4月に入り新年度がいよいよスタートした。新入社員はもちろん、ベテラン社員も新たな気持ちで仕事に取り組みたいもの。また、働く環境を見直して改善を図るのにも、いいシーズンと言えそうだ。そこでオススメしたいのが、オフィスのデスク周りを見直してみること。デスクワークを快適にする便利グッズを活用すれば、作業効率がアップして生産性の向上が図れるはず。実は最近のキングジムは、デスク周りの整理・収納用品に力を入れており、同社ならではの斬新な視点による新製品を続々と生み出している。

【シリーズ企画】では、ヒット商品を連発するキングジムを隔週で3回連続取り上げる。第1回「デジタルプロダクツ編」、第2回「ファイル編」に続いて、最終回の第3回は「デスク周りの便利グッズ編」として、最近注目を浴びている製品を中心にご紹介していこう。

新たなスペースを作り出せるマグネット式トレー「マグトレー」が好評

マグトレー.jpg

「マグトレー」は、キャビネットやデスクの引き出しのスチール面に磁石で取りつけるだけで、新たなスペースを作り出すことができるマグネット式トレー。市場にはこれまでもマグネット式トレーはあったが、「マグトレー」はトレー部分のサイズが約230×320mmと従来品より広く、A4書類も平置きできる点が好評となっている。発売したのは2017年12月15日。カラーは黒と白の2色で、各税抜4980円。

吸着部分は強力なネオジム磁石を採用し、耐荷重は約3㎏。また、本体上部にはバラバラになりがちなクリップをまとめて貼りつけることができるクリップポケットを備えるといった工夫もみられる。

用途としては、デスクの引き出しに取りつけて作業中の書類を一時的に置くことや、キャビネットに取りつけてオフィス内での共有備品置きとするといった使い方を想定している。

「マグトレー」を開発した畑山優貴氏は「デスクで仕事をしているとき、一時的にモノを置くためのスペースが足りなくなることが多かったため、デスクを簡易的に拡張できるようなものがほしいと思うことがよくありました。そこで、マグネットで取りつけられるトレーのようなものを探してみましたが、奥行きが最大で12cmくらいのものしかありませんでした。もっと大きいサイズのトレーがあったら便利なのにと思ったのが開発のきっかけです」と話す。

畑山さん.jpg「マグトレー」を開発した畑山優貴氏


「開発当初からマグネット式でA4サイズが平置きできるトレーという構想を頭に描いていました。マグネット式を選んだのは、オフィスのデスクはスチール製が多いためで、マグネット式であれば簡単につけたり外したりできると思ったからです。トレーの大きさは、オフィスで最も多く使用されているA4サイズの書類が平置きできるように考えました。また、素材については金属だとトレー自体が重くなってしまうため、樹脂を選択しました」。そう語る畑山氏の話を聞いていると、このまますんなり製品ができたように思える。だが、サイズの大きいトレーを支えるための磁石の強度や、樹脂の成型時にトレーの面が反らない構造を考えることには苦労したという。

「磁石として使用したのは磁力が強いネオジム磁石で、2つ使用しました。たくさん磁石を使えば耐荷重はアップしますが、そうすると外すときにより大きな力が必要になりますし、製造コストがアップして価格が高くなってしまいます。そこでまずは、実用上最適な耐荷重を得るための磁力を探るため、テストを繰り返しました。次に、少ない磁石でも必要な磁力を得られるよう知恵を絞りました。具体的には、ヨークと呼ばれる鉄板で磁石を囲う構造を調整したり、磁石の片方の面にN極とS極の磁性を交互に細かく配置するなどといった手法です。これによって、A4サイズの広い面にかかる荷重をわずか2つのネオジム磁石で支えて、約3kgの耐荷重を実現するとともに、コストダウンにも成功しました。また、磁石を吸着面の上部に配置することによって、トレー部分を持ち上げれば、テコの原理で少ない力でも簡単に取り外すことができるようにしました」

「トレー部分も、強度を高めるために素材を厚くするとボテッとしたデザインになってしまうので、磁石のある吸着面とトレー部分の裏側のリブ(反りやねじれなどの変形を防ぐための突起物)の入れ方を工夫し、できるだけ薄くしながら強度を高めることに成功しました」

説明する畑山さん.jpg吸着面の磁石の配置や樹脂成形の工夫について説明する畑山氏


このほか、磁力を利用して、バラバラになりがちなクリップをまとめておくことができるクリップポケットを2カ所作ったこと、吸着面の下側にすべり止めのラバーをつけたこと、トレーの表面をPPシートであしらってきれいに見えるようにしたこと、トレーの縁を少し高くしてペンなどが転がり落ちないようにしたこと、トレーの根元に切り欠きを設けて書類を取りやすくしたことなど、多くのアイデアが詰め込まれている。

誰でも簡単につけ外しができて便利な「マグトレー」。オフィス内だけではなく、工場、商業施設、学校や家庭など、さまざまな場所で活躍できるのではないだろうか。

あったら便利なデスク周りのグッズをピックアップ

次に紹介したい便利グッズは「デスクポケット」。「マグトレー」と同じように強力なネオジム磁石を使った製品で、デスクの引き出しに簡単に取りつけられる収納用品。サイズ違いのポケットが8つもついていて、ノートや電卓などのワーキングツールを収納することで、机上スペースを有効活用できる。本体色はライトグレー、黒の2色。税抜3800円。

取り付け.jpgデスクの引き出しに取りつける「デスクポケット」

取りつけ方法は、引き出しの前板にかけるだけ。強力なネオジム磁石と滑り止めでしっかり固定できる。また、引き出しの前板内側に磁石がつかない材質の引き出しには、同梱の「取りつけ補助板」を使用すれば取りつけることができる。

ポケットは、印鑑やスマートフォンが取り出しやすい小ポケット、電卓やメモ帳などが入る中ポケット、A4サイズのファイルやノートが入るA4ポケットなど、サイズが異なるワーキングツールを省スペースで収納できる8つのポケットが付いている。耐荷重は2kg。



2016年3月の発売以来、ユーザーから好評を得ているのが「ディスプレイボード」。パソコンの液晶ディスプレイの上のデッドスペースを有効活用できる小物置きで、設置が簡単なのも人気の理由。外形寸法が約W200×D168×H30mmのDB-200(黒、白、税抜1900円)と、約W500×D168×H38mmのDB-500(黒、白、税抜3500円)の2タイプを揃えている。

ディスプレイボード.jpg

「ディスプレイボード」DB-200は横幅が約200mm


設置方法は、本体を液晶ディスプレイのフチに引っかけ、本体に付属しているアームで液晶ディスプレイの背面を支えるだけで、ドライバーなどの工具を使わずに簡単に取りつけられる。デスクで散らかりがちな小物や文房具などを、液晶ディスプレイの上に置くことができるので、狭いデスクでも作業スペースを確保できる。


最後に取り上げるのは、新製品のツール整理ブロック「かたづけマス」。引き出しの中で散らかりやすい文具や小物類をキューブ型ブロックで整理することができる便利な製品。発売予定日は2018年4月20日。税抜1980円。

かたづけマス.jpg定位置を作って整理整頓をサポートする「かたづけマス」


「かたづけマス」は、ベースシートとキューブ型のブロックで構成されており、小さなキューブ型ブロックを収納物の形に合わせて並べることで、収納物の定位置を作り、散らかりやすい引き出しの中やオフィスの共有備品などを効率よく整理整頓できる収納補助製品。

ベースシートにあらかじめマス目状に正方形の穴が空いていて、その穴にブロックを差し込むことで、ベースシート上に仕切りを作ることができる。ハサミやペン類、定規など、ツールの大きさや形に合わせて収納場所が作れるので、片づける場所が一目でわかるようになる。また、差し込んだブロックは何回でも抜き差しできるので、収納物を変えても自由にレイアウトを変更が可能。

セット内容は、ベースシート1枚(336マス)、ブロックシート1枚(256マス)、ヘラ、ベース用保管袋。外形寸法は、ベースシートが約(W)300×(D)400×(H)5mm、ブロックシートが約(W)300×(D)300×(H)15mm、ベース(1マス分)が約(W)15×(D)15×(H)5mm、ブロック(1マス分)が約(W)15×(D)15×(H)15mm。


ここまで同社が展開するデスク周りの便利グッズを紹介してきたが、このほかにも、パソコンの液晶ディスプレイを上に置き、下の空いたスペースにキーボードなどを収納できる机上台「デスクボード」や、キーボードのテンキー部分にかぶせて使うマウスパッド「マウスブリッジ」、静電気の力で紙を吸着する掲示板「ラッケージ」など、アイデア溢れる製品を数多くラインアップしている。興味のある方は、同社のホームページ(http://www.kingjim.co.jp/)で確認してもらいたい。

まとめ

なぜ、キングジムは独創的なアイデアを商品化できるのか。それは、多くの人になんとなく良いと言ってもらえるものより、たとえ少数の人でも、絶対にほしいと思ってもらえるものを作ろうという社内のコンセンサスが浸透しているからだろう。だからこそ、ニッチな市場に積極的に切り込んでいくことができるし、また新たな市場の開拓に挑戦し続けることができるのではないかと思える。

宮本彰社長の座右の銘は「ファーストペンギンでありたい」だという。天敵がたくさんいる海に最初に飛び込んで獲物を捕る、勇敢なペンギンのことをファーストペンギンというそうで、誰かがリスクを冒して最初に飛び込むことが必要だという考え方である。もちろん、その先にはいちばん大きな魚、いちばんおいしい魚を真っ先に捕まえることができるご褒美が待っているのだ。


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